システム開発やソフトウェア開発では、まず最初にロードマップの作成が行われます。プロジェクトロードマップとは、成果物、主要マイルストーン、全体的なプロジェクト目標を含む全体像です。このツールは、プロジェクト開始の際に、一番初めに作成する必要があります。プロジェクトロードマップを土台とすれば、その内容に基づき、その他の重要なプロジェクト計画やプロジェクトスケジュールなどを作成できます。
開発はロードマップに基づいて進められるため、重要度は非常に高いものとなります。開発がスムーズに進められるかどうかは、ロードマップにかかっていると言っても間違いではないでしょう。
本記事では、ロードマップについて詳しく解説していきます。
ロードマップとは
ロードマップとは、目標を達成するまでに行うべきことを時系列順にまとめた計画案のことです。文章だけでなく、図や表などを用いて視覚的に分かりやすいように作成されます。
ロードマップはもともと、道路についての詳細を記した地図のことを意味するものでした。国道や有料道路、高速道路などの区分や、パーキングエリアなどを記した地図です。あらかじめ通る道順を決めた上で目的地に向かう際に役立ちます。
図や表を用いた計画案が、道路のロードマップによく似ているということで、開発の分野でもロードマップという名称が使われるようになりました。現在では、システム開発やソフトウェア開発などだけでなく、ビジネス全般においてロードマップが用いられます。
ロードマップとマイルストーンとの違い
ロードマップとよく似ているものにマイルストーンがあります。
マイルストーンは、通過点を意味するものです。プロジェクトに関して目標と計画を立てたものをマイルストーンと呼びます。長期間に及ぶ開発においては、マイルストーンを設けることも多いでしょう。
これに対して、ロードマップはプロジェクト全体に関する計画を示すものです。全体像の把握に活用するため、あまり細かいことまでは記載しません。マイルストーンはロードマップの一部です。
プロジェクトロードマップとプロダクトロードマップ
単に「ロードマップ」と表現する場合、それは一般的にはプロジェクトロードマップを指します。このプロジェクトロードマップと名称がよく似ているものとして、プロダクトロードマップというものがあります。両者の違いについて見ていきましょう。
プロジェクトロードマップとは
プロジェクトロードマップは、プロジェクトの全体像を時系列的に描いたものです。そのプロジェクトにおける成果物や目標などについて明確に示した上で、主要なマイルストーンなどについても記載します。
開発をどのような手法で進めるかについても、プロジェクトロードマップ作成時に決めておかなければなりません。例えば、アジャイル開発やウォーターフォール開発などがあります。
アジャイル開発というのは、全体を小単位に区切ってプロジェクトを進めるやり方です。2~3週間程度で1つの単位の開発を終えて、すぐ次の開発に移ります。全体像を掴みにくいのが弱点ですが、ロードマップを作成することでそれを克服できるでしょう。
アジャイル開発についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
アジャイル開発とは?特徴やウォーターフォールとの違いなど徹底解説
これに対してウォーターフォール開発は、全体に関して綿密な計画を立ててからプロジェクトを進める方法です。ウォーターフォール開発についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
プロジェクト管理手法をご紹介!PMBOK・WBSから開発手法の違いまで
プロジェクトロードマップには、細かい内容や具体的すぎる内容については記載しません。あくまでプロジェクトの大枠について記載するものです。プロジェクトロードマップをもとにして、詳細なスケジュールを作成します。
プロダクトロードマップとは
プロダクトロードマップとは、製品開発の際に用いられるロードマップのことです。どんな製品にするのか、方向性や優先順位などを策定し、開発計画について記載します。
製品開発チームで使用するだけでなく、マーケティング部門でも活用され、顧客に対して公開する資料などにも掲載されることがあります。
ロードマップの目的
プロジェクトを立ち上げる際にロードマップを作る目的について見ていきましょう。
目標を明確にする
ロードマップを作ることで、そのプロジェクトの目標が明確になります。これにより、チームのメンバーは同じ方向に向かって力を注ぐことができます。自分が行っている作業が何のためのものなのかよく理解することで、モチベーションも高まるでしょう。
一方、目標が不明確だとチームのメンバーのモチベーションも下がってしまいがちです。計画が横道に逸れてしまうこともあるかもしれません。そのようなことを防止する上でも、目標を明確にする意義は大きいと言えます。
具体的な計画が決めやすくなる
プロジェクトを進める上で行う細かな作業は、マイルストーンや日単位のスケジュールをもとにして行われます。そして、マイルストーンや日単位のスケジュールを策定するには、ロードマップが必要です。もし、ロードマップを作成せずに、マイルストーンや日単位のスケジュールを立てたとしても、あまり上手くいかないでしょう。全体の進捗状況を把握するのも難しくなります。
その点、ロードマップがあればプロジェクトの全体像を把握できるので、マイルストーンも設定しやすくなります。いつまでにどの作業を完了させればいいのか、具体的に計画を策定するのに役立つでしょう。全体の進捗状況もロードマップと照らし合わせることで把握しやすくなります。
計画を共有する
プロジェクトにおいて個々のメンバーが担う役割は異なるため、自分が直接関わらない部分は詳しく把握していないこともあります。その点、ロードマップを作成することで、プロジェクトのメンバー全員に対して、プロジェクトの全体像を共有できます。自分が担当する部分以外に関しても、状況を把握しやすくなるでしょう。
