外観検査で使用するカメラ

 2020.07.13  株式会社システムインテグレータ

工場や事務所などのビジネスシーンで使用されるカメラにはいくつか種類があります。
たとえば、建物の出入り口で不法な侵入者を防ぐための監視カメラ、工場の生産ラインで正しく製造できているかの確認に利用される産業用カメラなどがあります。
いずれも同じカメラですが、特徴は大きく異なります。
今回から3回にわたって生産ラインの外観検査で使用するカメラについて説明します。

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監視カメラとは?

監視カメラは、用途に応じて呼び方が異なり、防犯カメラ、監視カメラとも呼ばれます。
防犯カメラはその名の通り犯罪を防ぐために使用するため、サイズは大きく設置場所も目立つように設置します。これはカメラの存在に気付いて犯罪をやめる、といった2次的な効果もあります。たとえばマンションの出入り口に設置して侵入者を防いだり、コンビニで万引きを減らしたりするのにも活用されていますね。
一方で監視カメラは、サイズは小さく目立たないように設置されます。これは、カメラで撮影していることを気づかれないようにするとともに、撮影していること自体を意識させないよう配慮することが目的と考えられます。たとえば、福祉や医療施設で問題が起きていないかの確認や建設現場の進捗確認などに利用されます。

防犯カメラや監視カメラには以下のように共通した特徴があります。

  • 丈夫である
  • 設置場所や時間を選ばない
  • 長時間稼働が可能

防犯・監視カメラは、屋外に設置される場合もあります。雨風に耐えられるよう頑丈に作られています。
暗い所では上手く撮影できないとなると防犯カメラとして役に立ちません。明るい日中、暗い夜間、物陰の暗い場所など時間や場所を選ばずに鮮明な撮影ができるのも特徴です。また、一回設置したらほとんどメンテナンスしないため、長時間稼働が前提でもあります。

また、昨今では、パソコンやスマートフォンから映像を確認できたり、カメラをズームしたり向きを変えたりといった操作もできます。今では外出中や仕事中に自分の部屋にいるペットの様子を簡単に確認できるようになりました。

産業用カメラとは?

産業用カメラとは主に工場で利用されることが多く、用途別に「モニタリング用」と「マシンビジョン用」に分かれます。
モニタリング用とは、カメラとモニタをつなぎ、作業者がモニタを見て確認を行います。
人が入れないところにカメラを置いて遠隔からモニタで観察したり、顕微鏡にカメラとモニタにつないで小さなものを観察したりするのはモニタリング用です。
一方でマシンビジョン用は、画像解析を目的としたカメラです。カメラで撮影した画像をPCに送り、専用のソフトを用いて、画像の解析や加工を行います。主に工場の生産ラインや出荷前検査で使用されます。
これ以外にも近年では、カメラによる物体認識でロボットによる箱詰めの際に使用されたり、バーコードを読み取り製品の資産管理などに使用されたりします。

ここで挙げた用途事例は、近年工場の自動化が進み従来人間が手で行っていた作業を機械に置き換えていった結果です。作業を人から機械に置き換えようとした場合、カメラはとても重要な役割を担うことになります。「人が目で見て判断」する行為は、「カメラで撮影したものを判断」することで自動化され、それがカメラによる外観検査となります。

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外観検査で使用するカメラ

ここまで、同じカメラと言っても用途によって、大きな違いがあるということをご理解いただけたと思います。
では、このブログのタイトルである外観検査に適しているカメラはどのようなものでしょうか。

そもそも、工場の外観検査の例でいうと、「製品が正しく製造または取り付けができているか」を検査することになります。そのため、検査したい対象物を安定させて正確に撮影することが必要です。また、実際の製造現場での撮影に対する要求はさまざまです。たとえば、対象物が大きかったり極小だったり、傷の違いを捉えたいのか色の変化なのか変形なのか、はたまた、素材の違いを捉えたいのか、さらに対象物は動いているかもしれません。このように、さまざまな要求に対して1つ1つ的確に対応する必要があります。つまり、動いていてブレたり、画質が荒くて傷や汚れが写らないということでは意味がありません。スマホで風景写真を撮るのとはわけが違いますね。
外観検査で使用するカメラには、これらの要求を満たさなければならず、産業用カメラにはこれらの条件に応えられるだけの機能や選択肢を持っています。

では、実際に上記の要求を満たす産業用カメラを選択しようとした場合どのようにしていくのがよいでしょうか。通常はスペック表を見て判断しますが、これら全ての要求内容を理解するのは非常に大変です。そこで、まず最低限理解したほうがいい基本的な用語を説明していきます。

