AI外観検査完全ガイド | 導入手順から費用相場まで徹底解説

 2021.05.28  株式会社システムインテグレータ

AI外観検査とは、人による目視、あるいは検査装置を使っている外観検査業務をディープラーニングによる画像認識で自動化、効率化をすること、またはそれを実現するソリューションのことです。

「ものづくり大国」である日本の製造現場では、少子高齢化の影響による労働力の減少から「生産性の低下」や「品質の低下」といった課題が浮上しています。グローバル展開するメーカーが国内回帰する動きもあるため、労働力の減少傾向は今後は続く見込みです。

しかし、労働力が減少しても製造現場では品質や生産性を維持向上していく必要があり、高品質な製品の安定生産には「外観検査」が欠かせません。高品質を維持しつつも人員を有効に活用するためのツールがAI技術であり、今後の製造業には不可欠な存在とされています。

そこで今回の記事では、外観検査にAI技術が活用されるようになった背景とそのメリットについてご紹介します。 

外観検査とは?

White box at automated production line at modern factory - ready for your logo

外観検査は、製品や部品の外観をチェックする検査のことです。英語では「Visual inspection」と訳され、外観検査のサービスにVisual inspectionと付けるベンダーもいます。

外観検査は主に、製品や部品の表面に付着した傷、欠け、シミ、異物、変形といった外観における欠陥をチェックし良否判定を行います。

外観検査の主流は、検査員の目で品質を判断する目視検査です。中でも、「官能検査」と呼ばれる五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)を使った検査が代表的です。

以下は、外観検査でチェックする項目の一例です。

  • 金属製品のサビや腐食
  • シートやフィルムのシワや汚れ
  • 食品容器の容量不足やシュリンク不良

傷や変色などが見られた場合は、「限度見本」と比較した良否判定が行われます。「限度見本」とは、製品がどこまでを良品と判断するか、どこからが不良品と判断されるかの限度を示した製品見本で、基本的には検査員がこの限度見本をもとに検査することで一定の品質を担保することができます。

外観検査の自動化が進む?

以前から、外観検査の自動化は進んでいます。

目視検査は、判定基準や検査数にばらつきが出てしまうケースがあるほか、コストや手間もかかってしまうからです。また、より詳細な検査を行うには拡大鏡や顕微鏡を用いた検査を実施する必要もあります。

自動化の主流は画像認識を活用した検査システムで、事前に良品・不良品の判定ルールをシステムにプログラムすることで、撮像したデータから製品や部品の傷や異物の有無を判別することができます。検査員の能力に依存することなく、検査数や品質を安定させることが可能になったのです。 

外観検査についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
外観検査とは?検査の必要性や項目、発見できる不良など徹底解説

外観検査にAIが活用されるようになった背景

Double exposure of businessman working with new modern computer show social network structure

以下は、外観検査にAIが活用されるようになった背景です。

  1. ルール設定の困難化
  2. 設定工数の増加
  3. AI技術の発展

従来の画像認識による外観検査には、精密さに問題があるとされてきました。

検査対象である製品や部品の向きや色、形状や角度といった条件によって、良否判定の結果が左右されてしまうこともありました。そうした課題を解決する有効な手段として、AIが活用が推進されています。

AIが活用される3つの背景について、詳細を確認していきましょう。 

ルール設定の困難化

従来の画像認識システムでは、ルール化でカバーできない不具合の検出が困難でした。

たとえば、ガラス製品の表面にシミのある不良品があったとしましょう。

従来の画像認識ではシミの有無でしか判断できないので、不良項目にシミを含めて検出させると、従来の目視検査では良品として判定される小さなシミや薄いシミ、場合によってはホコリまで不良品として検出してしまいます。ですが不良品の過検出を防止するために不良判定項目からシミを外すと、今度は不良であるはずの大きなシミや濃いシミが次工程へと流れてしまうのです。

