社内のリソース不足に悩んでいる企業経営者や担当者の方は少なくないでしょう。リソース不足は、生産性や市場の競争力低下を招くほか、従業員の離職にもつながります。本記事では、企業がリソース不足に陥る原因や、それによって引き起こされるリスク、解消するための方法などについて解説します。
リソースとは?
ビジネス用語として用いられるリソースとは、企業活動に要するさまざまな資源を指します。リソースには、「人」「モノ」「金」「情報」「時間」「知的資産」などがあります。
これらの資源は、企業が事業を営み、継続的な発展を続けていくうえで不可欠な要素です。企業活動を展開するには必ず従業員(人)を要し、商品・サービスの開発や事業拡大には設備(モノ)・資金(金)などのリソースが求められます。
リソースの種類
企業活動に不可欠な資源として、ヒューマンリソースが挙げられます。これは企業においてもっとも重要な資源であり、人がいなければ事業継続もままなりません。また時間や金、情報などの経営資源や、社外の資源なども企業に必要なリソースです。
ヒューマンリソース
ヒューマンリソースは、人的リソースとも呼ばれます。組織に属し、業務に携わる従業員のことであり、企業活動を展開するうえでもっとも重要な資源といっても過言ではありません。
なぜなら、人がいないと企業は事業を営むことすらできないためです。どれほど潤沢な資金や貴重な情報を資源として抱えていても、現場で働いてくれる従業員がいなければ事業は進みません。
商品の開発や生産、営業活動など、あらゆる業務において人的資源は必要です。企業が事業を営むうえで、十分な人的資源を確保できていないと、売上や利益の拡大も見込めません。
経営リソース
経営リソースとは、時間や金、情報、知的財産などが該当します。たとえば、時間は有限であり、限られた時間をいかにうまく使うかがビジネスの成否を左右します。十分な数の人と潤沢な資金があっても、時間を無駄にしていると競合他社に出し抜かれるおそれもあります。
資金も同様に、企業の経営において重要な資源です。素晴らしいビジネスのアイデアを有していても、実現するための資金がなければ絵に描いた餅となってしまいます。アイデアの具現化や人材の採用、商品の生産、設備の導入など、あらゆることに金は必要です。
また、情報社会である現代において、情報は大切な資産です。企業が扱う情報の種類は多岐にわたり、顧客の属性や過去の取引情報、市場のデータ、独自のノウハウなどさまざまです。現代ビジネスでは、これらの情報を分析・活用することで利益につなげます。
これらの資源は、企業活動を継続するうえで確実に必要であり、リソース不足は組織を窮地に誘いかねません。そのため、適切な管理体制の構築と維持が求められます。
外部リソース
外部リソースとは、社外に存在する資源を指します。代表的なものとして、アウトソーシングや人材派遣などが挙げられます。社内のリソースが不足している場合に、外部リソースを利用するケースが少なくありません。
外部リソースを利用すれば、特定のスキルを有する人材が自社にいなくても、外部から招いて活用できます。わざわざ人材を育成する手間が省けるほか、コストも削減できます。
また、誰でもできるような単純作業をアウトソーシングすれば、それまでその業務に携わっていた人材をコア業務に投入でき、リソースを有効活用できます。
リソースが不足すると起こること
企業におけるリソース不足は、従業員の離職率を高めるおそれがあるため注意が必要です。また、生産性の低下に伴う売上や利益の減少、市場における競争力の低下を招くおそれもあります。
従業員の離職率が上がる
人的資源が不足すると、個々の従業員にかかる負担が増大します。本来2人で担当すべき作業を1人で担わなければならないような状況に陥り、肉体的・精神的な負担が増加し、モチベーションの低下も招きます。
このような状況が続くと、従業員の離職につながります。ブラック企業がメディアに取り上げられ、社会問題化している現代において、わざわざ劣悪な環境に身を置こうとする人は少ないでしょう。従業員が離職すると、残された従業員へさらに負担がのしかかるようになり、さらなる人手不足を招きます。
人だけでなく資金やモノが足りない環境でも、従業員の離職率が高まる可能性があります。資金がなく職場環境を改善できない、便利なツールを導入できず非効率な仕事の進め方を強いられている、といった状況では離職しないほうが不思議なくらいです。
生産性の低下
人手が足りないと、本来必要な人員を業務に投入できず、生産性が低下します。その結果、それまで1時間で50の品を製造していたのに、30個しか作れなくなった、といった状況が発生し、売上や利益も減少します。
ITツールやアプリ、デバイスなどが不足している環境下では、業務が非効率になりがちです。たとえば、顧客管理システムを利用せず、手動ですべての顧客情報を管理しているといった状況では、業務が非効率になるのはもちろん、従業員に過度な負担を強いてしまうでしょう。
市場における競争力の低下
情報の不足は、市場における競争力の低下を招きます。現代ビジネスにおいて、情報が強力な武器であることはいうまでもありません。たとえば、市場におけるトレンドの情報をいち早く取得できれば、競合他社を出し抜く新たな戦略の立案が可能です。
一方、情報が不足するとトレンドを察知できず、競合他社にシェアを食い荒らされてしまうおそれがあります。また、自社に対する顧客の評価や満足度といった情報が不足すると、見当違いな商品やサービスを開発してしまい、かえって顧客離れを招く可能性も否めません。
