ラインスキャンカメラとは?エリアスキャンカメラとの違いを解説

 2024.06.06  株式会社システムインテグレータ

外観検査の撮像ではさまざまな種類のカメラを使用します。
撮像対象物の形状や素材、検出したい異常の種類(キズ・打痕・汚れなど)などによって、一番適したカメラを選びます。カラーにするのかモノクロにするのか、解像度はいくつにするのかなど考慮しなければいけない点は多岐に渡ります。
外観検査で利用するカメラは、大きくラインスキャンカメラとエリアスキャンカメラの2つにわけられます。ここではそれぞれのカメラの特徴について解説します。


 

ラインスキャンカメラとは?

ラインカメラの特徴

ラインスキャンカメラとは、対象を「線」で撮像するカメラです。
対象物を移動させながら撮像し、線で撮像した画像をつなぎ合わせて1枚の画像を作りあげます。
コピー機やスキャナー機で、機械の光が前後左右に移動してスキャンする様子を想像してもらうと、イメージしやすいかと思います。

ラインカメラのイメージ
【図2.ラインスキャンカメラのイメージ】

ラインスキャンカメラは、画像を途切れさせず連続で撮像が可能なため、円柱状のものやシート状の対象物の撮像に向いています。

円柱状の対象物をエリアスキャンカメラで撮像するには、対象物を囲むように複数台のカメラを用意する必要があり、また対象物を回転させながら撮像するということになれば、画像のつなぎ目や照明の当り方にムラが出来てしまうなど実際にエリアスキャンカメラで円柱状のものを撮像するのは現実的ではありません。

一方ラインスキャンカメラであれば、対象物を回転させながら撮像することで、1枚の画像に収めることができます。
さらに、長いシートのようにエリアスキャンカメラでは収まりきらない大きい対象物も、ラインスキャンカメラであれば撮像できます。

また、ラインスキャンカメラでは撮像しようとしているライン上だけに照明を当てればよいため、照明をあてる部分が狭くて済みます。照明の当て方も比較的難易度は下がり、照明を均一に当てやすくなります。
外観検査では、照明を均一に当てることが特に重要なため、ラインスキャンカメラで撮像する利点の一つといえます。

なお、ラインスキャンカメラでは、対象物の移動速度を一定に保つ必要があります。これは、速度が変わってしまうと画像が伸びたり縮んだりしまうからです。

エリアスキャンカメラとは?

エリアカメラの特徴

エリアスキャンカメラとは、対象を「面」で撮像するカメラです。最も一般的に用いられるカメラです。

エリアカメラのイメージ
【図1.エリアスキャンカメラのイメージ】

ラインスキャンカメラと比較すると安価であり、設定や設置も容易なため、汎用性にすぐれたカメラといえます。

ただし、以下のような注意が必要です。

  • 撮像範囲が限られるため大きな対象物の撮像には不向き
  • 撮像面全体に照明を均一に当てる必要があるため、照明ムラが起きないように注意が必要

ラインスキャンカメラとエリアスキャンカメラの比較

2つのカメラの特徴を表にまとめると以下のようになります。

比較項目 エリアスキャンカメラ ラインスキャンカメラ
価格 安価 高額
検査対象の大きさ 小さな対象向き 大きな対象も撮像可能
照明 均一な照明をあてにくい
(撮像面の全体に照明をあてるため、場所によって照明ムラを起こしやすい)
均一な照明をあてやすい
(撮像ラインに均一な照明を当てることができる)
精度 解像度のラインアップが豊富で選択肢が多い 解像度のラインアップは少ないが、高精細な製品がある
扱いやすさ 設定や設置が容易 検査対象を動かすため、機材の設置や速度の調整が難しい

表 1.エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの特徴

表からも分かるように、エリアスキャンカメラは安価で扱いやすい等のメリットがありますが、検査対象の大きさに制限がある、照明があてにくい等のデメリットがあります。反対にラインスキャンカメラは高額ですが大きな検査対象も撮像可能、均一な照明をあてやすい等のメリットがあります。

カメラの解像度

ここに2つのカメラがあります。

・500万画素のエリアスキャンカメラ
・4K画素のラインスキャンカメラ
(4K画素とは4096画素です)

どちらの方が高精細なカメラでしょうか?

