AIカメラとは?導入のメリットや基本的な機能もご紹介

 2024.10.24  株式会社システムインテグレータ

近年、小売業や製造業などさまざまな業界において、AIカメラの導入や実証実験が進んでいます。AIカメラの導入により、人件費の削減や業務効率の向上などの効果が期待されており、今後も導入を進める企業は増えると考えられます。本記事では、AIカメラの概要やメリット、基本的な機能などについて解説します。

 

AIカメラとは

AIカメラとは、人工知能を搭載したカメラです。カメラとしての一般的な機能に加え、AIが映像に含まれる物体を抽出する、個人の顔を認識する、行動パターンを分析するなど、さまざまなことを実現できます。

AIカメラは大きく2種類に分けられ、端末そのものにAIが搭載されているタイプと、カメラが読み取った情報をクラウドで処理するタイプがあります。前者はカメラに搭載されたAIが情報を処理し、後者はネットワークを介して一度情報がクラウドに送られ、処理を実行します。

例えば自動車に搭載されている、飛び出しを検知するような機能にもAIが活用されています。AIが歩行者や車、自転車などを瞬時に検知することでドライバーに危険を知らせることが可能になっています。

AIカメラの基本的な機能

AIカメラの基本的な機能として、カメラが映した映像から人物の特徴を検知する機能が挙げられます。また、物体の異常検知や顔認識による分析、文字の認識、収集なども行えます。

人物の特徴を検知する

AIカメラを用いれば、カメラに映った人数を把握できます。特定のエリアにどれくらいの人が集まっているのか、立ち入りを禁止しているエリアに人が入り込んでいないか、といったことの検知が可能です。

また、特定姿勢の判定もできます。人の関節を点でつなぎ、その動きで判定する仕組みです。ベテラン作業員と新人作業員の姿勢や動きの違いを比較して新人指導を行う、不審人物の危険な動きを認識するなどの活用が可能です。

滞在時間も把握できるため、マーケティング戦略に活かせます。たとえば、多くの人が長く滞在する店舗内エリアを把握できれば、レイアウトやサービスなどを参考にし、ほかの売り場に転用するといったことが可能です。

映像や画像から異常を検知する

カメラが映した画像や映像に含まれる異常を検知する機能は、製造業における検品や医療分野での腫瘍検出、建設現場における安全チェックなど、さまざまなシーンで活用されています。

たとえば、建設現場では作業員の安全を確保するため、ヘルメットの着用を義務付けるケースがほとんどです。AIカメラの物体検出機能を用いれば、ヘルメットを装着しているかどうかを判定でき、管理者は状況に応じて速やかに適切な指示を出せます。

また、従来の製造現場では製品の検品を人が目視で行っていました。しかし、AIカメラを用いれば、AIが製品の不良や異常を自動的に検知するため、作業スピードや検査品質の向上、コスト削減などの効果を得られます。

関連記事:外観検査で使用するカメラの特徴は?最適なカメラの選び方を解説

顔を認識して性別や年齢を分析する

顔で個人の認識や属性の判定を行えます。たとえば、事前に従業員の顔データを登録しておけば、カメラが本人かどうかを認識し、入退室制限がある部屋への入退室をスムーズにすることや、勤怠管理の自動化なども可能です。

また、AIカメラは人の性別も判定できます。そのため、店舗の入口に設置すれば、メインの客層が男性なのか女性なのか容易に把握が可能です。メインの客層を把握できれば、マーケティング戦略に活かせます。

文字認識し情報を収集する

カメラが読み取った文字情報を認識する機能があります。たとえば、標識に書かれている文字を認識する、車両のナンバーを読み取る、文書に記載されているテキストを文字起こしする、といった活用が可能です。

文字認識といえばOCR技術がよく知られていますが、OCRは画像として取り込んだ情報をデジタル文字コードへ変換する技術です。事前にインプットされたテキスト情報とマッチングさせつつ、読み取ったテキストを変換します。

OCRは優れた技術であるものの、手書き文字の認識に弱く、精度が低くなるケースがあるなど課題もありました。一方、AIカメラはAIが自動的に学習するため、文字の認識率向上に成功しています。

