IT企業、ソフトウェア開発企業に求められるERPの役割と機能について

 2020.03.16  株式会社システムインテグレータ

欧米における多くのIT企業・ソフトウェア開発企業(以下、IT企業で統一)では、事業の効率化をはかるためにERPを導入しています。本稿では、IT企業に求められるERPの役割とその機能についてご紹介します。

ERPのキホン~ERPの基礎からDXへの活用まで徹底解説~

IT企業によくある経営課題

ITは、すでにご存知の通りビジネスに欠かせないものになっています。今ではIT無しのビジネスはあり得ないというほど浸透しているのは周知の事実でしょう。そのため、現在でもIT企業への需要は高まっており、プロジェクト受注に困らないという企業も少なくありません。しかしながら、IT企業にはIT企業なりの経営課題があります。これを解決できるか否かによって、企業成長や市場における生存率が決まると言って過言ではありません。では、IT企業はどういった経営課題を抱えているのでしょうか?

システム面

  • 長期プロジェクトにおける案件管理がままならず、半年後・1年後の売上見込みがたたない
  • プロジェクトの進捗度合いに応じた収益管理ができないため、どんぶり勘定になりがち
  • 営業見積と原価見積を別々のシステムで作成しているため、二重入力によりミスが発生
  • プロジェクト管理システムを別途運用しているため、売上や調達の業務処理が二重に発生し、入力漏れも起きやすい
  • IT業界を想定した基幹システムでないため、プロジェクト単位の収支が把握できない

経営面

  • エンジニアを中心としたIT人材不足が顕著であり、プロジェクトに必要な人員を確保できずに下請け・孫請けに頼っている状態が続く
  • 繁忙期・納期前の労働時間がどうしても長くなり、全体的な生産性に悪い影響を与えている
  • IT市場参入への敷居が低くなり、市場競争が激化して価格低下を余儀なくされている

システム面・経営面で課題を分けてみましたが、こうした課題を抱えているIT企業は非常に多いのが実態です。特にSIerと呼ばれるシステム外注を請け負うIT企業では、無理のあるプロジェクトに取り組まなければいけないことも多く、こうした経営課題が重くのしかかっています。

システム面の課題において特に重大なのは「プロジェクト管理が徹底できない」ことでしょう。IT企業の多くはサービス業であり、収入源はプロジェクトで決まります。そして、主な原価は人件費です。長期プロジェクトになると工程ごとの収支も管理しなければいけないため、複雑性が増し、プロジェクト収支が不透明になるケースが少なくありません。その結果、プロジェクトが完了して初めて利益を把握し、赤字であることを認識することも多いでしょう。企業規模が大きくなるにつれプロジェクト数が多くなり、一つのプロジェクト赤字が他のプロジェクトの収益を食いつぶすなんてことも起こり得るのです。

失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方
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経営面での課題としては「人材不足」が深刻化しています。経済産業省の調べによると、2015年では17万人不足していたIT人材が、2030年には59万人に拡大すると見込まれています。

出典:経済産業省『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果~ 報告書概要版 ~』

IT人材が不足することで、プロジェクトに対する負担が増加し、下請け・孫請けに仕事を依頼するケースが増えるため、プロジェクトがさらに複雑化して収支管理も正確に行えなくなります。

IT企業の経営課題を解決するERPとは?

ソフトウェア開発業、Sier、コンサルティング企業、広告制作会社など、プロジェクト型ビジネスを推進するIT企業では、従来型のERPでは対応できない管理業務が多く、たとえERPを導入しても最大限の効果が得られないという難点がありましたが、昨今のERPソリューションでは、以下のような特長によってIT企業の経営課題解決を支援してくれます。

  • 長期プロジェクトの進捗度合いに応じて、受注確度を変更し、確度別の見積もり金額や粗利額を把握できる
  • プロジェクトごとの見積、契約、売上、実行予算、原価(労務費、外注費、材料費、経費、間接費)による幅広い収支管理が可能
  • 進行基準対象プロジェクトの進捗率、売上高照会を年月別に確認できる
  • 営業見積に紐づけて原価見積を作成し、見積作成の省力化とリアルタイムな利益率チェックを実現
  • プロジェクトごとに収益管理から、売上、調達、会計処理までを同一システムで統合管理し、二重入力や転記で発生するヌケ・モレを防止する

これがプロジェクト型ビジネス向けのERPソリューションが持つ特長です。システム面で抱えがちな経営課題を解決すると共に、そこから得られる効果によって経営面の課題にも対応します。これらの役割を実現するために備えている機能が以下のようなものです。

機能 詳細
プロジェクト一覧
  • プロジェクトごとに担当部門、得意先、実行予算、見積、受注、工事着手日、 工事完成日、保証終了日、受注確度などのステータスを一覧確認
  • 受注入力を行うことで、自動的に受注確度が「ステータス:受注」に更新
見積
  • 見積金額と同時に原価金額、粗利額を把握
  • 社内管理用の明細見積とは別に、得意先用に一式見積の作成が可能
原価見積・実行予算
  • 原価明細ごとに原価内訳(作業、部材購買、作業発注、在庫払出)を入力可能
  • 原価見積の明細情報を引用した実行予算作成が可能
受注
  • 受注金額と同時に見積金額、原価金額(最新実行予算)、粗利額を把握
  • 見積情報を引用した受注入力が可能
手配(部材購買・作業発注・在庫払出)
  • 実行予算の各明細情報(部材購買・作業発注・在庫払出)をもとに手配データを一括生成
  • 購買品の分納、作業発注の分割検収にも対応
工数実績
  • プロジェクトごとに工数実績を登録し労務費を計上。間接費プロジェクト(研究開発、間接工数など)入力も可能
  • プロジェクト対象社員のランク別単価設定が可能
  • 外部システムやExcelなどで作成した工数データの取込処理が可能
原価
  • プロジェクトごとの採算状況(見積金額、契約金額、実行予算、売上金額)を把握
  • プロジェクトの見込と実績を月ごとに対比させ、現時点の実績を把握

参考製品:GRANDIT ADM(プロジェクト型ビジネス業向けアドオンモジュール)

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多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
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ERP活用で見えるIT企業の未来

IT企業がERP活用で注意すべきポイントは、プロジェクト型ビジネス特有の管理項目を押さえられているかです。汎用的なERPの中にはIT企業の業務実態に即さないものもありますので、その点に注意しながら自社にとって適切なERPを選択できるように心掛けていきましょう。もし、プロジェクト型ビジネスに特化したERPをご検討中の場合には、弊社システムインテグレータまでお問い合わせください。

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