プロジェクト管理とPMO業務(PMO体制、プロジェクトチェック編)~新人プロジェクトリーダー奮闘記~(Vol.85)

 2020.08.19  株式会社システムインテグレータ

新人プロジェクトリーダー『新米太郎』は、部門メンバが持ち回りで担当する委員会のうち、『PMO委員』に任命された。
今日は、PMO委員としての自身の役割や、PMO(Project Management Office)という
組織の構造や、具体的な業務について、先輩に情報を仕入れに来たようだ。

プロジェクト管理とPMO業務

太郎:センパーイ!
私、今期から部門の『PMO委員』に任命されました。
そこで、PMO委員とは具体的にどんな役割で、何をする担当者なのかお話聞かせていただけないでしょうか。
先輩も昔PMO委員をやっていたと聞いたもので、具体的な役割とか、そもそも、うちの会社のPMO部門がどのような業務をやっているのか興味が出てきました。

先輩:PMOかぁ。
太郎君は普段、PLとして個別のプロジェクトリーダーをやっているよね。
PMO委員を担当することで、自身のプロジェクト管理にもきっと役に立つ経験を積めると思うよ。

それじゃぁ今日は、PMO委員の役割と業務を知ってもらうために、うちの会社のPMOという組織そのものの役割、業務の話を少し交えて、PMO委員がどのような立ち位置でどういう役割を担っているのか、話をしよう。

太郎:なるほど、まずはPMOという組織を知ることで担当委員の役割を理解するわけですね。ハイ、よろしくお願いします!

先輩:おっと!もう少し離れようぜ。ディスタンス、ディスタンス。

太郎:あぁ、し、失礼しました。

PMOの役割

先輩:まず、一般的に知られているPMOの役割を整理するね。

太郎:はい。

先輩:PMOの主な役割としては、こんな感じかな。

  1. プロジェクトマネジメントのやり方、ルールを決め、標準化する
  2. プロジェクトマネジメントの必要性、ルール等の啓蒙活動(研修など)
  3. プロジェクトの状況チェック、情報収集、経営層などへの報告
  4. プロジェクトに入り込んで、リソースやコストの各種管理、調整
  5. プロジェクトに入り込んで、第三者視点での管理業務

先輩:もちろん、各企業によって役割を決めることは自由だから、必ずしもこうである必要はないけれど、この5つは一般的にPMOの役割と言っていいだろうね。

太郎:はい。なんか、大きく分けると、個別プロジェクトに関わる小さな視点と、全社レベルのプロジェクトマネジメントそのもののに関わる大きな視点に分かれるように見えますね。

先輩:お!いいところに目を付けるねぇ。

太郎:えへ!(褒められた!)

先輩:じゃぁ、ここで、うちの会社のPMO業務の話に移るね。太郎君が言ったように、大きな視点と小さな視点に別れるかもしれないね。

先輩:うちのPMO部門では、活動の基本方針を決めて、明文化している。

  1. 各部門内のプロジェクト管理状況、プロジェクト状況の監視は、各部門PMO委員が実施する
  2. PMO部門は、第三者部門の立ち位置で、本当に問題がないかプロジェクトを監視する
  3. PMO部門は、プロジェクトマネジメントの方針・ルールを決定・通達し、各部門の問題・課題を吸い上げるためのPMO委員会を開催する
  4. PMO部門は、全社的な見地で、事業部長、経営層へ報告、議論するためのPMOミーティングを開催する

PMOのメンバ達は、この基本方針に沿った業務を普段実施しているんだ。
それでは、ここから、太郎君が関わるPMO委員の役割について具体的な話していこう。

太郎:へー、きちんとPMOとしての基本方針というのが決められているんですね。知りませんでした。

PMOの体制

先輩:まず、うちの会社のPMOの体制図を見てみようか。

太郎:はい、体制図ですね。

1

図1.PMO体制図

太郎:あ!PMO委員がいる!僕はこの『各部門のPMO委員』っていうわけですね。

先輩:うん、そうだよ。

太郎:こうして図で見ると、一言でPMOと言っても、事業部長、経営層、各部門などが
関係しているんですね。

先輩:そうなんだ。PMOという組織は、全社のプロジェクトマネジメントが正常に、かつきちんと管理をさせて、その結果失敗プロジェクトを減らす、成功プロジェクトを増やすことをミッションとしている。
その目的を達成するためには、多くのプロジェクトを効率的にチェックするやり方が必要になってくるので、縦と横のコミュニケーションがうまく繋がるような体制にしているんだ。

