外観検査とは?目的や発見可能な不良など徹底解説

 2023.01.30  株式会社システムインテグレータ

製造業において品質管理に欠かせないのが「外観検査」という業務です。文字通り、生産している製品の品質を外観からチェックするものですが、その意味や目的を正確に理解していないと、外観検査を実施しても望むような結果が得られず、コストや工数ばかりが増えてしまいます。

本稿では外観検査の概要から検査の項目や種類、方法などを解説します。

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外観検査とは?

外観検査とは?目的や発見可能な不良など徹底解説

外観検査(visual inspection)とは、製品や部品の表面を確認する検査業務のことです。

自社の製品・部品の品質が、業界や自社によって定められた規定値に適合しているか評価します。異物、キズ、汚れ、変形、欠けなど外観上の欠陥を確認したあと、良否判定を行います。

現在の外観検査は、人間の肉眼を使って検査する「目視検査」が主流です。目視検査は、人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を使って品質を評価する「官能検査」のひとつでもあります。

以下は、外観検査で検知する不良の一例です。

  • 食品容器の破れや印刷ミス
  • ペットボトルの内部に付着した異物や印字のミス
  • プリント基板の断線やショート
  • 金属の割れや変形
  • ガラスの割れや欠け、内部の気泡など

外観検査は、業界や製品を問わず多くの現場で実施されています。 

関連記事:画像検査(外観検査)の仕組みや検出できる範囲とは?おすすめのシステムまでご紹介

外観検査で重要なこと

外観検査では、5つの「みる」で不具合を見極めることが大切です。

  1. 見る:目視検査で合否判断を行い、不良情報をフィードバックする
  2. 観る:不良情報から発生原因や変化点を調べる
  3. 視る:不良情報と現場の状況から発生原因を調査する
  4. 診る:不良が発生する原因を改善するための方法を模索する
  5. 看る:改善方法を実施して、問題の拡大を抑えて根本的な原因を解決する

上記5つのサイクルによって製品の品質維持向上を図るとともに、不良品の発生ゼロを目標としています。 

外観検査の手法

外観検査の手法は、主に「目視検査」と「自動検査」の2つです。

「目視検査」では人の目で検査を行い、「自動検査」ではカメラや画像センサー、画像処理システムを活用して自動的に検査を行います。

一般的な分類として、単価が高く生産量が少ない製品は目視検査が行われることも多いですが、単価が低く生産量が多い製品は自動検査が行われます。

たとえば、ネジやボルトのような単価が低く生産数が多い製品を全数目視検査すると、多くの人的コストや時間を費やしてしまい採算が取れません。作業員の心身への負担も大きいことから、こまめに休憩を取らないと検査精度は落ちてしまいます。

上記のような問題を解決するために自動検査を導入しても、以前の技術では正確な判定が困難でした。そのため、対象ロットからサンプルを抜き取って調べる「抜き取り検査」を目視で行うようになりました。しかし、抜き取り検査では全数を検査するわけでないので、すべての製品の品質保証はできなかったのです。

なお、目視検査については以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご覧ください。

関連記事:目視検査の作業方法や内容は?よくある課題とその解決策についても解説

外観検査の難しさ

日本の製造業のレベルは非常に高く、その分高度な検査が求められます。

特に大変なのは、検査員による判定の統一化です。

人間が判定を行うために検査員ごとに異なる結果が出る場合があるので、マニュアルや見本を作成して判定の統一化が図られます。

  • 手順書や仕様書といったマニュアルの作成
  • 見本の作成

手順書や仕様書には文字や写真が掲載されているほか、実際の製品で確認できるように見本を用意することがほとんどです。 

ちなみに、見本にはいくつか種類があります。

  • 限度見本:良品・不良品の限度を示した製品の見本のこと
  • 不良見本:限度見本の中で、不良の条件を示す製品の見本のこと
  • 標準見本:品質の標準を示す製品の見本のこと

上記以外にも、「体調や精神状態で精度が落ちる」「感覚によるところが大きく、技術の継承が難しい」といった課題もあります。

以上の理由から、外観検査の精度を高めるのは難しいのが現状です。

外観検査の目的

外観検査とは?目的や発見可能な不良など徹底解説-3

外観検査も目的は、大きく3つあります。

  1. 品質を保証する
  2. 品質を維持する
  3. 品質を向上する

「良品から不良品を除外し、市場への不良品流出を防ぐこと」が目的になりがちです。確かに大切なことですが、外観検査には不良流出以外の重要な役割もあります。 

品質を保証する

外観検査によって不良品を取り除き、基準や仕様を満たした製品だけを生産することができます。メーカーは、消費者や顧客企業に提供する製品の品質を保証しなければなりません。しかし、生産数の多い製品を製造する場合は不良品の数も多くなります。

