クローズ型BtoBサイトに求められる事とは? ~EC化率を上げるBtoBサイト作りのポイントを解説~

 2021.10.18  株式会社システムインテグレータ

昨今、企業のDX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)の取り組みの加速化や、コロナ禍で営業マンが得意先に訪問できなくなっている等々、様々な市場環境の変化とともにBtoBのECサイトを構築したいというニーズが今まで以上に増加しています。

実際、弊社にいただくご相談も、BtoB ECサイト構築の内容が顕著に増えてきており、BtoB EC市場全体の盛り上がりを肌で感じている今日この頃です。

今回は、これから新規にクローズ型のBtoBサイトの構築を検討するにあたって、具体的にどのような事が求められているか? そして、EC化率を上げるポイントをご紹介させて頂きます。

ECサイト構築基本ガイド

BtoB‐ECサイトの違い

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「BtoB EC」という言葉を一つとっても、実際には「何をもってBtoBサイトと言っているか?」は、企業によって大きく異なっています。大きく分類すると、3つに分けられます。

1.クローズ型 のBtoB
2.オープン型 のBtoB
3.半クローズド型のBtoB
 

1. クローズ型のBtoBサイト

企業が既存顧客に対し、従来型のTELやFAX等のオフラインでの受注をWEB化しようというサイトとなります。既存顧客が対象である為、契約が無い顧客はサイトを見る事も出来ません。既存受注業務のWEB化である為、目的は受注業務の省力化であり、従来の商習慣(個社毎の売価ルールや留め型品の販売等)を踏襲する必要があります。

2.オープン型のBtoBサイト

商材的にターゲットは法人ではあるものの、クローズ型のように既存の契約有無に関わらず、
誰もがサイトを閲覧でき、フロントから会員登録を行って商品を購入できるサイトです。
与信管理をしている既存顧客では無い為、決済は前受けやカード、都度後払い等を利用します。既存受注業務の省力化ではなく、法人向けに広くアプローチする事で売上向上を目的としています。代表的なオープン型BtoBサイトは、アスクルやMonotaRO等になります。

3.半クローズド型のBtoBサイト

サイト自体はオープン化されており、誰もがサイトで商品の閲覧や検索が可能ではあるのもの、承認されたアカウントで無いと、売価の表示も購入も出来ないサイトとなります。契約がある既存顧客にはアカウントを渡して購入して頂くけども、契約が無い新規の見込み客については、WEBカタログとしてサイトを活用して頂きつつ、新規取引の希望をWEBから受付しようという用途で利用されます。

このように、BtoBサイトと言っても目的、用途、ターゲットは様々ですので、当然どのようなBtoBサイトとなるか?によって、求められる機能も大きく異なります。昨今の「DX/コロナ禍」と言うキーワードは、既存の商取引をWEB化したいと言う事になりますので、1.のクローズ型のBtoBサイトが該当する事になります。

 

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クローズ型のBtoBサイトに求められるもの

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弊社は1996年に国内初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を発売開始して以来、ECパッケージベンダーとして、20年以上に渡り数多くのクローズ型のBtoBサイトを構築してきました。その中で数多くのお客様より求められてきた代表的な要素をいくつかご紹介します。

1. 得意先アカウントの組織化

多くのECシステムでは、BtoB向けといっても、アカウント(=ログインID)の発行単位は1社に対し1つで運用されているケースが多いようです。売り手側から見たら、A社、B社と会社単位で1つのグループであるように見えるのかもしれませんが、実際には相手も企業であり組織である為、当然複数の事業所があり、発注担当者も複数人存在します。共通アカウント1つでは、いつ誰がこの注文をしたのか?が、取引先側で追えなくなってしまいますし、セキュリティ的にも問題だと言われてしまいかねません。

その為、発注担当者毎にアカウントを発行し、そのアカウントが所属する部署や請求先、法人格をツリー上に紐づけたアカウントの組織化構造が求められます。その際、アカウント毎に売価を設定する仕組みとなっていると、同一企業でもアカウント毎にそれぞれ売価設定をする必要が出てしまうので、法人を指定して売価設定をする事で、所属する全アカウントの売価も共通で適応される等、アカウント単位ではなく、法人/組織単位で一括で設定可能とする機能も必要です。

さらに、大手企業では本社と支社のユーザで請求先が異なるケースも考えられる為、アカウントが所属する組織に対して請求先を設定する事で、紐づく全アカウントの請求先を一括で設定する事も必要です。また、同一企業に属するユーザも自社組織に与えられた役割や権限が存在します。例えば、発注権限を持つ社員には自由にWEBサイトでの注文を可能とするが、アシスタントには、在庫や注残の確認、社員が注文したデータに対する納期確認だけ任せたい。と言うような事です。その為、同一法人のアカウント毎に、管理者/担当者等の階層関係を持たせる事に加え、アカウント毎にWEBサイトで利用可能な機能を細かく設定出来るような権限設定が必要となります。

