ERPプロジェクトの進め方

 2017.09.29  株式会社システムインテグレータ

ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)は、多くの企業において課題解決のためのソリューションとして近年再注目されています。今まで大企業を中心に導入されてきたERPも、最近ではクラウドへの対応なども進み、中堅・中小企業にも受け入れられつつあります。

そんなERPは、複数の基幹システムを統合して提供されているため、導入が一大プロジェクトになります。そのため導入プロジェクトが失敗する確率も高く、慎重に進めていくことが求められます。

今回は、ERP導入プロジェクトの進め方についてのポイントを紹介します。今後、ERP導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

 

ERPのキホン~ERPの基礎からDXへの活用まで徹底解説~

 一般的なERP導入プロジェクトの流れ

昨今、基幹システムをゼロからフルスクラッチで開発しようと思う企業は非常に少ないと思います。ほとんどの企業は、世の中に存在するERPパッケージ製品の中から自社に最適なものを選んで導入することを考えるでしょう。

今回ご紹介するプロジェクトの流れはERPパッケージ製品を導入する際の一例です。

多くの企業において一般的なERPの導入フローは、図のような流れになります。これはソフトウェアを導入する場合には一般的な流れです。しかし、前述した通りERPプロジェクトは、巨大化する傾向にあり全社レベルでの取り組みに発展します。故に、それぞれの要素が従来のプロジェクトに比べて非常に大きく、重要度や責任範囲も拡がります。

まずは、それぞれを簡単にご紹介します。

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分析調査

既存システム環境を含めて自社の現状を調査します。この段階でERP導入目的を明確化しておきます。また、ある程度の導入予定製品をいくつか候補として決めます。

提案

RFP、RFQを作成しベンダーからの提案を受け、製品とベンダーを選定します。

選定契約・キックオフ

契約を締結します。締結後に関係者を集めたキックオフを行います。

要件定義

業務要件に基づく、システムに対する必要な要件を洗い出します。

RFP作成時に要件が洗い出されていると要件定義後の見積金額の増加を抑えることができます。

設計・開発

システム設計及び開発を行います。

テスト・設置・現地テスト

機能別の品質テストから業務の流れに沿ったテストを実施していきます。

教育

利用者及び管理者ユーザーに向けた教育を行います。

移行・受入テスト/稼働

マスタや伝票、残高のデータなどを移行し本番環境に移行します。実際に正しく動作が行われるのかを最終確認します。問題がなければシステムをカットオーバーさせます。

本番サポート

順調に動作しているのかを確認しながら現場での問い合わせなどに対応します。

 一般的なERPの導入プロジェクトはこのような流れで進みます。

それでは失敗しないプロジェクトの進め方について、ポイントを絞ってご紹介します。

 

失敗しないプロジェクトの進め方

1.調査分析の徹底

ERP の導入を検討する場合には、その目的を明確化することが重要です。そのために現在の課題を洗い出して、何が問題なのかを明確化することから始めます。そして、ERP 導入で予測できる効果を可能な限り具体的に示しましょう。この目的が全ての基本となります。

現状の整理、分析にあたっては、現場で利用している帳票を調べてそれは本当に必要なのか、部門では日々どのようにシステムを利用しているのかなどの整理をしておきます。これらの調査分析は、細かければ細かいほど後々のプロジェクトが成功へと近づきます。細かい調査分析を怠ると、要件定義後に見積り額が大幅に増えることでERP 導入の目的を達成できない場合があります。そのような事がないように現状を細かく分析しERP 導入後の業務イメージを明確化します。そうすることで正確なRFP をベンダーに提出できるためコスト見積が正確さを増します。。

失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方
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2.ベンダー選定とキックオフ

パッケージ選定や導入サービス提供事業者の選定を行なった後は、プロジェクトを社内に徹底するためにキックオフを行います。ERP のメリットは、経営者には理解しやすいものが多いです。しかし、業務プロセスや使い勝手が変わる現場では大きな反発があるケースも少なくありません。ERP の本質を理解して経営者から現場までERP の本質を理解し、使い切る覚悟が成功へと導きます。勝手に変わった、勝手に決められていた、と後で言われないために社内のステークホルダーをプロジェクトに巻き込みゴールを共有しておきます。

