製造業の現状と課題、解決策とは?プロジェクト管理で他社と差別化!(Vol.39)

 2018.09.25  株式会社システムインテグレータ

IT業向けからスタートした統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(OBPM)」ですが、昨年3月より他業種向けにシリーズ展開しています。その中で、製造業向けについては、反響が大きく実際に訪問してお話を聞いてみると、製造業の皆様もプロジェクト管理に関する多くの課題があることがわかりました。
時代に合わせた生産スタイルや製造サイクルの変化などによってプロジェクトの状況を正確に把握、管理する必要があると感じているものの、具体的に課題解決に取り組んでいる企業は多くないように思われます。
これからますます海外企業との競争、納期の短縮などが進んでいくことになれば競争に負けてしまいます。プロジェクトの課題を解決して、管理を整えることがこの先とても重要になります。
そこで今回は製造業の課題と解決策を明らかにして、他社との競争に勝ち残っていけるポイントをいくつかご紹介したいと思います。

製造業 プロジェクト管理の課題

製造業とIT業のプロジェクト管理は一見すると全く違うように思います。私もIT企業にしか訪問したことがなかったので、スケジュール管理は同じような共通する点はあるにしても、他は全然違うのではないかと勝手にイメージしていました。しかし、実際にはIT業と近い課題を抱えていることがわかりました。
どのような課題を抱えているのか、よくお聞きする課題を具体的に4点あげてみます。

製造業はモノ、労務費など原価状況や材料の手配状況はわかるが、製品の進捗状況はわからない

生産管理システムを導入しているので、全社としてモノや経費、労務費実績(多くはExcelで入力、管理)の原価管理は把握できていて、材料の手配や発注、入出庫の在庫管理もできています。しかし、それがプロジェクトの進捗状況となると正確な情報を把握することが難しくなります。
プロジェクトが始まり製品が完成されるまで、設計部門、加工部門、製造部門など複数の部門が関わっていますが、それぞれの部門ごとに個別のフォーマット(Excel、紙、スケジュールツールなど)にて進捗を管理しています。各部門の進捗を確認しながら、全体プロジェクト情報共有をする工程表がなくては、正確な状況がわからないので、管理者は的確な指示や状況を予測することができず苦慮しています。

製造業は熟練者の勘と経験によって計画を立てていて、属人化している。若手にノウハウの共有ができない

熟練者の勘と経験が時に重要になることもあります。しかし、勘が外れてしまうこともありますし、経験があるがゆえに新たな発想を取り込んだり予測したりすることが難しくなることもあります。
製造業は特に熟練者と若手のノウハウの継承に課題を抱えているように思われます。それだけ職人仕事に近いのかもしれませんが、プロジェクト収支やスケジュールの計画が毎回ぶれていては、経営層や管理者は正確な状況把握、予測をすることができないので大きな課題となっています。

製造業 人の要員計画がうまくできない

プロジェクトごとに誰が、いつ、どれだけ作業するのか(時間)計画をしっかりと立てたいという気持ちはあるが、そこまで管理できずに担当者に聞いたり、雰囲気で行けそうかを判断したりしている製造業が多くあります。それでは、急な計画変更や突発的な作業への対応変更もできませんし、営業が新規に商談案件を持ってきても、実際に今のメンバーで本当にできるのか、いつからならできるのかについて対応することができず、競合に負けてしまいます。
最適な要員計画ができないと、特定のメンバーに負荷がかかって残業が発生したり、逆にほかのメンバーの作業が空いてしまったりと余計な原価が発生してしまうかもしれません。

製造業 製番別の管理がうまくできていない

先程生産管理システムを導入しているので、全社の原価管理は把握できているとお伝えしましたが、それがプロジェクト毎に発番される、製番別となると話は変わります。あくまでも全社や部門で材料費や労務費を管理しているので、製番別となると特に労務費の予定/実績の把握が難しくなっています。実績については、各メンバーが工数実績を入力しているますが、月末にグロスで一括入力しているますが、要員計画(予定)ができていないので、精度は低く課題となっています。
また、各部門で複数の製番が同時進行しているので、部門長は自部門で現在どんな製番が動いていて、採算や進捗、要員はどうかといったことが把握することが難しい状況です。

いかがでしょうか。
完成品はITと違いますが、製造業もプロジェクトにおける原価や進捗、人に関する課題が中心としてあがってきます。その他にも「報告した翌週に赤字、遅延報告になった。」、「日報、勤怠、工数など報告業務と現場作業が多く、毎日入力できない」などの課題もお聞きします。(IT業でも同じようなことを聞きます。)
このような課題を解決していかなければプロジェクトの成功は難しくなります。
ではどのような解決策が考えられるでしょうか。

製造業 プロジェクト管理の課題解決策とは?

