工数とは?その計算方法と管理のポイント

 2019.10.15  株式会社システムインテグレータ

初めてリーダーに選出されたプロジェクトマネージャーには、今までには無かった多くの業務を遂行する能力が必要になります。その中の1つが「工数管理」です。プロジェクトチームの1メンバーとして仕事をしていた際は、工数を意識することは少なかったかもしれません。しかし一度プロジェクトマネージャーになれば、工数管理に悩ませられることは必至でしょう。なぜなら、この工数を理解ししっかりと管理しなければプロジェクトは破綻してしまうからです。

本稿では工数の基本を整理しつつ、工数管理のポイントをご紹介します。

工数とは?

工数を分かりやすく説明すると「作業時間」という概念に近い意味があります。主にソフトウェア開発やシステムインテグレーション、製造現場で使用される言葉であり、作業時間を「人数×時間で表すのが特徴です。主に「人月(にんげつ)」「人日(にんにち)」「人時間(にんじかん)」という単位を使用します。以下に例を挙げます。

  • 1人月=1人の人が作業をしたら1ヵ月で完了する仕事量
  • 30人日=30人の人が作業したら1日で完了する仕事量
  • 720人時間=720人の人が作業したら1時間で完了する仕事量

面白いのは、1人月・30人日・720人時間はすべて同じ仕事量を表していることです。1カ月を30日と仮定すると、1人月も30人日も、720人時間もまったく同じ仕事量を意味しています。

1人月=30人日=720人時間

なぜ工数はこうした単位で表されるのでしょうか?仕事量というのは定量的観点から「そこにかかる時間」を割り出すことはできますが、定性的観点が加わるとある程度の時間しか読むことができません。

たとえばコンピューターが処理する仕事なら、データを処理する量を把握すれば、データ量から完了までの時間を正確に割り出すことができます。しかし、プロジェクトでは必ず人間が作業にあたります。人間が作業する以上、正確な時間を読むことが難しいため、人月や人日といった単位を使用して工数を表すのです。

工数の計算方法

工数をどう計算するかで、プロジェクトにかかる原価(≒人件費)が変わります。ただし、工数の計算方法というのは企業によって三者三様です。企業ごとにプロジェクトの内容や手順は違いますし、共通化された計算方法では大きな誤差が生じます。

一般的な計算方法としては、過去のプロジェクトから新しいプロジェクトにかかる工数を算出するというものです。たとえば過去のシステム構築プロジェクトにおいて、1,000行のプログラムを書くのに1人で1日(8時間)かかったという実績があると仮定します。さらに、同じプログラム言語を使用して10万行のプログラムを書かなければいけない場合、その工数は以下のようにして計算します。

100,000(万行)÷1,000(行)=100(人日)

実際のプロジェクトはもう少し複雑なので、クライアントとのコミュニケーションや要件定義にかかる時間、システムテストのかかる時間などを加味して計算します。そうした工数を算出できたら、次に、どれくらいの期間でプロジェクトを完了させたいか?を考え、最終的な工数を導き出します。

たとえば100人日かかる工数を5人の従業員に実行したい場合、「100÷5=20」という計算から20日という工数を算出します。あるいは、100人日かかる工数を10日で終わらせたい場合、「100÷10=10」という計算で、10人の従業員を投入すれば10日で完了することが分かります。

工数管理のポイント

プロジェクトにおける工数は、ほとんど人件費と同義だと考えてよいでしょう。そのため、工数管理を実施するとプロジェクトにかかる人件費(原価)をコントロールすることに繋がり、プロジェクト利益を高めることができます。では、工数管理のポイントとは何でしょうか?

最初に、プロジェクトを開始するにあたりプロジェクトメンバーの調達を実施します。その際にプロジェクトマネージャーが注意すべき点は、必要な人数を調達すること、だけではありません。

メンバーごとのコスト(人件費)を考慮しつつ、計画段階での見込み利益を示せるようになるまで調達計画を作成する必要があります。メンバー調達が完了したら、メンバーへの作業割り当てを実施します。詳細設計や製造といった、工程ごとに役割分担してタスクを割り当てる方法もありますし、機能ごとに役割分担して設計からテストまでを割り当てる方法もあります。

メンバーへのタスク割り当てが完了したら、工数計画の策定を実施します。他のプロジェクトとの兼ね合いをもあるため、以下のような計画が作成されるでしょう。

メンバー

1ヵ月目

2ヵ月目

3ヵ月目

PM

0.3人月

0.3人月

0.3人月

メンバーA

0.3人月

0.3人月

0.3人月

メンバーB

0.4人月

0.5人月

0.5人月

メンバーC

0.4人月

0.3人月

0.5人月

メンバーD

0.2人月

0.2人月

0.2人月

合計

5.0人月

この段階で、各メンバーのコストと工数を掛け合わせ、プロジェクトの原価予算を算出できます。次に実績に監視を行います。工数計画の策定で利益が出ているからといって油断はできません。プロジェクトが推進する中で、予想以上の工数がかかるようならば、プロジェクトは赤字になります。

たとえばプロジェクトが遅延しメンバーを増やした場合、明らかの原価は上昇します。また、メンバー数は固定でも当初の予定よりも作業時間がかかっている場合のも原価は上昇します。

たとえば予定に加えて実績を管理すると、次のように工数が増えたとします。

メンバー

1ヵ月目

2ヵ月目

3ヵ月目

PM

0.3人月⇒0.5人月

0.3人月⇒0.5人月

0.3人月⇒0.9人月

メンバーA

0.3人月⇒0.7人月

0.3人月

0.3人月

メンバーB

0.4人月

0.5人月⇒0.7人月

0.5人月⇒0.8人月

メンバーC

0.4人月⇒0.5人月

0.3人月⇒0.4人月

0.5人月⇒0.6人月

メンバーD

0.2人月⇒0.3人月

0.2人月⇒0.3人月

0.2人月⇒0.3人月

合計

5.0人月⇒7.5人月

最初の計画から2.5人月も増えているということは、50%多く工数がかかっていることになり、プロジェクトが赤字になる可能性が高まります。工数が増大する理由の多くは、計画段階での見積りの甘さが原因です。このようなことが発生しないようにプロジェクト管理ツールを導入したり、週一回の進捗会議を実施したりしながら、プロジェクトの状況を監視することが重要なのです。

プロジェクトが完了してから「工数が増えてしまい赤字になった」では、ビジネスは成り立ちません。計画当初から工数が増えるような状況でも、早期段階で問題を発見して修正すれば、赤字は免れることができます。

こうした工数管理の考え方は、IT系や製造業以外でもさまざまな業界で利用することができます。工数管理とはいわば人件費管理でもあり、この工数を正確かつ確実に監視することでプロジェクトから創出されるROI(Return of Investment:投資対効果)を大幅に改善することができます。

初めてプロジェクトマネージャーの役割に就任するという方は、この機会に工数に対する理解を深め、工数管理の重要性を知った上で適切な管理が実施できるよう、工数管理のポイントを押さえていきましょう。

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