働き方改革とは?
「働き方改革」 2017年で終わったようなキーワードにも聞こえますが、まだまだ取り組みが必要なテーマであり、いよいよこれから実行の本番に入っていくと思われます。振り返えると、政府はアベノミクスによる日本の更なる経済成長と国民の幸せのために、暮らし方そのものをもっと変えていきたいと考え、「働き方改革」というスローガンを発信しました。働き方改革とは、言い方を変えれば「労働生産性の改善」であり、生産性向上により、国民の豊かな暮らしにつながるための時間を、創り出す取り組みです。
働き方改革を会社で実行する目的も同じで、社員一人ひとりが充実した仕事と生活を送るためのものであり、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現を目指します。働き方改革は社員がよりいっそう仕事に励むことが出来、より成果を出し、家族や恋人と一緒にいられる大切な時間や、自分自身の成長のための時間を取れるようになるための素晴らしい取り組みなのです。
働き方改革の目的とは?
多くの会社が働き方改革に取り組んでおり、経営者や社長自らの大号令でスタートしている企業は多いと感じています。前述したような「社員のための働き方改革」という目的やメッセージは発信されているものの、多くの企業は、「国が定める労働時間の範囲に抑えろ」という社長指示や会議から始まっているのが現状ではないでしょうか。つまり目的が「今後の国のガイドラインに対応するため」となっているのです。
正式な労働時間のガイドラインは政府からまだ出ていませんが、企業の働き方改革の目標数値やステップは、下記のようなケースが多いのではないかと考えております。
◆5年以内の働き方改革の目標数値
・月平均残業45時間以上の社員をゼロにする(年残業540時間以上をゼロ)
◆2年以内の働き方改革の目標数値
・月残業100時間以上の社員を、現状よりもの50%削減する
・月平均残業を80時間以内、又は月平均残業を60時間以内にする
数値目標は重要なことです。社員のための取り組みであることも大切です。しかし、長時間労働にドップリと浸かっている自社の体質を変えなければ、数年後に大きく変わる労働時間の制約に対応できないと感じている企業が多いのではないでしょうか。このように「残業を減らす」が働き方改革の目的として多いのですが、これはこれで現実として大きな課題であり、最大の難関です。「社員のために・・」ときれいごとばかりも言ってもいられません。まずは長時間労働の現状を改善し、その結果が、社員や家族のための豊かな時間につながることを信じ、取り組んでいくと割り切ってもよいのではないでしょうか。
長時間労働改善のための取り組み
働き方改革の第一の目的を「長時間労働の改善」としたならば、この目標はどんな事をしても達成しなければなりません。達成しなければ、本来の「社員のため」の第二の目的には進めないからです。では具体的にどのように進めていけばいでしょうか?まずやるべきことは、現状はどうなっていて、自社のどこに課題があるのかを把握しなければなりません。社内で働き方改革チームを作り、現状の労働時間を把握し、社内インタビューをして、課題を把握するのもひとつのやり方でしょう。有償でコンサルタントに依頼し、課題の整理や今後のアクションプランを立ててもらうやり方もあります。いずれにしても最初のアクションは、「課題解決のためにやるべきことを整理する」ことは忘れないでおきましょう。
課題が決まればその課題を解決していくための手段や手法を探していくのですが、課題整理ができていないのに、手段や手法、ツールにいってしまうケースは多いと感じています。
<働き方改革を実行するための手段や手法例>
・オフィス環境改善(フリーアドレスなど)
・モバイル機器やクラウド導入
・在宅勤務導入
・勤怠・人事システム導入、人事評価制度の変更
・就業規則の変更(男性も女性も):子育て支援、介護支援、副業、女性活躍
・非正規社員の正規社員雇用
・メンタルヘルス、パワハラ、セクハラ、マタハラ対策やルールの制定
手段や手法、ツールが解決策になる場合はよいと思いますが、いきなり方法、やり方、道具にいってしまっては、働き方改革は実行できません。長時間労働改善のための現状分析と課題を整理してから、手段や手法、ツールを選んでいきましょう。
システム開発とIT企業 働き方改革の取り組み
ここからは弊社が得意とするシステム開発とIT企業の働き方改革への取り組みをご紹介します。おっーと!ちょっと待ってください。ここからお話する内容は、システム開発とIT企業にはピッタリの話ですが、それ以外の企業にも当てはまりますので、もう少し、お付き合いいただければ幸いです。
システム開発とIT企業は長時間労働の代表格と言える業種です・・(泣)。その理由は、顧客や元請け企業との請け負い体質から、どんどんシステム開発が膨らんでいったり、本稼働直前はトラブル連発で現場に張り付きになったりして、残業時間が増加していきます。顧客からのQCD(品質・コスト・スケジュール)に関する要求が年々、高くなっていることも理由と言えるでしょう。
そんな中でシステム開発とIT企業の長時間労働改善のためには、いろんな課題が登場します。「見える化ができていないから」「一元化ができていないから」「共有ができていないから」とよく登場するキーワードもあれば、「結局、個人と上司、組織が変わらないとダメ」というような組織や人の内面的な課題もあります。見える化・一元化・共有は大事ですが、それができれば長時間労働は改善されるでしょうか? 私は違うと思います。また「結局は人や組織の問題だ」と言っていては、いつまでたっても長時間労働は改善されません。ではどうすればいいのでしょう?
