レスポンシブ化とは従来あるECサイト、あるいはこれから制作するECサイトを、画面サイズの異なる複数のデバイスでの表示を一つのHTMLコードで適切に表示させるための技術です。Googleでは、レスポンシブデザインについて次のように定義しています。
“ユーザーのデバイスパソコン、タブレット、モバイル、非視覚的ブラウザに関係なく、同じ URL で同じ HTML コードを配信しますが、画面サイズに応じてつまり「レスポンシブ」にレンダリングを変えることができます。”
引用:モバイル SEO の概要
今回はこのレスポンシブ化が、なぜECサイトに重要なのかを詳しく説明していきます。
スマートフォンからのインターネット利用率はPCよりも高い
現在インターネットへと接続するためのデバイスは、PC、スマートフォン、タブレット、フィーチャーフォンなど多様化しています。
総務省が毎年公開している「情報通信白書」の平成28年度版によると、2015末時点の各デバイス世帯普及率は、PCが76.8%、スマートフォンが72%、次いでタブレットが33.3%となっています。
インターネット利用状況を確認すると、PCからのインターネットを利用した人は56.8%、スマートフォンからインターネットを利用した人は54.3%とモバイル活用が広く普及していることがわかります。
引用:総務省 平成28年版 情報通信白書のポイント 第2部 基本データと政策動向
別のデータを見てみましょう。情報調査会社にニールセンによれば、2015年にPCからほぼ毎日インターネットを利用した人は2,165万人。一方スマートフォンからほぼ毎日インターネネットを利用した人は3,996万人と約2倍にもなります。
引用:ニールセン ほぼ毎⽇インターネットを利⽤する⼈は5,610 万⼈ 〜 ニールセン、デバイス毎のインターネット利⽤状況を発表 〜
いつでも手元にあって、かつPCをほぼ同じようにインターネットを利用できることから、スマートフォンの利用者が圧倒していることがわかります。
ECサイトをスマートフォン・タブレットに対応させるためのレスポンシブ化。スマートフォンからインターネット利用者の数を見れば、ECサイト構築・運用において、如何にレスポンシブ化が無視できない存在かが理解できます。
気になるGoogleの動向
2016年10月にGoogleは、Mobile First Index(モバイル ファースト インデックス)の導入を正式にアナウンスしました。
Googleは、従来PC向けのページを確認して検索ランク(ランキング)を決定していました。それがガラリと変わりPC向けページではなく、モバイル向けページの評価に基づいてランキングが決定されると発表したのです。
このことからもモバイルに対応したページの重要性を理解するべきだということでしょう。
レスポンシブデザインを採用する具体的なメリットとは
しかしながら、スマートフォンからのインターネット利用者数が多いからといって、必ずしもレスポンシブ化が必要だ、と判断できるわけではありません。そこで、レスポンシブデザインを採用する具体的なメリットを紹介します。
管理対象のHTMLが1つなので、コンテンツ更新や改修作業が楽になる
ECサイトをレスポンシブ化すると管理が複雑になると誤解されがちですが、実際は違います。PCやスマートフォンなど複数のデバイス表示に対応しても、管理対象となるHTMLは1つです。従ってコンテンツ更新や改修作業が、むしろ楽になります。
SEO対策に有効なのでより多くの人に見てもらえる
PCでの表示もスマートフォンでの表示も、一つのHTMLで対応するので、SEO対策にも有効です。レスポンシブデザインはGoogleも推奨しているため評価が高く、検索結果上位に表示することができれば、より多くの人が訪問してくれます。
一貫したコンテンツを提供できるためPCからスマートフォンへの引継ぎ利用にも対応できる
スマートフォンからECサイトを見ていて「表示画像から小さいからPCで見よう」というケースは少なくありません。このとき、スマートフォンとPCでまったくレイアウトが変わってしまうと、ユーザーが離脱してしまう可能性があります。
レスポンシブデザインを採用すれば、こうした引継ぎ利用が起きた際も一貫したコンテンツを提供できます。
URLが一つでリダイレクトが無く、サイト構成もシンプル
PCとスマートフォンという異なるデバイスに対応していても、ECサイトのURLは一つです。リダイレクトが無く、サイト構成も自然とシンプルになります。従ってリダイレクトがない分、表示パフォーマンスが向上しユーザーの離脱率防止にも貢献します。
ユーザーが利用しているデバイスごとに画面デザインを変更することもできる
また、レスポンシブデザインはユーザーが利用しているデバイスによって、画面デザインを変更できるという自由さもあります。サイトコンセプトを変更しない程度に画面デザインを変えれば、個別最適化も可能です。
デバイスに応じたECサイト設計が不要なため構築・運用コストが低い
管理するHTMLが一つということは、デバイスに応じた設計が不要ということです。このためECサイト構築と運用コストを抑えることができますMLが一つということは、デバイスに応じた設計が不要ということです。このためECサイト構築と運用コストを抑えることができます。
スマートフォン中心のインターネット利用者も取り込める
インターネット利用者の中には、スマートフォンからしかアクセスしないという人もいます。そうした利用者をECサイトに取り込むためには、やはりレスポンシブ化が鍵となります。 [RELATED_POSTS]
レスポンシブ化のデメリットに注意しましょう
スマートフォンからのインターネット利用者数、上記で紹介したレスポンシブ化のメリットを総合して考えると、現代のECサイトにレスポンシブデザインは必須だと言えます。
ただし、レスポンシブ化することでのデメリットもあるので、その点に注意しなければなりません。
まず、既存のECサイトをレスポンシブ化したいと思っても簡単にできない場合があります。最近ではモバイル対応していないECパッケージは少なくなりましたが、フルスクラッチで開発した場合やオープンソースを利用した場合などレスポンシブ化に向けて大きな改修が発生する場合があります。
これからECサイト構築に取り組む企業なら、初めからレスポンシブに対応しているECパッケージを選べば問題ありません。
また、ECサイト構築や運用作業を効率良く行えるとはいっても、入念な設計は欠かせません。レスポンシブデザインである分、少しでも手を抜けば、スマートフォンで正しく表示されないといったトラブルもあります。
あらゆるデバイスに最適表示してくれるから安心しきってしまい、公開前の確認を怠るケースが散見されます。サイトを更新する際にはあらゆるデバイスで確認するようにしましょう。
そして、レスポンシブデザインの最大のメリットは1つのHTMLで管理されているため、異なるデバイスであっても共通のサービスを提供出来ることになりますが、デバイス毎に丸っきりことなるUIを設計、運用する必要がある場合には、レスポンシブ以外の手法でモバイル対応を検討する必要があるでしょう。
まとめ
ECサイトのレスポンシブ化は必要不可欠といっても過言ではありません。スマートフォンからの利用者を抜け漏れなく取り込みつつ、ユーザー視点での運用を心がけることがECサイトの収益拡大に貢献するでしょう。
- カテゴリ:
- EC市場・トレンド