外観検査を行うことで、消費者や顧客企業に対して一定以上の品質を保証できるのです。 

品質を維持する

製造業では品質の保証だけでなく、品質を維持する努力も必要です。

正しい手順で作業が行われているか、機械設備は適切にメンテナンスされているかなど、不良品を発生させないために適切な作業が行われているのかを確認することが必要です。

各工程で不良品の発生がないかを確認することで、安定的に高品質な製品を市場へ出荷することができます。 

品質を向上する

そもそも製品の品質というのは、設計・製造工程を改善することで向上します。

検査工程で発見された不良品とその発生原因といった情報を設計や生産工程へとフィードバックすることで、各生産工程から不良が発生しないように改善を図ることができます。

不良品が限りなくゼロに近づけば、検査の簡略化が可能になるので生産効率性も向上してコストダウンにもつながるのです。 

外観検査の項目

外観検査とは?目的や発見可能な不良など徹底解説-1

実際の製造現場では、どのような外観検査が行われるのか説明します。

  1. 仕様・形状・構造の検査
  2. 製品表面の検査
  3. 組み立て後の検査
  4. 不良発生の原因調査・診断
  5. 製造工程や設計の改善

上から順番に見ていきましょう。

仕様・形状・構造の検査

仕様・形状構造の検査では、以下のような検査が行われます。

項目

検査内容

形状

欠損、変形、指定された形状との差異など

構造

組み立て・組み合わせの位置ずれ・差異など

寸法

指定された寸法との差異など

変色、色ムラ、色目・色調の差異など

意匠・印刷

指定された意匠や印刷との差異など

製品や部品が作られたときに行われるのが、仕様・形状・構造の検査です。

製品の形状や構造が規格や仕様で認められた範囲を超えると、品質が保証できなくなってしまいます。 

製品表面の検査

製品表面の検査では、製品の表面にあるキズや凹凸、汚れをみつけます。

項目

検査内容

キズ

製品表面にあるキズや擦れ

付着物

ホコリ、異物、汚れなど

感触・見栄えなど

凹凸、シワ、ツヤ、スジ、ムラ、劣化、感触など

判断が難しい項目が含まれますが、製品の見た目や使用感に大きく関係することから重要な工程であるといえます。 

組み立て後の検査

最後の組み立て後の検査では、組み立ての丁寧さやバリの有無を確認します。

項目

検査内容

丁寧さ

バリや突起、加工跡、突起など

バリや突起などは消費者がケガをしてしまう恐れがあるので、組み立て後の検査で不適合判定された製品は不良品とされる場合がほとんどです。 

不良発生の原因調査・診断

外観検査では、検査の実施がゴールではありません。不良品が発生した際は再発防止のためにその原因を調査し、工程や体制などにおける問題点を診断する必要があります。

製造工程や設計の改善

原因の調査で判明した不良発生の原因に対してまずは応急処置を行いますが、そのあとに根本にある課題の解決方法を検討し、製造工程や設計に改善点を反映します。

外観検査で見つかる不良例

外観検査とは?目的や発見可能な不良など徹底解説-2

この章では、外観検査で見つかる不良例を分野別にご紹介します。

  1. 電子機器分野
  2. 金属分野
  3. 樹種分野

順番に説明していきます。 

電子機器分野

以下は、電子機器分野での不良例です。

製品例

不良・欠陥例

プリント基板

実装の位置ズレ、断線、ショート、クレイジングなど

はんだ

ボイド、はんだ不足、ピンホール、はんだボールなど

半導体パッケージ

モールド不良による変形、パッケージのキズやクラックなど

液晶

割れ、欠け、変形、反り

コネクタ

ピンやリード曲がり・欠損、コプラナリティのばらつき

電子部品は、電化製品、自動車、スマートフォンやパソコンなど幅広い製品に使われています。

近年の電子機器は技術の進歩による精密化が著しいので、目視検査が難しくなってきています。グローバル競争や需要の増加といった観点から、高い精度が要求される分野でもあります。 

関連記事:プリント基板製造では目視検査が主流?よくある不良パターンや効率化の方法まで解説

関連記事:【はんだ付けの目視検査】検査装置の導入は可能か? 