システム開発とIT企業 働き方改革のガイドライン
ある時、全く別の人からシステム開発とIT業界の長時間労働について、同じような事を言われたことがありました。
1)ある企業を働き方改革でコンサルティングをさせていただいた案件
「管理職に業務量を的確に管理・把握させ、社員に対し適量の業務遂行指示を出させたい」
2)ある外部コンサルタントからの働き方改革へのアドバイス
「管理職が部下のやれる仕事量がわかっておらず、次から次への仕事を出しているのがダメなのだ」
この2つの案件で言っている長時間労働についてのポイントは同じです。シンプルに言うと「計画ができていないこと」が長時間労働の理由だと言っているのです。具体的に言うと、管理職がプロジェクトに対する計画をちゃんと立てられていないから、変更や追加作業がどんどん発生しまっていて、メンバーの労働時間が増えているというのです。つまり、計画がちゃんと立てられない管理職が存在したり、組織で決められた計画がないということが、長時間労働改善のための最大の課題ではないのかということ提言なのです。では「計画」にスポットを当てて、自社のガイドラインを作成していくためにはどのようにしていけばいいのでしょうか。
※管理職とはプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーを指します。
働き方改革のポイントは「計画を立てること」
「計画なんて、立てられていない会社あるのですか?」こういう声が聞こえてきそうですが、すべてのプロジェクトの計画をしっかり立てられている会社は見たことがありません。すべてのプロジェクトに人が労働時間を割いている以上、すべてのプロジェクトの計画を立てなければなりません。計画の質はそれぞれに考えなければなりませんが、大・中・小すべてのプロジェクトの計画を立て、実績を見ていくのは大変な事なのです。
すべてのプロジェクトの計画を立てられるようになろう!とは言っても簡単なことではありません。 次のようにおっしゃる人が大半でしょう。「計画を立てる時間の方が長時間労働になる!」おっしゃる通りです。今まで計画を立てていないから、新しい「計画」という仕事が発生するわけですから、長時間労働になります。しかし計画を立てる時間よりも、計画をしっかりやることにより、プロジェクトを通じて変更や追加作業時間の方が少なくなったらどうでしょう? これができれば長時間労働改善の改善になるはずです。
そういう人は次にこうおっしゃいます。「組織に標準の計画がない。だから自分はちゃんとした計画を立てないのだ」これも一理あると思います。余談ですが、こういう人は「実は私は、計画の立て方がわからないのです・・」とは絶対に言いません(笑)
では組織や部門別に統一した計画を立てられる仕組みをつくればどうでしょうか? つまり「計画の標準化」を行うのです。「うちには標準WBSが存在しているから標準化はできている」という企業は多いですが、これだけでは計画の標準化にはなりません。それでは「計画の立て方」と「計画の標準化」について、次の事例を見ていきましょう。
働き方改革のポイントは「計画を立てること」
1)プロジェクトの粒度
大・中・小、すべてのプロジェクトの計画を立てるためには、プロジェクトを立てる粒度を決めなければなりません。「プロジェクトの粒度はすでに決まっている」という人もいると思いますが、果たして本当にすべて組織でプロジェクトの粒度を決められているでしょうか? そこそこの規模や大型プロジェクトはそれをひとつのプロジェクトの粒度とし、あとは工程別にプロジェクト管理をしていけばいいでしょう。しかし、そのようなきれいに進むプロジェクトばかりではありません。だから、プロジェクトの粒度を決めなければならないのです。そして大・中・小 すべてのプロジェクトの計画を立て、実績を見ていくためにも必要なのです。
<プロジェクトの粒度(整理中)の一般例>
この表や検討事項に記載されている通り、開発業務パターン、部署(ここでは役割り)、部門(ここでは事業部)、プロジェクト規模別、営業支援や間接業務など、プロジェクト粒度といっても非常にたくさんのパターンが登場します。すべてのプロジェクトに人が労働時間を割いている以上、すべてをプロジェクト化して、計画を立てていかなければなりません。「計画を立てること」を長時間労働の改善手法にしていくのであれば、計画をシンプルに立てていけるプロジェクトの粒度を整理していくことから始めるべきです。
