近年におけるAI技術の発展と普及には、目を見張るものがあります。製造業の現場などでは外観検査システムとしても採用されており、活用の場は広がり続けています。そこで本記事では、進化を続けるAI技術の現状や動画異常検知技術のトレンドなどについて解説します。
進化を続けるAI技術
AIを最近の技術だと思われている方は多いようですが、実は長い歴史があります。1950年代からAIの研究は行われており、少しずつ進化を遂げてきました。現在では、さまざまな分野で活用されるようになり、AIは我々にとって身近な存在になりました。
よく知られるところでは、スマートフォンが挙げられます。Apple社のiPhoneには、「Siri」と呼ばれる人工知能が搭載されており、音声を認識しさまざまなアクションをとります。また、自動掃除機やエアコンなどにもAI技術を投入した製品があります。
AIの市場規模に関するIDC社の調査によると、2021年のAI関連製品の売り上げは約3,275億ドル、2024年には約5,543億ドルに上ると予測されています。今でも十分大きな市場規模を形成していますが、今後もさらなる成長が期待できるでしょう。
(参照元:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS47482321)
また、AIのさらなる進化により、現代日本が抱えるさまざまな課題を解決できると考えられています。なかでも深刻な課題のひとつが、少子高齢化に伴う労働人口の減少です。我が国の少子高齢化は著しく、さまざまな業界において人手不足が叫ばれています。
AI技術を活用できれば、この人材不足の解消が可能です。AI技術を活用したシステムを業務に組み込むことで業務効率化が実現すれば、限られた人員を有効に活用でき、少ない人員でも利益の最大化を図れます。
すでにAI技術を業務に活かしている企業はたくさんあり、建設や製造、医療などあらゆる分野においてAIの活用が始まっています。このままAIが進化を続けていけば、やがてAIなしではビジネスが成り立たない時代がやってくるかもしれません。
動画異常検知技術の最新トレンド
「動画異常検知技術」とは、映像の中に含まれる異常を検知する技術です。映像の中で普段と異なる動きがあると検知して知らせる仕組みのことをいいます。ここでは、動画異常検知技術の最新トレンドについて解説します。
Pose Estimation(姿勢推定)
動画異常検知技術の最新トレンドといわれる「OpenPose」は、カーネギーメロン大学により発表されました。簡単に説明すると、静止画や動画に映っている人物の関節点を抽出して、そのポーズを可視化できる技術です。処理のフローは、特徴点の検出・特徴点の関連付け・人の関連付けと行われていきます。
この技術は、さまざまな分野に応用できるのではないかと注目を集めています。例えば、肉体労働の現場において、人の動きから負荷の大きな動作を検出すれば、労働災害のリスク軽減が可能です。すでに物流現場では、この技術が活用されています。
また、製造現場では職人技術の継承や技術者の育成に用いられています。職人技と呼ばれる技術は、長年の経験により培われるものです。それゆえに技術の継承が難しく、新たな技術者を育成するのも非常に長い時間がかかってしまうのが現実でした。
しかし、姿勢推定の技術を活用すれば、職人の動きを認識し、高度な技術工程を解析できます。どのように手を動かしているのか、このようなシーンではどういった動きがあるのか、といったことを把握できるのです。いわば職人技術が可視化されるため、継承者は解析された職人の動きを把握・トレースすることで習得スピードを速められるうえ、自分の動きとの違いもわかるため効率よく技術を習得できるでしょう。
そのほか、防犯リスクの軽減も実現できます。骨格の動きなどから異常行動や危険行動を検出でき、迅速な対処につながります。
Object Detection(物体検出)
物体検出でもっとも有名なシステムといえば、「YOLO」が挙げられます。リアルタイムでの物体検出が可能なシステムであり、現在は最新版である「YOLOv4」がリリースされています。従来のモデルと比べて精度が格段に上がっているほか、速度が向上しています。
