目視検査の作業方法や内容は?よくある課題とその解決策についても解説

 2021.06.30  株式会社システムインテグレータ

製造業のグローバル競争が激化する近年では、新商品の開発や原材料のコスト上昇だけでなく、品質をめぐる競争も激化しています。
実際に、政府によるアンケート調査(※)では「品質をめぐる競争が激しくなっている」と回答した企業は、64.6%と半分以上を占めています。

品質の向上で欠かせないのが目視検査です。目視検査は不良品あるかどうかの検査と合わせて、どこに不良品発生の原因があるのかを究明するのも大きな目的です。

そこで今回の記事では、目視検査の作業方法や内容、よくある課題とその解決策を解説します。

(※)出典:経済産業省、厚生労働省、文部科学省「2020年版 ものづくり白書」

目視検査とは?

Mechanic in uniform assess the damage on the car

目視検査は、人の目で製品や部品の品質をチェックする検査のことで、「官能検査」と呼ばれる検査の一部です。

官能検査では人間の五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)を使って品質をチェックします。

目視検査は、五感のうちの視覚を用いた検査です。たとえば、製品の表面にある異物やキズのほか、形状不良や印字ミスがないか、という情報を目で検査します。

外観検査との違い

目視検査は外観検査の一種であり、不良品を検出するという目的は変わりません。

近年では、検査の自動化が進んでいるものの、自動化が困難な部分は目視検査で補う傾向にあります。多くの製造現場では、検査装置が製品の検査を済ませたあとに、目視検査を行うパターンが採用されています。

明らかな異物や外形などは定量化できることから、検査装置による良否判断がしやすいのですが、色ムラやキズの度合いなど定量化が困難な検査には向きません。

そのため、上記のようなケースでは、目視検査が用いられることが多いのです。

目視検査作業の方法

businessman hand working with new modern computer and business strategy as concept-2

目視検査には、いくつか方法があります。

  1. インライン検査
  2. オフライン検査
  3. 全数検査
  4. 抜き取り検査

上から順番に説明していきます。

インライン検査

インライン検査は、製造ラインの中に検査工程を組み込んだものです。

そもそも大量生産を行う製造工場の多くは、ライン生産方式を採用しています。単一製品を大量に製造する場合は、工程順に設備や作業員を配置することで効率よく生産できるからです。

インライン検査のメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリット

デメリット

  • 検査スピードが速い
  • 全数検査に向いている
  • 自動化が容易で人件費を軽減できる
  • 設備の設置に手間がかかる
  • 自動化の場合は設備の設計が必要
  • 人件費や設備投資に費用がかかる

全数検査が行いやすいという点はありますが、一方で人間の能力の限界があることから画像センサなどを活用した検査装置とセットで目視検査を行う場合がほとんどです。

オフライン検査

オフライン検査は、製造ラインとは別で検査を行うことです。

検査工程が製造ライン外にあることから、精密な検査を実施しやすい特徴があります。インライン検査の場合は、ある程度は設備の速度に合わせて検査を行う必要があるので、精密な検査を実施するのは困難です。

しかし、製造ラインとは違った場所に検査工程のあるオフライン検査では、拡大鏡や顕微鏡を使った時間のかかる検査を行うことができます。

以下は、オフライン検査のメリットとデメリットです。

メリット

デメリット

  • 精密な検査を行いやすい
  • 抜取検査に向いている
  • 設備投資の費用などを抑えられる
  • 全数検査には不向き
  • 目視検査では検査員でばらつきが出やすい
  • 目視検査の場合は人件費が高額になりやすい

オフライン検査は、製造ラインから検査する製品を運搬したり、計測や精密検査を手作業で行ったりする必要があることから、手間と労力がかかってしまいます。

全数検査

全数検査は、対象の製品や部品をすべて検査することです。

完全な全数検査の実施により、検査した製品や部品の品質を完全に保証することができます。検査の結果は、自社の規定に適合しているかどうかで判定します。

全数検査を行うことのメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリット

デメリット

  • 対象製品の品質を完全に保証できる
  • 不良品が市場に流通するリスクが低い
  • 人件費や時間がかかってしまう
  • 耐久検査や破壊検査には不向き
  • 検査のスピードは能力的に限界がある

全数検査は高い検査精度が期待できますが、ボルトやナットといった安価で数量の多い製品で実施すると費用対効果が見合わないデメリットもあります。

また、長時間稼働させた製品を検査する耐久検査、強度を調べるために外力を加える破壊検査や引張検査などは、製品や部品の価値を損ねるために、全数検査を行うことはありません。