また、ロードマップはプロジェクトのメンバーや社内だけで使用するものではありません。クライアントなど関係者にもロードマップを共有することができます。これにより信頼感を高めることができるでしょう。
ロードマップの作り方
ロードマップの作成は、次のような手順を踏んで進める必要があります。
ゴールと期限の設定
最初にゴールと期限を明確にしておきましょう。ゴールとは、そのプロジェクトの目的のことを指します。システム開発やソフトウェア開発なら、成果物が完成しクライアントに納品すればゴールです。売上アップなどのロードマップなら、最終的に売上額がいくらになればゴールとするのか具体的に設定しておきましょう。
期限は、システム開発やソフトウェア開発なら、クライアントと交渉して決めた納期です。売上アップなどの場合には、1年間や翌年度末までなど、目標達成したい期間に応じて決定します。
中間目標の設定
中間目標というのは、ゴールにたどり着く過程で達成すべき目標のことです。最終的なゴールは遥か遠いものに思えても、複数の中間目標を設定することで、少しずつゴールに近付いていくことができます。
中間目標を設定する際には、マイルストーンという形を採ることが多いです。システム開発やソフトウェア開発なら、作業全体を区切りのいいところでいくつかに分けるといいでしょう。1つ完成するごとに全体の完成に近付いていけるため、モチベーションも維持しやすくなります。
売上アップなどの場合には、期間を区切った上で小さな目標を立てるといいでしょう。例えば、全体の期間が1年間なら四半期に分けるという具合です。
現状の把握
プロジェクトに参加する人数や使える予算、これまでの実績などを改めて確認してみましょう。中間目標の設定まで行えば、どのくらいの人員や予算が必要なのか把握できます。現状と照らし合わせて、目標を達成できる目途が立つかどうか検討しておきましょう。
売上目標などの場合には、これまでの実績から実現可能性をある程度見積もることができます。ゴールから逆算して、どのくらいのペースなら順調と言えるのかも把握できるでしょう。
解決が必要な問題点を洗い出す
現状を把握したことで、今のままではロードマップのゴールに到達するのが困難であると判明する場合もあるでしょう。このとき、何を解決すればゴールへの到達が可能になるのか考察しなければなりません。解決が必要な問題点を洗い出してみましょう。
例えば、目標設定に無理や矛盾がある、人員が足りないなどの問題点が挙げられます。これらについて一つひとつ解決策を模索していく必要があります。
目標設定に無理があるなら、実現可能性のある目標に修正しましょう。人員が足りないなら、プロジェクトに参加する人員の増員を検討することなども解決策の1つです。
計画の作成
問題点を解決したら、具体的な計画を作成しましょう。主要なマイルストーンを繋ぎ合わせ、プロジェクトの全体像を把握しやすいように作ります。
ガントチャートやフローチャートなどの形で計画を作成すると、視覚的に捉えやすくなります。
周知・実行する
ロードマップが完成したら、プロジェクトのメンバー全員に内容を共有し、賛同を得ましょう。そうすることで、メンバー一人ひとりが責任を持って主体的にプロジェクトに取り組めます。
併せて、社内やクライアントへの周知も必要です。社内でプロジェクトのメンバー以外の社員に周知することで、どんなプロジェクトが進められているのか認識してもらえます。クライアントにとっては、ゴールや大まかな道のりが分かることで、安心できるでしょう。
ロードマップを作成する際の注意点
ロードマップを作成する際には、次のような点に注意しましょう。
細かく書きすぎない
ロードマップを作成する際に、分かりやすいように書こうとするあまり、つい細かく書きすぎてしまうことがあります。
しかし、ロードマップはあくまで、プロジェクトの全体像を記載するものです。あまり細かく書きすぎると、全体像を掴みにくくなってしまうため注意しましょう。
基本的にロードマップには、一つひとつのタスクの内容について詳細に分かるように書く必要はありません。詳しい情報よりも全体を俯瞰的に把握できることの方が重視されます。
細かい内容に関しては、マイルストーンや日単位のスケジュールなどに記載します。そのため、ロードマップには記載しなくても困ることはありません。細かな内容の記載を省くことで、見やすいロードマップを作れます。
目標は数値を入れて明確にする
ロードマップに記載する目標には、明確な基準を設けなければなりません。基準が曖昧になってしまうと、目標を達成したかどうかの判断が難しくなるためです。
例えば「売上をアップする」という目標だけでは、人によって捉え方が異なってしまうでしょう。前年より少しでもアップしたら達成したと捉える人もいれば、30%以上アップしなければならないと捉える人もいるかもしれません。
目標に数値を入れることで、客観的で分かりやすいものにしましょう。売上アップを目標とする場合には、具体的に「前年比20%アップ」や「10億円」などという具合です。
マイルストーンを設ける際にも、同じように数値を入れた目標を定めることで、今後の方向性を見定めやすくなります。
まとめ
ロードマップはプロジェクトの目標やそれに至るまでの大まかな計画を俯瞰的に記したものです。図や表などを用いて時系列的に見やすく記載します。ロードマップを作成することで、目標が明確になり、日単位の細かな計画も立てやすくなります。
そして、ロードマップでの計画通りに開発・リリースを進めるには「要員管理」や「タスク管理」が重要です。プロジェクト管理について詳しい資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。
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