スケジューリングとは?円滑なプロジェクト進行を実現するポイントを解説

 2022.10.12  株式会社システムインテグレータ

プロジェクトを管理しスムーズに進行させるには、適切な「スケジューリング(スケジュール管理)」を行うことが重要です。スケジューリングは、プロジェクトにおいてさまざまなメリットを得られるため、身につけておきたい手法の一つです。

この記事では、スケジューリングの概要やメリット、スケジューリングを行う際の手順について解説します。また、プロジェクト管理において押さえておくべきポイントもあるので併せて紹介します。

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プロジェクトにおけるスケジューリングとは

スケジューリングは、プロジェクトマネジメントにおける重要な作業の1つです。プロジェクトにおけるスケジューリングとは、作業の順序やタスクを洗い出し、所要時間や必要になるリソースとその配分などを管理する作業です。

スケジューリングを適切に行うことによって、現場はいつまでにどのようなタスクを行えばいいかを明確にすることができます。また、管理する側にもメリットがあり、進捗を管理しやすくなったり、作業が行き詰まっている場合にはスケジュールの調整やタスクの再分配をスピーディーに行えるようになったりします。

スケジューリングが適切に行えていれば、タスク漏れなどが起こりにくくなり、進捗状況も正確に把握できます。結果として、スケジュール通りにプロジェクトを完了させることができるのです。

なおスケジューリングは、繰り返し行われることが特徴です。スケジュールを作成する際、プロジェクトマネージャーはタイムライン・予想される作業・リソースの見積りを行います。これらの情報は、プロジェクトの進行中に変更される場合もあります。

スケジューリングはなぜ重要なのか

適切にスケジューリングを行うことによって、無駄なく稼働することで作業の効率化を図れます。作業の実行スケジュールを決めることによって、無駄な時間の空きがなくなり、誰が何をどのくらい進めているかを把握でき、プロジェクトの進捗状況が正確に把握できるようになるためです。

また、プロジェクトの進捗が滞っている場合には、どの段階で何が行き詰まりの原因になっているかを確認できるため、対応をスピーディーに行えるメリットもあります。メンバー全員が状況を把握することにより、プロジェクトがよりスムーズに進められるでしょう。

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スケジューリングのポイント

プロジェクト管理において、スケジューリングはどのような目的を持って行われるのでしょうか。ここでは、スケジューリングの3つの目的を紹介します。

作業の効率化

スケジューリングの目的として、計画の妥当性を検討したり、要員を調整したりすることがあり、その結果作業の効率化に繋がります。スケジューリングが十分にできていないと、従業員が作業の優先順位を把握できなくなり、タスクを円滑に進められません。そういったリスクを防ぐためにも、従業員が抱えているタスクを整理して、期限が近いものから優先して取り組むようにすることがポイントです。

期限を目安にしてタスクに優先順位をつけることによって、スケジュールの厳守につながります。同時に、作業の効率化も進められます。

進捗の可視化

二つ目の目的として、進捗の可視化があります。適切にスケジューリングを行うことによって、作業の進捗を可視化することにもつながります。

プロジェクトのスケジューリングが不明瞭な場合、進捗状況が判断できなくなり、納期に間に合わないなどのリスクが高まるでしょう。進捗状況を把握できないことによって、プロジェクトが遅延した際に人員を追加補充するなどの対策が打てなくなります。そのため、メンバーのスケジュールを把握して、進捗状況を可視化することが重要です。

チームの共同作業を円滑化

作業の効率化や進捗の可視化に続き、共同作業の円滑化もスケジューリングにおける目的の一つです。スケジュールを正確に行うことで、メンバー間で進捗状況の共有ができるようになり、結果としてスケジュール調整が容易になります。

例えば、Aさんの作業に続いて、Bさんの作業があるとします。Aさんの進捗状況が分かれば、Bさんはその進捗状況に応じた作業のスケジュールを立てることができるのです。

進捗状況の共有がチーム全体でできていれば、チーム全体が同じ方向を向いて作業を進められます。作業フローの行き詰まりを防止し、共同作業を円滑化するためにもスケジューリングは重要です。

おもなスケジューリングの手法

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スケジューリングの手法には「逆算型」と「積算型」があります。スケジュールを作成する際は、逆算型、積算型のどちらかだけでは無理なスケジュールになってしまう恐れがあります。そのため、両方の手法を使ってスケジュールを作り、両者を往復させてレビュー・検証するようにしましょう。

逆算型

逆算型のスケジューリングは、期限から逆算してスケジュールを細分化していく手法です。期限内にプロジェクトを完了するために必要なタスクの一覧や成果物を作成し、その一覧に担当者と期限をつけて時系列に並べることで、スケジュールの細分化を図ります。

積算型

積算型のスケジューリングは、細かいスケジュールから大きなスケジュールを積み上げていく手法です。具体的には、最初の段階でWBSや成果物タスク一覧から、タスクと成果物が全体でどれほどあるかを確認します。それぞれのタスクに担当者と期限を設定し、時系列に並べることでスケジュールの詳細が完成します。その後、ガントチャートで前後関係を可視化してスケジュールに無理な点がないかをチェックします。最後に、中間ゴール地点を設定してグランドスケジュールにします。

なお、WBSやガントチャートはプロジェクト管理ツールの一つです。WBSは、作業状況を追跡しやすくするためのツールで、ガントチャートは棒グラフのことでプロジェクトの進行状況を管理できるツールとなっています。

スケジューリングの流れ

スケジューリングは漫然と行うのではなく、流れに沿って行うことが大切です。具体的にどのように進めていくと良いのか、スケジューリングを行う際の4ステップについて解説します。

