外観検査装置とは?どのような欠陥を認識できるのか。

 2020.07.30  株式会社システムインテグレータ

品質とは、「製品に本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たしている程度」を指します。設計通りに作られ、仕様通りに機能し、外観のキズや内部の異物混入など不具合を起こしていないかということです。

この品質を守るために、製造業では「外観検査」を実施しています。検査員が目視で外観にキズなどの異常が無いか、製品内部に異物が混入していないかなどをチェックする検査工程です。

そうしたマニュアル形式の外観検査に代わり、近年導入が拡大しているのが「外観検査の自動化」です。生産ラインに外観検査装置を設置して、人ではなくコンピューターが製品の外観に異常が無いかをチェックします。

外観検査自動化システムを構築することで、検査員に割いていた人件費を削減できるだけでなく、より精度の高いチェックによって不良品が後工程に流れるのを防ぐことができます。熟練の検査員であっても、何らかの原因によって不良品を流してしまう可能性はありますから、人によって起こるリスクというのは大きなものです。

本稿では、そんな外観検査装置とはどのようなものなのか?どんな欠陥を認識できるのか?を分かりやすく解説していきます。

外観検査とは?

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外観検査は、製品や部品の表面を確認する検査のことです。

製品や部品の表面に付着した汚れや異物、キズ、欠け、変形、バリといった欠陥をチェックして、規定値と照らし合わせて良否判定を行います。

以下は、外観検査を実施する主な目的です。

  • 不良品が市場へ流出するのを防ぐ
  • 欠陥データを設計・生産工程へフィードバックして品質を改善する

外観検査には「目視検査」「外観検査装置を使った検査」など、複数の方法があります。 

外観検査の項目

外観検査の主な項目を、分類ごとに説明します。

  1. 仕様・形状・構造の検査
  2. 製品表面の検査
  3. 組み立て後の検査

上から順番に、見ていきましょう。 

仕様・形状・構造の検査

仕様・形状・構造の検査は、製品が作られた段階で行われます。

主な検査項目は、以下のとおりです。

  • 形状が仕様書とは異なる、一部が欠けている
  • 指定された寸法の誤差が許容範囲を超過/不足している
  • ネジの位置がズレている、部品の組み合わせの不備
  • 色ムラ・変色がある、塗装の色が異なる、ツヤが異なる
  • 印刷・印字のズレ、打痕がある

仕様書や製品規格によって決められた範囲から逸脱した製品は、品質が保証されません。主に、検査員による目視検査や画像処理システムやセンサーといった機械で検査が行われます。 

製品表面の検査

次は、表面形状や処理に関する検査が行われます。

主な検査項目です。

  • 表面の手触りの違い
  • 樹脂成形の凹み・シワなどの有無
  • 表面の凹凸が均一であるか
  • 擦れやひっかき傷の有無
  • チリ・異物・汚れなどの付着

複雑な形状や加工箇所の多い製品は、表面に不具合が発生しやすい傾向にあります。ただ、不具合といっても程度が異なるので、判断が難しい検査であるといえます。 

組み立て後の検査

生産工程の最後に、組み立て後の検査が行われます。

組み立て後の検査の主な項目です。

  • 加工の際に付いた治具の跡が残っている
  • 成形時のバリが残っている

組み立て後の検査で検出される主な不具合は、バリや欠けなどです。使用者がケガをする恐れがあるので、不良品として処理されることがほとんどです。 

従来の外観検査の課題

従来の外観検査は、検査員による目視検査です。

人が行う検査は精度が高く専門的な設備の導入も不要なので、イニシャルコストがかかりません。しかし、従来の外観検査には以下のような課題があります。

  1. 人手不足
  2. 検査品質のバラつき

詳細は、下記で順番に説明します。 

人手不足

多くの製造現場を悩ませているのが、人手不足の問題です。

主な原因は「少子高齢化」「バブル経済後の新規採用見送り」などであり、外観検査ではベテラン検査員の不足が深刻化しています。

一部の製造現場では外国人研修生を受け入れていますが、「手続きが複雑」「雇用できる期間に上限がある」といった問題があり、根本的な解決にはつながりません。

以上の理由から、外観検査における人手不足は深刻化しています。 

検査品質のバラつき

人が検査を行う以上、体調や精神状態によって品質が左右されます。

そもそも外観検査は寸法検査のように数値化することが難しいので、判断基準が曖昧になりやすいです。製品の合否判定の限度を示す「限度見本」、キズや異物などの合否判定を明確化できる「ドットゲージ」などを作成しても、完全にバラつきをなくすことはできません。

研修制度や認定制度を導入することによって、品質のバラつきを抑える方法もあります。

しかし、業務外の時間や手当などが必要になるので、やはり企業にとっては大きな負担がかかってしまうのです。

関連記事:外観(目視)検査で設定すべき基準とは?必要な項目を解説 

外観検査装置とは?

