自社の売上を伸ばすには、継続して商品・サービスを購入してくれるリピーターを増やすことが必要不可欠です。まずはリピート率を計算し、改善に向けて具体的な施策を検討しましょう。本記事では、リピート率の意味や計算方法といった基本知識に触れながら、リピート率を増加させる効果的な方法を紹介します。
リピート率とは? リピーター率との違いは?
リピート率とは、初めて商品・サービスを購入した顧客のうち、再度購入してくれた顧客の割合を表す数字です。顧客状況や売上の分析などで用いられることが多く、割合が高いほど多くのリピーターがいるという目安になります。
一方、似たような意味で使われやすい言葉として「リピーター率」があります。リピート率が新規顧客のうち何割がリピーターになったかを表す指標であるのに対し、リピーター率は顧客全体のうちリピーターが何割を占めているかを表す指標です。リピート率はあくまで「新規顧客」を対象としていますが、リピーター率は一定期間内で商品・サービスを購入した「全ての顧客」を対象としています。
リピート率を高めることは、企業やブランド、商品・サービスのファンを増やし、長期的な売上を確保することにつながります。2度目の購入をする顧客は、この先も同じ商品・サービスを利用する可能性が高いからです。そのため、企業は一定の期間ごとにリピート率を算出し、目標とする数値を下回る場合は改善するための施策を取り入れる必要があります。
しかし、リピート率とは違い、リピーター率は必ずしも割合を上げるべき数値とは限りません。そもそも全体の顧客数が少ないときや、新規顧客を獲得できていないときなどもリピーター率が高くなる傾向があるからです。リピーター率は一定期間で増減したリピーターの数を把握するのに役立ちますが、商品・サービスの満足度を測る指標にはならないので注意しましょう。
リピート率の計算方法
リピート率は、以下の計算方法で求められます。
月間リピート率(%)=当月のリピート顧客数(人)÷累計新規顧客数(人)×100
例えば、ある月の累計新規顧客が100人、リピート顧客数が20人の場合、計算式は下記のとおりです。
20人÷100人×100=20%
リピート率の重要性
リピート率は顧客満足度の目安となるため、マーケティングに活用すると効果的に収益を高められます。ここでは、リピート率が重要視される理由をよりくわしく紹介します。
収益を高めやすくなる
マーケティングには「1:5の法則」と呼ばれる考え方があります。1:5の法則とは、新規顧客の獲得は、リピーター維持に対して5倍のコストがかかるという法則です。新規顧客は獲得コストが高いため、たとえ購入につながっても利益率が低くなってしまうことがあります。一方、リピーター維持は比較的コストがかからないため、新規顧客を獲得するよりも効率的に収益を高められます。リピート率の向上を目指し既存顧客へアプローチすることは、少ないコストで売上を伸ばすことにつながります。
顧客満足度の目安になる
リピート率は、商品・サービスの顧客満足度を測る目安として使えます。同じものを継続的に購入する人は、その商品・サービス、企業への満足度が高く、内容そのものやアフターケアなどに魅力を感じているケースが多いからです。
したがって、リピート率が低い商品・サービスは、継続的な購入が行われない何かしらの原因があるのかもしれません。定期的にリピート率をモニタリングすることで、「どの商品・サービスに改良を加えるべきか」「生産量を増やすべきか」などを判断しやすくなります。
リピート率の改善方法
リピート率に影響を与えるのは、商品・サービスの内容そのものだけではありません。再度購入の特典やメール・SNSでのコミュニケーション、購入後のフォローなどもリピーターを増やす重要なポイントです。
リピーター用の特典をつける
通販やECサイトなどでは、リピーター獲得のためにポイント制やクーポンの配布などを行うことがあります。ポイント制とは、購入金額によってポイントを付与し、次回の買い物で安く購入できるシステムです。「ポイントを貯めるために自社の通販を選んでもらいやすい」「ポイントによる割引で再度の購入を促しやすい」などのメリットが期待できます。
扱っている商品・サービスなどにもよりますが、リピーター限定でお役立ち情報を公開したり、品薄の商品を優先的に確保したりといった特別待遇も効果的です。企業への信頼感や愛着などを醸成する効果も期待できます。
データを活用して施策を立てる
顧客管理ツール(CRM)によって集めた顧客の個人情報や購入履歴、属性などを分析し、リピート率の改善に役立てましょう。特に顧客属性は商品・サービスのターゲットを決定したり、リピーター層の特徴を洗い出したりするのにとても重要です。予想していたリピーター層と実際の属性が一致していないと、思うように施策の結果が伸びないこともあります。
また、新たな施策を行ったら、リピート率や売上の推移をモニタリングし、効果を測定しましょう。そのうえで効果のあったものを継続し、結果が得られなかったものは改善を加えることが大切です。
メールやWeb広告、SNSで顧客に発信する
顧客をリピーター化するには、購入後も接点が切れないように継続的にコンタクトを取ることが大切です。必ずしも直接的に売り込む必要はなく、企業や商品に対して親しみ・愛着を持ってもらえるようなアプローチをこころがけましょう。企業名や商品にまつわる情報を多く目にする状態をつくるだけでも、購買意欲を高めることが可能です。
顧客へ発信する方法として有効なのは、メールマガジンの配信やSNS、Web広告などです。また、近年は自社アプリを導入することで、効果的にセール情報やクーポン、新商品の案内などを発信している事例も増えています。アプリのプッシュ通知機能は、企業が届けたい情報を顧客に直接送れるため、利用頻度を高めやすいでしょう。
購入後のフォローを充実させる
万が一、顧客が商品・サービスを購入した後にトラブルなどが起きたとき、サポート体制が整っていないと顧客満足度が低くなってしまいます。購入後のサポートとして考えられるのは、大きく分けて「アフターフォロー」「トレーニング」「メンテナンス」の3種類です。
アフターフォローは、問い合わせやクレーム対応、トラブルサポートなどが挙げられます。購入後に商品・サービスで困ったことがあったときに問題解決をサポートするものです。チャットボットやよくあるQ&Aなどを設け、顧客の不安や疑問点をすぐに解消できるしくみを取り入れましょう。
トレーニングは、導入事例や使用方法などの発信、セミナーの開催といった運用支援です。操作が難しいシステムや専門性の高いサービスなどでよく用いられるサポートです。
メンテナンスは、消耗品の交換や清掃時期などの発信、廃棄のサポートなどが挙げられます。専門機器や電化製品などで多く見受けられます。
まとめ
リピート率とは、商品・サービスを購入した新規顧客のうち、何割がリピーター化したかを測る指標です。似た言葉として「リピーター率」がありますが、リピーター率は顧客全体のうちリピーターが何割を占めているかを表しています。リピート率は商品・サービスの顧客満足度を把握する目安となるため、マーケティングにおいて重要な役割を果たしています。ECサイトや通販などの売上を伸ばすよりくわしい情報を知りたい人は、ぜひ以下の資料をご覧ください。
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