異常検知とは、大多数のデータとは振る舞いが異なるデータを検出するための技術です。クレジットカードの不正使用検知、システムの故障検知、異常行動検知などさまざまな分野で異常検知技術が活用されています。
昨今、この異常検知を特に必要としている分野といえば、製造業ではないでしょうか?激しいグローバルビジネスを勝ち抜くためには、安定的かつ厳格な品質保証と生産性の向上が相対して要求されます。本稿では代表的な異常検知手法と特徴についてご紹介します。
ホテリング理論
異常検知にはさまざまな手法があり、中でも有名なのが「ホテリング理論」です。この手法は、平均や分散といったデータの基本的な分布情報をもとにして、観測値(x’)より算出した異常度(a(x’))を用いて外れ値を検知するものです。
最初に、ほとんど外れ値が含まれていない1次元のデータセットを用意します。ホテリング理論においては、このデータセットの正規分布に従うことを前提としており、ヒストグラムなどを使用して正規分布であることを確認しておくことがポイントです。正規分布でない場合は、対数変換やボックスコックス変換などをかけて正規化する必要があります。
ホテリング理論は外れ値を検出する最も基礎的な方法として広く利用されています。
k近傍法
A) ユークリッド距離
日常で用いられる距離で最も一般的なものです。平面なら2点の座標が求まれば、ピタゴラスの定理で表すことができます。
B) マハラノビス距離
変数同士に相関があるときに用いられる距離です。
C) マンハッタン距離
マンハッタンや京都のような碁盤の目のような街を移動するときの距離です。どこを通っても最短距離は等しくなります。
LOF(Local Outlier Factor)法
異常検知システムを検討する
製造業において不良品の流出防止や品質保証を継続的に行うためには、生産ライン上またはライン外で外観検査を実施する必要があります。外観検査とは、生産過程の部品や製品の品質を保証するために、外観からチェックする検査業務です。主に部品や製品の表面に付着した汚れや異物、傷、バリ、欠け、変形など外観上の欠陥を検知し、良品か不良品かを評価します。
一般的な外観検査は、以下のような検査項目をすべて目視で確認していくため、作業員の負担が増大しています。
生産ライン上で全数検査を実施している工場では、上記の項目をすべて目視で確認する必要があり、1個あたりにかけられる時間は限られています。そのため、ヒューマンエラーによって不良品が流出するリスクは常にあり、完全に品質を保証できない可能性もあります。
そこで注目されているのが、異常検知システムによる外観検査であり、検査をシステム化することで効率性と確実性を向上させようという企業が多数存在します。
画像認識技術とAIを活用
機能構成 | 機能概要 | 機能名 |
オブジェクト検出 | オブジェクト検出学習支援 | 動画アノテーション |
動画オブジェクト検出 | 動画オブジェクトの検出 | |
オブジェクトの種類判定 | ||
オブジェクトの座標取得 | ||
正常・異常判定 | 動画オブジェクト同一判定 | 移動速度自動計測 |
フレームスルー判定 | ||
正常・異常判定処理 | オンライン閾値調整 | |
移動多数決判定 | ||
異常表示・監視 | 異常箇所表示 | 生成モデルヒートマップ |
識別モデルヒートマップ | ||
リアルタイムモニタリング | 同時多面監視 | |
ワンタッチ訂正 | ||
学習処理 | 正常データ学習処理 | VAE生成モデル学習 |
最適ノイズ除去 | ||
正常・異常データ学習処理 | 転移学習/水増し | |
汎化処理 | ||
追加学習 | 訂正データ蓄積 | |
追加学習処理 |
AISIA-ADによる異常検知
当社システムインテグレータが提供するAISIA-ADはディープラーニング(深層学習)を活用した画像認識を搭載した、最先端の異常検知システムです。ディープラーニングとは機械学習の一種であり、AI自身にデータ学習を繰り返させることによって高精度な認識精度を備えるための技術です。
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- 製造業で使える異常検知
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- 異常検知