ECサイト運営とは?主要な11の業務内容、必要なスキルを解説

 2023.08.30  株式会社システムインテグレータ

コロナ禍を境に急激なデジタルシフトが起こり、近年ECサイト市場に参入する企業が増えています。しかし、なかにはECサイトを構築したくてもどうすればいいかわからず、なかなか踏み切れないという企業も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ECサイト業界に参入するにあたって必要な基礎知識をご紹介します。ECサイトの運営に必要な業務やスキル、機能などについても解説しているので、参考にしてみてください。

ECサイト構築基本ガイド

ECサイトの運営とは

ECサイト運営の流れ

ECサイトを運営するにあたっては、商品の企画からお客様の手元に届いた後まで、幅広い業務が発生します。業態などによって多少の違いはありますが、大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 商品企画
  2. 仕入れ・在庫管理
  3. ECサイト制作・更新
  4. プロモーション
  5. 商品情報登録
  6. 受注処理
  7. 商品の出荷
  8. 商品の配送
  9. アフターフォロー
  10. 総合管理

ECサイト運営業務の分類

ECサイト運営の業務は「フロントエンド」と「バックエンド」の2つに大別されます。

フロントエンド業務

バックエンド業務

  • 商品企画
  • 仕入れ・製造
  • ECサイト制作・更新
  • プロモーション
  • 商品情報登録
  • 受注処理
  • 在庫管理
  • 商品の出荷
  • 商品の配送
  • アフターフォロー
  • 総合管理

フロントエンドとはECサイトの前面、つまり顧客への販売までのプロセスを行う業務のことです。これには商品企画、商品の仕入れ・製造、ECサイト制作・更新、プロモーションが該当します。それに対してバックエンドとはECサイトの後方、おもに販売後の処理を行う業務のことです。これには商品情報登録、受注処理、在庫管理、商品の出荷・配送、アフターフォローなどが該当します。

フロントエンドが直接売上に関係する業務であるのに対し、バックエンドは売上に加えて顧客満足度にも直結する重要な業務です。

ECサイト運営における11の主要業務

ここでは、前項で紹介したECサイト運営の各業務を詳しく解説します。

フロントエンド業務

フロントエンド業務は、ECサイトの前面で販売までを担う業務です。主に、商品企画、仕入れ・製造、ECサイト制作・更新、プロモーションの4つの業務が挙げられます。

商品企画

ECサイトで収益を確保するためには「売れる商品を選択して販売すること」が大前提です。

商品企画はそのときのトレンドや季節などを考慮して仕入れる商品を考えます。それだけではなく、原価率や利益率なども計算した上で半年以上の中長期的な売上計画を立てることも重要です。「売れそうだから」と場当たり的に商品企画を行ってしまうと、ユーザーのニーズを満たせないECサイトになってしまう可能性があります。

また、ECサイトで販売する商品の企画、ECサイトの構築、商品の仕入れなど、ECサイトを運営する業務の中で最も上流工程の業務をマーチャンダイジングと呼びます。

仕入れ・製造

商品の仕入れは、バックエンド業務である在庫管理と連携しながら適正在庫を保てるように行うことがポイントです。適正在庫とは市場のニーズに対して素早く対応しつつ、自社にとって過剰在庫にならない在庫点数です。

在庫とはいわば現金化を待つ資産なので、これが余ってしまうと企業にキャッシュが回ってきません。そうすると資金繰りが悪化し、事業の継続に影響が出てしまいます。

ECサイト制作・更新

商品企画もさることながら「何のために、どんなECサイトを制作するか?」も重要です。メーカーならブランドイメージを反映したデザインにする必要があり、販売に特化したECサイトでもコンセプトを決めた上で制作しなければなりません。それに応じて適切なプラットフォームやパッケージ製品は変わります。

