製造業の利益率を向上させるための方法論はプロジェクト管理にあり【プロジェクトは現場で起きているんだ!第43章】

 2018.10.22  株式会社システムインテグレータ

統合型プロジェクト管理ツール「OBPM」には、フル機能版(原価管理、進捗管理、要員管理、品質管理)と、製造業向けのライト版(進捗管理、要員管理、マイルストーン、レビュー管理)があります。本日は、製造業のお客様の提案事例をヒントに利益率を向上させるプロジェクト管理の方法をご紹介いたします。

製造業の利益率を向上させる要素

製造業の業績は、販売管理システム、生産管理システム、会計システムによって管理されています。各企業では、システムに溜まった情報をいろいろな角度で分析し、利益率をあげる工夫をされています。

営業利益は、①売上-②製造原価-③間接費用となりますので、利益率を上げるための取り組みは3つとなります。

①売上を増やす
②製造原価を最適化する
③間接費用を最適化する

プロジェクト管理の強化による利益率を向上させる方法論

①売上を増やす

製品の売り上げを伸ばすには、既存製品であれば成熟度に合わせて、販売チャネルの拡大、販売地域やターゲット業界の見直し、キャンペーン展開などの工夫が行われます。

もう1つが新製品の開発です。
身近なものでは、テレビやクーラーなどの家電製品、スマートフォン、パソコン、自動車などがありますが、多様化するニーズを捉えるために、季節や年度ごとにマイナーチェンジやモデルチェンジが行われます。
新製品が市場に投入されるまでには、商品企画から始まり、製品企画、設計、生産準備と工程が進んでいきますが、各工程では、市場ニーズを把握している営業部門、デザイン・機能を開発する設計部門、製作する製造部門、品質管理部門など、社内のステークホルダーが集まりデザインレビューが行われます。

レビューが甘いと、後の大きな不具合により、設計変更や手戻り作業が発生し、製造原価を押し上げる可能性があるため、製品開発を行なう製造業ではデザインレビューがとても重要です。 当社がプロジェクト管理ツールを提案した製造業では、開発業務プロセスやレビューのチェック項目を定期的に見直し、質の高いマイルストーン管理が行われていました。

営業利益率を向上させるプロジェクト管理 1

最近、試作開発業務のプロセスを可視化し、さらなる品質改善・進捗管理の強化を検討されるお客様が増えています。製造業では、ひとつの製品を構成する機能やユニット別に組織が編成されていることが少なくありません。
新しい試作開発がスタートすると、機能別にスケジュールに空きがあるチームがアサインされますが、ひとつのブランドの中には複数の機種があり、またいくつものブランドが展開されているため、各チームは複数のプロジェクトを担当します。

製造業では、プロジェクト単位で開発が進んでいくため、成果物やレビュー結果は各プロジェクトやチームの中で管理がされています。しかし、プロジェクトに閉じた管理がされていると、他のレビュー結果を参考にしたい時にすぐ確認ができません。
今まで以上に製品開発の品質を高めて、予定通りに製品をローンチするために、試作開発プロセスの見える化に力を入れ始めています。

冒頭でご紹介した、OBPMライト版では、ガントチャートにマイルストーンを設定する機能があります。レビューを実施したい工程やタスク(成果物)にマイルストーンを設定しておくことで、期日になるとレビュー管理画面を表示しながらレビュー結果を記録できます。

OBPMのプロジェクト管理は統合型なので、全ての試作開発プロジェクトを一元管理し、過去のレビュー結果の振り返りが簡単にでき、レビュー結果を抽出して品質改善のための分析に役立てることができます。
機能詳細は、次の章でご紹介いたします。

②製造原価を最適化する

繰り返し品は量産フェーズに入ると、スケジューラなどで生産が計画されますが、個別受注品や、顧客の要求に合わせてカスタマイズが必要な製造設備では、受注が入ると、構想設計・基本設計→調達→詳細設計→調達→製作→検査→出荷と工程が進みます。
複数の製番が同時に製造されているので、作業に関わる人の管理が重要です。

生産設備メーカーでは、機種別に標準リードタイムが設定されています。各案件では、個別要求に合わせて、必要な材料費、固定費が積算されて製造原価がはじかれます。
受注後は、生産管理システムで製番別の製造原価管理がされますが、一方で、スケジュールや要員計画は、Excelなど別の仕組みで管理しているが多くあります。

生産管理システムを立ち上げると、その時点の製番別の利益はすぐに把握できますが、別で管理しているExcelの進捗が遅れていると、検収があがった時に見込利益率と大きく乖離しているといったことも少なくありません。