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外観検査装置とは、自動で製品の外観を検査できる装置のことです。

カメラ、赤外線などのセンサー、画像処理技術などによって、人が行う目視検査に近い検査を行うことができます。人の目に相当するのが「カメラやセンサー」、脳に相当するのが「画像処理装置やソフトウェア」です。

判定については、人による目視検査の場合、基準書や限度見本に基づく必要がありますが、外観検査装置では数値化されたデータに基づいた判定が行われます。

従来の検査装置では、サイズや温度、加圧をチェックするセンサーを取り付けて、その情報をコンピューターが処理してしきい値を超えないかどうかで良否判定をしていました。

しかし、最近では形態が大きく変わり、AI(人工知能)を搭載した外観検査が主流になりつつあります。 

外観検査装置のメリット

外観検査装置のメリットは、以下のとおりです。

  1. 人手不足の解消
  2. 検査品質の均一化
  3. 細かな不良も判別可能
  4. 全数検査の実施
  5. コスト削減

上から順番に説明していきます。 

人手不足の解消

外観検査装置があれば、人手不足の解消につながります。

従来の検査方法である目視検査では、多くの検査員が必要です。募集をかけても人材が集まらないことから、現場の中で負担することがほとんどでした。

品質が悪化したときは検査の強化のために、生産工程から検査員を集めていました。「生産工程で対応する人員が減って、さらに品質が悪化する」という悪循環が起こっていたのです。

外観検査が自動化すれば、検査員が不要です。

検査員のランニングコストが不要なうえ、検査員を生産工程に配置することで品質を維持・向上することができます。 

検査品質の均一化

検査品質のバラつきも、外観検査装置によって解消されます。

従来の人による目視検査の場合は、検査員の経験や習熟度、体調や精神状態が品質を左右してしまうこともありました。人による感覚が重視されるので、たとえ限度見本を作成しても判定がバラつきをなくすことはできません。

外観検査装置は機械が検査を行うので、経験や体調が検査に影響を与えることはなく、見逃しやオーバーキルといった問題も回避できます。 

細かな不良も判別不能

外観検査装置なら、細かい不具合の判別も可能です。

従来の外観検査は、精度を高めるために視力の高い検査員を集めたり拡大鏡や顕微鏡を用いたりする必要がありました。

特に、近年になって著しく精密化が進むプリント基板のような電子機器では2倍から4倍、カメラのレンズでは最大300倍に拡大しないと検査ができません。

しかし、外観検査装置には高画質な画像センサーや高度な画像認識システムが搭載されているので、肉眼では見えないほど細かい不具合でも瞬時に検出できるのです。 

全数検査の実施

外観検査装置があれば、全数検査の実施も容易です。

人間が行う検査と同等の精度がありながら、大量生産にも対応できるからです。

ネジやナットといった生産量が多くコストも安い部品の検査では、人による目視検査を行うと時間もコストもかかってしまいます。解決策として抜き取り検査が行われていましたが、全数検査に比べて不良品を流出してしまうリスクがあったのです。

外観検査装置なら検査時間も短く精度も高いので、経済性の悪い「生産量が多く安価な部品の検査」にも対応できます。 

コスト削減

外観検査装置の導入は、コスト削減にもつながります。

外観検査装置の導入にはコストが発生しますが、その分人件費を節約できたり、検査室の環境を整えるために投下していたコストを削減できたりします。

つまり、イニシャルコストは発生しますがランニングコストは削減できるのです。 

外観検査装置のデメリット

外観検査装置のデメリットは、以下のとおりです。

  1. コストが発生する
  2. 導入に手間がかかる

下記から順番に見ていきましょう。 

コストが発生する

外観検査装置の導入は、イニシャルコストが発生します。

具体的な内訳は、以下のとおりです。

  • 評価
  • 実証・検証
  • ライセンス
  • 開発
  • 導入ハード機器
  • サポート

トータル費用は依頼する会社や内容によって異なりますが、イニシャルコストが企業の負担になることは間違いありません。

ただし、環境整備や人件費、今後の人材不足や後継者不足といった問題と比べて検討することが重要です。 

導入に手間がかかる

外観検査装置を導入したからといって、すぐに順調に稼働できるとは限らないからです。

たとえば、製品が複雑な形状をしている場合は、AIと人の検査範囲を決めるなどルールの設定が必要です。誤検出も発生しうるので、良品や不良品のサンプルを増やして追加で学習させることもあるでしょう。