ちなみに、外観検査ではカメラで対象物を撮影することを「撮像(さつぞう)」と言います。以降は「撮像」と呼びますので覚えてください。

イメージセンサー

イメージセンサーは日本語で撮像素子と訳されます。主に、CCDとCMOSがありますが、どちらのイメージセンサーも、カメラのレンズから入ってくる光(画像)を電気信号に変換することで撮像します。
CCDセンサーは長年主流のセンサーでした。そのため、さまざまな研究が進んでおり画質も非常に良いです。デメリットとしては消費電力が高く高価な点です。
一方、CMOSセンサーはCCDセンサーよりも後に登場したセンサーです。当初は性能面でCCDセンサーに劣る点もありましたが、近年では技術改良が進み、CCDセンサーと遜色ないレベルになりました。CMOSセンサーは安価なこともあり、外観検査のカメラとしてよく使われます。

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画素

画素とは、画像の最小単位のことで、ピクセル(pixel)とも呼ばれます。スマホのカメラでよく○万画素などとはこのイメージセンサー内の画素の数を表現しており、1280×1024(130万画素)などのように表されます。
これは、縦が1280個、横が1024個の点で、1枚の画像を表現しているということです。一般的には画素数が大きいほど、高精細な撮像ができるカメラと言われています。
外観検査で小さなキズを検査するには、画素数が大きいカメラを選ぶ必要があります。

カラーカメラとモノクロ(白黒)カメラがあります。
色味の違い、変化を判定したい場合はカラー撮像が必須となりますが、傷の有無や変形などを撮像したい場合にはモノクロを選びます。カラーを画素でどのように表現しているか仕組みを理解することが必要になりますが、ここでは同一画素数であればモノクロカメラのほうが高精細な撮像が可能とだけ覚えて下さい。そのため外観検査ではモノクロカメラを選ぶケースが多くなっています。気になる方は、「カラーイメージセンサーのしくみ」を調べてみてください。

シャッター方式

シャッター方式には「ローリングシャッター」と「グローバルシャッター」の2つの方式があります。
ローリングシャッターはセンサー素子の上部ラインから順番に露光が開始される方式です。グローバルシャッターはセンサー素子の全てのラインで同時に露光を開始して同時に終了する方式です。
ベルトコンベアで流れてくる製品を撮像するような場合、ローリングシャッターは上部ラインと下部ラインで露光のタイミングがずれますので、若干の歪みが生じます。動いている対象の撮像にはグローバルシャッターが適しています。

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フレームレート

フレームレートは1秒間に撮像する回数で、「fps」という単位で表します。10fps前後の製品から300fpsを超える製品まで幅広くあります。10fpsの場合、1秒間に10回の撮像をすることができるカメラになります。外観検査では流れるライン上で撮像を行うため重要な要素です。
生産ラインがどれくらいのスピードで流れているのか、1つの対象物に対して何回の撮像をするのか、という観点でカメラを選択します。

インタフェース

カメラで撮像した画像は、画像処理装置やPCに送られます。その2つを繋ぐケーブルの規格が、カメラのインタフェースです。カメラからのデータは、解像度やfpsが大きいほど大量になります。これを欠損なく連携するうえでもインタフェースは非常に重要なものとなります。このインタフェースには、いくつかの種類がありますが、現在主流なインタフェースには、「Camera Link」、「CoaXpress」、「Gig E」、「USB 3.0」などです。
それぞれに、ケーブル長・転送速度・ケーブル価格などでメリットとデメリットがあり、カメラを設置する環境やコスト面から最適なものを選択します。

いかがでしょうか、すでにご存知の用語もあったと思います。実際にカメラを選択する際は、これらの用語以外の専門用語やカメラメーカー独自の用語などもあるため、各社のスペック表を見比べながら違いを調べてみてください。

そして、外観検査は「安定した正確な」撮像を要求されるため、カメラ自体の機能だけではなく、撮像機構を工夫する場合もあります。
これに関しては、次回ご紹介します。

コラム:撮影と撮像のちがい

撮像という言葉は、カメラメーカーをはじめ外観検査業界では一般的に利用する用語です。その業界の人と話す際には、普通に交わされるので違いは覚えておいてください。
2つの違い、それは撮り方の違いなのだと。撮影は「撮るものを強調し陰影をつけたりして撮影者の趣向が入る撮り方」で、撮像は「ワークそのものの状態を保持し、隅々まで精細に写す」撮り方であると言われます。ちょっとピンと来ないかもしれません。
もっとも外観検査において言えば、目的の違いで異なると考えても差し支えないです。映像を収集することを目的にするのが「撮影」。これに対し、「撮像」はある目的(外観検査)にために映像をデータとして取得することになります。何となくイメージできましたでしょうか。これで、業界の人と普通に会話できると思いますよ。

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