社員の工数実績をExcelで管理されている企業もありますが、転記する時に工数を付け間違えたり、生産管理に工数連携するタイミングが週次や月次だったりすると、リアルタイムに実績が把握できないといった課題もあります。

利益率を向上させるには、製造原価(固定費)の最適化が必要です。その時点の予実績を把握し、進捗遅れや工数の超過に対して早期に手を打つ仕組みが必要です。

営業利益率を向上させるプロジェクト管理 2

生産設備メーカーから、製番別のExcel管理をやめて全社のプロジェクトを一元管理したいという相談が増えております。

Excel管理をしている企業では、各工程の作業や標準作業時間が予めテンプレート化されています。受注が入るとExcelテンプレートを呼び出し、納期に合わせてスケジュールや要員を計画しますが、このやり方だと製番ごとにExcelファイルができてしまいます。全てのプロジェクトの進捗状況を把握するためには、生産企画部門が各部門の進捗状況を確認し、大工程表にまとめて共有しなければなりません。

このようなやり方だと、リアルタイムに全てのプロジェクトがチェックできないため、進捗遅延やコスト超過に対して手を打つのが遅くなります。

OBPMライト版では、製番別にプロジェクト情報を登録するだけで、全てのプロジェクトを統合管理してくれます。

新規プロジェクトの登録は、機種別にマスタに登録されたテンプレート呼び出し、計画をたてるところからスタートします。テンプレートにはプロジェクトの工程以外に、デザインレビューで使用する品質基準やレビュー項目など11個のプロセスが登録できます。
プロジェクトがスタートすると、メンバーは実績入力画面から工数と作業進捗を報告しますが、これだけの登録で全てのプロジェクトが見える化できます。

OBPMのプロジェクト一覧画面では、たくさんの製番が同時に動いていても、進捗遅れのあるプロジェクトにはアラートが表示されますので、簡単に課題のあるプロジェクトを見つけてマネジメントすることができます。
機能詳細は、次の章でご紹介いたします。

③間接費用を最適化する

設備や建物など、間接費用もいろいろありますが、製番に紐づかない作業の工数もここに含まれます。先の3ケ月は、どのチームが忙しいのか、誰が空いているかを把握できると計画的な要員計画がたてられますので間接費の最適化にもつながります。
OBPMでは、プロジェクト単位に要員を計画するとリアルタイムに開発メンバーアサイン状況(山積表)が作成され、新規プロジェクトで要員を計画する時に参照することもできます。
機能詳細は、次の章でご紹介いたします。

プロジェクト管理の強化につながるOBPMライト版製造業向けの各機能

ガントチャート画面

製造業の利益率を向上させるための方法論はプロジェクト管理にあり(Vol.43) 1

  • デザインレビューを行う工程、タスク(成果物)にマイルストーンが設定できます。

レビュー評価(指摘事項登録画面)

製造業の利益率を向上させるための方法論はプロジェクト管理にあり(Vol.43) 2

  • 期日になるとマイルストーン一覧からレビュー評価登録画面を呼び出します。
  • 評価者の指摘事項は指摘分類と合わせて記録されます。
  • 対応者は、期日までに指摘事項に対応し結果を記録します。
  • レビュー時に使われる成果物や議事録等は添付ファイルとして保管ができます。

プロジェクト一覧画面

製造業の利益率を向上させるための方法論はプロジェクト管理にあり(Vol.43) 3

  • 全ての製番の進捗状況をプロジェクト一覧画面で確認できます。
  • プロジェクト数が多い時は、検索項目により絞り込み表示ができます。
  • 進捗遅延率のしきい値を超えたプロジェクトにはアラートが表示されます。

開発メンバーアサイン状況画面

製造業の利益率を向上させるための方法論はプロジェクト管理にあり(Vol.43) 4

  • 各プロジェクトで登録した要員計画は、この画面にリアルタイムに反映されます。
  • 表示単位(月・旬・日)や工数単位(人月・人日・人時)を切り替えて確認できます。
  • 過去の工数実績、先の工数計画が把握できるため新規のプロジェクト登録時は、この画面を見ながら空いているメンバーのアサインと予定工数が計画できます。

※上記画面は個人別/プロジェクト別/予定工数/月別の条件で表示しています。

製造業の利益率を向上させるための方法論はプロジェクト管理にあり 最後に

今回は、ご紹介させていただいた内容は、お客様の提案事例の一例です。利益率向上につなげるプロジェクト管理の取り組みは製造業の永遠のテーマです。
また機会がありましたら、先進的な取り組み事例をご紹介いたします。

なお統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」を製造業向けにご紹介する資料もご用意していますので、こちらもぜひご覧ください。


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