クラウドECとは?他の構築方法との違いやメリット・デメリットを解説

 2023.02.22  株式会社システムインテグレータ

ECサイトを構築するにはさまざまな方法があります。具体的にはASPカート、ECパッケージ、オープンソース、フルスクラッチなどでECサイトを構築することができます築するにはさまざまな方法があります。具体的にはASPカート、ECパッケージ、オープンソース、フルスクラッチなどでECサイトを構築することができます。

中でも昨今注目されているのがクラウドECです。クラウドECはECパッケージに分類されていますが、ECサイトパッケージと混同しやすく、ASPカートとの違いもわかりにくくなっています。

そこで、この記事ではクラウドECについての概要や運用するメリット、ECクラウドがおすすめの企業などをご説明します。ECサイトの構築を検討している場合は、ぜひ参考にしてください事ではクラウドECについての概要や運用するメリット、ECクラウドがおすすめの企業などをご説明します。ECサイトの構築を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

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クラウドECとは?

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クラウドECとは、ECサイト(ネットショップ)に必要な機能をクラウド上で全て保有し、ユーザーがサービスを利用できるようにしているものです。プラットフォームを自社で保有するわけではなく、ベンダーが持つことが特徴です。プラットフォームをベンダーが管理するため、ユーザーが常に最新システムを利用できることも強みでしょう。

ここまでの内容では、ASPカートとの違いがわからないことも多いです。クラウドECとASPカートは、必要なシステムが全てクラウド上で管理されているという概念では一緒です。

しかし、ASPカートはカスタマイズ性に乏しく外部連携がしにくいという懸念点があります。クラウドECであれば、その心配はほとんどありません。また、ECパッケージとも異なる点があります。

ECパッケージは自社の意向に合わせてカスタマイズすることが可能です。国内のECサイトにおいて大規模なものは、ほとんどがECパッケージで構築されています。前述の通り、クラウドECはECパッケージに分類されます。

ただし、ECパッケージは以下の懸念点があります。

  • ECシステムを導入したあとのシステムメンテナンスが必要
  • ASPカートに比べて導入費用が割高である

ECパッケージはシステムを企業のために切り出して構築するものです。そのため、共通のプラットフォームではなく、自動アップデートがなされません。ここがECパッケージの弱点といえます。

その点、クラウドECはASPカートとECパッケージのよいところを兼ね備えたプラットフォームとなり、導入することで多くのメリットがあります。

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クラウドECと他のECの構築方法の違いを比較

構築方法 構築費用
(初期費用)
導入期間 カスタマイズ セキュリティ 最新性
クラウドEC 300万~ 3ヵ月~6か月
ASP ~20万 1ヶ月~3ヶ月 ×
ECパッケージ 500万円~ 6ヶ月~18ヶ月 ×
フルスクラッチ 数千万円~ 12ヶ月~24ヶ月 ×

ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)

ASPはインターネット経由で提供されるサービスを利用する方法です。特にECサイトに必要なカート機能を提供するため、カートシステムと呼ばれることもあります。
無料~有料のサービスがあり、有料の場合も比較的安価になっています。
自社でサーバーを用意する必要や、システム構築に関する専門知識が不要なため、ECビジネスをスピーディに立ち上げることが可能です。

システムの管理は提供事業者が行うため、利用側はシステムのアップデートやセキュリティ対応を意識する必要はありません。
しかし基本的には用意されている機能しか利用できず、カスタマイズ性には乏しいため、独自性を出したり他のシステムと連携したりといったことは難しくなります。

ECパッケージ

ECパッケージは、ECサイトを構築するために必要な機能がパッケージになったシステムです。必要な機能がそろっているため、フルスクラッチで構築するよりもECサイトを素早く立ち上げることが可能です。
また、ECパッケージは機能のカスタマイズ性に富んでいます。ASPと異なり、基本的に自社の環境内に構築するため独自にカスタマイズや機能拡張などが可能になります。

自社環境に構築するため、サーバーやネットワークなどの用意を自社で行う必要があります。また、一定期間ごとにシステムのアップデート作業を行う必要があります。

フルスクラッチ

フルスクラッチ開発は、完全オーダーメイドでシステムを構築する手法です。ゼロから設計を行うため、パッケージやASPと比較してなんの制限もなく独自のシステムを作り上げることが可能です。

