プロジェクトマネージャー・リーダーの役割と責任
先日、プロジェクトリーダーに抜擢された、新人プロジェクトリーダー『新米太郎』。
今日は、先輩から声を掛けられて、何やら教えられているぞ!?少し聞いてみよう。
先輩:おーい!太郎君、少し時間いいかな。
太郎:あ、はい、先輩、おはようございます! 時間ですか?大丈夫です。
先輩:先日、プロジェクトマネージャー(PM)とプロジェクトリーダー(PL)の役割の違いについて話をしたよね。
太郎:はい、そうですね、あの時はありがとうございました。
先輩:今日は、その続きをもう少し伝えておこうと思って声をかけたんだ。
太郎:ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いします。
先輩:太郎君はこれからPLをやっていくうえで、自分が背負うべき『責任』というものを理解しておいた方がいいと思う。
それは、PMの責任とPLの責任の違いと言ってもいいかもしれないね。今日は、まずプロジェクトの『マネージャー』(PM)の責任について話をしよう。
プロジェクトにおけるマネージャーの責任とは?
太郎:はい、まずはプロジェクトのマネージャー(PM)の責任についてですね。よろしくお願いします!
先輩:これから話す内容では、1つのプロジェクトにおいて、PMが1名、PLが1名いるような、役割を明確に分断してるような例で話をするからね。中小規模のプロジェクトで、実質的にPM兼PLのような場合には、両方の責任を持つと受け取ってくれればいいよ。
太郎:はい。
先輩:プロジェクトのマネージャー(PM)の責任とは、一言で言うと、『プロジェクト全体の責任者』ということだ。これは、要件、納期、品質、コスト、全てを満たしてプロジェクトを成功に導く総責任者ということになる。
太郎:はい、先日のお話しでも、PMは「プロジェクト責任者」、PLは「プロジェクトの実行責任者」という役割でしたよね。
先輩:そう。今日はもう少し細かい話をするから、しっかり聞いてほしい。
プロジェクトマネージャーには権限が必要
先輩:プロジェクトのマネージャー(PM)は、プロジェクトを成功させる責任を負うことになるんだけれど、プロジェクトというものは、計画通りに進まない事が多いよね。
太郎:はい、そうですね。
先輩:PMは、計画時には予測不可能だった事態に対して、都度適切な対応、処置を施し、プロジェクトのメンバや、社内の関係部署や営業だけでなく、顧客(オーナー、マネージャー)や外注ベンダーと色々なことを調整・交渉していく必要が出てくる。
それらをPM自身が管理・コントロールできなければ、責任を果たすことは難しいよね。
太郎:はい、そう思います。
先輩:今日伝えたいことは、プロジェクトのマネージャーには、PM自身がプロジェクトを管理・コントロールするために必要だと判断した場合に、各ステークホルダーとの交渉やコミットメント(決定)、方針転換などを決断することができる『権限』が不可欠であるということなんだ。
太郎:権限ですか?
先輩:そう、大切なのはプロジェクトを成功に導くために必要な、社内での「人」「もの」「金」の決定権限、顧客や外注ベンダーとの金額、納期、要件の交渉権限など、PM自身の判断で決断してもいいという権限のことだ。
太郎:え、そのような権限を持っているのが普通じゃないんですか?
先輩:それを普通だと思っているのは、太郎君がうちの会社の文化に慣れてるからに他ならない。世の中には、責任を負っているにもかかわらず、権限が与えられていないPMだっているんだ。会社の文化や力関係(権限の分断、分業など)などによるんだよ。
太郎:そ、そうなんですねぇ。
先輩:まぁ、うちの会社ではそのような分断、分業はなく、プロジェクトマネージャー(PM)にはそれらの権限が与えられているので、有事の時にはPMの決断によっていろいろなことを決めることができるから、安心して。
太郎:はぁ~、よかったです。
先輩:権限が与えられたうえで、プロジェクトを成功に導く責任を負うのがプロジェクトのマネージャー(PM)であるということを理解してほしい。
そして、権限を与えられているからには、きちんと顧客や外注ベンダーとコミュニケーションをとって、必要な交渉事をしっかりとやり、顧客の要件・目的を満たすための努力とともに、自社に利益(プロジェクトの成功)をもたらすための調整、管理、コントロールをすることが大切な任務と言えるね。
太郎:なるほど、具体的な話になってきましたね。
先輩:プロジェクトマネージャーに求められる力にはこんなものがあるので、参考にしてほしい。
【意思決定】
・顧客の要件を理解・整理し、まとめ上げる(コミットする)
・プロジェクトの規模、予算、リソース、スケジュールの調整・決定
・要件変更やリスク顕在化時の見極めと判断
・予期せぬ事態・トラブルを鎮火するための柔軟な発想と行動力
【プロジェクトを遂行・管理】
・プロジェクトメンバへの要件、仕様の伝達とその責任
・プロジェクト全体の進捗の把握と是正
・必要なリソースの調達(社内調整、外注ベンダーとの交渉)
・プロジェクトメンバの士気向上、雰囲気作り、健康維持
【提案・交渉・調整】
・顧客要件を聞くだけでなく、適切で積極的な提案
・顧客の説得、クレームへの対処
・各ステークホルダーとの適切な関係構築(コミュニケーション)
・要件変更などによる、納期、金額、仕様の調整、交渉、決断
先輩:こうして整理してみると、プロジェクトマネージャー(PM)の主な役割は、どちらかというと「社外」向けが多いと言えるかもしれないね。
太郎:そうですね、社外向けの活動が多いように思えます。
ということは、プロジェクトのリーダー(PL)の責任というか、役割は、逆に社内向けが多くなるっていうことになるのでしょうか?
先輩:ほほー、だいぶわかってきたじゃないか。
太郎:えへ。
プロジェクトマネージャーの成果責任とプロジェクトリーダーの実行責任
先輩:もう一つ、『責任』という言葉の意味を理解してもらうとしよう。
太郎:『責任』の意味ですか?
先輩:プロジェクトマネージャー(PM)は、『プロジェクトの責任者』と言ったが、果たして何に対する責任を全うすべきなのか、ということだ。
先輩:プロジェクトにおける『責任』の意味には大きく2つあることを覚えておいてほしい。1つは『成果責任』で、もう一つは『実行責任』だ。
先輩:プロジェクトマネージャー(PM)は、顧客要件を満たし、プロジェクトを成功させるという『目的を達成する』『成果を出す』ことが任務と言える。これが『成果責任』なんだ。大切なのはプロセスではなく結果っていうことだね。だからこそ、顧客要件をしっかりと理解する必要があるし、目的を達成するために納期や金額、リソースなど様々な調整・交渉を積み重ねて計画を立てていくんだよ。
太郎:なるほど、プロジェクトマネージャー(PM)の責任というのは、プロジェクトの目的を達成することであって、そのための管理・活動が主な任務ということですね。
先輩:そういうこと。結果を求められるのがプロジェクトマネージャー(PM)なんだ。
先輩:さて、ここで問題です。
プロジェクトマネージャー(PM)の立てた計画を責任もって実行するのは誰でしょうか?
太郎:あ!『実行責任』を持つのが『プロジェクトリーダー(PL)』だ!!ぼ、僕だ!?
先輩:はい、良くできました!!
じゃ、次回はプロジェクトのリーダー(PL)の責任について話をしよう。
太郎:はい、え?その話は今日じゃないんですか?
先輩:うん、悪いね、今日はここまで。
実は、今日、結婚記念日だったってことを今思い出した。
家庭でのリスクも回避しないといけないからね。太郎にもいずれわかるさ。
太郎:・・・そ、そうですね。
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