金属分野

金属分野における不良の一例です。

製品例

不良・欠陥例

ネジ、ボルト

割れ、クラック、変形、バリ、寸法ズレなど

ベアリング

サビ、腐食、打痕、線傷、巣(空気孔)など

溶接

アンダーフィル、アンダーカット、割れなど

金属分野は「生産量が多く単価が安い」ことからコストに見合わず、目視で全数検査が行われることはほとんどありません。

しかし、バリや変形といった不良が流出すると、ネジやボルトを使った製品の破損につながってしまう恐れがあります。

ちなみに、ベアリングとは回転部分の摩耗を軽減してスムーズな動きにする役割のある機械部品のことです。 

関連記事:【金属部品の外観検査】重要性と検査装置の導入ポイントをご紹介 

樹脂分野

樹脂分野の不良です。

製品例

不良・欠陥例

ボトルキャップ

パージ剤残りによる黒点、焼け、変色、汚れなど

樹脂成型品

キズ、スジ、銀条、フローマーク、ジェッティングなど

樹脂成型品を簡単に説明すると、プラスチック加工品のことです。

プラスチックなどの材料に熱を加えて金型へ流し込み、冷却して固めることで製品が完成します。ひと括りに樹脂成形といっても、樹脂の種類によって加工方法が異なります。不良の発生原因は加工方法によって違うので、専門的な知識が必要です。 

関連記事:樹脂成型品の種類や加工方法は?よくある加工不良と効率的な検査法まで解説! 

外観検査の種類

外観検査とは?目的や発見可能な不良など徹底解説-4

ここでは、実際に行われている4種類の外観検査について解説します。 

インライン検査

生産ラインに外観検査を組み込んでいるため、全数検査(ラインを流れるすべての部品や製品)が行いやすく、効率的に品質をチェックできます。ただし、目視によるインライン検査には限界があり、不良品を取りこぼす可能性もあります。 

オフライン検査

生産ラインから外れて外観検査を実施するため、精密な検査が行いやすく高い精度で品質を評価できます。ただし、生産ラインからの部品及び製品運搬や手作業で行うケースが多いため、手間と時間がかかります。 

抜き取り検査

抜き取り検査は、一部のサンプルだけを検査する方法のことです。

ロットを構成する製品の一部を定められた方式で抜き取って検査を行い、その結果をロットの品質水準と照合して合否判定を行います。

ネジやナットのように生産量が多く安価な製品や部品の外観検査では、抜き取り検査が実施される場合がほとんどです。全数検査は製品によっては膨大な工数や人件費がかかることから、不経済かつ現実的とはいえないからです。

ただし、労力の抑制効果はあっても抜き取る製品の量や回数を調整する必要があるうえ、製品すべてを検査するわけではないので、不良品の混入が確実にゼロになるというわけではありません。 

全数検査

対象の製品すべてを検査して、合否判定を行う方法のことです。

全数検査を行うことで、不良品の流出を限りなくゼロに抑えることができます。製品の品質を保証するには、適した検査方法であるといえます。

一方で人件費や時間を要するので、生産量が多く安価な製品での実施には向いていません。

主に、以下のような製品に全数検査が実施されます。

  • 製品が高額である
  • 品質が人命に関わる

特に、医療機器や自動車のブレーキやエアバッグなど人命に関わる製品は重大な危害を与えてしまう恐れがあるため、全数検査が適しています。

逆に、電球の寿命試験など製品を損傷させる「破壊検査」のような、外観検査以外の検査に全数検査は向きません。 

 

このように、外観検査には様々な種類がありますが、今まで抜き取り検査しかしていなかった製品に対しても、最近では高精度な全数検査へ移行する流れが活発になっています。 

外観検査の方法

外観検査とは?目的や発見可能な不良など徹底解説-5

この章では、外観検査の方法をご紹介します。

外観検査の方法は、以下の3つです。

  1. 目視検査
  2. 検査装置の活用
  3. AIを活用した検査

上から順番に説明していきます。 

目視検査

目視検査は、人間の目を使って検査する方法のことです。

従来の検査方法であり、検査員さえ確保できれば手軽に実施することができます。特別な設備が不要なことから、設備費用や開発費といったイニシャルコストが不要です。また、人間の目や脳を使えるので、精度の高い検査を行えます。

一方で、機械を使って検査するよりも時間がかかるため、検査の効率に課題があります。また、人間の感覚で行うことから判定のばらつきやヒューマンエラーが生じてしまう恐れもあります。一部では研修や認定制度を導入する企業もありますが、コストや時間に余裕がないと実施するのは困難です。コストと時間をかけて作業員を育成しても、長時間にわたって集中して作業する必要があるため、検査員への負担が大きく熟練の域に達する前に辞めてしまうケースも少なくありません。さらに近年は少子高齢化の影響を受けて、人材の確保や人件費の高騰といった問題もあります。

