外観検査にAIと機械学習を活用する

 2020.01.17  株式会社システムインテグレータ

外観検査にAIと機械学習を取り入れる。ひと昔前には想像できなかったことが、今では現実化しています。

総合マーケティングビジネスを展開している株式会社富士経済によりますと、画像処理システム市場が急速に拡大しているのは2016年頃であり、同時に外観検査の自動化に対する機運も高まっています。機械学習(ディープラーニング)活用型の画像処理ソフトウェアは2017年に市場が立ち上がり、2021年には2017年比で35.3倍にも市場が拡大する予測です。

参照:富士経済『AI・ディープラーニングなどの技術革新に注目画像処理システムの世界市場を調査』

確かに、近年では製造業に対する品質要求が次第に厳しくなっていることから、検査員や検査プロセスの増加に限界を感じ、自動化に着目する企業が多くなっています。本稿を読まれている方の中にも、膨れ上がった検査コストをどうにかしたいと考えている方が多いかもしれません。

本稿では、そんな外観検査とAI及び機械学習の関係について解説しています。外観検査自動化を成功させるには、その中核技術となるAIと機械学習の理解が大切です。わかりやすい解説を心掛けているので、ぜひ参考にしてみてください。

AI、機械学習ってなに?

AIと聞くと、自律型ロボットを想像される方も多いでしょう。本田技研工業のASIMO然り、ソフトバンクのPepper然り、どちらもAIの一種ではありますが、すべてではありません。AIは、自然界の動物(主に人間)の挙動/思考を真似るための技術だけでなく、特定の分野に特化した処理能力を持つコンピューターを開発することの方が主流です。機械学習の自動化には、そんな特化型AIが搭載されています。

そして機械学習とは、AI研究分野の一部です。AIに対して大量のデータを与えて繰り返し学習していくことで、処理精度を高めるための技術を指します。その手法として、「教師ラベル付き」と「教師ラベル無し」があります。

前者は1つ1つにデータに対してメタ(属性)を与えます。要するに、データの正解を示し、そこから学習していく方法です。後者はそうした正解を示さないままデータをAIに与えて、AI自身の学習を促す方法です。

「教師ラベル付き」は、正常データと、異常データを学習させて、画像認識などに使われます。一方、「教師ラベル無し」は、大量のデータからAI自身が正常、異常の特徴を見つけ出し、過去のデータから未来を予測するものです。

ディープラーニングとは?

AIや機械学習と一緒に耳にするのが、「ディープラーニング」という技術です。「ディープラーニング」は、機械学習の一種ですが、人間が持つ神経伝達網を参考にして処理回路が構築されており、より人間の脳に近い判断ができるAIとして注目されています。

昨今、囲碁界においてAIが世界トップ棋士を打ち負かしたなどのニュースが話題になりましたが、これもディープラーニングによるものです。ディープラーニングを使って学習するAIは、無数のデータから特徴やパターンを自ら学習していき、次第に人間の脳を超えるほどの性能を持ちます。

これを活用して「AIがより優秀なAIを作る」といった、なんともSF的な研究も登場しており、AIが持つ性能を年々向上させています。外観検査自動化においてもディープラーニングを用いることで、画像認識精度を上げており、少し前までの外観検査システムとはまったく違った検査を実施できる製品も登場しています。

AI/機械学習を使った検査自動化ってどんなもの?

従来の外観検査システムと言えば、サイズや温度、圧力などを検知するセンサーから収集したデータをもとに、閾値を参考にしながらコンピューターが良/不良を判定するものが普及していました。しかし、これらの装置で検査できる範囲は非常に限定的で人による目視検査作業を無くすことはできません。

一度不良品が顧客のもとへ流れてしまえば、検査工程を強化するために検査員を補強したり、作業プロセスを増やしたりする対応が求められます。これでは、検査コストは年々増すばかりです。そこで注目され始めたのが、AIと機械学習を用いた外観検査の自動化です。

仕組みは難しいものではありません。ラインを流れる製品を動画または静止画で撮影し、その動画/画像データをコンピューターに転送して、ソフトウェアに内蔵されているAIが良/不良を判定しながらコンピューター画面にその結果を表示します。

異常が検出されたら監視員が異常個所を目視で確認し、問題があればラインから除外します。また、ロボットアームや除去装置を組み合わせることで異常の除外工程を自動化することも可能です。手作業で行われる外観検査に比べて、非常に効率的かつ正確に良/不良を判定できるので、検査員及び作業プロセスの削減に繋がり、外観検査全体のコストカットに繋がります。

<外観検査自動化の一例>

外観検査にAIと機械学習を活用する

※株式会社システムインテグレータ、ディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」参考

外観検査自動化のポイント

当然ながら、外観検査を自動化することは言葉で説明するほど簡単なものではありません。前提として必要なのが、高性能処理を可能にするAIを搭載した外観検査システムです。一口にAIといっても様々なタイプがありますので、システム提供会社がどのようなAIを開発し、ソフトウェアに搭載しているかを十分にチェックする必要があります。

これを確認するためには、RFPを作成して各システム提供会社に提出するのがよいかと思います。RFPには、外観検査自動化としてどのような検査を実施したいか?検査対象となる製品は何か?異常の種類は何か?などを秘密保持の範囲で明記し、細かい要件を記載します。

このRFPに対して各社からの返答を待ち、それぞれの返答を比較しながら「どの製品が自社にとって適しているか?」を考えます。ただし、RFPを作成する際はいくつかのポイントがありますので、別途調査した上で作成するよう心がけましょう。

AISIA-ADのご紹介

当社システムインテグレータが提供する「AISIA(アイシア)-AD」は、ディープラーニングを使って外観検査を行うのに必要な機能を、オールインワンで備えた外観検査システムです。特別な技術は不要で、AIに不慣れな方々でも簡単に扱えるため、より多くの企業がAIを取り入れた外観検査システムを短期導入できる製品となっています。

もちろん、単純な外観検査の自動化ではなく、外観検査システムの構想から運用までワンストップでのサポートも提供しておりますので、「IT活用に自信がない」「AI技術者がいない」といった不安を抱えている企業にもご利用いただけます。

「うちの現場でも外観検査を自動化できないかな?」と思ったら、いつでもお気軽にお問合せください。


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