プロジェクトスコープを標準化し、実践するためには?【プロジェクトは現場で起きているんだ!第37章】

 2018.08.27  株式会社システムインテグレータ

プロジェクトを進めていくために、プロジェクトスコープは非常に重要です。

システム開発において、プロジェクトスコープを明確に定義しないままプロジェクトを進めると、顧客の要件が拡大し続け、収集が付かなくなります。

今回はプロジェクトスコープの定義とその管理方法、標準化について記載していきます。

スコープの意味とは?

スコープとは英語で「範囲」を意味します。プロジェクトにおけるスコープとはなんでしょうか。

「プロジェクトの範囲」と言ってしまえば簡単ですが、もう少しかみ砕くと「成果物」と「作業」と定義できます。成果物は何を作っていくか。作業はどんな作業をやるか。といった形で捉えてもらえればよいと思います。

成果物とは最終的に完成したシステムそのものやプログラムだけではありません。プロジェクト内で作成される仕様書や設計書、作業報告書なども含まれます。また作業とは、プロジェクトの目標を達成するための作業を指します。例えば、システム導入のための要件定義や業務フローの作成、データベースの設計などが含まれます。

スコープを正確に定義し管理することが、プロジェクトにおいて非常に重要です。経験豊富なプロジェクトマネージャーであればスコープの定義、その後の管理も上手くできるでしょう。しかし、経験の少ないプロジェクトマネージャーにとっては容易ではありません。ここで、プロジェクトスコープの標準化が重要になってきます。ではプロジェクトを標準化して、実践するにはどうすればよいでしょうか。

プロジェクトスコープの標準化とは?

スコープを標準化するためには、自社や個人で抱えているノウハウを共有する必要があります。

ノウハウの共有は打ち合わせで行うことも可能ですが、社内ではいくつものプロジェクトが稼働しており、その度に打ち合わせを行うことは効率的ではありません。ノウハウがデータベース化されており、「そこを見れば全てのノウハウが詰まっている」という状況が理想的です。

例えばパッケージシステム導入においての「テスト」というプロジェクトが発生した場合に、その「テスト」において、どのくらいのスケジュールでどのような作業を実施すべきか、どのような成果物を作成すべきか、といった情報が管理されていれば、プロジェクトの品質を一定水準以上に保つことが可能になります。

OBPMを使ったプロジェクトスコープの標準化

①ドメイン設定

当社のプロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(OBPM)」では、プロジェクトスコープを標準化する機能があります。それが「ドメイン」という機能です。

このドメインにプロジェクトのノウハウをテンプレートとして登録しておくことで、同様のプロジェクトが発生した場合に利用することができます。このドメイン機能では、プロジェクトに必要な様々な情報をテンプレート化することができます。

例えばプロジェクトで請負った完成品を作成するために必要な作業や、成果物(設計書やドキュメント類)を登録したり、見積を実施する際に必要な情報である作業名称や単価を登録することができます。

また会社によって標準化したい単位も様々です。プロジェクト単位で標準化したい場合や、部門や部署、チーム単位で標準化したい場合もあるはずです。ドメインは標準化したい単位を柔軟に設定することで、企業毎に違うプロジェクトの単位に対応いたします。

②工程とタスク

プロジェクトスコープにおいて重要なのはWBSです。WBSはプロジェクトの成果物を細分化し、その成果物を作業に落とし込んだものです。

先ほど、OBPMではプロジェクトの作業や成果物をテンプレートとして、登録することが可能と記載しました。 OBPMでは登録した成果物や作業をWBSとして、ドメイン機能に登録しておくことで、請け負った完成品(システム開発であれば、システム)を完成するまでの作業とプロジェクトが完了するまでの成果物を管理していくことができます。OBPMでは作業をプロセスに分けて、管理していきます。作業のプロセスとは工程とタスクです。

工程とは例えば前述の「テスト」という大きなくくりです。タスクとは工程の中で実施すべき具体的な作業と言ってよいでしょう、OBPMではこのタスクの単位まで、ドメインに登録して、テンプレート化することが可能です。

【標準化のためのドメインマスタ設定】プロジェクトスコープを標準化し、実践するためには?(Vol.37) 1

③見積の標準化

システムの開発における実行予算、原価見積はコスト管理をしていく上で、重要なものです。実行予算や原価見積の作成方法が人によってバラバラだと、非常にリスクがあります。そこでOBPMでは原価見積や実行予算の作成も標準化を行うことができるようになっています。 先程ご紹介した作業や成果物のドメイン登録以外に、見積情報もテンプレート化して、管理していきます。その見積の方法も複数パターンご用意しております。

  • 手動見積
  • 明細種別見積
  • 明細見積

手動見積ですが、手入力で金額や工数を入力して見積を行う機能です。

明細種別見積は明細種別、難易度を設定することにより見積を行う機能です。明細種別とは、例えば「照会画面」という明細種別を登録することで、。その明細種別に紐づいた難易度と開発工数が計算されて、見積を作成する機能です。

明細見積は明細種別見積をさらに細かくした機能になります。照会画面でも「照会画面A」を作るために必要な作業や難易度、必要工数を設定して、見積を行う機能です。
これにより、個別のプロジェクトの機能単位に落とし込んだ正確な見積を作成することができます。

明細種別見積はシステムの仕様が固まっていない段階で利用して、大まかな金額感を把握するために利用できます。明細見積は仕様が固まり、正確な見積が必要になったときに使用するとよいでしょう。

工数や作業の難易度だけでなく、事前に各プロジェクトメンバーの単価の設定も可能になっています。作業とそれを実施するメンバーの単価が同一の環境で管理されていることで、見積の作成も標準化を行えるのです。

【明細見積」(機能/スコープ)】
プロジェクトスコープを標準化し、実践するためには?(Vol.37) 2

④プロジェクト管理の標準化に向けて

これまでご説明してきた、プロジェクトの成果物、それを作成するための作業といったプロジェクトスコープの標準化の先には、プロジェクト管理の標準化があります。

OBPMではWBS・見積以外にも品質基準をテンプレート化することもできます。登録した品質の基準をベースとして、品質を実現するためのレビューパターン登録することにより、プロジェクト品質の向上を図ることができます。

また障害が発生した場合もOBPMは統合的に管理を行い、プロジェクトの品質を向上させます。作業者が登録した品質基準を維持するための作業を実施した結果、障害が発生した場合はOBPMに障害内容を登録します。

登録された障害内容は管理者に通知されます。管理者は障害内容を見て、対応方法をOBPMに記載します。当該対応方法をもとに、作業者は障害の対応を行います。

このようにレビューパターンを過去のノウハウを基に登録し、障害が発生した場合は同一のプラットフォームでプロジェクトの関係者が情報を共有することで、プロジェクト品質を上げることができるのです。

OBPMを使ったプロジェクトスコープの標準化 まとめ

プロジェクトの目的はプロジェクトスコープの標準化ではありません。プロジェクトの成果物が納期通りに、適切な品質で完成されることが目的です。

我々はOBPMを通じてプロジェクトスコープの標準化だけでなく、プロジェクト管理の標準化をご提供していくことで、多くのお客様に貢献していきたいと考えております。

プロジェクト管理全般に関する資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。


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