ネットショップ、ネット販売に求められる役割の歴史

 2019.01.29  佐藤 嘉彦

こんにちは。
システムインテグレータの佐藤です。

弊社はECサイトを作りたい、リプレイスしたいというEC事業者様のリクエストに対しご提案を差し上げているわけですが、ご提案を続けていると事業者様が実現したい機能やビジョンが時代とともに変わってきていることを常々感じます。

今回は、ネットショップやネット販売に求められる役割がどのように変わってきたのかを、あくまで私の目線で主観的にご紹介していきたいと思います。

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ネットショップ黎明期(1990年代後半~1999年)

1995年と言えば、なんと言ってもWindows95がリリースされた年。
一般家庭へのパソコンやインターネットの普及が始まった代表的なきっかけの一つですね。

弊社システムインテグレータは、Windows95の発売と同じ年の1995年3月に創業しました。
Windows95の日本語版の発売は1995年11月なので、それより少し早い創業です。

そして、その翌年1996年に弊社が開発した日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」の1stバージョンがリリースされました。
楽天市場のオープンがその翌年の1997年なので、それよりも早いリリースです。

この頃は、インターネットを活用した販売で大きな売上をあげようと考えた小売業者は多くはなかったのでは、と想像します。
なぜならこの時は、企業がHPを持って公開すること自体が価値を持つ時代だったからです。
HPがあることだけでも企業の価値を高めることにつながっていた時代に、更にモノを買える仕組みを持ったサイトを持っている、これがこの時代に自社ECサイトを構築する最大のきっかけであり、デジタル上の看板であることがネットショップの価値だったと言えるかもしれません。

まずはネットショップを作って公開することが目的の時代だったと言えます。
実際クリック&モルタルという、ECサイトと実店舗の相乗効果を狙った言葉が取り上げられ始めていた時代でもありました。

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ネットショップ普及期(2000年~2005年)

2000年と言えば、Amazon.co.jpが日本国内でスタートした年でもあり、ドットコムバブル(インターネットバブル)が弾けた年でもあります。

当時クリック&モルタル(実店舗とECを運営する企業)の対義語のように、実店舗を持たないEC専業の企業をドットコムEC企業と呼んでいましたが、このドットコムEC企業の多くがドットコムバブルの崩壊により倒産に陥りました。

EC専業で今や世界的な企業であるAmazonの日本への進出と、EC専業のドットコムEC企業に逆風が吹いていたタイミングが同じなのは、今振り返ってみると面白いものがありますね。

国内のEC専業企業でいうと、2000年はドットコムバブル崩壊の逆風の中、カウネット、モノタロウ、爽快ドラッグ、ストリーム、ナチュラムなどが設立された年でもあります。

多少極端な表現になりますが、黎明期はネット販売の機能を有するウェブサイトを持つこと自体が価値で、そこまでビジネス構造がしっかりしている必要はなかったのに対し、バブル崩壊後はきちんとビジネスとして収益を挙げられる構造が求められることになったと言えるかもしれません。

また、EC取引が増えていく中で消費者にとって様々なトラブルが起こり始めたタイミングでもあります。
増えるトラブルを背景に2001年には電子消費者契約法が施行され、2005年に個人情報保護法が施行されました。

この頃からネットショップには、収益を上げるための様々な機能やしっかりと業務を実現する堅牢性が求められるようになってきたと言えるでしょう。

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ネットショップ成長期(2006年~2010年) 

最初のiPhoneが発売されたのが2007年ですが、この頃我が国はまだまだガラケーの全盛期。
翌年の2008年に国内でiPhone3Gが発売され急速にスマートフォンの普及が進んでいくのですが、まだまだこのときのネットショップではガラケー対応が求められていた時代です。

後年タブレット端末が登場することにより、「PC・タブレット・スマートフォン」の3デバイス対応が求められることが一般的になっていくのですが、このときは「PC、ガラケー、スマートフォン(余力があって、出来れば)」という時代でした。
PCのレイアウトのWebサイトを頑張ってガラケーやスマートフォンで見ていたのが懐かしい思い出です。