AIカメラの種類

冒頭で軽く触れましたが、AIカメラには大きく2種類あります。

クラウドAIカメラ

AIの処理をクラウド上で行うタイプのAIカメラです。
記録した画像や映像をクラウドにアップロードし、クラウド上でAI処理を行うため、映像解析のための端末などを用意する必要がありません。また、処理自体はクラウドで行うため、ネットワーク環境が整っていればどこで映像を取得しても問題なく解析ができます。

ただしクラウド上に情報をアップロードすることになるため、情報によってはセキュリティの対策を講じる必要があります。

エッジAIカメラ

こちらはカメラや端末側にAI機能が搭載されており、端末(エッジ)側でAI処理を行うカメラです。
概ねカメラ自体にAI機能が搭載されており、セットアップが容易で、管理もしやすいというメリットがあります。エッジAIカメラの場合はオフライン環境でAI処理が可能なため、ネットワーク環境に依存せず、高速の処理が可能です。

一方で、カメラやデバイスとAI機能が一体化しているため、AIの変更やカメラ機能のアップグレードが柔軟に行えないというデメリットもあります。

 

また、近年ではカメラとAIシステムを組み合わせて環境を構築することもできます。好みのカメラとコンピューターを組み合わせられますが、コストがかかりやすい、設置時の工事が煩雑になるなどのデメリットが発生します。それぞれにメリット・デメリットがあるため、目的や利用シーンに合わせて選ぶことがポイントです。

AIカメラを導入するメリット

AIカメラの導入により、人件費などのコストを削減できます。また、マーケティングや勤怠管理、安全確保などさまざまなシーンで活用できる点もメリットのひとつです。

人件費などの人的コストを削減できる

新型コロナウイルス対策として、入店時に検温を実施する店舗が増えました。AIカメラを導入すれば、検温を自動化でき人的コストを削減できます。

店舗の省人化も可能です。完全な無人化まではいかずとも、スタッフの数を最小限に抑えられれば、大幅な人件費のカットにつながるでしょう。

これまで人が行ってきた業務をAIに代行してもらうことで、リソースをより有効に活用できます。削減した労力をコア業務に投入すれば、生産性向上にもつながります。

売上や顧客体験の向上、業務の効率化につながる

AIカメラを導入すれば、店舗内で顧客がどのような動きをしているのか把握できます。取得した情報から、動線を意識したレイアウトづくりや売り場づくりに活かすことができ、売上や利益向上を狙えます。

また、特定エリアにおける混雑状況の把握も可能です。たとえば、特定の時間帯に混雑するエリアがあるとわかれば、混雑するタイミングで対応するスタッフを増やす、といった対応を行えます。適切な対応にのり出すことで、顧客の待ち時間解消にもつながるでしょう。

さらに、勤怠管理の自動化も実現できます。事前に登録した情報と顔認識機能により、確実な勤怠管理が可能です。タイムカードの打刻忘れや管理ミスがなくなり、業務効率もアップします。

AIカメラを導入するデメリット

AIカメラを導入するデメリットとして、コストが挙げられます。また、導入した初期の段階は運用が難しいと感じることがあるかもしれません。

導入コストがかかる

一般的なカメラに比べて高額な製品が多く、相応のコストが発生します。ただ、近年はさまざまなメーカーがAIカメラをリリースしており、手を出しやすい価格帯の製品やサービスも増えてきました。

導入にあたり一定のコストが発生するのは事実ですが、導入で得られるメリットや効果を考えると有効な投資と考えられます。AIカメラを導入すれば、業務効率や生産性の向上、人件費削減などさまざまな効果を得られるため、中長期的な視点で見ると導入コストの発生は必ずしもデメリットといえないでしょう。

運用が難しい

AIカメラは操作方法にも一般的なカメラと違いがあります。そのため、導入初期は運用が難しいと感じるかもしれません。

ただ、近年は使いやすさを重視したAIカメラサービスも登場しています。直感的に利用できるインターフェースを採用したサービスもあり、以前に比べて導入のハードルは下がっています。また、AIの習熟度が高まれば人の手を必要とすることも少なくなり、複雑な操作を行う必要もなくなるでしょう。

まとめ

AIカメラはさまざまな用途に利用でき、人的コストの削減も実現できます。なお、外観検査をAIで自動化できる最先端システム、「AISIAーAD」ならAIモデルに限定せず、個々にマッチしたAI外観検査システムの構築が可能です。AIによる外観検査の自動化により、人的コストの削減や検査品質の向上効果が期待できます。

外観検査の自動化についてまとめた資料もありますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。


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