PMとPMOって、結局何が違うの?(Vol.83)

 2020.08.11  株式会社システムインテグレータ

最近のOBPMブログでは、「PMOとはなんぞや」というシリーズで、PMOが行う品質管理・業務・プロジェクトへの支援がどのようなものかということをお伝えしてきました。みなさまはきっと、PMOに関してかなり詳しくなっているのではないでしょうか。

そこで改めて問うてみたい!
PMとPMO、「プロジェクトのスケジュール・コスト・品質に関して目標を達成し、ステークホルダーの満足を実現する」という目指すべきゴールは同じですが、この2つの違いはなんなのでしょうか?
この記事では、PMとPMOにおける

  • 立ち位置
  • 業務
  • 求められるスキル

という観点で、違いをお伝えいたします。

PMとPMOの立ち位置の違い

PMとPMO、役割の立ち位置としては、ざっくり下記となります。

PM(Project Manager):プロジェクトの総責任者
PMO(Project Management Office):プロジェクトマネジメントの支援を行う組織

では一方、「プロジェクトマネジメントの支援を行う組織」であるPMOは組織・体制上どのような立ち位置となるのでしょうか?
PMの上?下?
答えは「ケースバイケース」となってしまうのですが、一般的にはPMOは立ち位置の観点で下記のように大きく2種類に分類されます。

個別プロジェクトPMO

このPMOは、主に大規模プロジェクト内のサブプロジェクトのマネジメントをチームで担当することで、トップの統括PMを支える立ち位置となります。

プロジェクトは大きくなるにしたがって、マネジメントしやすい単位でサブプロジェクト化されていきます。しかしそうなると、一人のPMだけでスケジュール・品質・コストを管理することは困難となります。
そこで当該PMOが事務局となり、プロジェクトの状況の把握、サブプロジェクト間の調整を行い、PMを支えていきます。
したがって、組織・体制上は下記のようにPMの下に設置されます。

PMとPMOって、結局何が違うの?(Vol.83) 1

全社的PMO

全社的な観点から、プロジェクトを横断的に支援するPMOです。PMの育成や、社内におけるプロジェクトマネジメント標準の整備、各プロジェクトのモニタリングなどをおこうことで、PMの支援を行います。
主にSI業界を中心に整備が進められてきた概念で、「個別プロジェクトPMO」に対して比較的新しいPMOの形です。
横串でプロジェクトを見ていく立場となるため、組織・体制上はPMとは対等な立ち位置となります。
イメージとしては下記です。

PMとPMOって、結局何が違うの?(Vol.83) 2

全社的PMOは複数のプロジェクトを管理することから、「プログラムマネジメントオフィス」と呼ばれることもあります。
(プログラムというのは、複数のプロジェクトが有機的に結合されたもの。プロジェクトより上位の単位。)
ちなみに前回のブログはPMOの業務がテーマでしたが、そこでご紹介したPMOの形はこちらとなりますね。

PMとPMOの業務の違い

PM とPMOの業務は似ている部分があります。なぜなら、PMもPMOも「プロジェクトのスケジュール・コスト・品質に関して目標を達成し、ステークホルダーの満足を実現する」という目的は同じである上に、PMOがPMを支援する立ち位置であるためです。
そのうえでPMとPMO、大ざっぱに業務の違いを表現するとしたら、
「PMは、プロジェクトに関する有期性のある直接作業を行う。PMOはプロジェクトの前準備および後処理も含めた定常的間接作業を行う」
ということになるかと思います。

各々の具体的な業務は下記となります。

PMの業務 PMOの業務
[プロジェクト期間]
  • プロジェクトの計画の作
  • プロジェクト作業の系統、WBSの作成
  • プロジェクトの成果物の管理
  • プロジェクトの進捗管理
  • プロジェクト内のリソースの管理
  • プロジェクトのコストの管理
  • プロジェクト計画と実績との差異の把握&是正処置実施
  • プロジェクトのパフォーマンス情報の収集&報告
  • ステークホルダーとのコミュニケーション管理
[プロジェクト前準備]
  • プロジェクトマネジメント標準(資料テンプレート、承認プロセス等)を構築・設計
  • 構築したプロジェクトマネジメント標準を、教育・トレーニングなどによりPMへの定着・浸透