結果として、従来の画像認識では自動検査のあとに、過検出された不良を判定するため検査員による目視検査が必要になってしまいます。 

設定工数の増加

外観検査における判定基準や判定項目は、市場からのフィードバックや日々の生産で常に変動しています。

例えば「良品判定だった傷の長さをもっと長くしたい」「以前の製品や部品にはなかった不良の判定項目を増やしたい」といったことはよく起こりえますが、従来の画像検査システムで実現するのは技術や手間といった問題があって困難なのです。画像検査システムは事前に設定されたルールによって不良を判定します。その判定基準が変わる場合はこのルールを見直し、再度設定する必要があるのです。

こうした事情により、画像認識システム自体が使われなくなるケースも珍しくありません。

AI技術の発展

近年では、AI技術を活用した画像認識が大幅に向上しています。

従来技術での自動化ソリューションには限界がありますが、AI技術を活用することで課題を解決できる可能性が高くなったのです。

人間による目視検査であれば、新しい不良の発見や柔軟な判定基準にも対応します。コンピューターに人間の感覚はないものの、過去のデータを学習するAIなら「数値化による不具合の察知」や「判定基準の変化への対応」なども可能です。 

画像認識・異常検知に活用されるAI技術

1.ディープラーニング(深層学習)

ディープラーニングとは、本来「データを複数の階層にまたがって、学習する」ことを指します。deepとは深層という意味があり、深層学習とも呼ばれています。ですが、「大量のデータから自動的に学習できるAI」のことを指して使われることが一般的になってきています。

このディープラーニングによって、非常に高度な画像認識、音声認識や、自動翻訳、そして異常検知に対しての実用的な能力を手に入れたと言えます。

関連記事:異常検知におけるディープラーニング(深層学習)の活用

2.GAN(敵対的生成ネットワーク)

GANは2つのニューラルネットワークを敵対させ、互いに競わせて学習を深めていきます。この動作メカニズムから、GANは敵対的生成ネットワークと呼ばれるようになりました。

GANが画期的とされるのは、今までの機械学習に必要だった訓練用のデータの準備が必要なくなることです。特に2つ生成したニューラルネットワークがお互いの存在のみで「鍛え合う」ことで自動的に学習するというところに特徴があります

関連記事:敵対的生成ネットワーク・GANを用いた異常検知とは

3.Metric Learning(距離学習)

Metric Learningは距離に基づいた特徴的な量の空間について機械学習を行わせる手法です。画像データに写っている検査物を構成する要素の「距離が近い=似ている」というように判断を行います。転じて「距離が遠い≠似ていない」という考え方をすることができ、距離が遠いものを異常と判断することで異常検知に応用することができます。

関連記事:Metric Learning(距離学習)は異常検知にどこまで使えるのか?

4.AutoEncoder:自己符号化器

AutoEncoderは、もともとは次元削減の手法として注目されていました。AutoEncoderは、機械学習における次元削減に有効な手法の1つです。 ですが、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)やRNN(リカレントニューラルネットワーク)など、最近の人工知能アルゴリズムの中に次元削減処理が含まれるようになっているので、事前処理としてAutoEncoderが使われることは少なくなってきています。そうした事前処理に代わり、正常データだけを学習する異常検知モデルへの適用に注目が集まっています。

関連記事:正常データだけを学習する異常検知(Vol.3)

従来の外観検査装置とAIの違いとは

AIと検査装置の違いAIと検査機には、人間と異なり疲労による判断ミスは起きないという共通の特徴があります。一度設定や学習をした欠陥はほぼ認識できるため、不良品の出荷を減らすことができます。

しかしAIと検査機にも得意不得意があります。自社の検査対象にとって適したほうを選ばないと、余計な負荷やコストが発生し、逆に効率が悪くなることもあります。従来実用化が難しかった外観検査の置き換えを実現するには、製品・撮像・運用の条件によってAIと検査機の適正を見極め活用することが重要です。