○解像度とは?
ある大きさ当たりの画素数のことで、画素の密度を示す数値です。絶対解像度と相対解像度があり、絶対解像度は画像全体の画素総数を指しているのに対し、相対解像度は1インチ(2.54cm)あたりの画素数を指します。dpiやppiといった単位で表記されます。
資料やサイトによっては、解像度とだけ記載されているため、全体の画素数のことか画素の密度のことかどちらの意味で説明しているか意識する必要がありますね。

答えは「4K画素のラインスキャンカメラ」です。
一見、「500万画素のエリアスキャンカメラ」の方が高精細な印象を受けますが、実際には「4K画素のラインスキャンカメラ」の方が高精細なカメラとなります。

カメラの解像度を表す場合、エリアスキャンカメラは、「垂直(H) × 水平(V)」の面積の画素数で表すのに対して、ラインスキャンカメラはラインの画素数で表します。

エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの解像度の違い
【図3.エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの解像度の違い】

図3のエリアスキャンカメラは500万画素ですが、垂直方向の画素数は2050画素です。ラインスキャンカメラは画素数が4096画素です。エリアスキャンカメラの約2倍の画素数です。これは、エリアスキャンカメラが対象物を「面」で捉えるのに対して、ラインスキャンカメラでは「線」で捉える仕組みによるものです。
ラインスキャンカメラの水平方向の画素数に関しては、製品により制限があるものの撮像する幅次第なので任意です。水平方向にエリアスキャンカメラと同程度撮像したとすると、面積の画素数でエリアスキャンカメラを上回ります。

また、ラインスキャンカメラでは、エリアスキャンカメラよりも高精細数な製品が用意されていることが多いようです。例えば、とても小さなキズを検査するために高精度な撮像を行いたい場合には、ラインスキャンカメラが適しています。

外観検査で使用するカメラの基本については、以下ブログでより詳しく解説していますので併せてご覧ください。
外観検査で使用するカメラの特徴は?最適なカメラの選び方を解説

外観検査にどちらのカメラを使用すべきか?

実際の現場では、「撮りたい対象(ワーク)の特徴をどのように撮るか」という要件と予算で決めるのですが、ここでは要件に焦点をあてて説明します。

そもそも外観検査における撮像の目的は、正常な状態との差を最大にすることです。つまり、対象ワークに異常が発生した際にそれがよく見えるようにすることであり、ワークの種類や異常の特徴の種類によって撮像方法が変わります。また、実際の現場では、異常の特徴が1つに限られることはまれで、複数の異常の組み合わせをとらえる必要があります。

エリアスキャンカメラが向いている検査

撮像する範囲が限られているもの

ワークサイズが小さく撮像する範囲が限られている精密機器部品や、工業部品はエリアスキャンカメラが向いています。また、ワークが大きい場合であっても、撮像するエリアが限定されている場合もエリアスキャンカメラは適しているでしょう。

具体的には、製造部品の生産工程で発声するバリのような特徴は、充填して製造する素材に多く、その多くは発生箇所も特定しやすいためエリアスキャンカメラが使われることが多いです。以下写真のような、ペットボトルの蓋に規定以上のバリがないかなどの検査もエリアスキャンカメラが使われています。
なお、撮像する範囲についてはカメラのスペックとレンズが影響しますので合わせて検討することが必要となります。

撮像する範囲が限られている

また同じ理由から、商品パッケージのラベルや、バーコード、OCRも印刷される場所は決まっているのでエリアスキャンカメラが向いています。

外観検査でのケース別エリアカメラとラインカメラの選び方

ワークが複雑形状で多方面からの撮像が必要な場合

複雑な形状をしたワークの場合、一方向からだけでは一部が見えなかったり、影が入ってしまったりするため、多方向から確認する必要があります。エリアスキャンカメラでは柔軟に撮像環境を構築することができます。たとえば、複数のカメラをワーク周りに配置したり、産業用ロボットにカメラをつけて複数の箇所の撮像することが多いです。

ワークが複雑形状で多方面からの撮像が必要な場合

また、エリアスキャンカメラは、さまざまな会社より販売されておりラインアップも多く、比較的安価に手に入れることができます。そのため、さまざまな撮像方法に対応できるのも特徴です。

