レトロスペクティブとは?KPTなどの手法や必要性を徹底解説

 2023.01.11  株式会社システムインテグレータ

アジャイル開発のスクラムで振り返りに活用されるレトロスペクティブ。レトロスペクティブを行うことで、開発の振り返りができます。本記事ではレトロスペクティブの特徴や実行する際のステップ、4つの基本的な手法解説します。 

レトロスペクティブとは

レトロスペクティブ(retrospective)とは、スクラム開発のスプリント終了時に行う振り返りミーティングのことです。アジャイル開発手法のひとつであるスクラム開発では、スプリントを繰り返して製品の品質を高めていきます。スプリントは1~2週間の期間内にタイムボックスを構築して仕様設計からリリースまで一通りの行程を迅速に行う開発方法です。 

詳細は下記をご確認ください。 

アジャイル開発とスクラム開発の違いとは?それぞれの開発手法について特徴やメリット、その関係性について解説
https://products.sint.co.jp/obpm/blog/agile-scrum

スプリントとは?アジャイル開発やスクラムとの関係性、メリットを解説 https://products.sint.co.jp/obpm/blog/agile-sprint

スプリント後には、スクラムマスターと開発チームのメンバーが主体となってレトロスペクティブを行い、良かった点や悪かった点、今後の課題や解決方法などを話し合います。スプリント終了時には、スプリントの成果を振り返って評価する「スプリントレビュー」が行われ、さらにスプリントのプロセスやチームの動きなどを振り返るレトロスペクティブが実施されるケースも多くみられます。 
スクラム開発でスプリントを行う際には、短期間でスムーズに作業工程を進めるためにチームメンバー間で円滑なコミュニケーションを取り合うことも重要です。レトロスペクティブでは全員がスプリントを振り返り、タスクの処理数、ストーリーポイントなどから自己評価を行います。「連絡の共有に時間がかかる」など開発時に感じた課題についても意見を出し合い、次回のスプリントでの改善策を話し合うことも可能です。開発中には、作業で忙しいメンバーとスクラムマスターが向き合ってチームの成長のための話し合いができる場としても重要な役割を担っています。 

レトロスペクティブの必要性

繰り返し行うスプリントでは、毎回そのプロセスを改善することが重要です。レトロスペクティブを取り入れると、現在の開発状況を効果的に振り返ることができるため、うまく進まないスプリントの改善が期待できます。スクラム開発では、製品の品質向上や効率アップのため、短期間で繰り返すスプリントを改善する必要があります。チームが抱えている課題をスプリント後のミーティングですべて引き出し、注意が必要な課題に対する解決方法を導き出さなければなりません。 
スプリント中には、開発メンバーが作業で忙しいため、話し合いの場を設けてプロセスの問題点をお互いに共有することがなかなかできません。それでも改善を繰り返す必要性から、開発が終了してからスクラムマスターや開発メンバーがスプリントの振り返りを行う場として、レトロスペクティブが行われます。また、スプリントの回数が増えるほど開発や製品の状況が管理しにくくなることもあり、スプリントごとにメンバーら全員が現状を共有できるようデータを収集し、チーム全体で確認し合える点でもレトロスペクティブは重要な役割を果たしています。 
本来では毎回改善が必要なスプリントでも、一度開発方法が定まってしまうとその方向性を変えることが難しい場面があるかもしれません。開発行程を初回から改善できていない場合、開発プロセスの課題をいつまでも抱えたままになります。改良されないムダの多い開発プロセスのままでは製品品質の向上も難しくなり、スクラム開発のメリットは活かせません。スクラム開発を成功させるスプリントの効果的な改善を行うためには、開発メンバー全員がスプリントを振り返り、お互いに有益な意見を出し合えるレトロスペクティブを取り入れることが大切です。 

4つのレトロスペクティブの手法を解説

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レトロスペクティブには、プロジェクトの良い点・悪い点に着目したり、実行して分かったことなどを振り返ったりする以下の4つの手法があります。適した手法を選ぶことで改善策を見つけられます。 