オーダーメイドのシステムになるため、ASPやパッケージと比較してコストは大きくなります。構築後にもシステムのメンテナンスや機能追加、セキュリティ面のアップデートなど、管理をすべて自社で行うことになるため、社内に専門的な知識を持った人が必要になります。

ECサイトの構築方法については、他の構築方法も含めてこちらの記事で詳しく解説しています。

ECサイト構築を徹底解説 | 要件定義や費用相場、会社の選び方まで

ECサイト構築パッケージ選定 7つのポイント
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クラウドECで運用するメリット

クラウドECでサイトを構築する5つのメリットとは?選び方までご紹介 2

ここからはクラウドECを運用するメリットを詳しくご説明します。クラウドECには以下の5つのメリットがあります。

低コストで運用できる

ECサイトを新規事業として始めるときに、最初からカスタマイズや外部システムとの連携を行うと、システムの開発費用に大きなコストが発生します。

特に新規事業であれば、費用対効果が合わない可能性もあります。売り上げの見込みに確信がない状態でECサイトを立ち上げるときは、システム開発への投資も必要最低限に抑えることが大切です。クラウドECであればコストを抑えながら、ECサイトの構築が可能になりますば、費用対効果が合わない可能性もあります。売り上げの見込みに確信がない状態でECサイトを立ち上げるときは、システム開発への投資も必要最低限に抑えることが大切です。クラウドECであればコストを抑えながら、ECサイトの構築が可能になります。

クラウドECでECサイトを構築して売り上げを伸ばした場合も、カスタマイズによってシステム連携がスムーズになります。この間にシステムの自動更新も入るため、ECパッケージよりも費用を抑えることができます。

ちなみに、クラウドECの初期費用は300万円以上を想定しておきましょう。ある程度のカスタマイズを検討しているならば、1,000万円~1,500万円ほど見込んでおくと良いでしょう。

導入期間が短い

クラウドECは短い期間で導入が可能となります。ECパッケージと同様ですが、元々ECに必要な基本機能を備えているため最短3カ月程度で導入ができます。また、カスタマイズをしても比較的早い導入が可能です。

導入期間が短いことが商機を逃さない要因となるため、クラウドECの早期導入は事業の成功にもメリットがあります。

自動でアップデートされる

クラウドECはシステムが自動でアップデートされます。そのため、常に新しいシステムを使うことが可能です。ECパッケージを利用した場合などは、常にユーザー側でシステムのメンテナンスが必要になりますが、クラウドECの場合そのような作業は必要ありません。また、システムの改修を何度も行うことで費用がかさんだり保守性が悪化したりする可能性もあります。。

クラウドECならば、追加機能のリリース、各種システムのアップデートは自動的に行われます。リソース不足でシステムの改修ができないという心配もないでしょう。自動アップデートは前述のコストを抑えることにもつながり、中長期的な視点で考えると、費用削減も見込めます。

最新セキュリティ対策の実装

クラウドECはシステムが自動でアップデートされるため、セキュリティも最新のものを利用することができます。

また、金融機関のようにセキュリティ基準の高い企業が導入しているクラウドECは、ほかの利用企業にもメリットがあります。

セキュリティ基準の高い企業が導入しているクラウドECは、その企業の水準にシステムをアップデートさせる必要性が出てきます。そのため、同じクラウドECを活用している企業も高いセキュリティの恩恵を受けることができるわけです。

ECサイトでは多くのユーザーの個人情報を取り扱います。特にクレジットカードの情報を盗まれることは、ECサイトの運営にかかわる大きな問題となります。日々の売り上げ管理やタスクに直結しないセキュリティ対策の負担を減らせることもクラウドECの強みです。

自社インフラが不要

クラウドECを活用したサイト構築は、ECサイトに必要なデータやシステムをすべてクラウド上に置きます。そのため、自社でサーバーを用意する必要がありません。サーバーを用意して自社で保守管理、セキュリティ対策をするには一定数の専門的な知識やスキルを持っている人員が必要です。

そのため社内リソースがない場合、サーバーを用意してECサイトを構築することは難しくなります。

しかしながら、クラウドECはサーバーなどのインフラを用意する必要がなく、カスタマイズもしやすい点がメリットです。最新のシステム利用、セキュリティ対策などを踏まえても、クラウドECの活用はメリットがあるでしょう。

