システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは(Vol.88)

 2020.10.01  株式会社システムインテグレータ

今回のテーマは「システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは」です。
何だか難しそうですね。「システム開発会社の管理会計」と「プロジェクト管理」には何か関連があるのでしょうか。

あるとすれば、その関連性を明確にイメージできるでしょうか。それをお伝えするのが今回の記事の目的なのですが、少しひるんでいます。
なぜなら、「管理会計」にはその道のエキスパートがいて、「プロジェクト管理」にもその道のエキスパートがいて、下手なことを書くとその両方から厳しいツッコミがありそうな気がしています。どうかお手柔らかに。

では、まず何から始めましょうか。
あまり馴染みのなさそうな「管理会計とは」から理解するといいかもしれません。

管理会計とは

「管理会計とは」を説明する場合に必ず登場するのが「財務会計」というものです。
この2つを並べて対比的に説明するのが判り易いこともあって常套手段になっています。

◆財務会計とは

・利害関係にある株主や金融機関など「社外に向けた」会計のこと
・金融商品取引法、会社法などの法律や、会計基準に基づく
・貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など決算時の財務諸表
・「法律で定められた義務」なので、すべての企業が実施しないといけない

◆管理会計とは

・自社の経営活動に活かすための「社内向けの」会計のこと
・企業ごとに内容が大きく異なり、法的要件や会計基準もない
・事業計画書、中期経営計画資料、取締役会資料などといったもの
・「任意で行うもの」なので、管理会計を実施していない企業もある

 

以上の基本を押さえて、表にまとめると次のようになります。

システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは(Vol.88) 1

システム開発会社の管理会計

「管理会計」は企業ごとに内容も異なるということですが、大きく俯瞰すれば「営利企業である限りどれも似たようなもの」という捉え方もできます。

要するに、突き詰めれば「何にどれほど金を使って」「いつどれほど売り上げて」「結果どれほど利益があるか」という題材を外すことはなく、
それをあれこれ分解したり視点を変えたり対象を絞ったりするその手法と表現のまとめ方が異なっているだけなのだろうと思います。

ちなみに、1つ目の「何にどれほど金を使って」というものをお堅く言うと、「原価管理」という言葉になります。この「原価管理」というものは、業種によって特性や違いがありますので、その点は押さえておく必要があります。
例えば「製造業」と「システム開発会社」とでは、原価の構成要素や着目すべき点が同じではありません。

詳しくは過去のブログ記事「ITプロジェクトの原価管理とは?原価の意味を正確に把握する」を参照していただくとして、
https://products.sint.co.jp/obpm/blog/it-project-cost-management
それぞれの原価構成要素をまとめると次のようになります。

◆一般的な「原価」の種類

「固定費」「変動費」「材料費」「労務費」「諸経費」

◆システム開発会社の「原価」の種類

・直接費としての「労務費」「外注費」「諸経費」
・間接費としての「間接労務費」「共通費」

プロジェクト管理手法入門ガイド
プロジェクト管理ツール 比較ガイド

管理会計に求められるもの

では次に、「管理会計に求められるもの」とは何でしょうか。
その辺りを探っていけば、ようやく「プロジェクト管理」との関連が見えてくるかもしません。よくある抽象的な説明としては次のようなものです。

 自社の経営について現状把握や分析をすることができ、
 それを基に経営判断や意思決定を行うことができ、
 製品や人事に関する施策を打つためのマネジメントに役立つこと。

どうでしょう。この抽象的な説明では、まだ具体的なことや「プロジェクト管理」との関連が見えてきませんね。それは何でしょうか。
ヒントは「1.管理会計とは」の末尾に載せた表にあります。
気づいた方もいると思いますが、いくつかのキーワードが赤字で書かれていますね。

そのキーワードとは、

・報告数値の「予算」「見込」

それから、

・集計単位の「プロジェクト別」

おっと、出てきましたね「プロジェクト」というワードが。
ヒントではなく答えを言っているようなものですね。

まず報告数値の「予算」と「見込」ですが、これらの意味するところは何でしょうか。
それは、「今後どうするつもりか」「今後どうなりそうか」という「将来指向」です。
「管理会計に求められるもの」は「実績」という結果だけではなく、今後の「目標」と「見通し」を提示するものでなければなりません。