さらに単なるデザインだけでなく、顧客の体験も充実していることが重要です。継続的に、トレンドを取り入れた常に使いやすい設計にしていくことを心掛けましょう。その結果、ECサイトに継続的な改善が行われ、ユーザーにとって常に使いやすいECサイトを目指すことができます。

プロモーション

プロモーションとは、広告やWebマーケティングなどのマーケティング活動を行うことで認知を向上し、集客率を高めるための業務です。リスティング広告を出稿したり、法人向けのSNSアカウントの運用、最近ではコンテンツマーケティングに取り組んでブログから集客率を高めるケースも増えています。

現在、ユーザーがネットショッピングの際に用いる端末のほとんどがスマートフォンです。したがって、スマートフォンと相性のいいSNSに情報を露出させることが、ECサイトのマーケティング業務では非常に重要視されます。

マーケティングの基本は、「誰が・いつ・どこから・どれくらい」ECサイトを訪問していたという情報を分析することから始まります。特に、Googleなどの検索エンジンで検索結果上位に表示させるためのSEO対策は、マーケティング業務の基本中の基本です。ECサイトを検索エンジンで上位に表示させることは商品の売上を上げることとほとんど同じ意味を持ちます。

また、マーケティング業務では、さまざまな分析に基づいて割引キャンペーンやメールマガジン配信などで集客を行い、商品の購買へと結びつけることが求められます。

バックエンド業務

バックエンド業務は、ECサイトで販売する商品の在庫管理や受発注管理など、ECサイトの前面に立たない業務を行います。

商品情報登録

商品を仕入れたら、各商品の情報をECサイトのシステムに登録する業務が発生します。

商品の「サイズ」「写真」「説明」「価格」「販売時期」「JANコード」などを登録しますが、なかでも「サイズ」「写真」「説明」は売上を左右する情報なので正確に登録する必要があります。

受注処理

ユーザーから注文があった際は注文内容の確認メールと支払いの案内メールを送信し、在庫の引き当てを行い、出荷指示を出します。商品受注をシステムで管理してない場合はこれをすべて手作業で行うためミスが発生しないよう注意しなければなりません。

在庫管理

在庫管理は商品受注と連携し、データ上の在庫点数とリアルな在庫点数を常に合わせることが重要です。ECサイトでは在庫があると表示されているにも関わらず実際には在庫がない状況では、ユーザーが商品を購入した際にトラブルが発生します。ブランドの信頼も損なわれる恐れがあるため、在庫管理の徹底は非常に重要です。実際には在庫があるのにECフロントに在庫がないと表示されてしまうと、売り逃しになってしまうのでそれも避けなくてはなりません。

さらに前述したように商品受注と連携して適正在庫を保ち、機会損失を防止しつつ過剰在庫を防ぐための取り組みも欠かせません。

商品の出荷

出荷指示を受けたら、在庫から該当商品を引き出して梱包し、出荷準備を整えます。梱包では商品にダメージを与えないようにクッション材を使用したり、商品によっては特殊な梱包を行ったりもします。

ここでポイントとなるのは、手間であってもユーザーに対して感謝の気持ちを伝えるためにメッセージを添え、SNSアカウントのQRコードやチラシも同梱するといった施策です。ユーザーは常に気持ちの良い取引を求めているため、そうした施策によって自社ECサイトのファンを増やすことができます。

商品の配送

一般的には配送業者を選んで商品配送を委託します。配送業者を選択する際はコストやサービス内容を十分に検討した上で選びましょう。

アフターフォロー

最後に欠かせない業務が商品発送後や商品が届いた後のアフターサービスです。たとえば扱いが難しい商品に関してはメールや電話での使い方サポートを提供したり、商品の使用感を尋ねるメールを送信したりします。過度なアフターフォローはユーザーに嫌われる要因になりかねませんが、適度に行えばユーザーからの印象を向上できます。