エリアスキャンカメラ内での適合性の違いについて
エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの比較で説明をしていますが、同じエリアスキャンカメラの中でも適合性の違いがあります。エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラのどちらにするか決めた後は、その中でさらにカメラの種類を絞り込んでいきます。例えば、目視でも確認が難しいほどの極小のキズやバリを撮像するには、エリアスキャンカメラの中でも高解像度の製品を選ぶ必要があります。

ラインスキャンカメラが向いている検査

平面状の大きなワーク

万能選手であるエリアスキャンカメラでは、平面状の大きなワークの場合はカメラを複数並べて撮像することが多いです。ただし、対象ワークを均一に撮像したい場合には不向きです。なぜならば、エリアスキャンカメラの場合、照明ムラをなくすための工夫を特殊な照明機材で行いますが、カメラを並べた場合それを実現することが物理的に難しいのです。ラインスキャンカメラはこのような場合に最適です。

具体的には、繊維生地やフィルムのような長いシート状のものはラインスキャンカメラが向いています。
実際に繊維生地のようなワークも、ベルトコンベアで流しながら撮像することで同じ撮像条件(照明やカメラアングル)で撮像することができます。

平面状の大きなワーク

円柱状のワーク

また、ワークがお風呂場の手すりのような円柱・ポール状の場合にも、ラインスキャンカメラを選択する場合が多いです。ワークを回転させながら撮像することにより、1回の撮像で表面すべてを撮像することができます。
エリアスキャンカメラで円柱状のワークに均一な照明をあてて撮像するのは難しいのですが、ラインスキャンカメラでは照明の当て方は撮像するラインだけを注意すればよく、照明ムラを起こしにくいという利点があります。

円柱状のワーク

ラインスキャンカメラ内での適合性の違いについて
同じラインスキャンカメラの中でも適合性の違いがあります。例えばスキャンレートです。スキャンレートはエリアスキャンカメラでいうところのフレームレート(fps)に相当する値で、1秒間に取得できるライン数を表します。生産ラインのタクト時間(ワークの移動速度)を考慮して、カメラの最速スキャンレートを越えないようにラインスキャンカメラを選定します。

まとめ

エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラの特徴を説明してきました。それぞれ向いている検査について、以下に具体的なケース事例をまとめました。例えばエリアスキャンカメラは金属業界であれば、ナットやワッシャのサビ、傷、打痕検知のようなケースで選ばれます。一方ラインスキャンカメラは丸いシャフトのサビ、傷、打痕検知などのケースで選ばれます。カメラ選定時の参考になればと思います。

  エリアスキャンカメラ ラインスキャンカメラ
基本的な選定条件
  • 撮像面が小さい
  • 1方向からの撮像で解決する場合
  • 複雑な形状で複数面撮像したい場合
  • 撮像面が大きい
  • 検査箇所が平面かつ精緻な撮像が要求される場合
具体的なケース事例 外観検査 金属業界
  • ナットやワッシャのサビ、傷、打痕検知
  • 接の割れ、気泡検知
  • シャフトのサビ、傷、打痕検知
  • 金属ポールの傷、焦げ検知
食品・日用品業界
  • 商品ラベルの印刷不良検知
  • 樹脂製品のバリや欠け検知
  • 不織布マスクの汚れ、異物、毛髪の混入検知
  • シート・フィルムの穴あき、汚れ検知
  • 繊維・織物の、色ムラ、ほつれ、しわ
  • ガラスの傷、割れ、気泡検知
電子デバイス業界
  • 端子のメッキ不良検知
  • 基盤のはんだ不良検知
  • 金属箔のしわ、穴検知
文字認識や数量カウント
  • バーコードやOCRによる、賞味期限やシリアル番号の判定
  • ケース内の製品個数のカウント検知
 

表 2.カメラの選定基準参考事例

いかがでしたでしょうか、外観検査で使用するカメラの種類によって、どのようなことができるか理解できたと思います。

実際の現場ではカメラのほかに照明やレンズを現場の状況をふまえて選定することになります。
撮像環境構築からAIを利用した外観検査までトータルで検討されるのでしたら、弊社へお問合せください。最適な外観検査に必要な撮像環境からご提案をさせていただきます。


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