相手側が企業・組織である以上、自社での役割にそった形でのWEBサイトへの関わり方が出来ないと、従来のTEL・FAX受注からWEBへ切り替えて頂く事が困難となり、結果として、利用率があがらず思ったより受注業務が効率化されない。と言う事が起きてしまいます。

このようにアカウントを組織化し、個社毎の役割に応じた権限を柔軟に設定可能とする仕組みは、クローズ型のBtoBサイトを構築する際に重要なポイントとなります。

2. 得意先別商品別単価

クローズ型のBtoBサイトでは、既存の商取引のWEB化となりますので、既存得意先別、商品別の販売価格をWEBでもそのまま利用するという事が基本となります。
※ただし、自社の業務が省力化できた分だけ、従来より安価なWEB価格をあえて設定する事も、得意先のEC化率を上げる戦略も考えられます。

得意先をランク分けし、ランク毎×商品毎に仕切り率を決めている企業もありますが、得意先×商品×販売価格と、細かく契約売価を設定している企業も数多く存在します。その場合、得意先×商品の分だけ売価が存在する事になるので、商品数が多い企業の場合は、売価ルールが数百万件等の膨大なデータ数になる事もあります。

多くのECシステムでは、会員ランク×商品毎に割引設定を行う仕組みとなっている為、前者のランク毎×商品毎の売価設定には対応できても、後者の「得意先別商品別売価」に対応するにはカスタマイズとなるケースが大半です。またその場合は、既に基幹システムで得意先別商品別マスタを持っている場合が多いため、ECシステム側で個別に設定するのではなく、基幹側のデータを取り込み、該当する法人に所属するアカウントに、商品毎の個別売価を適用させていく仕組みが必要です。

よって、得意先別売価を登録する画面はさほど必要とはなりませんが、得意先、商品毎に契約売価がいくらで設定されているか?を簡潔に検索でき、分かりやすい画面で表示させる機能であったり、膨大な価格データを処理できるシステム基盤が求められます。

3. 得意先別商品別開示非開示

クローズ型のBtoBサイトでは、ある特定の商品は、”予め許可された得意先にしか販売してはならない。”と言った要件がよく挙がります。例えば、取引量が多い特定の得意先に対し要望に合わせた固有品番を用意し販売するケース(留め型品等)や、他の代理店との競合上の都合で販売先を限定せざる得ないケース、販売する商品自体は同じでも上得意先からの注文に対しては在庫を切らす事が出来ない為、上得意先と通常の得意先とで、あえて品番を分けて在庫を別で管理する等が挙げられます。

しかし、BtoB向けとうたっているECシステムでも、その多くは売価設定と同様にアカウントを会員ランクに振り分け、会員ランク毎に商品の開示・非開示を設定する機能は実装されていても、得意先×商品毎に細かく開示非開示が設定可能なシステムは少ないようです。

もし上記のような細かな開示非開示ルールが必要な販売をしていた場合、得意先毎商品毎に開示非開示の設定ができるシステムを選定したほうがよいでしょう。

4.売掛への対応

クローズ型BtoBでは、従来の取引と同じように基本は売掛で注文を請ける事となります。しかし、与信が通らない企業については売掛ができない為、特定企業に所属するアカウントは、自動的に前受やカード決済等、法人によって利用可能な決済を設定できる事が求められます。

売掛である以上、月次等で締めた受注データを法人単位でマージし、請求書を発行する事となる訳ですが、ECパッケージの機能として、請求書を発行可能な事を売りとしている製品も出てきてはいるものの、実は従来型の売掛請求においては、ECの請求書発行機能はあまり活用される事がありません。

その理由は、ECサイトを構築しても、全ての取引がWEBに完全にシフトしない為です。TEL・FAX等の従来チャネルの受注が残る以上、WEB受注+TEL・FAX受注を合算して請求書を発行する必要があるため、ECからWEB注文だけの請求書を出しても、請求書が分かれてしまうので得意先から敬遠されてしまいます。

よってEC側の受注データは、従来の受注を入力している社内の基幹システムに連携させ、基幹側でECからの受注をマージし、請求書を発行する運用が取る事が多いです。その場合EC側に求めらる事は、どのアカウントがどの請求先に紐づくか?を基幹側に通知させる事です。

同一企業でも本社、支社によって請求先が異なる場合等もありますので、どの事業所であれば、どの請求コードが紐づくかをEC側で設定ができ、各発注担当者の受注データに該当する請求コードを自動で出力させる事が求められます。

