リファクタリングとは?定義やメリット・デメリットを解説

 2022.08.10  株式会社システムインテグレータ

リファクタリングとは、外部から見た時の挙動は変えずに、プログラムの内部構造を整理することです。かつては「プログラムが一度完成したら、もう余計な手を加えるべきではない」とされるのが一般的でした。しかし現在では、リファクタリングは安定した長期運用を支える重要な工程とされています。定期的なリファクタリングでソースコードを整理すればトラブル時の対応も容易になり、担当者の負担が軽減されて短時間で解決できるなどの利点があります。

この記事では、リファクタリングの定義とメリット、デメリットまでを詳しく解説します。

リファクタリングとは?行う目的は何か?

リファクタリング(refactoring)という語の本来の意味は「再設計」を意味します。

プログラムの機能追加や修正の前にソースコードをわかりやすくすれば、作業者がソースコードを容易に理解できるようになりスムーズに作業を行えます。そのため、リファクタリングという方法は、複数人で開発する環境を想定して生まれました。

具体的には、正常に動作するプログラムの階層構造を簡略にしたり、要素名を整理したりして、内部構造を整えます。なお、実際に使用したときの外見や挙動は変わりません。

リファクタリングを行う目的は「プログラマーなど作業者の負担を減らすため」「ソースコードを読みやすくするため」「問題発生時に早く処理するため」「システムを安定して長く使うため」といった理由が挙げられます。

例えば、if文などのネスト(入れ子構造)が深いと、バグの温床になりかねません。自分以外の作業者がコードを編集するときにソースコードの構造が煩雑だと、理解が難しくなるためなるべくシンプルなソースコードに修正する必要があります。

リファクタリングのメリット・デメリット

ソースコードを精密に検査・整理すれば、内部構造と役割を理解しやすくなるため、もしものトラブルが起きても原因を推測しやすくなります。

また、内部構造を作業担当者間で共有できるため、開発スピードが早まったり、システムを安定的に利用できる点もメリットです。

ソースコードの重複箇所を簡略化すると構造が単純化されるため、煩雑なソースコードが原因になるトラブルやシステムの劣化を防止できます。重複が多いソースコードは他者だけでなく自分自身にも解読が難しく、ロジックを変更するときに負担がかかりかねません。

他者が書いたソースコードは作業を引き継いだときに読みづらく、かえって時間や手間が増える可能性があります。リファクタリングを適切に行えば、誰にでも見やすく・扱いやすいソースコードになるでしょう。自身が書いたソースコードを他者に正しく読んでもらいたいときにも、このリファクタリングが有効です。

リファクタリングによってソースコードがシンプルになるとトラブル部分を発見しやすくなります。バグの発見だけではなく、将来的にバグの原因になりそうな箇所の推測も容易になります。

運用中のソフトウェアをリファクタリングするときには、現在動いているソースコードと別にテストコードが必要になります。リファクタリングは将来起こりうるトラブルを防ぐ効果を持っていますが、既存の動作しているソースコードとは別に追加のソースコードを作成しなければならないため、その作業の重要度を周囲に理解してもらう必要が生じる可能性があります。。

リファクタリングの方法

リファクタリングの基本的な作業は、ソースコード内で重複していて読みにくく、バグの原因となりやすい部分の削除です。たとえソフトウェアの挙動に問題がないように見えても、ソースコードには改善の余地があるかもしれません。

その他、順番を入れ替えるなどの方法でネストを浅くする、ソースコード内で使用する変数や関数の名前をできるだけシンプルにするなどの方法も挙げられます。このような処置をすることで、他者や過去のソースコードを自身で見た際に各変数・関数の意味を理解しやすくなるでしょう。

リファクタリングを施していないソフトウェアは、どうしてもソースコードが煩雑になりがちです。無駄な重複が多いとバグ発生のリスクが高まり、修正も難しくなります。

一見して遠回りにも見えるリファクタリングの作業は、結果的に開発速度と品質を向上させます。ソースコードの理解が簡単になり、修正や機能追加を容易におこなえるようになるのです。

リファクタリングを実施するタイミングと注意点

リファクタリングに取り組むタイミングのひとつの目安として、機能追加・バグ修正の前・改善点の発見時などが挙げられます。プログラムに機能を追加したりバグを修正したりする前にリファクタリングをおこなえば、本番の作業に入るための準備になります。

一方で、ソフトウェアの挙動に影響を与えないために、作業範囲を細かく区切りながらのテスト実施が求められるでしょう。作業範囲が広くなりすぎた場合、テストにパスできなくなると、問題箇所の特定が難しくなるためです。そのため、リファクタリングの際には広範囲に一気に手を加えず、少しずつ修正とテストを繰り返す方法などが推奨されます。

また、バージョン管理ツールなどを使ってこまめなバックアップも重要です。リファクタリング自体で失敗する可能性もあるため、失敗時の修正が容易になります。

なお、近年ではテスト用に開発されたツールなどもあるため、そういったツールを活用するとスムーズでしょう。

まとめ

今回はリファクタリングの定義、メリットやデメリットを解説しました。スピードを意識したアジャイル開発が一般的になった今、、リファクタリングの重要度が再認識されています。ソースコードへの正確な理解を作業者間で共有すれば、システムのブラックボックス化も予防できるでしょう。

サービスインしたソフトウェアをリファクタリングすると、安定した運用をあとから担保できます。そのため、納期短縮との両立も実現することが可能です。


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