またデバイスの変化だけでなく、デジタルでモノを買うことがいよいよ一般的になってきました。
楽天は2006年度第4四半期グループ流通総額の年換算で1兆円を達成し、インターネットでモノを買うこと自体は特別なことではなくなりました。

2010年にはフラッシュマーケティングや共同購入クーポンといったような新しいECの形が登場しました。
単に販売チャネルがデジタルであることを超えて、デジタルならではの購入体験の創出がスタートし始めたタイミングと言えるかもしれません。

この頃のECサイト、ネットショップに求められた役割は、いろいろなデバイスで見やすく安心してモノを買うことの出来ることだったと言えるでしょう。

スマートフォンの本格普及・オムニチャネル時代の到来(2011年~2015年)

2010年以降スマートフォンの普及が本格的に進み、多くの人が当たり前のようにいつでもどこでもインターネットにアクセスすることが出来るようになりました。
スマートフォンを手の平に収まるパソコン、みたいなイメージを持った人も少なくないでしょう。
ガラケーでもインターネットにアクセスはしていましたが、キャリアの用意したコンテンツの枠組みを超えて、PC環境との垣根を感じずに情報にアクセス出来るようになったことが大きな変化と言えます。

また、この変化により人々のインターネットの触れ方が変わってきたと言われています。
いつでもどこでもインターネットにアクセスして情報に触れることが出来るようになったので、移動中に見て、休憩中に見て、家で見てといった具合に、1度にじっくり見ることがなくなったわけではありませんが、高い頻度で何回も情報に触れるようになり、またPCだけでなくスマートフォンでも見るようになったので、複数のデバイスでインターネットにアクセスしてデジタルの情報に触れることが当たり前になったのです。

家でPCの前で買い物をする、からいつでもどこでも情報を集めながら買うことが出来るといった具合に、買い物体験が大きく変わった時期と言えます。

またそういった変化を背景にオムニチャネルというキーワードでのデジタル施策の見直しが進み始めたのがこの頃です。
店舗とECでも一貫した買い物体験を提供するということが、顧客に提供する価値を高めることに繋がる、といった考え方です。
店頭に在庫がない商品でもその場でECで買えるとか、今では当たり前ですが店舗のポイントとECのポイントを統合するとか、そういった取り組みが本格化していきました。

このような背景からこの頃のECサイト・ネットショップには、スマートフォン対応は当然として、オムニチャネルを実現する上で様々なシステムと連携することが求められるようになってきました。

デジタルマーケティングの変革(2016年~)

ここからようやく近年のお話となりますが、スマートフォンがAIアシスタント機能を有し始めてからほどなくして、スマートスピーカーの普及が始まりました。
スマートスピーカーに限らず、AIを活用したチャットボットやAPIを活用することで様々なサービスやシステムを実現したりすることが一般的になるなど、一気にデジタルでの接点が増えてきました。

もはやデジタル上でモノ買うのはECサイトに留まらない時代が到来しました。
ティッシュや洗剤が切れたらボタンを押せば注文完了、スピーカーにお願いすれば注文完了、チャットで注文完了、そんなモノの買い方が出来るようになりました。
ECではありますが、ECサイトやネットショップという枠組みを超えた仕組みになってきていますよね。

つまり、これからECサイトやネットショップには、様々なデジタルでの接点でECの機能を提供することが役割として求めてられていくと言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
振り返って見るとECと一口に言ってもその歴史は20年以上も経っていますし、テクノロジーの進化に伴って、単純にモノを買えるというだけでなく様々なことが求められるようになってきました。

ECビジネスを展開する事業者様からすると、考えなければならない、やらなければならないことがどんどん増えてきていると思いますが、我々もシステムベンダーとして全力でサポート致しますので、是非お気軽にご連絡頂ければと思います。

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