既存の製造ラインに設置された検査機とAI外観検査を組み合わせることで、過検知などの課題を解決することができます。自社のワークとの相性を理解するために、ルールベースの検査機とAI外観検査システムの特徴と違いについて理解しておきましょう。

検査機(ルールベース)の特徴

■メリット

  1. 人が設定した検査ルールに該当すれば、100%の精度(ロジック)で判定が可能
  2. ピンポイントで局所(部)的な異常であれば、検出精度も高く、判定速度も速いので、高速で流れる製品の異常でも見つけることが可能

■デメリット

  1. 検査機に対して撮像した画像(ワークの各面の画像)の特徴量定義(長さや面積、重心、位置、色差、濃淡、類似度)を行う必要があり、かつその設定が複雑になる
  2. 検査機の設定作業が属人化する
  3. 明確なルール設定が必要となり、曖昧な欠陥認識が苦手なため、誤検知を防ぐ設定をした場合に過検知となってしまうことが多くなる

AI外観検査システムの特徴

■メリット

  1. 設定された条件に加え、曖昧さや柔軟性など人間的感覚を数値化して表現することが可能です。
  2. 厳格な設定をすることなく、自ら学習して新しいルール定義に適応していくことが可能

■デメリット

  1. 画像(ワークの各面の画像)から寸法や面積、位置など定量的ルールの学習と検出は苦手なため高い精度が出せない
  2. 目的や検査対象によって異なるが豊富な学習データ(画像)を準備する必要がある

外観検査にAIを活用するメリット

Candid image of a group with succesful business people caught in an animated brainstorming meeting

今後は、AI外観検査ソリューションの普及が見込まれます。外観検査にAIを活用するメリットは、以下の5つです。

  1. 生産性の向上
  2. 検査品質の均一化
  3. ヒューマンエラーの防止
  4. 細かな点まで検査可能
  5. 設定作業の短縮化

上から順番に、詳細をみていきましょう。 

生産性の向上

人間による目視検査では、人が物理的に不具合を認識できる速度にしか対応しません。しかし、コンピューターによる画像認識検査であれば瞬時に判断ができるので、生産性の向上が見込まれます。

また、目視検査の場合は何らかの不具合が発生するたびに検査員の負担が増えてしまいます。不良の発生頻度があがると見逃しのリスクが増えたり検査速度が落ちてしまったりすることから、検査員の増員が必要になる場合もあります。生産に必要な人員を検査員として配置せざるを得ない場合は、生産性が落ちてしまうでしょう。

AIによる自動検査を導入すれば必要な人員を最小限に限定できるので、検査員に割いていた人員を生産工程に回して生産性を向上させることも可能です。 

検査品質の均一化

AIを活用すれば、検査品質のばらつきを限りなく均一化できます。

従来の人間による目視検査では、検査員の習熟度や経験、その日の体調や精神状態によって検査品質が左右されてしまうこともありました。

また、限度見本を用意しても判定にばらつきが出ることもあります。

たとえば、製品に生じた変色の濃淡で不良を判別する場合です。明らかに限度見本より薄いものでも、自身の判断に自信が持てない検査員は「不良」と判定しまいがちです。起こり得るのは、限度見本よりも濃い変色の製品を「良品」と判定して不良が市場へ流してしまい、回収を余儀なくされるケースです。

人間による不安定さのないAIであれば、オーバーキルや見逃しといったリスクを回避できます。 

ヒューマンエラーの防止

検査を自動化すると検査員が不要なので、人的ミスが発生しません。

そもそも人間による目視での外観検査は、高度な集中力や異変を察知する洞察力が要求されます。原因は、不注意や注意力の低下、見落としなどさまざまで、「指示を忘れていた」「判定ボタンを押し間違えた」といった初歩的なミスもあります。