  1. KPT法
  2. YMT法
  3. PDCA法
  4. FDL法 

KPT法

KPT法とは、振り返りの手法のひとつです。「keep(成果がある継続事項)」「problem(解決が必要な課題)」「try(次に実施する事項)」の頭文字をとってKPT(ケーピーティー・ケプト)と呼ばれています。アジャイル開発においてよく活用されている手法で、個人の業務や、プロジェクトチームを集めて全体で振り返りを行うケースなどに幅広く利用可能です。 
KPT法では、現在の課題を洗い出して、問題解決に向けて次に実施する事項まで決定します。話し合いの場で課題の改善方法を具体的に決め、その結果をメンバー全員で共有できることから、課題の早期発見と解決が期待できます。メンバー全員から意見を集めて議論を行う手法なのでコミュニケーションの円滑化につながり、有益な情報の共有も可能です。 
KPT法は、「keep」「problem」「try」のそれぞれのセクションに全員で意見を出して、書き出していく方法です。「keep」には「できたこと」をまとめ、「problem」には「発生した問題とその原因・考え方」を洗い出して個人の考えも確認していきます。「try」では「problem」の内容をもとに「改善のためにチャレンジしたいこと」を具体的に決めることが大切です。KPT法で繰り返し振り返りを行うことにより、課題が解消してより効果的な改善策の実現につなげられます。 
 
YWT法

YWT法は「Y:やったこと」「W:分かったこと」「T:次にやること」の頭文字をとった略語です。日本語がもとになっている名称がつけられた内省・振り返りの手法で、「日本能率協会コンサルティング」が提唱しています。YWT法は個人の振り返りとして活用されることも多く、実際にやったことは何か、その経験からどんなことが分かったか、そこで気づいたことを次にどうつなげられるかについて検討できます。 
YWT法の特徴は、Y、W、Tの項目順にプロジェクトの振り返りをまとめていくところです。Yでは、一人ひとりが行った努力や工夫、新しい発見などを挙げていきます。計画に対して実際に何ができたか、新しい発見のあった背景は何かといった「やったこと」について洗い出します。 
WではYによって何に気づいたか、人によって感じ方・考え方は異なるため、それぞれが「分かったこと」について意見を出し合うことで、Yの原因を深く追及することが可能です。次のTの段階にはY・Wの内容を踏まえ、良い点を認めて継続を決定、問題点を見つけたらその改善策に対する意見を出し合い、最終的に「次にやること」を決めます。YWT法は、プロジェクトをその背景まで振り返り、個々の意見をもとに今後の改善を考える手法です。 
 
PDCA法

PDCA法は、「Plan:計画」「Do:実行」「Check:評価」「Act:改善」の4つのプロセスを繰り返して業務を改善していく手法です。PDCA法は業務改善などに幅広く活用される手法で、プロジェクト管理に取り入れられるケースも多くあります。評価・改善による振り返りのほかに、計画や実行など一通りの流れを管理できます。 
PDCAのPは、プロジェクトの計画を立てる段階です。プロジェクトの目的から目標を設定し、目標達成に向けていつまでに・誰が・何をするべきかまで決定します。Doでは計画の実現に向けて業務を実行します。ここでは計画どおりにどこまで実行できるかが重要です。Checkは、Planどおりに実行されたかどうかを確認する段階です。達成されていない計画があった場合には、できなかった箇所やその原因について分析・洞察します。 
Actが計画を改善する段階です。Checkで分析した内容をもとに作業を修正するなどの改善や、改善策を取り入れた新しい計画を作成して次のPDCAサイクルにつなげます。プロジェクトを成功させるためには、具体的な目標を設定してPDCAを適切に回すことが大切です。 
 
FDL法

FDL法は、「Fun(ファン):楽しかったこと」「Done(ダン):できたこと」「Learn(ラーン):学べたこと」の略で、この3つの項目に着目して行う振り返り手法です。「Scrum Coaches Retreat in Okinawa」で開発された手法で、ほかの振り返り手法にはないFunが含まれている点が大きな特徴です。 
全員がエリアごとに自分の考えを書き出すためお互いの考え方を共有でき、Funの項目があるため楽しい内容について気軽に会話できるなどのメリットがあります。 
FDL法では、ボード上にFun、Done、Learnの3つの輪を互いに交差するように書き、3つそれぞれの単一エリアと、項目が重なり合うエリアのある図を作成します。メンバーは、全員が「自分のやったこと」を書いた付箋を図の中で当てはまるエリアに貼っていき、付箋を見て会話をしながら振り返りを行います。そしてスプリント・プロジェクト全体についても、それぞれが該当するエリアを選んで印をつけ、全体について評価することが大切です。全体を振り返って評価したあとは、次のスプリントで目指したいエリアについて話を行います。次のスプリントを目指すエリアに近づけるための改善策が決まったら、次回のスプリントで実際に取り入れ、改善を目指します。 

