赤字プロジェクト撲滅【プロジェクトマネジメント基礎 第5章】

 2015.06.04  株式会社システムインテグレータ

第五回のテーマは「赤字プロジェクト撲滅」です。どこの会社でも避けて通れない問題です。赤字プロジェクトを少しでも減らす方法について話します。
赤字プロジェクトをプロジェクトの各フェーズ毎に如何に撲滅する方法があるのか、説明します。

 

 

プロジェクト立上時

まずはプロジェクト立上時です。立上時に見積の精度を上げる方法は、幾つかありますが、最も有効な1つの方法として過去のプロジェクトの中から類似したプロジェクトを見つけて、そのプロジェクのデータを参考に見積ると精度の高い見積が出来るでしょう。

では、具体的にどのようなデータを利用しますか。もちろん、WBSに展開したタスクはもちろですが、それ以外にPMBOKに準拠したプロジェクト管理を行っていれば、過去の実績からいろいろ有効なデータを利用することができます。要員計画の中からは、適切なスキルをもった社員の情報、調達計画からは協力会社のメンバーのスキルと単価、リスク管理からは実際に発生したリスクの対応や費用など、かなり有効な情報を入手して見積精度を上げることができます。

プロジェクト実行時

では、プロジェクト実行時にはどのような事が出来るでしょうか。各メンバーからの週次の進捗報告からでは最終的な着地点まで見ることは、容易ではありません。そこでEVMを利用してプロジェクトの最終的な着地点との差を見ます。但し、これもプロジェクトが長期間に渡ると誤差が多くコントロールが難しいのが実態です。

現実には、プロジェクトのフェーズ単位で管理される方が多いことでしょう。一般的にPMOはプロジェクトのフェーズ毎に進捗を評価することが大半でしょう。ISO9000シリーズで品質管理を行っている会社は、大抵フェーズ単位の評価を実施する仕組みを入れてあることでしょう。但し、これもEVM同様に1つのフェーズが長期間になるとフェーズ全体を見ることが難しくなり、どうしてもフェーズの最後に遅れが出たり、品質の問題が表面化してきます。 では、もっと管理スパーンを短くして月次で進捗を管理することを考えてみましょう。工事進行基準に則り計算をするには月次での進捗管理は最も適しています。ここまで管理できるようになるとかなり信頼性が高い管理が出来るようになります。メンバーからの報告は週次で行い、プロジェクトとしては最終的に月次で管理していき、EVMを用いてプロジェクトの着地点を管理していけば、PMとしてはかなり自信をもってスティックホルダーに報告できるでしょう。
第5回【赤字プロジェクト撲滅】:プロジェクトマネージメント連載シリーズ 1

月中参考原価

ここまで管理が出来るようになるとスティックホルダーから月末の数字の見通しについて報告するように要請されるでしょう。スティックホルダーにとっては、共通費など按分負担している費用が与える月末の数字に対する影響が、気になります。

残業代として労務費が増えた上に、労務費をベースに共通費を按分負担されると、赤字のプロジェクトほど共通費が増えて最終的に赤字が膨らむからです。

月次での管理の次は「月中参考原価」の予測です。そこまでできれば、有視界飛行のプロジェクトが計器飛行のプロジェクトになります。

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