もちろんWEB化にあたって請求書発行業務を無くしたい。と言うニーズも良く耳にします。その場合は、ECパッケージに実装されている請求書発行機能をそのまま利用するのではなく、基幹システム側で集計した請求データを、EC側に連携させ、その請求データを閲覧可能な権限を持つアカウントに紐づける事で、該当アカウントは請求書をPDF等でダウンロード可能とするような仕組みを作る事をお勧めします。

5.承認ワークフロー

得意先のアカウントに対し、発注できる/できない等の権限を設定したとしても、企業によっては「発注権限は与えるが上長の承認が必要」と言うケースも存在する為、ECサイトでの注文でも同様な事を実現したいというのもよくあるニーズです。

予め承認機能を実装しているBtoBECシステムの多くは、単に承認者と非承認者を1対Nで紐づけるだけの構造になっている事が多いのですが、実際は得意先によって、誰が誰を承認するか?は様々ですので、機能はあっても自社の運用に合わず、結果として利用されないケースが目立ちます。

誰が誰を承認するかは、得意先側固有のルールとなりますので、サイトの運営者の設定によらず、得意先側のフロント画面で承認者と非承認者を自由に設定できる機能が求められます。

また、担当者の注文全てを承認者が承認しなければならないとなると、業務が煩雑になりますし、納期にも影響が出てきます。そのため、発注担当者のアカウントに対し、いくらまでの注文であれば承認を飛ばすのか、会社が認める定番品の注文であれば承認を不要とする、等々、金額や商品、納品先等によって、得意先が自由にルールを決められるようにする事で、TEL・FAX受注からWEBサイトへの注文に切り替えて頂く割合の増加に繋がってきます。

6.一括注文

クローズ型BtoBサイトでは、予め購入する商品が決まっている状態でサイトに訪れる、いわゆる「指名買い」が中心となります。また、棚卸等で在庫を補充する場合のように、一度の注文で複数の商品が同時に注文される傾向があります。
  
一般的なBtoC ECサイトのように、商品を検索してカートに投入するようなインターフェースの場合、カートに投入し、また検索して別の商品をカートに投入するという動きを繰り返す為、指名買い中心のBtoBサイトでは、得意先にとって不便であり、従来のFAX受注のほうが楽なのでWEBを利用しない。と言う事にもなりかねません。

そのため、指名買い中心の注文が予想される販売を行っている場合には、型番や品名と数量を入力するだけで、従来のFAXと同じようなイメージで、得意先側になるべく負担をかけずに、複数の商品を一括でカート投入できるようなインターフェースが求められます。
   
また、得意先側には発注システムが存在しており、そこから発注データが出力されるのでBtoBサイトにログインし、型番入力すらしてもらえない。という事も起こりえます。その場合は、得意先の業務を変えて頂く事は困難とはなりますが、得意先のシステムで出力されるCSVデータのレイアウトに合わせて、WEBサイトからCSVを登録するだけで、一括で受注を取り込む機能を用意する等、なるべく得意先の負担にならない工夫をする事が、EC化率を上げるポイントとなります。

EDI等を利用している企業は、そもそもECでの発注に切り替えて頂くのは不可能ですし、全ての企業に対し、先方のフォーマットで取り込める仕組みを作るのも現実的ではありません。よって、発注量や得意先との力関係を加味し、特定の上得意先がログインした場合のみ、先方の指定レイアウトで注文を取り込めるメニューを表示させる等、得意先によって利用可能な機能を分けるというのも選択肢ではないでしょうか。

 

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利用できる機能が潤沢、そして改修に制約が無い製品がおすすめ

クローズ型のBtoBサイトとは、極論貴社の商取引をWEBの世界に踏襲するものとなります。
各社様々な商習慣があるように、個社毎の独自の取り組みによって、本稿でご紹介した以外にも様々な機能を求められます。クローズ型のBtoBサイトを構築するにあたり、特に重要となってくるのは、「得意先にとって使いやすいサイトであるか?」です。

得意先にとって、どのような機能や考慮が必要となるか?を考える事が、BtoB ECサイトのEC化率を上げ、結果として貴業務を省力化する事に繋がります。これからサイト構築を検討するにあたり、プラットフォームを選定する際には、自社の業務視点だけではなく、得意先にとって必要な機能や要素が潤沢に備わっているか?と言う事と、さらにそれを自社の商習慣に合わせ、制約なく改変できる柔軟性があるプロダクトであるか?そして、ベンダ側がこれらの概念を良く理解しているか?が重要なポイントとなります。

弊社では過去多くの構築事例から、貴社/得意先両方の視点に立って、EC化率が上がるBtoBシステムのご提案が可能です。ご検討の際には是非お声がけください。

 

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