不良品を見逃してしまうことで、不良品が発生する原因を突き止めるのに時間がかかるだけでなく、最悪の場合は市場へ流出した不良品を回収しなければなりません。

そのため、熟練の検査員が集められることも多いのですが、それでもヒューマンエラーを完全に防ぐことは不可能です。

AIを活用することで、ヒューマンエラーを最小限に押さえることができます。 

細かな点まで検査可能

画像認識システムを用いると、細かい不具合でも検出することができます。

従来の外観検査の場合、精度を高めるには視力の高い検査員を集めたり製品や部品を拡大できるレンズを使用したりする必要があります。

たとえば、ネジやナットなどの金属は裸眼での検査が可能です。しかし、プリント基板やセラミック基板では2倍から4倍に拡大できる拡大鏡、カメラのレンズなどは最大300倍に拡大できる顕微鏡を使わないと検査ができません。

しかし、高画質な画像センサーを搭載した画像認識システムを使えば、肉眼では認識できない小さな不具合も瞬時に検出できるのです。 

設定作業の短縮化

新しい設定を行う作業を短縮できることも、AIを活用するメリットです。

従来の画像認識システムでは、新製品が登場するたびにその不良を判定するルール設定を行う必要がありました。システムによっては専門知識を持った人材しか扱えず、しかも膨大な時間や労力を要したのです。

しかし、学習機能を備えたAIを活用することで、新製品が登場しても学習用の追加データさえ用意できれば柔軟な検査に対応できます。  

AI外観検査で自動化可能なものの例

AI外観検査は画像認識の技術を応用して行われるため、検査装置と同様、検査に用いられる画像の質によって大きく精度が異なる傾向があります。そのため実際に対応可能かどうかはPoC(概念実証)にて検証する必要があるのですが、おおよそどのような外観検査で活用されているかをまとめると以下の通りです。

  • 金属業界:割れ、欠け、バリ、寸法ズレ、変形、サビ、巣、気泡、打痕など
  • 食品業界:破れ、汚れ、焼け、凹み、キズ、異物、印刷ミス、異品種混入など
  • 樹種業界:シルバーストリーク、キズ、汚れ、スジ、変色、気泡など
  • 電子デバイス業界:汚れや異物の付着、ショート、断線、はんだ不足など
  • 日用品業界:印字の有無・かすれ・ミス、ラベル破れ、ラベルずれ
  • 医療業界:液面高さ、封緘シール、内容量、ラベルずれ・破れ、印字ミスなど
  • 成形・シート業界:ピンホール、フィッシュ愛、ゲル、気泡、割れ、クラックなど

上記は一例ではありますが、「属人的でない」「疲れによる精度悪化が起きない」「ルール化できないものにも対応ができる」といったAIの特徴が活かせる相性のよいワークで活用すると大きな効果を発揮することができるでしょう。

仕組みや対応可能な範囲については以下の記事で詳しく解説しています。
画像を用いた外観検査の仕組みや検出できる範囲とは?おすすめのシステムまでご紹介

AI外観検査の導入手順

Blue Ring Binder with Inscription Budget Planning on Background of Working Table with Office Supplies and Laptop. Budget Planning Business Concept on Blurred Background. 3D Render.

以下は、経済産業省のガイドライン(2020年12月発行)によるAI外観検査の導入手順です。

手順

内容

Ⓐ企画

①導入範囲の決定

  • 改善点の把握
  • 対象製品の決定
  • 導入後の検査工程再設計

②機材の見積り

  • 機材の見積もり・手配の開始

Ⓑモデル構築

①データの取得

  • 用意する画像データの定義
  • 撮影機材の選定
  • 撮影方法の特定

②モデル構築・最適化

  • モデル構築の基本理解
  • データの学習とモデルの精度検証、実装準備

Ⓒ導入・運用

  • 検査現場へのモデル・機材の設置
  • 新たな検査方法の浸透
  • 定期的なモデルの再学習・再構築

Ⓐ企画

企画の段階では、目的、必要な情報、手段、予算、スケジュールの整理・決定といった(5W3H)を決定しておく必要があります。何の計画もなくプロジェクトを進めても、たとえば導入の延滞や予算オーバーなど上手くいかない場合が多いからです。着実に進行するためには、達成目標を決めたうえで設定目標を決めて適正を見極めることが重要です。