先程あげた4つの課題を解決するためにはいくつか方法はあると思います。ここでは、解決策を「人」、「組織」、「システム」の3つのポイントで解決策をご紹介したいと思います。

モノ、労務費など原価状況や材料の手配状況はわかるが、製品の進捗状況はわからない

人:進捗を日々入力する。プロジェクトは様々な部門や人材が関わりチームとして進んでいるという意識を持ち、各メンバーが与えられた作業の1つとして行う意識を持つ。

組織:上記意識を持てるように、報告の必要性や部門間の情報共有の必要性を全社共通意識として発信して伝え、各メンバーにも声掛けなどフィードバックをする。
週次などで報告ができているか、できていないのかをチェックする会議や組織を整える。ルール策定を行う。

システム:同じフォーマットで各部門でも進捗管理ができて、それをプロジェクト単位部門や全社単位でも状況が把握できるようにする。

熟練者の勘と経験によって計画を立ていて、属人化している。若手にノウハウの共有ができない

人:熟練者は、計画する際の根拠を提示する。また、積極的に若手とコミュニケーションをとっていく。メンバーを信頼する気持ちを持つ。若手も尊重する気持ちを持ちつつ、技術習得に務める。

組織:熟練者が若手にノウハウが継承できるように、例えばノウハウや経験を伝える講習やプロジェクト管理マニュアルのように知識を集約したものを作る。熟練者の仕事を決して取る(なくなる、いらない)ということではない事を伝える。議論する場やランチMTGなど交流の機会を増やす。

システム:製品や製造手法などにより工程や期間、計画工数、メンバーなどを雛形としてテンプレート化し、熟練者でなくても同じレベルでプロジェクトをスタートできるようにする。ノウハウをためていける。

人の要員計画がうまくできない

人:月末まとめてではなく、日々工数実績を入力する。進捗と同じくプロジェクトは様々な部門や人材が関わりチームとして進んでいるという意識を持ち、自分が報告しなければ周りにも影響するという意識を持ち、与えられた作業の1つとして行う意識を持つ。

組織:まずは工程-タスク(作業)の管理、入力しやすいレベルでプロジェクトのスケジュールを立てて、各メンバーの計画作業、計画時間を立てる。入力をしてもらい、定着するために、意識付けや入力チェックは継続して行う。ルール策定を行う。

システム:各メンバーが工数実績を入力できる仕組みを持ち、個人、プロジェクト、部門などの切り口で計画、実績を一覧で把握して負荷状況がわかるようにする。

製番別の管理がうまくできていない

人:製番別に日々工数実績や進捗などの報告を実施する。進捗管理、要員管理の課題で提示した内容と同様に意識改革が大切。

組織:要員計画と重複しますが、まずは工程-タスク(作業)の管理、入力しやすいレベルでプロジェクトのスケジュールを立てて、各メンバーの計画作業、計画時間を立てることが重要となる。定着するための、意識付けや入力チェックは継続して行う。ルール策定を行う。

システム:全社、部門、課などのそれぞれの単位で製番をキーとして進捗や要員などが一覧で把握できるようにする。

解決策を課題ごとに「人」、「組織」、「システム」の3つのポイントでご紹介しましたが、こうしてあげてみるといくつか共通する点があります。
プロジェクトは、人が中心です。それぞれがプロジェクトというチームで動いている、お互いを尊重、信頼するという意識改革ができれば、行動(入力、報告など)やコミュニケーションも増え良い方向に進むと思います。
また、その各メンバーの意識改革をするために組織としては、報告や情報共有の必要性を全社共通意識として発信し続けて、ルールを作り、プロジェクトをチェックする体制も整えたりすることなどが重要になります。
システムは、共通のシステムで現場から経営層まで全社利用してそれぞれの立場に合わせてプロジェクトを把握できることが必要になります。
解決策について、そんな事言われなくてもわかっているよ。と思われているかもいるかも知れません。各メンバーの意識を変えることも容易では無いと思います。まず、できることから少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。