カスタマイズが多様である

クラウドECはASPと同様、インターネット経由で提供されるサービスを利用する形です。そのため従来のクラウドECにおいてカスタマイズ性はあまり高くありませんでした。

しかし近年ではクラウドECの導入が増えてきており、カスタマイズ性の高いサービスも増えてきています。カスタマイズに柔軟に対応できるECサービスであれば、システムの管理負荷を減らしつつ、自社の成長に合わせてECサイトのアップデートが可能になります。

サーバーダウンの心配がない

クラウドECの場合、一時的にサーバーのスペックを上げるなどを容易に行うことができます。そのため大量のアクセス集中が起きた場合なども、即時的に対応することが可能です。

例えばECサイトでタイムセールを行うなど、一時的なアクセス急増が想定される場合に一時的にスペックを上げておくことでサーバーダウンを防ぐことも可能です。もちろん終了後にスペックを戻しておくことで、サーバー利用の費用も抑えることが可能です。

クラウドECで運用するデメリット

それではクラウドECで運用することのデメリットはないのでしょうか?クラウドECを検討する際はこちらで紹介するデメリットについても確認しましょう。

ソースコードが開示されていない

多くのクラウドECはソースコードを開示していません。ソースコードとはECサイトを作っているプログラムの内容のことで、ECサイトの中身はクラウドECを提供している事業者が管理することになります。

そのためECシステムを自社で管理したい場合はそもそもクラウドECを利用できません。また、「最初はクラウドECで運用していたものの、独自性を出していきたいので自社で管理できるようにしたい」という場合も、現在のECをそのまま自社管理に移行することはできず、新しくパッケージやフルスクラッチなどで作り直すことになります。

コストメリットを得られない場合がある

クラウドECはASPと比較して費用や導入期間が長くなる傾向にあります。もちろんASPより機能や拡張性も高く、システムの運用や保守も自社で行う必要がありません。

初期費用はもちろん、ランニングコストもかかってくるため長期的にみると自社で構築した方がコストの面では安く済む場合もあります。

ASPでは機能的に不足しているが、自社でECサイトを構築するほどではない、といったある程度成長したEC事業者に適しているでしょう。

クラウドECがおすすめの企業

クラウドECでサイトを構築する5つのメリットとは?選び方までご紹介 3

このように、クラウドECにはさまざまなメリットがあります。しかし、どのような企業においても適するシステムとはいい切れません。ECにおける年商では1億円~20億円規模の企業がクラウドECに向いています。その理由を以下で詳しくご説明します。

運用リソースを割くことが難しい

すでにご説明したように、クラウドECはシステムの自動アップデートなどECパッケージなどと比較しても運用に手間がかかりません。サーバーの用意も不要なため、専門的な知識を持つ人員を配置する必要もないでしょう。

そのため、クラウドECは社内リソースを割いたり、あるいは新しく人材を採用することが難しい企業におすすめです。システムの自動更新があればカスタマイズ領域も広がるため、一度導入するとシステムリニューアルもできます。このあたりも踏まえると、運用リソースを最小限に抑えたECサイトの運営が可能です。

年商1~20億円

クラウドECを導入するときのEC年商は1億円~20億円が目安です。これ以上のEC年商となると、独自のカスタマイズや外部連携も複雑になる場合が多いため、ECパッケージを選ぶ企業が多くなります。

EC年商が1億円程度ならば、ASPカートでのECサイト運営も可能です。しかし、その規模のECサイトとなると、受注業務などのバックエンド業務が追いつかない可能性が高くなります。

ECサイトの構築方法はEC年商と密接な関係があり、年商が大きくなるにつれて必要な機能やこなすべき業務が変化します。年商が大きくなると、顧客管理や商品管理を自社システムと連携することが多いです。

決済方法に関しても、独自の入力フォームにしたいというニーズも出てくるでしょう。しかしながら、そのようなニーズはカスタマイズ性の高さが必要となるため、ASPカートでは対応できなくなるわけです。

クラウドECの選び方は?