PMO委員の役割

先輩:PMO部門だけで全社のプロジェクトを把握するには数が多すぎるよね。
なので、うちのPMOの体制というのは、効率よくプロジェクト状況を監視するために、『役割分担』しているところがポイントと言えるだろうね。

太郎:なるほど、各部門に委員を置くことで、効率よく全社のプロジェクトをチェックしようという目的で、あの体制図になっているんですね。

先輩:基本方針の①に記載されているのは、「各部門PMO委員」の役割だ。
太郎君の役目ということになる。
プロジェクト状況を把握・監視する目的は、

  • プロジェクト管理を『きちんと』させること
  • 問題プロジェクトを早期発見、早期対応をすること

なんだ。

そこで、まずは第一段階として、各部門にいるPMO委員が、自部門のプロジェクトの状況を確認するんだ。
そして、問題になりそう、問題になっているプロジェクトの状況をまとめて、PMO部門にエスカレーションすることが役目だね。この報告をするための会が、PMO委員会っていう場だ。

PMO部門の役割

先輩:基本方針の②に記載されているのが、「PMO部門」の役割になる。PMO委員のチェックで問題のないプロジェクトを除外することで、PMO部門は、本当に問題のありそうなプロジェクトに的を絞って状況確認、監視することが出来るから、非常に効率的になるんだ。
もちろん、PMO部門はPMO委員からの報告だけでなく、独自の判断で重要監視
対象のプロジェクトをノミネートすることもあるけどね。

太郎:なるほどぉ、それは効率的ですね。
まずは、僕が部門のプロジェクトの状況を確認して、問題のありそうなプロジェクト
に限定して報告するから、PMO部門が効率的にチェックできる仕組みってことかぁ。

太郎:ところで、部門のPMO委員、つまり僕は、どんな視点で問題プロジェクトか
どうかのチェックをすればいいんでしょうか?

プロジェクトチェックの観点

先輩:うん、そこが大事だよね、具体的なチェックの話をしよう。
うちでは、プロジェクト管理ツール『ObjectBrowserPM(OBPM)』を利用しているので、ツールへの入力のルールや、金額規模などによって利用必須の機能などがきちんと定義されているのは知っているよね。

太郎:はい、『OBPM運用ルール』というルールブックのことですよね、知ってます。

先輩:そう、それだ。
まずは、機械的なチェックをかけることがPMO委員の業務になる。
入力ルールに違反している人や、間違った入力がされているプロジェクトがないかどうか、週一程度の頻度でOBPMのデータを抽出してチェックする。
こういったチェック機能はOBPM(パッケージ)の標準にはないので、OBPMのデータを出力して、機械的なチェックをかける独自ツールを、PMO部門が提供してくれている。
そのおかげで、機械的なチェックについては、効率よく簡単に発見できる仕組みになっている。

太郎:へー、それは便利ですね。目視ではなくて、ツールで入力チェックしてくれる仕組みがあるんですね。

先輩:そう、PMO委員の業務が効率よく回るよう、PMO部門は考えてくれているんだ。
機械的なルール違反のチェックが済んだら、次は、実際にプロジェクト管理が『ちゃんと』なされているかを確認するんだ。ツールによる機械的なチェックだけではわからないことをちゃんと「目視」して確認する。

太郎:機械的にはわからない部分?こんどは実際に目視での確認ですか?

先輩:そう、それが、各機能がきちんと使われていて、適切な管理ができているのかどうか?
というチェックだ。
具体的に言うと、

①進捗報告が本当に適切な内容で記載されているか

進捗報告登録は毎週PLが作成するルールだけど、ただ単に起票だけで終えてしまっていないか、きちんとPLからPMへ向けた適切な報告が記載されているかどうか、ちゃんと目視で確認するんだ。報告の内容も読んでね。

②進捗やコストの状況が安全範囲であるか

OBPMでアラートが発砲されていないか。もしも、コスト超過や進捗遅延が発生しているなら、それらの対策は検討されているか。進捗報告を実施すると共に、必要に応じてリスケやリソース再調整、実行予算の再申請など、ルールに従って実施しているかどうかを確認する。