最後に製造業のプロジェクト管理の課題解決に役立てるシステム(ツール)をご紹介したいと思います。

プロジェクト管理手法入門ガイド
プロジェクト管理ツール 比較ガイド

製造業 プロジェクト管理で差をつけるツール

各メンバーが意識を変え、しっかりとした組織、体制を整えてもプロジェクトが成功するとは限りません。システム(ツール)による力は必要不可欠です。人や組織では不可能なプロジェクトの要素を管理したり、作業を効率化したり、状況把握による迅速な対応ができます。プロジェクトの付加価値を生むための業務に集中でき、品質向上、納期遵守など顧客満足の向上や、原価圧縮、要員の効率配置などが実現できるのでプロジェクトを成功に収めることができるはずです。
そこでおすすめするツールは、当社システムインテグレータが提供する「SI Object Browser PMライト版 製造業向け(以下、OBPM製造業向け)」です。

日本で唯一PMBOK(プロジェクト管理の知識体系ガイド)に準拠し、プロジェクト管理に必要な機能(原価、進捗、要員、品質など)を網羅しているIT業向けの統合プロジェクト管理ツールを製造業向けに必要な機能に絞って昨年2017年3月にリリースしたものです。

OBPM製造業向けは進捗管理、要員管理、工数予実管理の3つの機能を中心として、製造業の開発や機械メーカーに導入実績があります。製品を作っていくまでの工程や作業を標準テンプレート化して、設計部門、加工部門、製造部門毎の管理はもちろんですが、プロジェクトや製番単位での進捗や要員を管理して共有することができます。また、現場から部門長、経営層までそれぞれの立場によってOBPM製造業向けを利用することで、それぞれ見たいプロジェクトの情報を瞬時に把握することができます。

製品ごとの進捗状況がわからない

OBPM製造業向けでは、同じツールでプロジェクトの進捗状況の管理ができます。同じ指標で管理できるのですぐに状況を把握することができます。操作も表とグラフで直感的に入力しやすい画面構成になっています。
グループ集計機能もあるので、部門や機械別にそれぞれ管理しているスケジュールをまとめてみることも可能です。

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属人化している。若手にノウハウの共有ができない

OBPM製造業向けでは、ドメインというテンプレート化機能があります。製品やユニット毎、部門毎に標準的な作業工程や成果物などの標準パターンをドメイン機能で実現できます。熟練者のノウハウをテンプレート化することで、作業の抜け漏れをなくすこともできますし、組織の計画レベルが上がります。

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人の要員計画がうまくできていない

プロジェクト毎に作業計画、作業時間を立てて、各メンバーは工数実績を入力します。
集計して状況を一覧で確認することができます。見えにくい兼任しているメンバーのタスク状況がわかるだけでなく、メンバー別、プロジェクト別の負荷状況がわかりますし、受注、見込み案件のステータスを持てるので先の予測を含めた最適な要員管理ができます。

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その他、プロジェクト進捗報告や個人ガントチャート、日報機能や生産管理システムなど他システムとの連携のためのデータ出力、取込機能など製造業向けのプロジェクト管理に必要な機能を実装しています。

もしご興味いただき、もう少し詳しく知りたいと思って頂けたなら、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。
また、お話を聞いてみたいということでしたらお問い合わせよりご連絡ください。

最後に

製造業のプロジェクト管理課題解決についてご紹介させていただきました。
少しはお役立てになりましたら嬉しく思います。
日々業務が進んでいる中でプロジェクト管理の改善に取り組んで行くことはそう簡単ではないかもしれませんが、何か大きな失敗があってから、競合との差が出てきてから取組んではもう遅いかもしれません。
今からできることを少しずつでもはじめてプロジェクト管理を強化して成功プロジェクトを増やしてください。

統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」を製造業向けにご紹介する資料もご用意していますので、こちらもぜひご覧ください。

OBPM ライト版 製造業向け基本ガイドブック

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