第4次産業革命とは?AIとIoTで製造業はどう変わるのか

 2019.11.06  株式会社システムインテグレータ

“第4次産業革命”が話題を集めたのは2016年1月、世界経済の動向に大きな影響を与える世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)の年次総会であるダボス総会がスイス・ダボスで開催され、そこで大きく取り上げられたことで話題になりました。

現在でも多方面で取り上げられており、すでに新技術の活用段階に入っています。本稿では第4次産業革命の概要と、AIやIoTが製造業をどう変えていくのかについて紹介します。

第4次産業革命とは?

第1次産業革命が起きたのは18世紀半ばから19世紀にかけて起こり、英国で蒸気機関が開発され、モノづくりが人の手から機械へと移転していきます。そして1965年から1990年にかけて電気・石油等のエネルギー革新が大きく進み、輸送手段の変革が起きました。これを第2次産業革命と呼びます。

第3次革命はというと、コンピューターが経済界を台頭したことで工場での機械自動化が進み、より効率的に商品を大量生産することが可能になりました。ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の普及により、生産の自動化も進んでいます。

では第4次産業革命とは何か?これはさまざまなモノがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の概念にもとづきインターネットに繋がることで、それをAI(Artificial Intelligence:人工知能)が制御するようになり、工場の完全自動化が進んでいくという新しい革命です。

2012年にドイツ政府が打ち出した技術戦略であるインダストリー4.0を日本語化したのが第4次産業革命であり、IoTとAIが強いかかわりを持っています。

IoTとは?AIとは?

第4次産業革命の核になるのはIoTとAIという2つの革新的技術です。2つの技術に関しては広く浸透していますが、ここで改めて解説します。

IoTでモノにデータ的価値を付ける

IoTはあらゆるモノがネットワークで繋がり、さまざまな情報をリアルタイムにやり取りするための仕組みです。モノをネットワークに接続すると、従来は読み取れなかったデータをモノから集め、蓄積し、それを分析することができます。たとえば自動車がネットワークに繋がると、道路の混雑状況や道路工事状況、路面状況などのデータをリアルタイムに集めて、他の運転者と共有できるようになります。

こうした機能はすでにカーナビに搭載されており、交通におけるさまざまな情報をリアルタイムに近い感覚で運転者に発信してくれます。ただし、IoTで目指す世界はもっと先にあります。

もしもすべての自動車がネットワークで接続され、情報を共有するようになったらどうなるでしょうか?細かい混雑状況や路面状況などを相互にやり取りして、常に正確な情報をすべての運転者に発信できます。

そればかりか、リアルタイムな桜の開花状況や天気が変化しやすい山岳部の天気を正確に伝えたり、自動車が巨大なネットワークに接続することで日本中の情報が手に取るようにわかるようになります。

AIがデータを解析、次のアクションへ

IoTによってモノから収集したデータはストレージに蓄積するだけでは意味がありません。肝心なことは、蓄積した大量のデータを限りなくリアルタイムに処理し、それを価値ある情報に変換してフィードバックすることです。さらには、状態に応じて処理を自動化することです。

たとえば、3D地図、周辺車両、歩行者、信号、渋滞、自己、交通規制、路面などの情報をIoTによって蓄積し、それをAIが分析することで自動運転が可能になります。AIが無ければせっかく収集したデータもただのデータです。

完全自動化を目指す工場、スマートファクトリーでは生産ラインの機械からIoTによってあらゆるデータを取得し、それをAIで分析することで自動化を実現しつつあります。一部の生産ラインではIoTとAIによる自動化に成功している工場もあり、今後更なる発展が見込まれています。

第4次産業革命の課題

IoTとAI以外にも、第4次産業革命を実現するための重要なキーワードがあります。それが“ビッグデータ”です。IoTから収集したデータは多種多様かつ大規模なものであり、ビッグデータとして管理されることになります。そのビッグデータをAIで分析することで、サービスの革新が起き、新しいビジネスモデルが誕生していくでしょう。

ただし、第4次産業革命にも課題はあります。それは「ビッグデータをどこまで共有するか?」という点です。ビッグデータは企業がビジネス価値を生み出すための源泉であり、不用意に他社との共有は避けたいところです。ビッグデータから独自技術が解析されてしまったり、企業存続を危うくさせたりするきっかけにもなります。

他方、ビッグデータを一企業が独占してしまうと第4次産業革命が進まないという問題があります。ビッグデータといえば一社の企業で蓄積・管理できるデータ量には限界があり、それを活用する技術も固定化してしまうので、イノベーションが促進されません。速やかに第4次産業革命を実現するためには、パートナーとビッグデータを共有し、互いの技術やサービスを急速に躍進させる必要があるのです。

この部分の線引きが第4次産業革命の大きな課題と言われています。ただし、近年では大企業同士を中心に協業体制が整えられつつあり、ビッグデータ共有による第4次産業革命が進んでいます。

第4次産業革命で製造業はどう変わる?

それでは、第4次産業革命が起こることで製造業はどう変化していくのか、以下にまとめました。

① 労働生産性が劇的に向上する

第4次産業革命によって労働生産性が劇的に向上することは容易に想像できます。生産ラインの多くで属人的な作業を排除して自動化を進めることで、生産効率は大幅に向上しますし、それに伴って生産性も向上していきます。

② 需要創出による経済の活発化

世界ベースでIoTが付加する経済価値(売上増加効果やコスト削減効果など)については、主なシンクタンクが2013年~2022年の累計で15.7兆ドルと試算しており、ものづくり革新が起きる製造業では3.9兆ドルのあたらしい需要が創出されるとのことです。第4次産業革命によって世界的な経済の活発化が起きるのではないか、と予測されています。

③ 雇用が消失するリスク

上記2つの効果とは反対に、雇用が消失するのではないかというリスクも叫ばれています。生産ラインで人から機械へと代替していくことで、雇用が少なくなり失業者率が向上するかもしれません。その場合には、より戦略的な業務への転換が可能になるためIoT時代の人事戦略というものが重要性を増してきます。

製造業が目指すスマートファクトリー

最終的に製造業が目指すべき姿は「スマートファクトリー」です。
スマートファクトリーは、製造現場にある機械設備や管理システムをIoTにより接続する事で、製造プロセスを効率化・無人化し、データを活用した高付加価値商品の製造を行うための仕組みです。スマートファクトリーを実現するには、IoT、ビッグデータ、AIそして、産業用ロボット技術などを活用したエンジニアリングチェーンが欠かせません。先端の技術を活用し、連携させながら工場を運営する事がスマートファクトリーの骨子であり、第4次産業革命の主題でもあるのです。

以上にように、第4次産業革命は経済に大きな影響を及ぼすだけでなく、私たちの働き方、企業のあり方をも変えるほどのものなのです。製造業では、来る革命に備えて第4次産業革命の概要について理解し、今取るべきアクションについて検討しておきましょう。

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