抜取検査

抜取検査は、検査対象のロットからサンプルを抜き取って調べる検査のことです。

ロットの品質水準と検査結果を照合して、ロットの合否判定を行います。全数検査に比べて検査数が少ないことから検査にかかる費用や時間を節約できるほか、全数検査ではできない多項目の検査を行うことができます。

抜取検査を行うメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリット

デメリット

  • 検査の費用や時間を節約できる
  • 他項目の検査を実施できる
  • 耐久性や破壊試験に対応できる
  • すべての製品の品質は保証できない
  • 不具合が発生する可能性もある
  • 品質改善につながらない恐れがある

抜き取り検査はサンプルでのチェックとなるため、不良品が発見された場合、対象ロットの良品がすべて不良品扱いになったり、逆に良品と判断されてもチェックしていない部分に不良品が入っている可能性もゼロではありません。

そのため、近年では画像センサの導入で検査の自動化を進め、安価で数量の多い製品にも全数検査を行う現場が増えています。

目視検査の作業内容

close up of hand working with new modern computer and business strategy as concept

ひと括りに目視検査といっても、作業内容はさまざまです。例えば以下のような項目の検査があります。

形状や構造に関する検査

製品や部品が作られた段階では、形状や構造に関する検査が行われます。

製品の多くは設計の段階で仕様が決まっていますが、生産ライン上の設備に異常が発生した場合は、仕様とは異なる形状の製品が作られてしまいます。

手作業による工程が含まれる場合は、作業者のヒューマンエラーによって規格外の製品が作られることも珍しくありません。製品の形状や構造が定められた仕様を超過してしまうと、品質が保証はされることはありません。

形状や構造に関する検査を自動化する場合は、検出精度の高い外観検査が要求されます。

表面形状に関する検査

表面形状に関する検査では、製品の表面についた傷や欠け、付着物や汚れをチェックします。

製品の形状が複雑あるいは加工箇所が多い製品では、表面に不具合が起こりやすい傾向にあります。熱によって変形する樹脂成形(プラスチック)は、製品の表面に亀裂や凹みが生じやすいのが特徴です。

表面形状に関する不具合は種類が多いので、発見や原因特定の早さが品質を左右します。

仕上がりに関する検査

生産ラインの最終工程に位置する「仕上がり」での検査は、製品そのものの品質を最終確認する重要な検査です。

組み立て後の丁寧さ、バリや欠けの有無などの確認のほか、組み立ての際に生じた欠陥の有無もチェックします。

完成した製品や部品にバリや欠けが残っている場合は、消費者にケガをさせてしまう恐れがあります。そのため、仕上がりに関する検査で「不合格」と判定された製品は、不良品として処理される場合がほとんどです。

目視検査作業でよくある課題

Male teacher explaining the subject to a group of students

以下は、目視検査作業が直面している代表的な課題です。

  1. 検査員の確保が難しい
  2. 教育の難しさ
  3. コスト面で負担が大きい

下記で、順番に解説していきます。

検査員の確保が難しい

日本全体の労働人口が減少しているため、現在は検査員の確保が困難です。

他社より好待遇を用意できなければ採用活動をしても人材が集まらず、人材が集まらないことで業績が伸びないという悪循環に陥るケースも珍しくありません。

外国人技能実習生の受け入れによって人材不足を補うことはできますが、その場合最大のデメリットは膨大な手続きの量です。

以下は、その手続きの一例です。

  • 管理団体への申し込み
  • 技能実習計画の認定申請
  • 在留資格・ビザの取得

このような手続きを終えても、面接から配属までに最低でも半年の期間を要します。雇用が確定したあともサポートが必要なうえ、定められた実習期間以上の滞在は認められていません。

外国人技能実習生だけでは十分な検査員を確保するのは難しく、また通常の採用も難しくなってきているのでどうにか検査員増以外の解決の方法を検討する必要があります。

教育の難しさ

不良品の判定は長年の経験で感覚が培われる部分もあるため、教育が容易ではありません。実際、2017年に238社を対象にした「人による検査の困難な点(※)」というアンケートでは、70.6%の企業が「検査能力の個人差が大きい」と答えています。

