プロジェクト現場を支援するためには、ナレッジを集めて共有しよう!【プロジェクトは現場で起きているんだ!第73章】

 2020.02.10  株式会社システムインテグレータ

「いつまでたっても失敗プロジェクトが減らない」「なんかいろんなプロジェクトで、同じようなミスが起きている気がする…」「過去に同じような案件をやったことがあるはずなのに、なんで今回の案件も生産性が全然変わらないの??」
このような悩み、PMOのみなさまもきっとお持ちかと思います。

PMOがきちんと機能している会社では、プロジェクトに対してチェック&是正処置を行い、失敗しそうなプロジェクトの立て直しを図ります。
しかし、こういったプロジェクトに対するピンポイントの是正処置は、大抵の場合は他プロジェクトへ情報が横展開されず、プロジェクト現場への支援につながりません。結果として新しいプロジェクトが始まるたびに、同じような失敗を繰り返していくこととなります。

「いつまでたっても、会社全体としてプロジェクト管理能力が停滞したまま」→
「PMOは同じような失敗ばかりを発見&指摘することになり、イライラする」→
「指摘される側のプロジェクトマネージャー、メンバーも、同じような指摘を毎プロジェクト言われてイライラする」→
「PMOとプロジェクトチームの仲が険悪になる」⇒こうなるともう最悪!

ということで、仲良く楽しく生産性高く仕事をするために、PMOはナレッジを展開してプロジェクトの現場を支援し、会社としてのプロジェクト管理能力を底上げしましょう!
この記事では、プロジェクトの現場を支援するためにPMOが行う3つの取り組みとそのポイントをお伝えします。

プロジェクト事例から、プロジェクト管理標準のブラッシュアップを行おう

プロジェクト事例というのはプロジェクト管理における教訓の宝庫です。事例から、プロジェクト管理に関する標準のブラッシュアップやノウハウの蓄積を行っていきましょう。
ポイントは下記です。

どういった情報を集めるか

集める情報としては、将来のプロジェクト管理に活かせるものとなります。
具体的には下記のような情報となります。
「プロジェクト期間中、どういったことで躓いたか」
「新たに試した結果、うまくいったことは何か」
「どういった資料、情報があったら助かったか」
「(失敗プロジェクトの場合)、なぜ失敗したか、失敗を防ぐためにはどうすればよかったか」

いつ誰が情報を収集するか

プロジェクト終結直後、例えばプロジェクト完了報告会議の場など、まだ情報が新鮮な状態でPMOがプロジェクトマネージャーから情報収集することが望ましいです。

仮に対象が失敗プロジェクトの場合、終結直後の心の傷が癒えていない状態で改めて失敗と向き合わなくてはならないのはプロジェクトマネージャーとしても大変辛いところです。
そういった時もPMOは下記をプロジェクトマネージャーにしっかり伝えたうえで、前向きな気持ちで情報提供してもらうよう心がけましょう。
「失敗に関してつるし上げを行うということではない」
「将来に向けて会社としてのプロジェクト管理能力を底上げするための支援として、貴重な情報をもらいたい」(ちなみに、失敗談というのは成功談よりも深く人の心に刺さります)

情報をどう整理するか

情報整理のためのフォーマットや方法は統一しておくのが望ましいです。
統一された方法で情報を整理することで、情報の記述の属人性が排除され、誰がみてもわかりやすい形となります。
例えば情報整理の方法としては、下記のようなものがあります。PMOとプロジェクトマネージャーはフレームワークを使い、情報をより充実したものとしていきましょう。

  • なぜなぜ分析
  • 観分判
  • 「事象」「経緯」「原因」「対策」の項目で内容整理

集めた情報をどう活用するか

プロジェクト管理標準のブラッシュアップにつなげましょう。
例えば下記のようなブラッシュアップが考えられます。

結合テストフェーズに進んだが、プログラムにセキュリティ上の問題があることがわかった。

⇒工程移行判定で使用する品質基準シートの内容を更新する。ちなみに、弊社の製品であるOBPMでは品質基準等をテンプレートで用意する機能があり、蓄積されたノウハウを活用することが可能です。

プロジェクト現場を支援するためには、ナレッジを集めて共有しよう!(Vol.73) 1

詳細設計書レビューの指摘件数が多すぎたことにより、メンバーの修正作業負荷があがり、採算が悪くなったが、それを事前に検知できなかった。

⇒進捗報告フォーマットにレビュー指摘予実の乖離がわかる項目を追加して、採算悪化の予兆を早めに検知するようにする。また詳細設計の際のレビューチェックリストを作成することで、設計作成者と設計レビューアの、設計方針の意識統一を図り、些細な指摘事項を削減する。

