外観検査でのケース別エリアカメラとラインカメラの選び方

 2020.08.05  株式会社システムインテグレータ

前回紹介したエリアカメラとラインカメラを、外観検査の現場でどのように利用されているかケースごとに紹介します。具体的なワーク例をいくつかピックアップしてみたいと思います。これにより、現場に合わせたカメラ選定のポイントを整理します。

エリアカメラとラインカメラの特徴(おさらい)

前回の記事『エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの違いとは』で2つのカメラの特徴について説明しましたが、それぞれのカメラの特徴を表にまとめました。

比較項目 エリアカメラ ラインカメラ
価格 安価 高額
検査対象の大きさ 小さな対象向き 大きな対象も撮像可能
照明 均一な照明をあてにくい
(撮像面の全体に照明をあてるため、場所によって照明ムラを起こしやすい)
均一な照明をあてやすい
(撮像ラインに均一な照明を当てることができる)
精度 解像度のラインアップが豊富で選択肢が多い 解像度のラインアップは少ないが、高精細な製品がある
扱いやすさ 設定や設置が容易 検査対象を動かすため、機材の設置や速度の調整が難しい

表 1.エリアカメラとラインカメラの特徴

表からも分かるように、エリアカメラは安価、扱いやすい等のメリットがありますが、検査対象の大きさに制限がある、照明があてにくい等のデメリットがあります。反対にラインカメラは高額ですが大きな検査対象も撮像可能、均一な照明をあてやすい等のメリットがあります。

実際の現場では、「撮りたい対象(以下.ワーク)の特徴をどのように撮るか」という要件と予算で決めるのですが、ここでは要件に焦点をあてて説明します。

そもそも外観検査における撮像の目的は、正常な状態との差を最大にすることです。つまり、対象ワークに異常が発生した際にそれがよく見えるようにすることであり、ワークの種類や異常の特徴の種類によって撮像方法が変わります。また、実際の現場では、異常の特徴が1つに限られることはまれで、複数の異常の組み合わせをとらえる必要があります。

それでは、エリアカメラとラインカメラで対応できる要件とはどのようなものがあるのでしょうか。

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エリアカメラはさまざまなワークに対応できる万能選手

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撮像する範囲が限られている

ワークサイズが小さく撮像する範囲が限られている精密機器部品や、工業部品はエリアカメラが向いています。また、ワークが大きい場合であっても、撮像するエリアが限定されている場合もエリアカメラは適しているでしょう。

具体的には、製造部品の生産工程で発声するバリのような特徴は、充填して製造する素材に多く、その多くは発生箇所も特定しやすいためエリアカメラが使われることが多いです。以下写真のような、ペットボトルの蓋に規定以上のバリがないかなどの検査もエリアカメラが使われています。
なお、撮像する範囲についてはカメラのスペックとレンズが影響しますので合わせて検討することが必要となります。

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また同じ理由から、商品パッケージのラベルや、バーコード、OCRも印刷される場所は決まっているのでエリアカメラが向いています。

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ワークが複雑形状で多方面からの撮像が必要な場合

人が複雑な形状をしたものを見る際には、複数の方向から見ると思います。一方向からだと影になって見えないからだと思われます。また、純粋に複数の面を見たい場合もあるでしょう。エリアカメラでは柔軟に撮像環境を構築することができます。たとえば、複数のカメラをワーク周りに配置したり、産業用ロボットにカメラをつけて複数の箇所の撮像することが多いです。

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また、エリアカメラは、さまざまな会社より販売されておりラインアップも多く、比較的安価に手に入れることができます。そのため、さまざまな撮像方法に対応できるのも特徴です。

エリアカメラ内での適合性の違いについて
エリアカメラとラインカメラの比較で説明をしていますが、同じエリアカメラの中でも適合性の違いがあります。エリアカメラとラインカメラのどちらにするか決めた後は、その中でさらにカメラの種類を絞り込んでいきます。例えば、目視でも確認が難しいほどの極小のキズやバリを撮像するには、エリアカメラの中でも高解像度の製品を選ぶ必要があります。

