EC事業をグローバル化する際のポイントとは?

 2019.09.13  株式会社システムインテグレータ

国内EC市場は右肩上がりで成長し続けており、経済産業省の調べではBtoC-EC市場規模は2018年で18兆円に達し、前年比8.96%(前年16.5兆円)成長しています。順調に成長している国内EC市場も、先を見れば少子高齢化による国内消費への不安があり、更なる成長のために多くの企業が海外マーケットに目を向けているのも頷けます。

引用:経済産業省:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました 国内BtoC-EC市場が18.0兆円に成長、国内CtoC-EC市場も引き続き拡大

やはり、マーケット拡大に向けて真っ先に注目されているのが “越境EC”です。越境ECとは、国内でサービス展開しているEC事業の市場を世界に広げて、国境を越えてEC事業を展開するビジネスモデルです。例えば、中国の消費者による日本EC事業者からの商品購入額は1兆5,345億円(前年比18.2%増)、米国消費者による日本EC事業者からの商品購入額は8,238億円(前年比15.6%増)となっており、越境EC市場の成長率が国内EC市場を上回っている状況です。

こうした背景から、現在国内でEC事業を展開している企業も、今後は海外市場を視野に入れた「EC事業のグローバル化」を目指すべきと言えるのではないでしょうか。本稿では、EC事業をグローバル化する際のポイントをご紹介します。

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EC事業グローバル化のポイント

それではさっそく、EC事業をグローバル化するポイントについてご紹介します。

Point① 決済のグローバル化

日本のEC事業における主流な決済方法といえば、クレジットカード決済、銀行振込、代金引換決済、コンビニ決済です。最近ではさまざまな決済方法に対応するECサイトも存在しますが、今でも、これらの決済方法を選択する消費者がほとんどでしょう。

一方海外では、クレジットカードを主体にデビットカード決済やPayPal決済、アリペイ決済など多種多様な決済方法が存在し、国や地域によって主流の決済方法も変わってきます。

たとえば中国ではクレジットカードは普及しておらず、所持しているのは一部の富裕層に限定されています。そもそもクレジットカード決済に対応している店舗が少なく、中国ではデビットカード(銀聯(ユニオンペイ))が広く普及しています。

国や地域が違えば主流な決済方法も違います。越境ECを展開する市場をどこにするかによって、対応すべき決済方法が異なるのです。

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Point② 物流のグローバル化

EC事業をグローバル化するにあたり、当然物流のグローバル化も実施しなければいけません。まず念頭に置くべきことは、日本と海外での住所形式の違い、それと輸出規制対象になる商品があることです。

日本では住所を記載する際に郵便番号から明記しますが、海外では居住の番地から明記することが多いため、適切に記載しないと商品が届かない可能性があります。さらに、日本では記載住所が多少間違っていても配達業者がいろいろと考慮して配送してくれることがありますが、海外ではそうしたサービスはごく稀です。住所が少しでも間違っていれば商品は届かず、返送されてしまいます。

また、自社の商材が輸出規制対象になっていないかの確認は最低限必要になります。輸出規制対象に関しては、基本的に液体や生き物、火薬が含まれるものや植物なども対象になります。ただしこの点は国によっても違うため、越境ECを展開する際はターゲットとなる国や地域で何が規制されているのかを明確にすることが大切です。

海外への商品発送は、日本郵政が提供する国際スピード郵便EMSが主流です。簡単かつスピーディに配送でき、商品追跡サービスや損害賠償制度もあります。その分配送コストはかかりますので、さまざまな点を考慮した上で最適な海外物流の方法を検討します。

Point③ 越境ECに適したサーバ

越境ECを展開するにあたり、日本国内のサーバを利用していると海外からアクセスした場合に繋がりにくい可能性があり、快適かつ安全性の高いサーバ環境の確保が欠かせません。

そのためには利用しているサーバの移行が望まれるケースもあります。最近ではAWS(Amazon Web Service)などで、海外リージョンを選択し障害を回避したり、データセンターを複数に分散した冗長構成を取るなどの方法があります。ちなみにAWSではすべてのリージョンのAPI(Application Program Interface)が共通なので、同じ操作で素早くサーバ以降などを伴うグローバル展開できるのもメリットです。

 

Point④ 越境ECに適した翻訳サービス

大規模なECサイトによっては、毎週何百もの新しい商品が追加されていきます。それぞれの商品説明を、市場に合わせて翻訳していく必要があります。ただし、その作業を内製化することは困難です。EC運用にあたって最小限の人員構成だけで運用しているケースが多く、翻訳要員を確保してない企業がほとんどでしょう。

そこで翻訳プラットフォームサービスの利用を検討してみるのも一つの手です。ECサイトに商品を掲載するにあたり、同時にサービスに登録している翻訳者に翻訳を依頼し、大量の翻訳案件でも素早く対応可能なサービスです。ECサイトのグローバル化において必須とも言える翻訳を、最小限の労力で実施できます。

 

Point⑤ ECサイトの多言語対応

国内向けの日本語サイト、海外向けの外国語サイトの両方を作成すると、ECサイト運用が複雑になることは容易に想像がつくでしょう。ECサイトを効率的にメンテナンス出来るようにするという観点においては、同一URLで言語の切り替えを行えるようにすることが理想的です。

ただしその場合、言語だけでなくタイムゾーン、通貨、日付形式等も国や地域に応じて設定する必要があります。国際的な商取引では決済と物流が問題視されがちですが、EC事業のグローバル化では安全かつ快適なインフラと、多言語対応が必要です。

 

Point⑥ 現地に適したマーケティング

ポイント⑤と一部相反することになりますが、日本語で商品を探す人にとって、言語切替機能は不要ですし、金額がドルで表示される必要もありません。つまり、同一のサイトで複数言語に対応することは、システム運営の観点からすると効率的ではありますが、UXの観点からすると必ずしも正解ではないということです。

越境EC事業を展開するにあたり、日本国内で行っているマーケティング施策が海外でも通用するとは限りません。むしろ、日本のマーケティングと海外のマーケティングは大きく異なるケースが一般的です。

たとえば中国ではGoogleやYahoo!といった検索エンジンは使用できず、百度(バイドゥ)という検索エンジンが広く普及しています。そのためGoogleやYahoo!を対象にしたSEM(Search Engine Marketing)はまったく通用しませんし、中国には中国に合ったマーケティングが必要です。

米国においては、日本のようにストーリー性を持たせたマーケティングよりも、即物的な文化があるため機能性をアピールする方が消費者に受け入れられやすい傾向があります。EC事業のグローバル化ではいかに効率的にマーケティングを実行するかが大切なので、文化や風習の違いからくるマーケティングの違いにも着目しましょう。

いかがでしょうか?EC事業のグローバル化には成功のためにさまざまなポイントがあります。それらのポイントをしっかりと把握し、押さえた上で自社の越境EC事業戦略について検討してみましょう。

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