成果物に関するナレッジを蓄積し、再利用を促そう

効率よくプロジェクトを進めていくための支援として、過去のプロジェクトにおける成果物作成の際のナレッジを活かす仕組みづくりが有効です。作業量削減につながります。車輪の再発明は避けたいですね。
ポイントは集めた情報をどうデータベース化するか、現場のナレッジ投稿のモチベーションをどう高めるか、です。

データベース化の際に気を付けること

ナレッジマネジメントシステムなどを活用し、タグ付けなどであとから検索しやすくなるようにしておき、誰もが活用できるようにしておくことが必要です。
タグ付けなどのルール含め、システムの運用方法をPMOチームで定義し、きちんと周知する必要があります。

ナレッジ投稿におけるモチベーション保持のためには

モチベーション保持のためには、チームへの貢献が正しく評価される仕組みが必須です。金銭面や役職以外のインセンティブが重要で、ここでもトップが指揮を摂ったポジティブな環境づくり抜きでは進みません。
また、部署ごとに小さな勉強会やセミナーを定期的に開いたりすることで、知識が自然に還流しやすい雰囲気を醸成するのも有効です。チームへの貢献が自分自身へのプラスになり、それが正しく評価されるサイクルがあれば、ナレッジは自然と増えていきます。

プロジェクトマネージャートレーニングを実施しよう

プロジェクトマネージャーは一朝一夕でなれるものではありません。様々なプロジェクト管理経験を積むことで初めて一人前のプロジェクトマネージャーとなり、プロジェクト管理がうまくできるようになります。

しかし、新任プロジェクトマネージャーにいきなりプロジェクト管理の仕事を丸投げして、何の支援もフォローもせず後は放置、という形では成長に時間がかかり、現場の辛い期間が長引いてしまいます。
そうならないためにも、プロジェクトマネージャー及びプロジェクトマネージャー候補には定期的にトレーニングを受けさせましょう。

トレーニングとしては、プロジェクト管理における心構え、一般的な手法などに関する社外研修などがあります。こういった社外研修に加え、社内業務のルールや上述にあるプロジェクト事例から導き出した社内ノウハウ、ナレッジ、標準テンプレートの活用方法などの社内研修も大事ですね。
研修の重要性に関しては他記事(https://products.sint.co.jp/obpm/blog/training)にて詳しく記載されております。研修例としては下記などがあります。

新任プロジェクトマネージャー研修

プロジェクトマネージャーの役割や管理すべきことを理解するための研修。
あわせて、過去の失敗プロジェクトをもとに、その問題点を読み解き、管理すべきポイントを身につける実践的な内容が吉です。

リーダーシップ研修

リーダーたるプロジェクトマネージャーに必要な計画立案能力、課題認識能力、判断力、調整力など様々な能力を高める研修となります。

チームビルディング研修

チームビルディングとは、『仲間が思いを一つにして、一つのゴールに向かって進んでゆける組織づくり』のことです。プロジェクトを遂行していくためには欠かせない要素となります。

プロジェクト現場を支援するための、まとめ

上記、

  • プロジェクト事例から、プロジェクト管理標準のブラッシュアップを行おう
  • 成果物に関するナレッジを蓄積し、再利用を促そう
  • プロジェクトマネージャートレーニングを実施しよう

をご紹介しましたが、このように会社全体のプロジェクト管理能力を上げるためのプロジェクトの現場への支援はたくさんあります。
PMOが定常業務にくわえて上記の支援を行っていくことは正直とても大変です。

なので、一度に全部は取り組まず、少しずつ、段階的に取り組んでいきましょう。
スモールスタートです。ひとつ前の記事でも重要性をお伝えしていますね。
https://products.sint.co.jp/obpm/blog/small-start

プロジェクト現場を巻き込んだ取り組みになるので、最初は周りからは「めんどくさい」とPMOは煙たがられるかもしれません。
そのときは強い意志を持って支援の目的を伝え、「現場とPMOのONE TEAMの取り組みが会社全体のプロジェクト管理能力の底上げにつながり、きっと会社のため、みんなのためになる」ということを理解してもらいましょう。

PMOについて詳しい資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。


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