複数のメンバーで構成されるプロジェクトの進行には、コミュニケーション管理が求められます。情報伝達が円滑かどうかは、作業効率にも関係するため重要です。本記事では、コミュニケーション管理を適切に実施するために把握しておくべき事項について解説します。
システム開発の成功に欠かせない「コミュニケーション管理」
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)によると、コミュニケーション管理はステークホルダーと適切な情報伝達を行うためのものとされています。不備の多いコミュニケーションはメンバー同士の認識のズレを生み、プロジェクトの作業効率を下げてしまいます。プロジェクトを円滑に進行する前提として、認識のズレを起こさないようなコミュニケーションは欠かせません。
コミュニケーション管理を実施することで、メンバー同士の円滑な情報交換と認識齟齬の予防が可能になり、結果としてプロジェクト全体の効率的な進行に繋がります。また、プロジェクト管理の大部分はコミュニケーション関係の仕事が占めていると言われており、情報伝達がプロジェクトの成否を分けることがあります。情報伝達が上手くいっていないと課題や不足部分の把握ができず、期限内にプロジェクトを完了できない可能性が高まります。
なお、冒頭で挙げたPMBOKとは、プロジェクトマネジメントの知識・ノウハウを体系的にまとめたもので、事実上世界標準のバイブルとして認知されています。PMBOKの詳細については関連記事で解説しているため、気になる方はご覧ください。
URL:https://products.sint.co.jp/obpm/blog/serial-umeda01
コミュニケーション管理の手順
手順については、PMBOKに記載があります。プロジェクト管理に必要な知識を10のエリアに分類しており、そのうちのひとつがコミュニケーション管理です。そしてさらにプロジェクトの流れを「立ち上げ」「計画」「実行」「管理・監視」「終結」の5つのプロセスに分けており、それぞれの段階でやるべきことも定義されています。
コミュニケーション管理で実施すべきプロセスは以下の3つです。
- コミュニケーション計画(計画)
- 情報の配布(実行)
- 進捗管理、実績報告、ステークホルダー管理(管理・監視)
大まかに説明すると、適切な情報伝達を行うための要求事項をまとめたり、メンバーに向けてプロジェクトの記録や情報交換、報告書の提供をしたりします。それぞれのプロセスで実施する具体的な内容については次項以下で解説します。
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コミュニケーション管理の計画を策定する
相手と何となく場当たり的に情報交換するのではなく、効果的な情報交換を実行するために計画を策定します。初めの段階で策定しますが、ステークホルダーの変更やプロジェクト段階の移行にあわせて定期的に更新します。
計画の作成において初めにすべきことはステークホルダーのニーズを明確にする作業です。例えば、関係者の人物像やコミュニケーションに求めるものの把握、チャットやメールなどのコミュニケーションツールの決定、情報のやり取りについて責任がある担当者、情報伝達の緊急度・優先順位、コミュニケーションの複雑さ手段・頻度、共通用語集などを明確にします。
プロジェクトの進行には様々な組織の人が関わりますが、意思が統一されなければチームの活動がまとまりせん。一丸となってプロジェクトを進めるためにも、誰がどのような情報をどのタイミングで必要とするのか、情報共有の方法は何が適切なのか、相手に適切に伝わるコミュニケーションの取り方は何であるか、などを事前に決めておく必要があります。
コミュニケーション管理の実施
この段階では、計画に従って実際にメンバーとコミュニケーションを取っていきます。主に実施することは情報収集・配布・管理です。この際、一方的なやり取りにならないように相手の立場に立って考えるなど、円滑な情報交換を実現するための調整が主な仕事になります。
情報収集においては、関係者との会議やヒアリングで情報のやり取りを行います。ここで大切なのは、こちらの意思を相手が理解できる形で伝えること、理解できたか確認を取って進めていくことです。情報交換の方法は口頭に限らず、グループウェアやプロジェクト管理ツール、メールなどのITツールを必要に応じて活用することになります。
情報の配布は関係者に適切な情報を提供することを指します。主な伝達事項としては、議事録やプロジェクトの文書・成果物・記録、スケジュール、コストの状況などがあります。情報伝達の方法には正式な書面と連絡用メモなどの種類がありますが、情報の重要度に応じて適切な形式で提供します。
コミュニケーション管理を行うポイント
メンバー同士の認識のズレがトラブルを生むことがあります。以下では、トラブルを減らすためにできることについて解説します。
事実を記録して残しておく
実際にやり取りした会話内容を記録しておくようにしましょう。記憶は時間が経つとあいまいになりやすいため、プロジェクトを進めている中で言ったか言わなかったかの問題が起きることがあります。その際に事実を確認できる記録があるとトラブルを回避しやすいです。取り組むときは記録を残すこと自体が目的にならないように気をつけ、簡潔さ・分かりやすさを意識して短時間で済ませるようにしましょう。
ツールを活用する
対面会議などのやり方はアナログですが、表情などの非言語情報のあるコミュニケーションができるというメリットがあります。しかし、それのみに固執すると効率が悪い上に人数が増えるほど集まるための日程調整が難しく、リアルタイムな情報共有が困難になります。また、情報共有が円滑でない場合、把握している情報の違いによる認識の齟齬が生まれる可能性があります。情報の重要度・緊急性に応じて伝達方法は使い分ける方がよいです。
円滑な情報共有の実現にはITツールの導入がおすすめです。しかし、業務の利便性を考えるあまり、多機能で使いづらいものを選んでしまってはメンバーに活用されません。情報の入力がしやすいと感じられるツールを選択する必要があります。
そこでおすすめしたいのがプロジェクト管理ツールです。文字通りプロジェクト管理の効率化を目的にしたITツールであり、特化した機能が備わっています。コミュニケーション管理機能も含まれており、プロジェクトでの利用を前提にしているため多様な現場に対応可能です。
コミュニケーション管理で押さえておきたい「5C」とは
意見の行き違いや勘違いなど、コミュニケーションの齟齬が発生すると大きなトラブルに繋がる恐れがあります。そこで、トラブルのもとになる認識のズレを把握し、共通認識を作るために有効な手段として提唱されたのが「5C」という考え方です。
- Correct(正しい文法、正しい記述)
- Concise(簡潔な表現、ムダな言葉の排除)
- Clear(明確な目的、ニーズにあった表現)
- Coherent(論理的な流れ)
- Control(言葉、話、アイデアの流れのコントロール)
上記の5Cはプロジェクトメンバーが口頭で会話するとき、文章を記載するときに押さえておくべき事項です。5つのポイントを押さえることで、正確なことを論理的かつ最小限の言葉で伝えられます。誤解や齟齬が発生しにくいコミュニケーションの実現に役立つはずです。
まとめ
適切な情報伝達をチームで実践することで、作業効率が向上します。情報伝達の方法は口頭以外にITツールの活用も必要です。ツールの選択で悩んでいる方は、プロジェクト状況の管理も可能なOBPM Neoの利用もをぜひ検討してみてください。
またプロジェクト管理に関する詳しい資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
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