導入後に再設定や再調整を行う手間がかかることも、検査装置のデメリットです。 

外観検査に用いられるAI技術

Chemist holding up beaker of green chemical in the laboratory

最新の外観検査に用いられるのはAI技術です。

AI技術とは、人間のような知能を人工的に再現した技術を指します。「経験」から学習して新しい情報に順応することで、人間と同じように仕事をこなすことが可能です。

外観検査装置の中核はハードウェアではなくソフトウェアであり、コンピューターに搭載する頭脳によって処理性能が大きく異なります。

従来の外観検査装置は、サイズや温度、加圧をチェックするセンサーを取り付けて、事前にしきい値の設定が必要でした。検知した情報をコンピューターが処理して、しきい値を超えないかどうかで良否判定をしていました。

しかし、現在のAI技術を活用した外観検査装置は、すべての製品を撮影した画像データをもとに良否判定を行うので、センサーや難しい設定は不要です。AIは、製品の画像データをもとに学習し、異常がある製品は即座に特定・通知します。

次に、ハードウェアの構造についても説明していきます。 

ハードウェアの構成

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外観検査装置の中核はコンピューターに搭載されたAIですが、ハードウェアも重要なことには変わりありません。高性能なAIならばどんなハードウェアでも構わないかといえば当然違いますし、検査する製品に合わせてハードウェア構成を慎重に検討しないと、外観検査の自動化が上手くいないことがあります。

この外観検査装置は、ラインを流れるワッシャーとスポンジを検査するためのものであり、カメラ/レンズ/リングライトに加えてコンピューターと接続するためのUSBで構成されています。細かく言えば、外観検査装置を設置するための土台もハードウェアに含まれるので、それぞれが検査に合致したものでなくてはいけません。ちなみにこの外観検査装置は、下図のように動画ベースで検査を実施しています。 

どのような欠陥を認識できるのか?

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外観検査装置を導入するにあたり、気になるのは「どのような欠陥を認識できるのか?」です。企業によっては「うちの製品は特殊だから、外観検査装置での検査は難しいんじゃないか?」と不安を抱える方々も多いでしょう。しかし、最近ではAIの急速な発展によりAIを使った外観検査装置が急速に発展してきています。そこで、以下に外観検査装置で認識できる欠陥の一例を一覧にしてご紹介します。

金属製品 <ベアリング等>
サビ、腐食、キズ(線形)、へこみ、打痕など
<ボルト、ネジ等>
バリ、割れ、クラック、変形、寸法ズレ、異品種混入、未加工品混入など
<溶接部分>
アンダーフィル、アンダーカット、割れ、気泡、ピット
食品 <容器>
焦げ、焼け、破れ、汚れ、へこみ、キズ、異物、印刷ミスなど
<パッケージ>
賞味期限やシリアルナンバー等の印字ズレ、印字間違い、フタの割れ、キズ、汚れ、異品種混入など
<ボトル>
異物混入、気泡、ピンホール、キズ、汚れ、印字ミスなど
医療品 <医療品容器>
キズ、汚れ、封緘シール、液面高さ、内容量、ラベルずれ/破れ、印字ミスなど
電子部品 <プリント基板>
断線、ショート、クレイジング、イーズリング、眉間剥離、電子部品の位置ズレなど
<半導体パッケージ>
モールド不良による膨らみ/変形、ピン端子の曲がり/変形、表面のキズ/クラック/汚れ/バリ、ボイド変形、ワイヤ変形、印字ズレなど
<はんだ>
ボイド、ピンホール、はんだボール、ブリッジはんだ、はんだ不足など
<コネクタ>
ピンやリードの曲がり/欠陥、ピッチ幅の位置ズレなど
<シリコンウェハ>
変形、反り、割れ、欠け、キズ、クラック、打痕、異物など
<液晶>
変形、反り、割れ、欠けなど
樹脂部品 <樹脂成形品>
キズ、スジ、銀条、ジェッティング、フローマーク、ウェルドマーク、気泡など
<ボトルキャップ>
変形、パージ剤の残り、焼け、汚れ
成形部品 <シート・フィルム>
ピンホール、ゲル、気泡、異物、汚れ、スジ、シワ、キズ、フィッシュアイなど
<ガラス>
キズ、汚れ、異物、気泡、割れ、クラック