[プロジェクト期間]
  • プロジェクトのモニタリングを行い、品質を客観的にチェック&評価、改善支援
  • プロジェクト間のリソースなどの調整、連携の支援

[プロジェクト後処理]
  • プロジェクト完了時のノウハウ、教訓の蓄積
  • ノウハウの再利用の促進

プロジェクトというのは、有期性のある業務と定義されます。したがって、上記の表からもわかるように、

PM:プロジェクト期間に行う、有期性のある直接作業を行う
PMO:プロジェクト期間の前後も含めた、定常的な間接作業を行う

という業務の違いが導き出されます。

プロジェクト管理手法入門ガイド
プロジェクト管理ツール 比較ガイド

PMとPMOの求められるスキルの違い

PMは、プロジェクトの全体を把握しておく必要があります。そのため、プロジェクトが属する分野の専門知識、技術に関する知見、顧客や委託先とのやり取りも発生するためある程度の法律知識はもちろん必要です。
ですが、より大切なスキルはメンバーから信頼を得て円滑にプロジェクトを遂行していくためのリーダーシップスキルとなります。

一方、PMOはプロジェクトマネジメント標準などの文書作成の場面や、各プロジェクトのPMとのコミュニケーションを行う場面が多くなるため、特に必要となってくるスキルは「実務的な文書作成スキル」および「相手に寄り添うコミュニケーションスキル」となります。

PM、PMOに求められる具体的なスキルは下記となります。

PMに求められるスキル PMOに求められるスキル
コミュニケーションスキル
「情報共有不足」というのはプロジェクトの失敗に直結する。プロジェクトに関わる全員が快適にコニュニケーションできるような環境を作るスキルが必要。

セルフプロモーションスキル
相手の信頼を得るために考え、行動するスキル。社内外の人に信頼を得て、プロジェクトに巻き込んで協力してもらうということはプロジェクトの成功につながる。

管理スキル
スケジュールや予算、人材などの計画を立て、状況に合わせて調整をする管理能力が必要不可欠。

テクニカルスキル
顧客、委託先といった外部との窓口となるPMには、技術・業界の動向に関する知識、および法律知識が必要。
文書作成スキル
PMOが作成するプロジェクトマネジメント標準は、PMの利用をしっかり定着させるためにも、誰もが見やすく、使いやすい文書である必要がある。

コミュニケーションスキル
各プロジェクトのPMとやり取りを行い、場合によってはプロジェクト間の調整を行うこともあるため、小回りの効いた立ち回りが求められる。 またPMに対しては高圧的な態度と取らず、相手に寄り添った形のコミュニケーションをとり支援するという姿勢が必要。

プロジェクト管理に関する知識
プロジェクトを俯瞰してモニタリングし、チェック&評価、改善支援を行うために、幅広いプロジェクト管理に関する知識が必要。

上記の表を眺めると、PM、PMOに求められるスキルの違いから見えてくる人物像としては

PM:リーダータイプ
PMO:縁の下の力持ちタイプ

となってくるのではないでしょうか。

まとめ

上記の通り、PMとPMOにおける

  • 立ち位置
  • 業務
  • 求められるスキル

という観点で、違いをお伝えいたしました。
PMとPMO、字面は似たようなものに、全然違うものであるということが理解いただけたかと思います。

しかし、いくらPMとPMOに違いがあるとはいっても、目指すべきゴールである「プロジェクトのスケジュール・コスト・品質に関して目標を達成し、ステークホルダーの満足を実現する」というところは同じです。
PMとPMOがお互いの違いをしっかり理解し、相互尊重の上で協力体制をとることがプロジェクトの成功、ひいては会社・社会の利益につながります。このブログがその一助になれば幸いです。

またPMOについて詳しい資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。

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