プロジェクトのゴール設定

スケジューリングを行う際の最初のステップでは、目的や目標の間に中間ゴール地点や節目のポイント(マイルストーン)を決めます。システム開発を例に挙げると、基本的な設計を組み立てる部分がマイルストーンになります。マイルストーンを決定するメリットは、プロジェクトで重要となるポイントや、作業に遅れが発生することで影響が出るポイントを把握できることにあります。

プロジェクトの工程が複雑で、長期化しそうな場合は、はじめの段階でマイルストーンを決定しておくと安心でしょう。

タスクの洗い出し

マイルストーンを決定したら、現在やるべき作業をすべて洗い出します。タスクを洗い出す段階で作業の漏れや抜けがあると、結果的にこなすべき業務が忘れられたままになってしまいます。スケジュールがずれて、大幅な再調整が必要になるリスクが発生しかねません。タスクの漏れや抜けがないよう注意しましょう。

タスクの洗い出しは、頭の中で思い浮かべるだけでなく、書き出して可視化することが大切です。パソコンを使用する場合は、メモ帳やWord、Excelといったアプリケーションを使い、誰が見ても分かりやすい状態にすると良いでしょう。

すべてのタスクを洗い出した後は、個々のタスクに分かりづらい点などがないかを確認します。疑問をそのままにしておくと次のステップである優先順位付けができなかったり、円滑に業務を進められなかったりする可能性があるため注意しなければなりません。

タスクの優先順位付け

洗い出したタスクをそれぞれ確認し、緊急度や重要度などに基づいて優先順位を付けていきます。緊急度に基づく場合は、「1週間後でも構わないもの」「至急処理が必要なもの」といったように決めます。期日の間違いを防ぐためには、どのタスクをいつまでに完了させる必要があるかを正確に把握しなければなりません。

多くの場合、業務上のタスクは1日の枠には収まらないため、「1日ごとのタスク」「1週間を通して行うタスク」といったように、ある程度の全体像を把握しておきましょう。

タスクのスケジュール設定

タスクの優先順位を決定した後は、タスクごとに期限を決めてスケジュール設定を行います。タスクの期限は、ギリギリに設定するのではなく、時間に余裕を持たせて作業を完了できるよう計画立てを行うことが重要です。

ギリギリのスケジュールを設定して時間に追われると、作業にもゆとりがなくなりケアレスミスの原因となります。時には突発的なタスクや案件が入る可能性もあるため、イレギュラーが起こっても支障がないように余裕を持ったスケジュール設定を意識しましょう。

スケジュール設定の内容はタスクの洗い出しと同じように、可視化することが大切です。ツールを活用して常にチームと自分のタスクを把握できるようにしましょう。

設計したスケジュールを管理する際のポイント

設計したスケジュールを適切に管理する際にはポイントがあります。以下の2つのポイントを押さえ、スムーズなプロジェクト進行を実現しましょう。

進捗をリアルタイムで共有

設計したスケジュールを適切に管理する方法の一つに、タスクの進捗をリアルタイムで共有することが挙げられます。タスクを共有することで間接的にタスクの期限を厳守することにつながります。

タスクを個人で管理していると、面倒なタスクを後回しにすることが常態化する恐れがあります。また、部下が上司に共有することではじめて進捗状況が判明することになります。しかし、これでは適切なタイミングで適切な判断を下せなくなるリスクがありますし、期限の間際になって問題が発覚するといったこともあり得るため、問題が発生しやすいです。

一方、チームでタスクを共有していれば、メンバーそれぞれに適度な責任感が与えられ、進捗状況が思わしくない場合は上司が早期に部下のサポートに回ることができます。問題の早期発見も可能になるでしょう。

なお、タスクの進捗を共有するためには、「スケジュール管理ツール」などを使用すると良いでしょう。詳細は後述します。

進捗管理についてはこちらの記事にもまとめております。併せてご参照ください。
進捗管理とは?その必要性と管理のポイントを解説

スケジュール管理ツールを活用する

設計したスケジュールを効率的に管理するために「スケジュール管理ツール」の活用を検討してみましょう。スケジュール管理ツールを使うことによって、スケジュールの入力やステータスの可視化が容易になり、効率的なスケジュール管理が可能になります。

管理ツールの中には、スマートフォンのアプリからスケジュール管理ができるものや、スマートフォンのみで操作できるものもあり、外出先などパソコンが手元にないような場合でも、スムーズに予定の入力や変更が可能です。

スケジュール管理ツールを使うことで、状況の可視化にもつながります。自分やチームメンバーが今どの工程についているのかを一目で把握できるでしょう。リマインダー機能を搭載するものもあり、予定に関する通知が届くため、うっかり忘れてしまうことも防げます。

まとめ

プロジェクト管理において、スケジューリングは重要な作業です。逆算型、積算型という2つの種類のスケジューリングを組み合わせ、必要に応じてガントチャートなどを用いて進捗を管理すると、より効率的にプロジェクトを進められるでしょう。

ガントチャートは、スケジュール管理や作業管理の分野において、さまざまな業務の進捗状況を管理するグラフのことであり、企業におけるプロジェクト管理にも用いられます。一目見ただけで進捗状況を客観的に把握できるという特徴を持っています。積算型のスケジューリングでは、ガントチャートで前後関係を可視化し、スケジュールに無理な点がないかをチェックすることにも用いられます。

進捗管理のポイントをまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。

進捗管理を効率化するガントチャートの作り方

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