 

3.【要件定義】フィット&ギャップ分析による定義

フルスクラッチ開発では、理想とする業務要件を満たすために必要なシステム機能をゼロからシステム開発していきます。しかし、ERPパッケージ製品は大方の機能が用意されているため、フルスクラッチ開発とは要件定義の毛色が違ってきます。

ERPパッケージ製品は、製品選定さえしっかりしていれば、ERPの標準機能が大体の業務にフィットするはずです。特に国産ERPパッケージ製品であれば日本の商習慣に適合するように作られているため海外パッケージ製品では開発が必要な機能もフィットしやすくなります。

ただし、100%フィットするわけではありません。ERPパッケージ製品は様々な業界業種にフィットするために、設計がされています。このため、財務会計などの標準業務にはフィットしても、細かい業務習慣には対応できない場合もあります。

そこで、「フィット&ギャップ分析」を行って、ERPと自社業務の「適合」と「かい離」を判断します。問題となるのはかい離部分の対応策で、これをどのように解消していくかが、要件定義での重要なポイントとなります。

 

導入企業が注意すべきポイント

導入するERP製品と既存業務にギャップが生じている場合、主にカスタマイズや機能追加開発によってそれを補う必要が出てきます。しかし、すべてのギャップをカスタマイズや追加開発によって埋めようとすると、導入コストは確実に肥大化します。このため、導入企業はギャップへの対策案として、ゴールを達成するために本当にその機能が必要なのかを明確化する必要があります。

たとえば、一部の画面では入力効率が落ちたとしても、業務全体への影響が少ない場合があります。また、今まで必要だと思っていた帳票類も新しいBI(ビジネスインテリジェンス)によって代替できるかもしれません。

このような場合には追加開発によって現場の要望を受け入れるのではなく、業務改革と判断して対応する方が、メリットが高いこともあるのです。

 

4.【構築フェーズ】要件をもとに導入準備に入る

要件定義が完了すれば、いよいよ導入準備と構築の段階に入ります。導入準備では、業務マニュアルの作成、システムトレーニング、移行準備が主な作業となりますが、これらは、導入企業が主体になって行い、導入ベンダーに助力を受けつつ進めていきます。

肝心のERP製品はというと、先の要件定義をもとにベンダーが機能開発を行い、最終的な形へと近づいていきます。

 

導入企業が注意すべきポイント

ここで最も大切なポイントは、ユーザー検証/教育に多くの時間を割くことです。実は、要件定義を慎重に行い、それに沿った機能開発を行っても、実際にユーザーが触れてみると「思っていたものと違う」というシステムになることが少なくありません。

このようなことを避けるために、前述した通りプロジェクト最初の段階からユーザー部門を巻き込み要件を明確化することを手伝ってもらいましょう。そして、現場への理解・協力を得るような教育を徹底的に行います。

 

カットオーバー後の効果測定

ERPプロジェクトは規模が大きいため、予算やスケジュールが計画通りカットオーバーされたら成功したと思われがちです。しかし、ERPは導入する事が目的ではありません。

いざカットオーバーした後には本当に成果が出ているのかを測定するようにします。当初の目的が達成されていればプロジェクトは成功と言えるでしょう。

 

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

ERP導入プロジェクトは、企業によって三者三様

いかがでしょうか?

今回はERP導入プロジェクトの進め方についてのポイントをご紹介しました。最後に一つ重要なことをお伝えすると、ERP導入プロジェクトは企業によって三者三様ということです。たとえ同じ業界にあったとしても、企業が違えば抱えている課題も違います。ここで紹介したERP導入プロジェクトの進め方は、あくまで基本的なモデルなので、実際は企業によって少しずつ異なります。

システムインテグレータでは、約15年以上の導入支援からのノウハウにより、様々な業界業種への適切な導入をサポートします。ERP導入の際は、ぜひ弊社にお声がけください。

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