ここに挙げた欠陥は外観検査装置が認識できるほんの一例です。画像認識技術を使って検知可能な欠陥ならば、どんなものでもAIが認識してくれます。そのため「うちの製品は特殊だから」といって最初からあきらめるのではなく、まずは外観検査装置を提供しているソフトウェア会社に相談してみることをおすすめします。 

カメラや照明選びの重要性

Multicolored abstract of city lights -- all small, solid squares -- with reflections of river below skyscrapers at night

外観検査装置は、カメラや照明選びも重要です。

カメラや照明の選定は、画像処理における検査性能を左右するからです。

人による目視検査で例えると、「目が悪い(カメラの画質が悪い)」「照明のせいで写りが悪い(見えにくい)」といったように、機械でも検査の環境というのは重要なのです。

では、どういったポイントを押さえてカメラや照明を選ぶのか、詳しく説明します。 

外観検査で活用するカメラの選び方

外観検査で活用するカメラは、要求に対して適切なものを選ぶ必要があります。

対象物が動いていてブレたり、画質が荒くてキズや汚れが写らなかったりするようであれば、カメラを使う意味がないからです。

検査したい対象物を安定させて正確に撮影する必要がありますが、実際の製造現場での撮影に対する要求はさまざまです。

  • 製品が大きいのか小さいのか
  • 表面のキズを確認したい、色味を確認したい、素材の違いを確認したい
  • 対象物はベルトコンベアなどに乗って動いているのか

上記のように、さまざまな要求に対してケースごとに的確に対応する必要があるのです。

詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
外観検査で使用するカメラ 

外観検査で活用する照明の選び方

外観検査の現場で利用される照明は、近年ではLED照明が主流です。

LEDは従来の白熱電球に比べて電気エネルギーを直接光に変えていることから効率がよく、他の電子部品に比べて構成する部品数も少なく単純であるため大量生産にも向いているからです。

照明の色については、検査の対象物によって選び方が異なります。

  • 細かいキズをみつける:青色の照明
  • 赤色の文字色を検査する:緑色の照明

上記は「補色の関係」と呼ばれていて、外観検査で使うと検査がしやすくなります。

詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
なぜ外観検査では特殊な照明を使うのか 

外観検査装置を選ぶポイント

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以下は、外観検査装置を選ぶ3つのポイントです。

  1. 検査要件を整理する
  2. サポートの有無を確認する
  3. 導入実績を確認する

上から順番に見ていきましょう。 

検査要件を整理する

ソフトウェアとハードウェアの2つが検査要件に合っていなければ、外観検査装置の性能を活かすことができないからです。外観検査装置において特に重要なのはソフトウェアであり、AIの性能によって検知精度が大きく変わります。

検査要件に合わない特定の学習プロセスしか採用していないAIの場合は、限られた範囲でしか欠点を認識できない場合があるので、誤検出の可能性は高くなります。

検査要件に合った学習プロセスと学習方法を選ぶことで、さまざまな角度から製品の欠点を認識することができるのです。 

サポートの有無を確認する

サポートがないと、導入後に不具合があっても対応してもらえない可能性があります。

たとえば、「誤検出や過剰検出の多発」「新規の検査内容に対応できない」などの問題が発生しても、自社で対応しなければならなくなります。

以上の理由から、外観検査装置を選ぶときはサポートの有無を確認しましょう。 

導入実績を確認する

導入実績が多い外観検査装置を選んだ方が、不具合が発生する可能性が低いからです。

そもそも導入実績が多いということは、「他社での成功事例が多くトラブルも解決しやすい」という傾向があります。

導入実績はメーカーのHPに掲載されていることが多いので、まずは確認してみましょう。 

まとめ

外観検査装置について詳しくご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

外観検査装置の導入によって、人手不足の解消や検査品質の均一化といったメリットがあります。過検知が多かったり、検査機の調整が難しかったりといった導入のハードルはあると思いますが、技術の進化によってそういった点も改善されてきています。

外観検査装置の導入にお悩みでしたら、ぜひ弊社までご連絡ください。御社の課題をどのように解決できるかご提案させていただければと思います。

弊社では外観検査に関するお役立ち資料も公開中ですので、ぜひ参考にしてみてください。


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