クラウドECでサイトを構築する5つのメリットとは?選び方までご紹介 4

ここからは、クラウドECの選び方をご説明します。自社のニーズに合致するクラウドECを選ぶには以下の3つに着目しましょう。

目的・目標を考える

クラウドECを選ぶときは目的や目標を考えることが大事です。まずは自社のECサイトの位置づけや売り上げ目標を考えることから始めましょう。具体的には将来的にEC事業で実現したいことを整理し、ターゲットの選定や運用フローを決めていきます。

ほかにも、EC事業を自社内でどう位置づけるか、ECサイトでどのようなコンテンツの配信を行うかなど、コンセプトの決定も重要です。

ECサイトのコンセプトの決定はブランディングに通じます。例えば、ハイセンスなアパレルブランドのECサイトであれば、サイトデザインにマッチしたものを用意すべきでしょう。

この場合は、ハイセンスなサイトデザインができるクラウドECを選定する必要があります。場合によってはクラウドECではなく、ECパッケージの活用となるでしょう。このように、ECサイト構築の目的や目標に応じてクラウドECを選んでみてくださいハイセンスなサイトデザインができるクラウドECを選定する必要があります。場合によってはクラウドECではなく、ECパッケージの活用となるでしょう。このように、ECサイト構築の目的や目標に応じてクラウドECを選んでみてください。

サポート体制を確認する

クラウドECは提供するベンダーのサポート体制が異なります。ベンダーによってはシステムの導入にあたって専任のサポート担当がつき、初めて運営する場合でも安心して利用できる製品があります。

システムを導入したあとも、サービスの操作方法や機能の設定方法などを電話やメール、専用の掲示板で対応してくれるベンダーも存在します。有償サポートにより、ECサイトの売り上げアップのためのマーケティングやコンサルティング支援を受けることも可能です。

サポート体制にもつながりますが、システムの安定性にも注目したいところです。ここでいうシステムの安定性とは、中長期的な運営がなされるかどうかです。過去にも知名度のあるサービスが終了したことがあります。

仮に導入したシステムのサービスが終了すると、それなりの費用をかけた移転が必要です。クラウドECは更新費用やリニューアル費用がかからない魅力があるにも関わらず、移転費用が莫大にかかれば大きな損失になりかねません。

クラウドECを選ぶときは、サービスを提供するベンダーの企業規模や、ここ数年の成長率を確認してみてください。その内容から安定性のあるサービスかどうかを検討しましょう。

複数社に見積もりをとる

クラウドECを選ぶときは複数社の見積もりをとりましょう。自社が目指すクラウドECにマッチしそうな複数の候補をピックアップして、機能面や料金面、サポート体制などさまざまな視点で比較して選んでみてください。

見積書をとると金額に目がいきますが、安さだけをみてはいけません。価格よりも先に自社の予算や希望する納期、自社が求める必要な最低限の機能、競合サイトなどが反映されているか確認します。

ヒアリングで自社の目的や、目標とする売り上げの確認があるかも大事なポイントです。それらがヒアリングされた場合は、どのようにアプローチするのかを提案書で示しているか確認しましょう。

以上は細かな着眼点に思えます。しかし、ECサイトは構築して終わりではなく、売り上げを伸ばしながら運営していくことが大事です。そのため、イメージしていた納期や予算、必要とする機能などを見直すことも考えられます。

それらの提案や相談を柔軟にできるベンダーは信頼できます。そのため、見積書の金額だけで決めずに、総合的な判断が必要となるわけです。

まとめ

クラウドECとは、ECサイトに必要な機能をクラウド型で提供しているサービスです。定期的なシステム更新が自動で行われ、常に最新の機能が使えることが強みです。これはASPカートと同様ですが、クラウドECはカスタマイズ性にも優れます。ASPカートでは困難な外部システムとの連携も可能です。

さまざまなメリットを踏まえると、クラウドECがおすすめなのは社内リソースを割くことが難しい場合やEC年商1億円~20億円規模の場合です。EC年商1億円前後の場合はASPカートも候補に挙がりますが、バッグエンド業務の負担を考えるとクラウドECが望ましいでしょう。

なお、クラウドECを選ぶときは目的や目標を明確にすることから始めてください。そのあとは、システムの提供ベンダーから受けられるサポート内容の確認も行いましょう。また、複数社をピックアップしたら、見積書の金額だけで決めずに総合的に判断しましょう。

提供ベンダーが中長期的な視点で提案や相談をしてくれるかどうか、提案書の内容も確認が必要です。以上を参考にして、自社にマッチするクラウドECを選びましょう。


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