ラインカメラは緻密な撮像が要求される平面なワーク向き

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平面状の大きなワーク

万能選手であるエリアカメラでは、平面状の大きなワークの場合はカメラを複数並べて撮像することが多いです。ただし、対象ワークを均一に撮像したい場合には不向きです。なぜならば、エリアカメラの場合、照明ムラをなくすための工夫を特殊な照明機材で行いますが、カメラを並べた場合それを実現することが物理的に難しいのです。ラインカメラはこのような場合に最適です。

具体的には、繊維生地やフィルムのような長いシート状のものはラインカメラが向いています。
実際に繊維生地のようなワークも、ベルトコンベアで流しながら撮像することで同じ撮像条件(照明やカメラアングル)で撮像することができます。

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円柱状のワーク

また、ワークがお風呂場の手すりのような円柱・ポール状の場合にも、ラインカメラを選択する場合が多いです。ワークを回転させながら撮像することにより、1回の撮像で表面すべてを撮像することができます。
エリアカメラで円柱状のワークに均一な照明をあてて撮像するのは難しいのですが、ラインカメラでは照明の当て方は撮像するラインだけを注意すればよく、照明ムラを起こしにくいという利点があります。

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ラインカメラ内での適合性の違いについて
同じラインカメラの中でも適合性の違いがあります。例えばスキャンレートです。スキャンレートはエリアカメラでいうところのフレームレート(fps)に相当する値で、1秒間に取得できるライン数を表します。生産ラインのタクト時間(ワークの移動速度)を考慮して、カメラの最速スキャンレートを越えないようにラインカメラを選定します。

まとめ ~ 外観検査でのエリアカメラとラインカメラ選定基準 ~

いままで、エリアカメラとラインカメラの特徴を説明してきました。以下に具体的なケース事例をまとめました。例えばエリアカメラは金属業界であれば、ナットやワッシャのサビ、傷、打痕検知のようなケースで選ばれます。一方ラインカメラは丸いシャフトのサビ、傷、打痕検知などのケースで選ばれます。カメラ選定時の参考になればと思います。

  エリアカメラ ラインカメラ
基本的な選定条件
  • 撮像面が小さい
  • 1方向からの撮像で解決する場合
  • 複雑な形状で複数面撮像したい場合
  • 撮像面が大きい
  • 検査箇所が平面かつ精緻な撮像が要求される場合
具体的なケース事例 外観検査 金属業界
  • ナットやワッシャのサビ、傷、打痕検知
  • 接の割れ、気泡検知
  • シャフトのサビ、傷、打痕検知
  • 金属ポールの傷、焦げ検知
食品・日用品業界
  • 商品ラベルの印刷不良検知
  • 樹脂製品のバリや欠け検知
  • 不織布マスクの汚れ、異物、毛髪の混入検知
  • シート・フィルムの穴あき、汚れ検知
  • 繊維・織物の、色ムラ、ほつれ、しわ
  • ガラスの傷、割れ、気泡検知
電子デバイス業界
  • 端子のメッキ不良検知
  • 基盤のはんだ不良検知
  • 金属箔のしわ、穴検知
文字認識や数量カウント
  • バーコードやOCRによる、賞味期限やシリアル番号の判定
  • ケース内の製品個数のカウント検知
 

表 2.カメラの選定基準参考事例

いかがでしたでしょうか、3回にわたって生産ラインの外観検査で使用するカメラについて説明してきました。
これで、カメラの種類によってはどのようなことができるか理解できたと思います。

実際の現場ではカメラのほかに照明やレンズを現場の状況をふまえて選定することになります。
撮像環境構築からAIを利用した外観検査までトータルで検討されるのでしたら、弊社へお問合せください。最適な外観検査に必要な撮像環境からご提案をさせていただきます。

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