総合管理

総合管理の主な内容は、数値管理とシステム運用の業務です。

数値管理業務は、売上金の入金の確認からサイト訪問者数やコンバージョン率まで、ECサイト運営に関わるあらゆる数値を管理する業務です。

また、ECサイトに新たな機能を追加したり、サーバーエラーなどが起きないようにシステムを管理・保全したりすることも業務に含まれます。ほかの部署と連携をとりながら業務にあたるセクションなので、ECサイトをスムーズに運営していくためには部署間で密にコミュニケーションをとる必要があります。

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ECサイトの運営にかかる費用

ECサイトでは、構築から運営までさまざまな費用が発生します。運営に絞ると主に以下のようなランニングコストがかかることが想定されます。

  • サーバー費用
  • ドメイン費用
  • 独自SLLサーバー証明書費用
  • 決済代行業者への外注費用
  • 物流サービスへの外注費用
  • ECサイト運営代行業者への外注費用
  • 広告費用
  • 人件費

サイト構築の費用相場については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
ECサイト構築を徹底解説!構築方法や費用相場、制作会社の選び方

ECサイト担当者の役割

ECサイト運営とは?業務内容や基礎知識について解説 1

ECサイト担当者は、上記に挙げたECサイトの運営や販促を担うポジションです。

解析ツールなどを用いてアクセス数やユーザー属性の解析、購入率などを計測し、売り上げ目標を達成できるようにさまざまな施策に取り組みます。EC業界は進化スピードが速いため、運営担当者は最新の情報や知識を常にアップデートしていくことも重要です。

 

ECサイト担当者に必要なスキル

ECサイトの売上を上げるためにさまざまな業務を担う運営担当者には、幅広いスキルが必要になります。ここでは、Webマーケティング、クリエイティブ、商品企画、カスタマーサポートという代表的な4つのスキルについてご紹介します。

Webマーケティング

ECサイトで売上を上げるためには、当然ながら集客施策を打たなくてはなりません。そこで必要になるのが、SEO対策や広告運用、SNS運用といったWebマーケティングのスキルです。

自社のサイトを検索上位に表示させるためのSEO対策はサイト流入の増加に必要不可欠ですが、特に運営を始めた初期には、広告運用でいかに多く集客できるかも重要になります。また、BtoCではX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用した集客も主要な手法のひとつです。予算やターゲット層にあわせて、パフォーマンスなどを見ながら効果的な集客施策を回していく分析能力も求められます。

クリエイティブ

ECサイトに掲載する商品の写真から、広告、SNSの投稿に使う画像・動画やバナーの制作、販促用のWebページ制作まで、ECサイトを運営する上ではさまざまなクリエイティブスキルが求められます。PhotoshopやIllustratorなど、代表的なクリエイティブツールも使えるとよいでしょう。

これらのスキルを駆使して商品を訴求し、より快適にショッピングができるECサイトを目指します。

商品企画

ECサイトの運営はまず「売れる商品」が櫃法です。いくらマーケティングで工夫しても、商品が顧客のニーズに合っていないもの、魅力のないものでは売上につながりません。市場調査や分析を行い、トレンドにあった「売れる商品」を企画・開発するスキルも、ECサイト担当者に求められます。

顧客に刺さる優れた商品が生み出せれば、マーケティングに多くのコストをかけずとも口コミやSNSの拡散などによって売上が伸びる効果も期待できます。

カスタマーサポート

ECサイトでは、利用するお客様からさまざまな問い合わせやクレームへの対応が必要になります。お客様と直接的に関わる業務となるため、迅速かつ柔軟な対応力と対人スキルが欠かせません。カスタマーサポートの対応によってECサイト自体への評価が左右され、リピーターやファンを獲得できるか、顧客損失につながるかの分かれ道になります。ユーザー視点からの丁寧な対応が重要です。

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ECサイトに必要な機能

ECサイトを運用するために必要な機能は、数多く存在します。また、取り扱う商品やブランドによっては、機能の取捨選択を行います。その中でも最低限必要な機能を、「フロントサイド」と「バックエンド」に分けてご紹介します。