十分な教育ができないことから、検査品質にばらつきが出てしまう恐れがあります。

しかし、一部では認定制度を導入する会社もあります。

認定制度を導入する場合は、以下のようなプロセスを踏む必要があります。

  • 検査の適正試験
  • 実務作業・教育(トレーニング)
  • 仮認定試験
  • 認定の取得
  • 検査精度の維持・向上活動

上記からわかるように、認定制度を導入するには十分な時間や予算を確保する必要があるので、導入できる会社は限られます。

人材の確保というハードルを乗り越えたとしても、次に「教育」という困難な課題をクリアする必要があるのです。

(※)出典:ちゅうごく産業創造センター「周辺視目視検査法の理解と導入のためのヒント」

コスト面で負担が大きい

前述した「人件費」「教育費用」がかかるのはもちろん、高い検査品質を維持するには環境整備(明るさや室内温度など検査場所の環境)が必要です。

照度と視力は相関性があるので、適正な明るさを確保することで検査精度を維持・向上することができます。室内温度が適正でないと、集中力の低下によるミスや見逃しを誘発しかねません。

「JIS照明基準総則(※)」では、精密機械や電子部品のように細かい製品の検査は1,500ルクス、超精密とされる製品の検査は2,000ルクスと定められています。

環境省が推奨する室内温度は「夏期28℃、冬期20℃」です。

すべての環境を整えるためには、会社にとってコストの負担は大きいといえます。

(※)出典:環境省「温室効果ガス排出抑制等指針(空調設定温度・湿度の適正化)」

目視検査作業の改善は「自動化」が必須?

Close-up of worker putting a box on conveyor belt for shipping

目視検査は前章でご説明したとおり、さまざまな課題が多数あります。

こういった課題を解決する方法のひとつとして「画像検査」が浸透しつつあります。

画像検査の概要については、次で詳しく説明します。

画像検査とは?

画像検査は、外観検査装置が検査を行うことです。

カメラなどの画像センサが対象の製品を撮像して、画像処理装置によって良否判定が行われます。画像センサは人間の目、画像処理装置は脳と同じ役割があります。

これらの検査装置は、人による検査の補助として導入される場合がほとんどです。

画像検査のメリット

画像検査のメリットは、前章であげた課題を解消できる点です。

  • 人材不足を補える
  • 認定試験や座学といった教育が不要

導入時にイニシャルコストは必要ですが、導入し稼働が始まれば人件費の削減などの大きなコストメリットが期待できます。同じ検査であればラインが増えたとしても検査員を増員せずに対応することができるので、長期的な改善を見込むのであれば画像検査を導入するメリットは大きいといえます。

また、画像検査の導入は人材不足を補えるだけでなく生産性の向上にもつながります。

日本政府のアンケート調査(※)によると、「デジタル技術を活用することで、3年前と比べて生産性が向上した」という会社は56.8%に達しました。(実際にデジタル技術を導入した会社の回答)

(※)出典:経済産業省、厚生労働省、文部科学省「2020年版 ものづくり白書」

画像検査の限界

従来の画像検査はあらかじめ良品・不良品のルールを定めて、そのルールに基づいて判定していました。ただ、日本の製造業のレベルは高く、細かいルール化が困難であり、どうしても自動化が難しいといった検査がありました。

そこで、最近は画像検査にAIが活用されるようになり、ルール化が難しかった検査も自動化を実現しつつあります。

AI外観検査システム「AISIA-AD」

AISIA-ADは、ディープラーニング(深層学習)を採用した外観検査システムで、異常検知に必要な機能をひと通り備えています。そのため、AIに不慣れであっても簡単に使うことができ、手軽にAIを活用した画像検査を導入することができます。

しかも、「良品サンプルだけを学習」「良品と不良の両方を学習」の2つの学習モデルに対応しているので、各現場の事情に応じた柔軟なシステムの導入が可能です。

従来のシステムは、試行錯誤しながら最初からAIモデルを構築していく必要がありました。しかし、AISIA-ADは画像検査に必要な機能がすでに備わっているので、導入までの時間や手間を削減することができます。

まとめ

目視検査がどのように行われるのか、実際の作業についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか?

目視検査はすぐに実施できるというメリットがある反面、検査員不足やコスト面で課題もあり、自動化を推進する風潮が高まっています。AIの活用は、ランニングコストの削減にもつながります。弊社が提供している「AISIA-AD」は、初期投資の費用が安価であるほか、良品サンプルだけで学習できるソフトウェアも選べます。

検査に課題をお持ちの場合は、ぜひご相談ください。また、お役立ち資料も公開中ですので、こちらもあわせてチェックしてみてください。

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