Ⓑモデル構築

企画した方針に沿って、モデル構築していきます。導入前に概念実証検証「PoC」を実施することで、実現可能性と投資対効果があることを明確にします。

データ収集の際は、カメラのピントや照明の明るさ、写真内の製品の大きさを一定に保つなど、実際の検査現場と同じ条件で撮影を行うことが重要です。

Ⓒ導入・運用

最後は、検査現場への導入です。

AI活用効果を最大限に活かすため、使用上の注意点の書き出しなどを行って新しい検査の方法を現場に浸透させます。また、運用後は製品や不良品の判定基準の変更に応じて、更新再学習や再構築といったモデルの更新を行います。

詳しくは以下の記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

AI外観検査システムの導入シナリオ

外観検査に必要なカメラとは

検査装置、あるいはAIが外観検査を行うには検査対象を撮像するカメラが必要です。外観検査の撮像ではさまざまな種類のカメラを使用します。

撮像対象物の形状や素材、検出したい異常の種類(キズ・打痕・汚れなど)などによって、一番適したカメラを選ぶ必要があります。カラーにするのかモノクロにするのか、解像度はいくつにするのかなど考慮しなければいけない点は多岐に渡ります。

外観検査で利用するカメラは、エリアスキャンカメラ(以下「エリアカメラ」)とラインスキャンカメラ(以下「ラインカメラ」)のいずれかです。その特徴は以下の通りです。

比較項目 エリアカメラ ラインカメラ
価格 安価 高額
検査対象の大きさ 小さな対象向き 大きな対象も撮像可能
照明 均一な照明をあてにくい
(撮像面の全体に照明をあてるため、場所によって照明ムラを起こしやすい)
均一な照明をあてやすい
(撮像ラインに均一な照明を当てることができる)
精度 解像度のラインアップが豊富で選択肢が多い 解像度のラインアップは少ないが、高精細な製品がある
扱いやすさ 設定や設置が容易 検査対象を動かすため、機材の設置や速度の調整が難しい

表からも分かるように、エリアカメラは安価、扱いやすい等のメリットがありますが、検査対象の大きさに制限がある、照明があてにくい等のデメリットがあります。
反対にラインカメラは高額ですが、大きな検査対象も撮像可能、均一な照明をあてやすい等のメリットがあります。

AIがいかに優れていても、判断に必要な画像が判別しづらいものだと十分な精度を出すことができません。また、製造ラインの環境や検査対象によっても必要な撮像の条件は異なってきます。

適したカメラの選び方については以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

関連記事
外観検査でのケース別エリアカメラとラインカメラの選び方
エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの違いとは

費用の相場

導入の手順でご紹介したとおり、お客様の実現したい要求に応じてどこまでの対応を行うかをケースバイケースで決定するため、どこまで何をやるかによって大きく費用は異なります。

費用については大きく、PoCのコストとPoCを元にAIのモデルを構築、実装するコストに分けることができます。

PoCの費用相場

100万円~1,000万円

PoCとはProof of Conceptの略で、概念実証のことです。かんたんに言い直すと「AIでどれくらい効率化できるかを検証する」作業です。このPoCも何をどこまで求めるかによって難易度が変わってきますので、発生する費用もピンきりです。PoCを行う企業によっても、どこまでをPoCと呼んでいるのかもまちまちですので、実際には単なる費用での比較ではなく、内容が妥当化を含めて検討する必要があります。

