原価管理(2)実行【プロジェクト原価管理とは?第3章】

 2017.04.28  株式会社システムインテグレータ

昨今のマラソンブームの中で、富士山トラベル(仮称)でも国内外のマラソン参加希望者のためのツアーが活況を呈しているようです。
筆者も4年前から走り始めていますが、昨今のブームにより人気のあるレースは募集開始ですぐに定員に達してしまい、エントリーするのが困難な状況です。そんな中で、今年は何とか「横浜マラソン」のエントリーが完了できました。「横浜マラソン」は今回で3回目ですが、参加賞のTシャツと完走後に中華街で食べる「豚まん」が最大のモチベーションとなっています。今度、おりを見てレースまでのWBSOBPMに入れてみたいと思います (筆者の場合、プロジェクト期間は直前1か月ですが…)。さて、前回、富士山トラベル(仮称)のERP開発案件における要件定義フェーズの実行予算を作成し、プロジェクトが正式にスタートしました。今回は、プロジェクト実行時においてOBPMを活用したマネジメント方法を説明します。

 

基本的な流れ

プロジェクト実行時のマネジメント基本エリアとしては、コスト、タイム、品質、リスク、コミュニケーションなどがありますが、それぞれのエリアでOBPMが、どういった機能を備えているのかを以下に示します。

コスト管理:労務費(実績工数)・委託費・経費の実績入力管理、プロジェクト別・部署別採算管理
タイム管理:スケジュール進捗率管理
コミュニケーション管理:進捗報告管理、質問・回答管理
品質管理:障害管理
リスク管理:課題・リスク管理

今回はこの中でコスト管理に焦点をあてて説明をいたします。

コスト管理

コストの主要3要素である労務費、委託費、経費の管理方法を説明します。

①労務費

プロジェクトメンバーは、日々の実績工数をOBPMに入力しますが、その入力は2つの画面から行います。 まず1日の勤務時間を「勤務実績表入力」画面で入力します。勤務パターンを標準勤務(勤務任意設定が可能)、土祝勤務(法定外休)、日曜勤務(法定休)、有給休暇(1日、半日)などから選択することにより、簡易入力を可能としています。例えば、PM雨宮さんは9月6日は9:00~20:00まで勤務をした場合、以下のようになります

①勤務パターンで標準勤務を選択すると、標準勤務時間(出社9:00 退社18:00)が自動表示
②退社時間に表示された「18:00」を「20:00」と上書き入力
③所定外2時間が自動計算され画面表示

1日の勤務時間の入力を終えると、次に「プロジェクト別工数入力」画面で、1日の実績工数を各プロジェクトに割りつける入力を行う事となります。「プロジェクト別工数入力画面」を開くと、各担当がメンバー登録されているプロジェクトが全て表示されますので、該当プロジェクトに日別に実績工数を入力します。ここでは社内プロジェクトや会議などどいった間接作業の入力も可能としています。

第3回【原価管理(2)実行】:プロジェクト原価管理連載シリーズ 2図1:勤務実績表入力画面・プロジェクト工数入力画面

ここで入力された実績工数を元に各メンバーの標準労務費を乗じた費用が各プロジェクトの労務費となります。また、OBPMでは、実際労務費を外部システムから取込む機能も備えており、労務費の原価差異の計算も簡単に実現できます。

②委託費

プロジェクトに参画している協力会社の委託費用の管理は、「委託先契約登録」画面で契約毎に、「一括委託」にするか「工数委託」にするかの選択ができます。 富士山トラベルの要件定義フェーズにおいては、アンモウシステム開発の知念さんが工数委託で参画していますので、登録画面としては、以下の内容となります。

第3回【原価管理(2)実行】:プロジェクト原価管理連載シリーズ 3図2:委託先契約登録画面

工数委託の場合は、月の基準時間、超過した際の時間単価などの契約情報の管理も行います。この情報を元に協力会社の知念さんにも「プロジェクト工数入力」画面で実績工数を入力してもらうことにより、それが各プロジェクトの委託費に反映され、実績管理されることになります。また、委託先メンバーには実績入力を簡易にするために、日々の実績入力に代えて、月合計実績のみを入力する画面での入力も選択できるようにしています。

各プロジェクトで管理された各委託先の実績工数(費用)は、OBPM側で集計され、委託先への費用支払の元データとして活用されます。

③経費

プロジェクトで発生した交通費などの実際原価は、プロジェクト毎の「経費入力」画面で入力することにより、プロジェクト側での経費として計算されます。経費はプロジェクトの各工程別にも振りわけることができますので、工程別に分割売上をする際の管理も容易にしています。 さて、富士山トラベルからの正式受注を受けて、ERP導入プロジェクトが正式に開始されました。次回はプロジェクト実行フェーズでの原価管理の説明をいたします。

第3回【原価管理(2)実行】:プロジェクト原価管理連載シリーズ 4図3:プロジェクト経費入力

既に経費システムが稼働している場合には、稼働済の経費システムから結果のみを取り込む機能も備えています。

月次締処理

上述したコスト管理で収集された毎月の実績は、月次処理により、①配賦処理 ②仕掛、原価への計上を行い最終的に仕訳データとして会計システムへ連動する機能を持っています 。

①配賦処理

プロジェクト別作業実績(時間)を元に各種配賦を行い、対象プロジェクトへの配賦処理も実施します。

②原価計上

製造が完了したプロジェクトは、自動的に仕掛からプロジェクトタイプごとの原価へ計上処理されます。

③会計との連動

会計システムへ仕訳データを配信します。

以上の基本作業により、プロジェクト実行時の原価実績はOBPMに収集されることになりました。プロジェクトのPMや所属長は、これらの実績を元にプロジェクトや部門の採算管理を行うことになります。OBPMでも各種の採算管理の機能を備えておりますので、次回、詳細に説明いたします。

株式会社システムインテグレータ 多田


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