製造業におけるディープラーニングを活用した異常検知のメリット

 2020.02.05  株式会社システムインテグレータ

製造業の検査現場に、AIや機械学習/ディープラーニングを取り入れたいと考える企業が増えてきています。特に、人海戦術的な検査が必要な「外観検査」において、検査自動化の機運が高まっています。

しかしながら、製造業において工場全体の自動化が進む中、機械化や自動化への切り替えが難しく導入が遅れているのも検査工程と言えます。その主な要因は、出荷する製品の品質を左右する最終工程であるが故に、「経験者」の目視による検査に依存している点や検査装置の精度がまだ十分なレベルに達していない点などが考えられます。

現在では、高度なセンサー技術や画像処理の精度が飛躍的に高まった上に、データを活用した合否の判定に機械学習やディープラーニングといった新たなテクノロジーが実用化されています。全ての検査工程を完全に自動化することは難しいのですが、外観検査の工程における「異常検知」の工程では、これらのテクノロジーによる成果がすでに上がってきています。

そこで本稿では、機械学習/ディープラーニングを活用した異常検知のメリットについてご紹介します。外観検査の自動化に興味がある方は、ぜひそのメリットを知ってください。

機械学習/ディープラーニングとは?

機械学習/ディープラーニングはAI研究分野の一種であり、AIがデータを学習する方法を示しています。まず、機械学習とはAIに対して大量のデータを与えて繰り返し学習させることで、処理精度を格段に高めていく技術を指します。その手法として、「教師ラベル付き」と「教師ラベル無し」があります。

「教師ラベル付き」は、1つ1つのデータに対してメタ(属性)を付けていきます。要するに、正解データを教えることで、それから学習していく方法です。後者はそうした正解を示さないままAIにデータを与えて、AI自身の学習を促す方法です。

「教師ラベル付き」では正常となるデータの正解と、異常となるデータの正解を学習させて、画像認識などに用いられます。「教師ラベル無し」は、大量のデータからAI自身が特徴を見つけ出し、過去のデータから未来を予測するために用いるものです。

一方、ディープラーニングは機械学習の一種であり、人間が持つ神経伝達網を参考にして処理回路が構築されており、より人間の脳に近い判断ができるAIとして注目されています。昨今、囲碁界においてAIが世界トップ棋士を打ち負かしたなどのニュースが話題になりましたが、これもディープラーニングによるものです。この技術を使って学習するAIは、無数のデータから特徴やパターンを自ら学習していき、次第に人間の脳を超えるほどの性能を持ちます。

外観検査の自動化においてもディープラーニングを用いることで、画像認識精度を上げており、少し前までの外観検査システムとはまったく違った検査を実施できるものも登場しています。

機械学習/ディープラーニングを用いた異常検知のメリット

1. 目視検査の工程を無くしてヒューマンエラーを排除

外観検査の現場で問題発生が絶えないのは、「人が検査しているから」です。どんなに熟練の検査員であっても、その日のコンディションによってミスを起こす可能性は十分にあります。また、検査台や検査室の照明の状態により視覚効果が変わり、普段は検知しているはずのキズを検知できなかった、などの問題も発生します。

人が検査している以上、ヒューマンエラーは無くなりませんし、それにより不良品を後工程に流してしまい、最終的にそれが顧客の手元に渡ってしまう可能性はゼロにはなりません。

一方、機械学習/ディープラーニングを用いた外観検査の場合は、画像データから特徴量を定量的に識別し製品の良/不良を見極めるため、目視検査よりも高い精度で異常を検知できます。ヒューマンエラーが無くなれば不良品が流れることはありませんし、顧客満足度を維持することにも繋がります。

2. 検査員を少なくして人件費を削減

目視検査を行う検査員の人件費は、検査コストに直結します。

顧客から不良品のクレームが入り、検査員を増やす対応をした場合はどうでしょう?その際も当然ながら継続的に人件費がかかります。

そうした人件費を節約して検査コストを削減するには、やはり外観検査の自動化がカギとなるでしょう。外観検査システムの構築にソフトウェア/ハードウェアの導入が必要なので、イニシャルコストは発生しますが、ランニングコストは目視検査に比べると低コストになる可能性は高いと言えるでしょう。

外観検査は永続的に続く検査なので、5年や10年のスパンで外観検査システムを運用した場合と現状のままとした場合とでトータルコストを比較してみましょう。

3. 熟練検査員への依存を無くす

多くの製造業の外観検査現場では、熟練検査員による属人的な作業が問題になっています。外観検査は一見簡単な作業に思えますが、そこには長年の経験から来る暗黙知とノウハウが蓄積しており、新人検査員では見逃してしまうような異常がたくさん存在します。

現場に限度見本やポカヨケなどのツールを置いても、人によって判断基準が異なるため、熟練検査員への依存度はますます高くなります。問題は、熟練検査員たちが、退職した後のことです。

検査員として未熟な人材だけ残ってしまうと、不良品を流してしまう可能性が高くなり、品質管理がままならなくなります。かといって検査員教育にもコストがかかりますし、成長するまでに時間もかかります。そのため、やはり外観検査を自動化することで、熟練検査員への依存を無くすというのが効果的な対策です。

4. トライ&エラーの繰り返しで検知精度を向上

最初から高い精度の検査ができる人材はいないように、外観検査システムもまた同じです。大切なのは、運用までのフェーズでどれほど大量の正常/異常データを取り込んで、繰り返し学習させるかにかかっています。

幸い、AIはトライ&エラーを繰り返していくことで着実に検査精度を向上してくれるため、運用フェーズで検知漏れが発生したとしても、新しいデータを取り込み学習させることで検査精度を高め、同じ問題を発生させないようにできます。これが、人とAIの大きな違いかもしれません。

5. 多様な検知方法でさまざまな異常に対応

異なる種類の複数製品を生産している企業では、製品ごとに異なった検査方法を取り入れることが大切です。機械学習/ディープラーニングを用いた外観検査システムの場合、多種多様な検査方法によって実にさまざまな異常を検知することができます。

もちろん、どのようなハードウェア/ソフトウェアを導入するかによっても違いますので、導入検討時は各社がどのような外観検査システムを提供しているかを十分に調査した上で、自社環境に適したものを選ぶことが大切です。

機械学習/ディープラーニングを用いた異常検知を検討してみましょう!

機械学習/ディープラーニングによる技術は年々進歩しており、検査精度も驚くほど向上しています。やり方次第で如何なる異常検知も不可能ではないので、この機会に機械学習/ディープラーニングを用いた外観検査システムを検討してみてはいかがでしょうか?

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