外観検査の重要工程「撮像」とは?検査精度を高める撮像のポイントも解説

 2022.07.20  株式会社システムインテグレータ

外観検査は製品や部品の製造において欠かせない工程です。特に画像検査を採用している場合は、カメラや照明など検査の環境に適した機材を使い、ワークを確実に撮像することが重要になります。

本記事では、外観検査の重要工程である撮像について解説します。検査精度を高める撮像のポイントとして、レンズや照明、カメラ選びについても取り上げました。外観検査や画像検査の理解を深めたい場合はぜひ参考にしてください。

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外観検査とは

外観検査の重要工程「撮像」とは?検査精度を高める撮像のポイントも解説

外観検査とは、不良品の流出防止に加えて、欠陥の原因を究明して生産工程などを改善するための工程です。部品や製品の外観や構造、寸法、色などに不良が発見されると、原因の究明、対策の検討、改善の実施へと取り組みが続きます。

製品や部品の品質が規定の水準に達しているかを検査することだけが外観検査の目的であると考えてしまいがちですが、それだけではありません。外観検査の本来の目的は、不良が発生したときの原因を追及して、その後の不良発生を未然に防ぐことです。

製造工程ではさまざまな欠陥が生じる可能性があるため、検査検査で欠陥を発見し、発生原因などのデータを設計や製造などの関連部署にフィードバックすることが求められます。そのフィードバックをもとに製造の課題を改善し、製造の精度を高めていきます。

従来の外観検査は検査員の目視によって行われる官能検査のひとつでした。しかし、人の目で行う目視検査には課題もあります。慢性的な人手不足や、検査員のスキルのバラつきなどが代表的なものです。

部品や製造の品質トラブルが多い場合には、検査体制を強化する必要があります。具体的には、検査員や検査項目を増やすなどの対策が考えられます。しかし、検査員の増員は人件費が経営を圧迫する可能性があるほか、人材の確保そのものが難しくなっています。また、検査員1人当たりの検査項目を増やすと、検査漏れや不良品の見逃しなどが発生する可能性も高まります。結果的には検査品質が担保できなくなり、生産性の低下を招く恐れがあります。

このような問題を発生させないために、注目を集めているのが画像センサを用いた外観検査装置の活用です。

外観検査については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
AI外観検査完全ガイド|導入手順から費用相場まで徹底解説

画像センサを用いた外観検査とは

画像センサとは、認識した対象物の画像を、登録されたデータと比較して良否を判断するための装置です。従来検査員が目視で行っていた作業の自動化を可能にします。

画像センサを使った外観検査では、人間の目では判定が難しい微細な異物やキズ、欠陥を識別できるようになります。以前は画像センサを用いても、画素数の少なさから微細なキズなどの識別が難しかったのですが、近年ではカメラの性能が向上し、装置によっては2,000万画素以上のカメラを使うことも可能になりました。

異常の検知に適したカメラや照明に関しては以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
異常検知に適したカメラと照明(vol.5)

また、目視検査はオフラインで行うことが一般的ですが、画像センサを活用するとインラインであっても正確に異物やキズなどの検査ができるようになります。ラインを稼働させたまま検査ができるため、生産性を落とすことがありません。

ただし、画像センサを用いた外観検査は目視検査に比べてイニシャルコストがかかります。インライン検査を行うためにはライン設計を見直す必要もあり、導入時の手間も発生します。導入後の費用対効果を十分に考えて検討する必要があるでしょう。

なお、外観検査のインライン化や自動化の方法としては、専用の検査装置の導入も効果的です。画像センサも専用検査装置も外観検査の自動化や検査効率の向上といった目的は一緒ですが、それぞれの持つ強みが異なります。

画像センサは汎用性が高く、さまざまな製品や部品の仕様変更やライン変更にも柔軟に対応可能です。外観検査だけではなく寸法計測や数量カウントなど幅広い面で利用できる点がメリットです。しかし、汎用性を高めた分、検査対象によっては機能や精度が足りない場合もあります。

一方、専用検査装置は検査に特化した装置で、外観検査に必要な機能や精度をしっかりと備えています。外観検査の品質や効率を大幅に上げる効果が期待できますが、汎用性に乏しく高価になりがちなデメリットもあります。

画像センサを用いた検査の流れ

ここからは画像センサを用いた検査の流れをご紹介します。画像センサを用いた検査は、大きく分けて4つのステップで行われます。

1. 撮像

撮像とは、カメラでワークの画像を撮影することです。

撮像でポイントとなるのはレンズと照明の選定です。高精度に安定した検査を行うには、対象物を大きく映すことやピントの合った画像を映すこと、明るくはっきりとした画像を映すことがポイントとなります。

2. 転送

撮像した画像をデータとして転送します。カメラからコントローラーへ画像データを送ることでさまざまな処理ができるようになります。

3. 処理

画像処理の工程は前処理と計測処理に分けられます。

前処理では照明補正、2値化、フィルター処理、色抽出処理などを行います。

この工程では空間フィルターの概念を使って画像データを処理します。画像を3画素×3画素のセグメントに分けて空間フィルターに積和して得た結果を、3画素×3画素のセグメントの中間画素と入れ替えます。この処理を全体に行うことで画像がよりシャープになります。ただし、画像処理を3画素×3画素で行うと高解像のデータほど処理が多くなり、時間もかかります。インライン検査を実施するときは許容された時間内で処理できるようにすることが求められるため、精度とスピードのバランスを保った調整が必要です。