次に集計単位の「プロジェクト別」はどうでしょうか。
これの意味するところは、「物事が動く単位=プロジェクト別」に分解、分析ができ、その単位で的確に手が打てる、というものです。
「管理会計に求められるもの」のもう1つは、分析したい単位、手を打ちたい単位の「内訳」や「切り口」がなければならない、ということです。

【余談1】
逆に言うと「プロジェクト」は「物事が動く単位」になっていると都合がよく、また、あるまとまりで物事が動いていれば、それは「プロジェクト」にすべき、ということです。

【余談2】
「内訳」や「切り口」のことを専門家は、「ドリルダウン」や「スライス」という言い方をすることがあります。

よい「プロジェクト管理」ツールとは

前章で「管理会計に求められるもの」が「今後の目標や見通しの提示」と「分析したい単位や手を打ちたい単位の内訳や切り口」というものであることが判りました。
では、それらを備えた「よいプロジェクト管理ツール」とはどういうものでしょうか。
ここでいう「よい」とは「管理会計に使える」「現場だけでなく管理会計側の人も嬉しい」という観点で優れている、というものです。

実は、あまたあるプロジェクト管理ツールの中で、この点で優れているのが「OBPM」というツールであり、「OBPMはプロジェクト管理のERP」と呼ばれる所以でもあります。

もちろん、単なる「現場の便利ツール」としてOBPMを使うこともできますが、「システム開発会社」の「管理会計」を見据えたOBPMの機能を使い切らないとすれば、勿体ないことだと思います。
具体的に紹介すると、次のような機能がOBPMには備わっています。

◆会計システムへの仕訳データ連携

プロジェクトの原価を「仕掛品」や「完成原価」として計上するための仕訳データを、連携する会計システムの取込フォーマットに合わせて出力することができます。

システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは(Vol.88) 2

◆分析したい切り口を汎用的にマスタ設定

「プロジェクトコード」や「顧客」「部門」といった標準の項目に加えて、自由にプロジェクト属性の項目を追加することができます。

システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは(Vol.88) 3

◆目標とする実行予算と現時点の見込、乖離すればアラート

「実績」を管理するだけでなく、目標とする「実行予算」と現時点の「見込原価(今までの実績+今後の予定)」を監視し、目標との乖離アラートを検知することができます。

システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは(Vol.88) 4

◆工数や原価の予実データを柔軟に出力、加工

システム開発会社の原価管理に大きく関わる「工数」や「原価そのもの」の予実データを、任意の項目構成と抽出条件の指定をパターン化して、加工元データとして出力することができます。

システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは(Vol.88) 5

◆様々の立場、観点から用意した分析レポート

①「受注 見込/実績」レポート
各プロジェクトの見積をもとに、『集計用部門・集計用PJ タイプごとの受注実績/予測を把握し今後の見通しを分析する』レポートです。

②「部門損益 見込/実績」レポート
各プロジェクトの月ごとの計上金額(未来月は予定金額、過去月は実績金額)を集計し、『集計用部門・集計用PJ タイプ別の売上、利益の実績/予測を把握する』レポートです。

③「プロジェクト利益予実推移」レポート
『集計用部門・集計用PJタイプ別に当初の見積では収益率はどの程度か、実績/見込の収益率はどの程度か、それらの数値の乖離はどの程度か』について、集計表示するレポートです。

④「問題プロジェクト発生状況」レポート
各プロジェクトの『当初の見積』、『最終検収実績/見込年月』、『最終検収実績/見込金額』を取得し、問題発生プロジェクトの状況を表示するレポートです。

⑤「稼働率推移」レポート
『年月・アカウントごとの総工数は何人日か、そのうち稼働対象の工数は何人日か、そこから求められる稼働率はどの程度か』について、部門・アカウント単位で集計表示するレポートです。

⑥「生産性推移」レポート
各主担当の担当する工程・タスク・明細が『いつ完了し、何人日の予定工数で計画を立て、何人日の実績工数で完了したか、そこから求められる生産性はどの程度か』について、アカウント単位で集計表示するレポートです。

 

以上で「システム開発会社の管理会計に役立つプロジェクト管理とは」を終了します。
いかがでしたでしょうか。
お伝えしたかった「システム開発会社の管理会計」と「プロジェクト管理」との関連性を、具体的にイメージできるようになっておられましたら幸いです。

また、原価管理のポイントをまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。

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