上記の例は現在、現場で行っている開発業務をすべて整理し、この表からプロジェクトの粒度を決めていきました。
※結果がどのようなプロジェクト粒度になったかは、弊社のコンサルティングサービスのノウハウになりますので、本ブログでは記載しないことをご了承ください。本格的に弊社のコンサルティングサービスをご検討いただけるお客様は、個別にお問い合わせをいただければ幸いです。
2)プロジェクト計画の標準化
プロジェクトの粒度が決まれば、あとはプロジェクトのパターンごとに計画の標準ガイドラインを決めていきます。大規模プロジェクトだけの標準WBSや品質管理のガイドラインを決めている企業が多いですが、「すべてのプロジェクトの計画を標準化する」のであれば、もっと細かく、かつ複雑にならないように整理しなければなりません。
<プロジェクト計画の標準化(整理中)の一般例>
この絵に記載されているように、小さなプロジェクトは簡単に計画を立てなければなりません。大きなプロジェクトはしっかりプロジェクト管理をしていかなければならないため、工数・原価管理、進捗管理・WBS、品質管理を細かく見ていく標準パターンやガイドラインを、開発業務や部門別に作らなければなりません。
<その他のプロジェクト計画の標準化項目例>
◆プロジェクト標準別の工程・タスク・成果物、工程別の進捗率
◆明細(機能)別工数見積、工数(リソース)別工数見積
◆品質管理基準項目、障害管理項目、リスク管理項目、成果物レビュー項目、メンバースキル評価項目
◆プロジェクトメンバーの権限設定、承認プロセス(参照権限、更新権限、承認権限、メール通知ルール)
※結果がどのようなプロジェクト計画の標準化になったかは、弊社のプロジェクト管理ツール:OBPMのノウハウになりますので、本ブログでは記載しないことをご了承ください。弊社のプロジェクト管理ツール:OBPMのドメイン機能を使えば、簡単にシステムで標準化ができます。ご検討いただけるお客様は、個別にお問い合わせをいただければ幸いです。
3)全社リソースの計画と実績が見える
プロジェクトの粒度が決まり、プロジェクト計画の標準化ができれば、「計画を立てる」「計画の標準化」を組織で行うためのスタートラインに立てますが、これだけでは、計画を立てることはできません。
例えば、管理職:プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーの教育、全社メンバーへ取り組みの説明や理解を求めること、全社メンバーのスキル把握によるランク別標準原価に変更することなど、やらなければならないことはたくさんあります。 ※具体的なやり方は本ブログでは割愛いたします。
計画を行うためにどうしても必要なことを、ひとつだけ最後にお話します。それは、現在の全社リソースの状況を把握しなければ、計画は立てられないということです。誰が忙しく、誰が空いているのでわからなければ、プロジェクトを計画するためのタスクを割り振りしていくことはできません。受注後で進行しているプロジェクトだけでなく、これから受注しそうな見込みプロジェクトを把握していくことも重要でしょう。そうなると全社や部門別にメンバーのリソース状況が見える仕組みが必要です。
プロジェクト管理ツール:OBPMでは、リソースヒストグラムで各プロジェクトのメンバーの計画と実績を簡単に見ることができます。また、開発メンバーアサイン状況で、全社や部門別、メンバー別・プロジェクト別のリソース状況が受注・内示・確度A~Dごとに見える化することができます。
<プロジェクト管理ツール:OBPM 開発メンバーアサイン状況 画面>
このようなリソース表をExcelで作っているケースが多いですが、入力や更新の煩雑さや、リアルタイムにメンバー別・プロジェクト別・部門別に展開できない点は、みなさまも不満に感じていると思います。プロジェクト管理ツール:OBPMではこのようなExcelでの問題点を解決できますので、このような仕組みを導入することも検討してみてはいかがでしょうか?
プロジェクト管理全般に関する資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
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