次に前処理された画像を計測できる状態に加工する計測処理を行います。そして画像認識でワークが基準を満たしているか良否判定するという流れです。

4. 結果出力

製品の検査で判定を終えたら、判定結果や詳細なデータを出力します。出力されたデータは蓄積しておくことでその後の検査にも活かせるようになり、品質の向上に役立てられます。

以上が画像センサを活用した検査の流れです。

画像検査のメリット

外観検査において、画像検査を取り入れて検査を自動化することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で主なメリットをご紹介します。

業務効率化

画像検査のメリットとして第一に挙げられるのが業務効率化です。検査員による目視検査にはある程度の作業時間が必要になります。画像検査装置を導入することで、検査にかかる時間を短縮でき、業務効率化につながります。

また、画像検査装置は生産ラインに組み込むことで、整列や排出などの作業と同時に検査が行えるため、一層の業務効率化につながります。

検査員不足の解消

検査員による目視検査を行うためには、当然のことながら検査員の確保が必要です。しかしながら、昨今の日本は少子高齢化などの影響により各業界で人手不足が慢性化しています。製造業界も例外ではなく、検査員の確保が難しくなっています。特に検査員には一定の経験とスキルが求められるため、人材確保の難しさに加えて教育にも時間とコストがかかる点も課題です。

画像検査装置を導入すれば、検査を自動化して必要な人員を大幅に減らすことができるため、検査工程の人手不足の解消につながります。また、検査員の負担を軽減する効果も期待できます。

検査品質の安定

検査員が行う目視検査は、現場の環境や検査員の体調などによって検査品質にばらつきが出る可能性があります。特に人材不足の製造現場であれば検査員にかかる負担が大きくなり、心身の不調をきたす可能性が高まるでしょう。また、検査員の熟練度によっても検査品質にばらつきが発生します。

画像検査装置を導入して検査を自動化することで、検査品質を安定させることができます。製造現場ではできる限り欠陥の発生を減らすことが重要課題です。検査品質を安定化させるためには検査装置の導入が不可欠になります。

コスト削減

画像検査装置を導入することで、結果的にコストを削減できます。装置の導入にはイニシャルコストがかかりますが、装置の導入によって製造現場全体の生産性が向上すれば、中長期的なコスト削減につながります。

以上が画像検査の主なメリットです。

撮像におけるポイント

撮像におけるポイントは以下の3点です。それぞれのポイントをおさえて画像処理に活かしていきましょう。

レンズの選定

レンズを選定する際は。視点や焦点距離、被写界深度、歪みなどさまざまなポイントを考慮する必要があります。安定した撮像を実現するためには、そのなかでも焦点距離と被写界深度が重要です。

焦点距離とは、ピントを合わせたときのレンズから撮像素子までの距離です。8mm、16mm、25mm、50mmなどのレンズがありますが、対象物に必要な視野などの条件から最適な焦点距離を求めることができます。

被写界深度とは、ピントが合う奥行きの範囲のことです。通常は焦点距離が短いほど被写界深度が深く、ピントをあわせられる範囲が大きくなります。高低差のある対象物の外観検査を行うには、被写リングやマイクロレンズを使用せずに対象物から遠い距離でも正確に撮像できるレンズを選ぶとよいでしょう。

照明の選定

レンズに加えて照明の選定も重要です。ピントの合った画像を撮影するには、できるだけ均一に対象物を照らす必要があります。また、対象物の素材や形状、検査内容によって照明を選ぶこともポイントです。

なお、照明ついては以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
光の当て方を照明機材で工夫する〜直接光編〜

カメラの選定

画像処理の際の撮像方式は大きく分けて2つあります。

まずはエリアセンサカメラを使う方法です。エリアセンサカメラは2次元の画像(四角い画像)を得られる画像処理システムで、一般的に使われている撮像方式です。画像取得時に対象物が静止している環境が望ましいですが、ストロボ照明を用いると動いている対象物の画像の読み取りも可能になります。

もうひとつはラインセンサカメラです。こちらは1次元画像、つまり1列分を連続取得して2次元の画像を得ることができます。原理はスキャナーやコピー機と同じです。画像取得時にはカメラか対象物を一定方向に動かす必要があります。

エリアセンサカメラに比べて大きな対象物の撮像に向いており、連続的に画像を取得したいときに最適です。ほかにも、モノクロかカラーか、高速化標準かなど目的に応じて選ぶ必要があります。

カメラの選定に関しては以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。
エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの違いとは
外観検査でのケース別エリアカメラとラインカメラの選び方
外観検査で使用するカメラ

まとめ

外観検査は不良品の流出を阻止し、発生原因を分析して生産工程を改善するために行われます。従来は検査員による目視検査が主流でしたが、昨今では検査装置を導入するケースが増えています。

画像検査では、撮像の精度が検査精度に直結するといっても過言ではありません。しかし、撮像の環境が整っていても、外観検査ツールが高精度で結果を出せなければ意味がありません。

そこで注目されているのがAIを活用した外観検査の自動化です。AIを用いることで撮像データをもとにより高精度な判定が可能になります。

以下の資料では、AIを活用した外観検査について詳しくまとめています。外観検査の自動化や作業効率化などを目指している場合は、ぜひ参考にしてください。

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