費用感としては、数百万円はかかると考えるといいでしょう。もちろん大掛かりなPoCが必要な場合、それ以上のコストが発生することもあります。検証に時間とコストを費やせば費やすほど、成功の確率が大きく上がるかというとそうではありませんが、そもそも実現不可能な取り組みにコストをかけてしまうという失敗を避けることはできます。そうした観点から、どこまでの情報が揃うと判断できるのかを明確にできるよう、最低限求めるものを想定した上でPoCに望むことが求められます。

構築・実装の費用相場

200万円~5,000万円

構築や実装もどこまで独自の対応が求められるかにより大きく異なりますが、一般的にはPoCの費用よりも高いコストが発生します。ソリューションによってはすでに既存のモデルを利用することで安価に抑えるといった提案もありますが、通常ワークの内容だけでなく、診断に利用する画像の撮像環境や求められる精度とスピードは企業によって大きく異なり、ほとんどの場合提供されている標準的なモデルがそのまま使えるということはありません。

数ヶ月から半年程度で完了するプロジェクトの場合、数千万円は発生すると考えると良いでしょう。

AI外観検査に必要なその他のコスト

カメラ・撮像環境

AIが診断するには画像が必要となるため、撮像に必要なカメラが必要となります。場合によっては既存の撮像機器や検査装置を活用できるケースもありますが、そういったものがない、あるいはAIの活用に適していない場合、別途調達する必要があります。

外観検査に必要なカメラについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
外観検査で使用するカメラ
異常検知に適したカメラと照明(Vol.5)

エッジサーバ

AIによる異常検知をクラウド上のサーバで実行すると、一般的にネットワークの都合上結果が返ってくるまで時間がかかってしまいます。特に画像認識での異常検知の場合、大量の画像データをインターネット経由で送信することになるので、運用上望ましくありません。クラウド環境の利用料が高額になってしまいます。

そのため、インターネット上ではなく物理的に近い環境にAIによる判定を行うエッジサーバを置くことで、対応することが一般的です。判定はエッジサーバ、学習はクラウド上のサーバという分担になります。

一般的にはこのようなエッジサーバも提案に組み込まれていますが、AIのモデルだけ作れば使えるというものではなく、サーバも必要だということを覚えておきましょう。

エッジサーバ(エッジコンピューティング)についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
製造業で利用できる異常検知はエッジコンピューティング(Vol.6)

AI外観検査システム「AISIA-AD」

AISIA-ADは、最先端のディープラーニング画像認識技術を利用したソフトウェアパッケージです。Microsoft社の「Azure Machine Learning」を活用し、キズ、凹み、異物混入などの異常をAIによって自動検出することができます。

AISIA-ADには、以下の特徴があります。

  • 最適なAIモデルを選択可能
  • 汎化性能をもつAI
  • 良品画像のみで学習
  • 検査工程のトータルコーディネート

AISIA-ADは、お客様の製品特徴や運用に応じて導入いただける豊富なAIモデルを用意しています。文字認識や個数カウント、侵入検知などにも対応しています。

汎化性能があるので、従来の画像認識では実現が難しかった「ルール化困難」な異常であっても、ディープラーニングを応用した検査技術で検出が可能です。

良品画像を学習するので、立ち上げ段階や新製品の登場前であるなど不良画像がない場合でも、正常ではないと判断された画像に対して「NG」と判定できます。

AI外観検査システムでは、AI以外にもカメラや照明といった「撮影環境」、フィルタや拡散版といった「ハードウェア」、「Edgeデバイス」や「搬送設備」も重要です。お客様の検査製品の特徴や運用をお聞きしたうえで、必要な機材を必要に応じて提供します。

まとめ

作業者の目視検査や従来の画像認識システムによる問題は、本記事でもご紹介したとおりさまざまあります。しかし、「ただAI化といっても、自社の検査対象で本当に実現できるのか」とお悩みの方もいるのではないでしょうか?

御社の検査対象でAIを活用した外観検査が効果的なのか、検証するサービスも実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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