レトロスペクティブのステップ

レトロスペクティブのステップは、開催する場を設定し、必要なデータを収集して、次のスプリントでは何をするべきかを決定するという流れで行います。レトロスペクティブを適切に行い、効果的に改善策を導き出すことが大切です。 

1. 場を設定する 

レトロスペクティブの開催時には、最初に参加者が議論しやすい雰囲気や場を作ります。スクラムマスターは参加者に対して歓迎と感謝の気持ちを述べ、開催の目的と目標を確認します。場の設定では、開催前には全員から一言述べてもらうなど、レトロスペクティブへ積極的に参加してもらうための準備を整えることが大切です。スクラムマスターはレトロスペクティブを確実に開催し、生産的なミーティングにするため全員の積極的な参加を促す必要があります。 

2.必要なデータを収集して確認する 

振り返りを適切に行うためには、充分にデータを収集しなければなりません。データを収集して情報として共有すると、個人的な考えではなく共通の理解を得ることにつながります。データとして収集するものは、ミーティング内容やチームメンバーの変更、新技術など、チームに関係あるすべてのイベントや、ベロシティ、不具合件数、ストーリーなどのメトリクス、データのレビューなどです。集めたデータを用いて全体で確認を行います。 

3. 何をするべきか決定する

手法に沿ってレトロスペクティブを行いメンバーからアイディアを集めたあとには、次に何をするべきかを決定します。集めたアイディアをもとに得られた改善策は、全員で優先順位をつけてリスト化しておくことが大切です。次に行うものは、チームメンバーの決定した優先度の高いものから選択していきます。選択する改善策は無理なく対応するために1つか2つほどに絞ります。チーム全体で取り組むことが可能で確実に効果が得られる改善策を選択し、実行しやすいように具体的なアクションまで決定しなければなりません。 

4. レトロスペクティブを終了する

最後にレトロスペクティブ自体を振り返って終了します。終了時には、振り返りの内容を文書化してから、実行する際の効果を上げるためにフォローアップを計画します。レトロスペクティブのレトロスペクティブも必要です。的確に振り返りができていたかを確認するために、よくできていた点や変えるべき点などを確認し、スクラムを構成する3本柱のうちの2つ「検査」と「適応」をレトロスペクティブにも活かして、次回の振り返りに役立てます。 

プロジェクト管理ツールを活用して組織力をより強化しよう

レトロスペクティブは、スクラム開発で繰り返して行われる振り返りミーティングです。レトロスペクティブを効果的に開催すると、開発プロセスの改善や製品品質の向上が期待できます。 
チーム全員が参加し、開発時の解決策を導き出すレトロスペクティブを取り入れることで、チーム全体のコミュニケーションが円滑化して組織力を高めることにもつながります。プロジェクト管理ツールOBPMをレトロスペクティブに活用すると、プロジェクトをクラウドで一元管理でき、蓄積されたデータの分析が可能です。ツールによりチームメンバーの情報共有が実現し、より組織力を高めることが期待できます。 

まとめ

レトロスペクティブは、スクラムでメンバー全員が改善のための情報を共有・理解し、業務効率化や組織力向上を期待できる重要な手法です。プロジェクト管理ツール「OBPM Neoは、統合型プロジェクト管理ツールとしてプロジェクトのデータを蓄積・分析可能なため、レトロスペクティブをより効率化できます。レトロスペクティブの効率化のためにツールの導入もぜひご検討ください。

またアジャイル開発のプロジェクト管理については、過去に実施したウェビナーのの講演資料を公開していますのでこちらもぜひご覧ください。

アジャイル開発のプロジェクト管理手法

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