リソース不足に陥る原因
リソース不足に陥る原因としては、少子高齢化に伴う労働人口の減少が挙げられます。また、社内の体制や環境が整わず業務効率を損ねている、企業の制度が適切でない、といった状況も資源不足に陥る可能性があるため注意が必要です。
少子高齢化が進んでいる
日本の少子高齢化は社会問題に発展しています。少子高齢化に伴い、日本の人口は減少の一途をたどっており、労働人口もますます少なくなっているのです。労働人口が少なくなれば、企業が確保できる人材の数も少なくなってしまいます。
総務省統計局が公表したデータによれば、2021年10月1日時点での総人口は1億2,550万2千人となっています。人口は10年連続で減少しており、しかも1950年以来、最大の減少幅といわれているのです。今後もこのような状況が続くのであれば、企業はますます労働力の確保が難しくなるでしょう。
(参照元:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html#:~:text=%E7%B7%8F%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E3%81%AF64%E4%B8%87,%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)
社内の体制が整っていない
社内の体制や環境が整備されておらず、業務効率の低下を招いているケースは少なくありません。たとえば、デジタル化が進んでおらず、ほとんどの業務をアナログな手法で行っている、といったケースが挙げられます。
ツールやシステムを導入せず、アナログな手法でしか業務を遂行できないとなると、必然的に生産性が低下します。個々の従業員にかかる負担も大きくなり、モチベーションの低下も招くでしょう。そうなれば業務品質の低下にもつながり、最悪の場合、離職につながるおそれもあります。
企業の制度が適切でない
長時間労働が常態化しているような企業では、生産性の低下が懸念されます。長時間労働は集中力を下げてしまい、業務品質の低下やミスの頻発なども招くでしょう。マルチタスクを強いているような企業も同様です。これらのケースでは、業務量に対する人材配置が適切かどうか確認する必要があります。
また、評価制度が原因でリソース不足を招く可能性もあります。努力しても報われないような職場では、従業員のモチベーションは上がりません。正当な評価をしてもらえないと考え、離職する従業員が出てきてもおかしくはないでしょう。
リソース不足を解消するには
リソース不足を解消するために、まずは職場環境の改善から取り組んでみましょう。従業員が働きやすい環境を構築することで、離職率の低下が期待できます。また、幅広く人材を採用する、生産性向上のためのプロジェクト管理ツールを導入するなどもリソース不足解消に有効です。
職場環境を改善する
劣悪な職場環境は、従業員に過度な負担を強いるだけではなく、モチベーション低下や離職を招き、リソース不足の原因になってしまいます。職場環境を改善し、従業員が快適に働きやすい環境を構築すればモチベーションアップにつながり、人材の定着も期待できます。
たとえば、業務に便利なITツールを導入するのもひとつの手です。業務を効率よく遂行できるようになり、従業員への負担を軽減できるでしょう。また、評価制度や待遇を見直すことで、意欲的に働いてもらえるようになる可能性があります。
そのほか、部門間の壁をなくす、従業員同士が交流できる場を設けるなど、コミュニケーション活性化の取り組みも、人材の定着を図るのに有効です。
幅広い人材採用・育成を推進する
ただでさえ労働人口は減少しているのに、選り好みしているとますますリソース不足に陥ります。従来の慣習や採用基準にとらわれず、幅広く人材を採用することでリソース不足の解消につながる可能性があります。
多様な働き方ができる企業を目指すのもよいでしょう。テレワークや短時間労働にも対応できる企業であれば、主婦や親の介護をしている人など、さまざまな理由で出社できない層を取り込めます。また、人材育成にも注力し、個々のスキルをアップさせれば組織全体の戦力上昇につながります。
プロジェクト管理ツールを利用する
プロジェクト管理ツールを導入すれば、タスクやプロジェクトの全体像を容易に把握でき、スムーズなコミュニケーションも実現します。効率よく業務を遂行できる環境が整うため、ヒューマンリソース不足への対応が可能です。
プロジェクト管理ツールは、さまざまな製品がリリースされているため、機能や費用、操作性などを比較しつつ選定するとよいでしょう。「OBPM Neo」のようなプロジェクト管理ツールであれば、さまざまなデータを一元管理できるほか進捗管理やリスク管理まで行え、業務効率化を実現できます。
まとめ
リソース不足は生産性や市場の競争力低下を招き、従業員の離職にもつながります。これらのリスクを回避するには、職場環境の改善や幅広い人材の採用・育成が有効です。また、「OBPM Neo」のようなプロジェクト管理ツールを導入し、業務効率化を図るのも有効なリソース不足対策のひとつです。
プロジェクト管理について詳しくまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。
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