AIに分かりやすく伝える画像データ ~光の当て方~

 2020.06.26  株式会社システムインテグレータ

AIが精度よく判断するには、よりよい入力データを準備することが重要です。
入力データにはさまざまな種類がありますが、画像認識の分野で利用する画像データについて着目します。
画像データを決める要素の1つに光の当て方があります。なぜ光の当て方が画像データに影響するのでしょうか?
それは、光の当て方によって画像の特徴が変わるからです。この特徴はAIに分かりやすく伝えるために必要な要素です。
この記事で、AIに分かりやすく伝えることができるように、光の当て方と共にどのような画像が撮れるのかを一緒に見て光の当て方の理解を深めましょう。


 

なぜ光が必要なのか

人間が視覚を使ってモノを認識できるのはなぜだと思いますか?
答えは、光の存在があるからです。例えば、太陽や照明などから放たれた光はモノにあたり、反射した光が人の目に届くことによって認識できます。
逆に、光が存在しない場合はモノに光が反射することがないため、目に届かず何も見えないということです。

外観検査で照明とカメラを使って対象物の画像を撮るという時も同様のことが言えます。
照明が光を放ちカメラが人間の目の役割を担うことでモノを認識し画像データを作ります。

それでは光から画像が作られる流れをみていきましょう。

  1. 照明から出た光が対象物にあたり光が屈折する、吸収される、透過するなど作用します
  2. 作用した光の一部がカメラに入り、撮像素子という部品にあたり光を電気信号に変えます
  3. この電気信号を画像処理エンジンに渡すことによって画像が生成されます

光から画像を作る流れ
【図1.光から画像を作る流れ】

もし光がなければ、電気信号は発生せず画像処理エンジンに渡すこともできません。
そのため、光は画像を生成するために必要不可欠な要素と言えます。

関連記事:なぜ外観検査では特殊な照明を使うのか

光の当て方

ここまでで光の必要性について説明してきました。ここからは画像データを決める要素の1つである光の当て方にはどのようなものがあるか見ていきます。
そして、次の章で光の当て方からどのような画像が撮れるかを確認し、光の当て方の重要性を認識していきましょう。

光の当て方には以下の3つがあります。

光の当て方 説明
正反射 入射角と反射角が等しく反射される光がでる当て方
光が拡散しないので強い光がでる
拡散反射 入射光がさまざまな方向に反射される光がでる当て方
光が拡散するので弱い光がでる
透過 対象物を透過した光がでる当て方

光の当て方による画像の見え方

最後に光の当て方によって、どのような画像が撮れるのか実際に見ていきます。
正反射、拡散反射を使い同じ対象物に光を当てます。どうでしょうか?明るく強い光が返ってくるところと、暗く弱い光が返ってくるところが光の当て方によって変わることが分かります。つまり違う内容の画像が撮れるということです。
このように、光の当て方で明暗の付け方が変わります。また、明暗を使うことで特徴づけることが可能になります。
AIがより理解できる画像を撮る。そのためには、このように光の当て方を変え、より特徴づけた画像を撮ることが重要です。

[光の当て方]正反射の設置

同軸落謝照明を利用し、光を対象物の正面から当てた場合です。

正反射を利用した設置
【図2.正反射を利用した設置】出典元:株式会社ユーテクノロジ

正反射設置により撮れる画像
【図3.正反射設置により撮れる画像】 出典元:株式会社ユーテクノロジ

全面に光があたり平面部分は反射する光が強く明るくなります。文字部分は反射する光が拡散するため、光が弱くなり暗くなります。
光沢素材の対象物であれば、上記のよう画像を撮ることができます。

[光の当て方]拡散反射設置

ドーム照明を利用し、拡散した光を多方向から当てた場合です。

拡散反射を利用した設置
【図4.拡散反射を利用した設置】出典元:株式会社ユーテクノロジ

拡散反射により撮れる画像
【図5.拡散反射により撮れる画像】出典元:株式会社ユーテクノロジ

全面に拡散光があたり平面部分は弱い光が返ってくるため暗くなります。文字の部分は平面部分より強い光が返ってくるため明るくなります。
また、エッジ部分もカメラ方向へ光が強く返ってくるため明るくなっています。

[光の当て方]透過設置

透過光を利用した設置
【図6.透過光を利用した設置】出典元:株式会社ユーテクノロジ

透過光により撮れる画像
【図7.透過光により撮れる画像】出典元:株式会社ユーテクノロジ

対象物の背面から光を当てることにより形状を確認できます。
また、対象物が透明である場合は、対象物内のキズや汚れを写すことが可能です。
シルエットを映し出す検査等に向いています。

いかがでしたでしょうか?
より特徴づけた画像データを得る要素の1つに、光の当て方がありました。
このように光の当て方を工夫することで、AIに分かりやすく伝えることができるということがお分かりいただけたかと思います。
思ったような画像が撮れないときは、ぜひ1度光の当て方を見直してみてはいかがでしょうか。

AIに分かりやすく伝える画像データを得る要素は他にもありますので、今後も皆様と一緒に見ていけたらと思います。


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