こちらの記事でも詳細に解説しておりますので、合わせてご覧ください。

ECサイト運営とは?業務内容や基礎知識について解説 2
ECサイト運営とは?業務内容や基礎知識について解説 3

フロントサイドに必要な機能

フロントサイド機能はユーザーが触るところ、ユーザーの目に見えている部分です。
ユーザーの手が触れる部分であるため、特に利便性が高くなることに注意して必要な機能を備えておく必要があります。

買い物かご機能

買い物かご(カート)機能は、フロントサイドの要の機能です。その名の通り、ECサイト上で買い物かごの役割を果たし、ユーザーが選んだ商品を購入する仕組みのことをいいます。

買い物かごにもよりますが、商品の選択から決済までの機能を備えているものもあります。

買い物かご機能のシステムは、ただ充実していればよい訳ではないことにも注意しなければなりません。買い物かごから決済進む段階で不必要な登録などを促してしまうと、ユーザーが買い物かごの内容を購入しない「カート落ち」が発生してしまいます。

ユーザーが負担に感じない範囲で購入に至るような仕組みづくりを心掛けましょう。

商品検索機能

商品検索機能は、ユーザーがECサイトを訪れて商品を探すときに使う機能です。検索の利便性を高めることで、購入までのモチベーションを高い状態で維持することができます。

検索システムは基本となるキーワード検索システムを充実させることが大事です。充実した検索を目指すには、表記ゆれや類義語、さらにはサジェスト検索にも対応させて商品まで素早く目当ての商品までアクセスしてもらう導線を確保しましょう。

さらに、キーワードとあわせて、条件の絞り込みができるとユーザーにとって便利です。特に商品数が多いECサイトの場合、商品のカテゴリ、価格、カラーなど、さまざまな絞り込みができるとユーザーが商品を見つけやすくなります。

決済機能

前述した通り、買い物かご機能の1つとして決済機能が備わっていることが多いです。決済機能では、商品購入時に複数の決済方法から選択できるようにシステム整備を行うことで、ユーザーの利便性を高めることができます。

ECサイトの決済方法には、最低限必須とされる方法があります。それは「クレジットカード決済」「代金引換」「コンビニ後払い」の3つ決済方法で、これらは「三代決済」呼ばれています。

ほかにも、銀行振込やキャリア決済、キャッシュレス決済など、複数の決済方法から選択できるようにするとユーザーにとって便利なほか、購入率を改善させることが期待できます。

バックエンドに必要な機能

次に、運営者がサイトを管理・運営するためにバックエンドで必ず用意すべき機能を説明します。

受注・発送管理機能

受注・発送管理機能のうち、受注機能は商品の注文を受けてから入金までの管理を、発送管理は商品の発送手配の管理をそれぞれ行う機能です。

受注・発送管理機能を担うシステムは使い勝手がいいものであることが望ましいでしょう。なぜなら、受注から発送までの作業をスムーズに対応することで顧客満足度の向上につながるからです。

また、受注・発送管理機能を一元化して正確に管理しておくことで、ECサイトで起こりがちな色・サイズの誤配送といったトラブルも回避することができます。

顧客管理機能

顧客管理機能は、会員登録したユーザーの名前や住所などの基本情報を管理する機能です。

ECサイトで売上増加を狙うには、名前や住所の他にも購入履歴や購入頻度など細かく管理して、この情報を基にしてキャンペーン情報の送信などを行うことが必須です。

さらには、サイト閲覧時に顧客管理機能から抽出した情報を基にしてパーソナライズ広告に反映するといいでしょう。

まとめ

ECサイトの運営に欠かすことのできない基礎知識を中心にご紹介しました。ECサイトの構築は、手間もかかりますが、自社に合った方法で構築し、適切に管理していけば実店舗よりも売上を伸ばすことが期待できます。

この記事が、必要な業務と機能が複雑なためにECサイトへの参入をためらっていた方の参考になれば幸いです。

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