③課題や障害が山積放置されていないか

例えば、開発工程やテスト工程において、課題、障害の発生と消化の状況を確認し、きちんとコントロールの範囲内で進んでいるのか、収拾がつかない危険な状況に転じていないかどうかを確認する。


といった観点だね。
こればかりは、実際に入力されている情報を見て、中身を『読んで』みないことにはわからない。そして、問題が発生してるプロジェクトの、現状、危険度、対策、見込などを整理して、PMO部門へ報告するのが、各部門のPMO委員の役目っていうことになる。

太郎:え~、それ全部のプロジェクトでやるんですか?大変ですねぇ。

先輩:確かに数はある程度多くなるけど、うちの会社では売上規模300万以上のプロジェクトを主に対象にするなど、部門や契約形態、売上規模など、プロジェクトの性質などを考慮して、対象範囲をルール化してるから安心して。
それと、無駄に全プロジェクトを目視するのではなく、OBPMのアラート機能を使うことで、PMO委員も、効率よくチェックしていけるんだよ。

太郎:なるほど、OBPMをうまく使って、効率よくプロジェクト監視をする仕組みになっているんですね。ちょっと安心です。

太郎:ところで、300万未満のプロジェクトは一切チェックしなくていいんでしょうか?

先輩:まぁ、程度にもよるけど、少額プロジェクトであっても、部門に与える影響が大きくなりそうな場合には、ノミネートして監視すべきだろうね。
まぁ、そういったプロジェクトはOBPMのアラート機能ですぐにわかるから。こうした第三者の視点でプロジェクトを監視、ジャッジしてPMO部門へ報告することで、それぞれのプロジェクトのPMやPLへの牽制にもなるんだ。見られていることがわかっているから、隠蔽もしないし、ルール違反の放置も減っていく。

太郎:なるほどぉ、確かにルールって放っておくと形骸化してしまいがちですからね。こうして実施者、確認者が相互にルールを守る、守らせるという関係性を持つことで『ちゃんとやらせる』を実現してるってことですね。

PMO部門から事業部長、経営層への報告

先輩:太郎君達、PMO委員が問題プロジェクトをPMO部門に報告をすることで、PMO部門の監視対象プロジェクトに発展するんだ。
PMO部門としては、PMO委員からの報告に加えて、独自の判断で監視対象と判断したプロジェクトも、重要監視対象としてノミネートしてる。
そして、PMO部門が監視対象としているプロジェクトについては、適時事業部長や経営層へその報告がなされるという流れになっているっていうこと。
この報告会がPMOミーティングになる。
こうやって、PMO部門とPMO委員の役割を分割することで、効率よく監視をして、本当に手当が必要なプロジェクトに的を絞ってPMO部門や経営層が注目することができるんだ。
もちろん、その結果のフィードバックも逆の順番で流れていくし、必要に応じてPMO部門が直接プロジェクトマネージャや、プロジェクトリーダー、現場のメンバにヒアリングしたり、改善のアドバイス、指導など、問題プロジェクトの改善活動に関わっていくっていう寸法さ。

太郎:なるほど、網羅性と効率を考えた、いい体制ですね。

先輩:うん、色々と考えた結果のいい体制だと、僕も思うよ。
ただ、脅すわけではないけれど、PMOメンバってちょっと大変なところもあるかもしれないね。
実際、PMO部門やPMO委員っていうのは、プロジェクトのメンバから煙たがられる時もあるだろうし、経営層への報告にしても、良くない報告をした時には、まるで、PMO部門のメンバが怒られているような感じになることもあって、彼らも、結構大変みたいなんだよね。
それでも、僕たち現場のプロジェクトを失敗させたくないっていう思いで見てくれているわけだし、ルールの改善や便利ツールの提供など、多くの人の気づかないところで力になってくれている。感謝すべきと僕は思ってるよ。

太郎:はい、そうですね。私もPMO委員になったら、PMO部門の力になって、自分の役目をきちんと果たせるよう頑張ってみます。

先輩:うん、太郎君の役割は大体わかったかな?

太郎:はい、よく分かりました。

先輩:あぁ、そうそう、PMO部門の役割には、プロジェクトマネジメントの標準化とか、プロジェクト管理力を向上させるための勉強会とか、新しいルールを作るなんて言う役割もあるんだけど、長くなるので、それはまた次の機会にしよう。

太郎:はい、この後、PMO委員を経験してみてから、改めてお話聞かせてください。
今日はありがとうございました。

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