以上の問題から、「検査装置」を利用する製造現場が増えています。 

関連記事:目視検査の作業方法や内容は?よくある課題とその解決策についても解説
関連記事:工場における目視検査のコツとは?トレーニング方法、今後懸念される検査の限界

検査装置を活用した検査

検査装置とは、製品の状態を検査する装置のことです。

一般的には、検査結果が事前に設定された正常値の範囲内であれば「良品」、範囲外ならば「不良品」と判定されます。外観検査では画像検査が主流であり、カメラで撮影した製品データから判定を行います。

検査の自動化は可能ですが、以下のような問題があるのも現状です。

  • 複雑な判定が不得意
  • 多品種・多数の検査項目の対応が困難
  • 専門的な知識や技術を要するため、属人化してしまう

こうした問題から、検査装置と検査員の両方で検査を行う現場も少なくありません。

検査装置の詳細については、こちらの記事でも解説しています。
外観検査装置とは?どのような欠陥を認識できるのか。 

AIを活用した検査

AIを活用した検査の一般的な手法は、「良品・不良品の製品の画像データを、AIに読み込ませて学習させる」というものです。

従来の検査装置はルールベースで判断する必要があるので、正常・異常のデータを明確に入力しなければなりません。設定が困難なことから、属人化する問題もあります。

AIを活用した検査であれば、入力されたデータの特徴をAIが自ら学習して良否判定を行えます。つまり、複雑な判定や種類の多い製品の検査にも対応できるうえに、専門知識・技術が不要なので属人化することもありません。

以上のようなメリットがあるため、近年では外観検査にAIが活用され始めているのです。 

関連記事:AI外観検査とは?画像処理の仕組みや事例・メリット、導入費用相場まで徹底解説

ディープラーニング技術を搭載した外観検査システム

当社システムインテグレータが提供するAISIA(アイシア)-ADは、ディープラーニング技術を搭載した画像認識によって、高精度な全数検査を可能にする外観検査システムです。ディープラーニング(深層学習)とはAI研究分野の1つで、従来の機械学習とは違い、非常に複雑なコンピューター回路を構成することで、特定の分野において人間の知能をはるかに凌ぐ性能を発揮するAIです。 

AISIA-ADは外観検査に必要な機能をオールインワンで装備しているシステムであり、生産している部品や製品、生産方式に合わせた最適な外観検査を実現します。外観検査にAI技術を取り入れることで、高精度な全数検査も実施でき、検査業務における高い効率性と継続的な品質管理・品質維持・品質向上を実現します。 

目視による外観検査に限界を感じつつある方々は、ぜひAISIA-ADによる高精度な外観検査をご検討ください。 

AISIA-ADが実現する外観検査の自動化 

AISIA-ADでは、AIテクノロジーを活用することで、予め学習プロセスを経て理解した異常品判定のルールに基づき、高い精度で判定プロセスを処理することを可能にしています。

機能構成 機能概要 機能名
オブジェクト検出 オブジェクト検出学習支援 動画アノテーション
動画オブジェクト検出 動画オブジェクトの検出
オブジェクトの種類判定
オブジェクトの座標取得
正常・異常判定 動画オブジェクト同一判定 移動速度自動計測
フレームスルー判定
正常・異常判定処理 オンライン閾値調整
移動多数決判定
異常表示・監視 異常箇所表示 生成モデルヒートマップ
識別モデルヒートマップ
リアルタイムモニタリング 同時多面監視
ワンタッチ訂正
学習処理 正常データ学習処理 VAE生成モデル学習
最適ノイズ除去
正常・異常データ学習処理 転移学習/水増し
汎化処理
追加学習 訂正データ蓄積
  追加学習処理

AISIA-ADでは、オブジェクト検知、正常・異常判定、異常表示・監視、学習処理をクラウド基盤上に構築することで、外観検査時に求められる異常検知に必要な機能をオールインワンで提供します。 

まとめ

不良品が出てしまった場合に発見して流出するのと合わせて、不良品をいかに発生させないようにするかという取り組みも重要です。

外観検査を適切に行うことで、不良品発生の根本原因がある場合の究明にも役立ちます。また、外観検査についてはすでにご説明しているとおり、AIの活用が非常に有効といえます。

外観検査をAI化するにあたっての基本知識をまとめた資料など、多数ご用意してありますのでぜひご覧ください。

外観検査AI化 始め方ガイド

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