「物体検出」とは、文字通り画像や映像の中から物体を検出する技術です。この技術を用いると、画面に映っている人物や動物などを検出して枠で囲い、さらにどのような属性かも教えてくれます。例えば、画面に人が映っていればその部分を囲って、テキストで「人間」もしくは「human」といった属性を表示します。
あらかじめ検出する物体を設定することにより、目的に応じた検出が可能です。こちらの技術も、すでにさまざまな業界で活用されています。
例えば観光産業では、遊泳スポットにおけるリスクの検知に活用しています。
遊泳スポットの環境が常に安全とは限りません。海にはサメのようにときに人を襲う生き物もいます。多くの人が訪れる遊泳スポットにおいて、サメによる襲撃事件があったとなると評判が下がり、足を運んでくれる方も激減してしまうでしょう。物体検出技術を用いれば、ドローンなどで海を空撮し、リスクを検出できます。リアルタイムでの検知なら、近くで泳いでいる人へ速やかに伝達でき、リスクを避けられるのです。
また、駅のホームにおける危険回避の手段としても、物体検出の技術が活用されています。駅のホームから転落したり、電車に接触して亡くなったりする事故は、毎日のように発生しています。現在ではホーム柵を設置する駅も増えていますが、全国で見るとまだまだ少ない状況です。
物体検出技術を投入すれば、線路に転落しそうな人を検出できます。白線の外側に出た人や線路へ降りた人などをいち早く検知して、検知時点で構内放送による警告を発したり、駅員が現場へ急行したりするなど迅速かつ適切な対処が行えます。
そのほか、医療分野では病気のリスク検出に役立てられています。肺がんや乳がんなどの特徴を学習させることで、レントゲン写真から異常を検出するのです。学習対象を変更すれば、さまざまな病気のリスク検知による早期発見・治療が可能になります。
AI外観検査システム「AISIA-AD」で正確に異常検知
「AISIA-AD」とは、AI技術を採用した異常検知システムです。最新のAI画像認識技術を採用しており、高精度の異常検知を実現できる外観検査システムとしてさまざまな製造業の現場に導入されています。AISIA-ADの特徴
AISIA-ADの大きな特徴として、状況に合わせたAIモデルを適用できることが挙げられます。外観検査はさまざまな環境で行われるため、それぞれの業務や環境に対応できるシステムが必要になります。AISIA-ADなら、事前に課題や要望のヒアリングを行い、扱っている製品の特徴や環境、運用状況などに応じた最適なシステムを構築できます。
また、ルール化が困難な異常を検知できるのも、AISIA-ADの強みです。従来の画像検査機器では、ルール化ができない異常の検知は困難とされていました。高額な機器を導入しても、結局は目視による検査を要するケースが多かったのです。
その点AISIA-ADは、ディープラーニングを活用した検査技術により、ルール化が難しい異常も高精度で検出できます。現場で面倒な設定を行う必要もなく、リモートでの操作も可能です。検出された異常品だけを目視で検査すれば済むため、従来よりも少人数で現場を回せます。
AISIA-ADのメリット
AISIA-ADの導入により、検査精度の向上と安定化を図れます。ディープラーニング技術によって不良品や良品の画像から学習し、正常でないと判断した製品を排除できるため、トータルでの品質向上につながります。
また、最低限の人員配置で済むため、大幅なコストダウンも実現できます。AISIA-ADを導入することで最小限の人員での対処が可能となり、これまで検査に携わっていた人員を主力業務に回せるなど、人材をより有効に活用できるようになります。
精度の高いAIの導入・運用にはそれなりの費用がかかるため、それがネックと考える方もいるかもしれません。しかし、AISIA-ADの導入がもたらすメリットは非常に大きく、投資に見合った成果は十分期待できるでしょう。この機会にぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
AIの進化はとどまることを知らず、今後もさらなる成長が期待できます。近い将来、より優れた動画異常検知技術が誕生するかもしれません。AI技術を投入した動画異常検知システムなら、今まで難しかったことにも対応でき、コスト削減やリソースの最適化も実現します。導入を前向きに検討する価値は十分あるといえるでしょう。
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