ECビジネスを確実に成功させるような「魔法の方法」はありませんが、成功しているECビジネスにはいくつか共通点があります。今回はその共通点を成功のポイントとしてご紹介していきたいと思います。
本稿では①商品計画、②生産 / 仕入れ、③サイト構築(出店)、④プロモーション、⑤出荷、⑥アフターフォローというプロセスに沿って、それぞれの成功ポイントをご紹介します。
商品計画の成功ポイント
まずは事業を開始する前の商品計画に関するポイントです。この計画がECサイトの成否を大きく左右するといっても過言ではありません。
1. ECの目的
そもそも何を目的にしてECビジネスを行うのかを明確にすることが重要です。もしすでに実店舗をお持ちであれば、なおさら何を目的としてEC市場に参入するのかの明確な目的が必要となります。そしてその目的を達成するための中核になる戦略・計画となる事業戦略を立てます。
ここまでは至ってオーソドックスな内容なのですが、実際のところECに関してしっかりとした事業戦略を立てている企業は多くない印象です。多くの企業は、単なる目標数字からの逆算やシステムの機能要件書をもってEC事業戦略としてしまっています。しかしこれでは、単なる目標とシステムの内容をまとめただけです。
EC事業戦略は、ECがユーザーに対し将来どういった価値を提供するものなのかを示すロードマップであり、すべての戦略の指針になるべきものです。EC事業戦略があるかないかで、ECビジネスの成否はまったく違います。
2. 「ECで出品すべき商品」の見極め
多くの企業が、当然のことではあるのですが、「ECサイトで売れる商品」を掲載することを第一に考えます。もちろんそれが楽天やAmazonといったモール型サイトに限った話であれば、それで完結しますが、自社ECサイトではそれが全てではありません。自社ECサイトの役割は単なる販売チャネルではなく、顧客とのデジタルコミュニケーションのチャネルでもあります。売れ線
の商品だけを並べておくことが、適切な顧客とのコミュニケーションとは言えません。サイトの特性と合わせて出品すべき商品について考える必要があるのです。
ただしやっぱり売ることが重要なのはそのとおりです。売れる商品をECサイトで販売するためには、入念な調査を重ねて、商品特性にあったページを生成することが大切です。
よくある失敗例が「売れそう」や「流行りだから」といって理由でECビジネスを始めても、それは一過性のものとなり、継続的な売上げと収益を確保することは難しいでしょう。どれほどすばらしいECサイトを構築しても、ニーズのない商品は売れないでしょうが「売れそう」や「流行りだから」といって理由でECビジネスを始めても、それは一過性のものとなり、継続的な売上げと収益を確保することは難しいでしょう。どれほどすばらしいECサイトを構築しても、ニーズのない商品は売れないでしょう。
生産 / 仕入れ
次に実際に販売する商品を準備しなければなりません。自社で作ったものを販売するのであれば生産計画、仕入れた商品を販売するのであれば仕入計画が重要になります。ここで起点になるのは需要予測です。
ポイントはECの売れ筋と実店舗の売れ筋が異なることが往々にしてあるということです。生産するためには原料や材料を調達して生産を行います。仕入れの場合にはどの商品をどのくらい仕入れるのかを決定して発注します。
実店舗とECで異なる需要予測が適切ではないと、過剰在庫や過小在庫という状況を招くことになります。過剰在庫の場合は、すでに投じた資金を商品のまま眠らせることになり、それを現金に換えることができなくなるため収益を圧迫し、次の商品を仕入れることができなくなってしまいます。
一方、在庫リスクを避けるために少ししか仕入れなかったとすると、過小在庫になってしまいせっかくの販売機会を逃すことになり、ECサイトとしての信用を無くすことにつながり、これも大きなマイナスです。在庫がないのはそれほど人気だから、という言い方も出来なくはないですが、せっかく欲しいと思ってサイトを訪れた顧客はがっかりしてしまい、ファンではなくなってしまうかもしれません。こまめな需要予測によって適正在庫を維持することが重要です。
とはいえ、毎日お忙しいEC事業者の皆様が、需要予測にどれくらいのリソースを割くことが出来るかというと、実際には難しいケースが多いと思います。
少なくとも分析したいときに、すぐに分析が出来るようにセルフBIなどを導入し、現場レベルで簡単に色々な角度から分析出来るようにしておくとよいでしょう。
サイト構築(出店)
インターネット上にサイトを構築していよいよビジネスが始まります。出店の方法は大きく2つあります。一つはモール型であり、もう一つは独自型です。これは実店舗も同じでしょう。それぞれにメリットとデメリットがあるため、商材の性質などによって見極めることが成功のポイントです。
1. モール型
モール型は、インターネット上のモール型ECサイトの中で出店する形態です。例えばAmazonや楽天やYahoo!ショッピングのことです。メリットは何といってもモール自体の認知度が高いので集客が行いやすいことです。すでにモール自体に顧客が一定数確保されているため、その中での競合になります。その結果、デメリットとしてはモール内での価格競争に陥りがちで、目立たないとモールの中で埋没してしまう可能性がある点です。また、サイトの仕様などが決まっていて自由度が少ない点もポイントです。
2. 独自
独自型は、文字通り独自のドメインで独立したECサイトを運営する形態です。自社ECサイトという場合も多いです。メリットは、独自サイトであるために制約がなく、自社が考える機能を自由に実装することができる点です。その結果、他社との差別化も行いやすいでしょう。一方で、モール型ECサイトと比較した場合のデメリットとしては、初めてECサイトを立ち上げた際には、構築後すぐには集客が難しく、広告などの投資が必要になることですECサイトという場合も多いです。メリットは、独自サイトであるために制約がなく、自社が考える機能を自由に実装することができる点です。その結果、他社との差別化も行いやすいでしょう。一方で、モール型ECサイトと比較した場合のデメリットとしては、初めてECサイトを立ち上げた際には、構築後すぐには集客が難しく、広告などの投資が必要になることです。
とはいえ、ECビジネス参入の目的が、単なる販売チャネルの確保でなく、顧客とのデジタルコミュニケーションの充実であれば、自社ECサイトの構築は欠かせないでしょうビジネス参入の目的が、単なる販売チャネルの確保でなく、顧客とのデジタルコミュニケーションの充実であれば、自社ECサイトの構築は欠かせないでしょう。
プロモーション
出店方法の違いとしてモール型と独自型を説明しましたが、いずれにしてもプロモーションは必要です。集客手段として一般的なものは次の4つです。
1. 広告
プロモーションでまず思いつくのが広告でしょう。特に検索結果連動広告などを利用することでターゲットになる顧客にリーチすることが可能です。しかしながら、対象となるキーワードによっては広告単価が高く、費用対効果が見合わない場合もあります。すべてのプロモーションを広告に依存するのではなく、以下のSEOやSNSと組み合わせたプランを検討することが成功のポイントです。
特にinstagram広告はECとの相性がよく、中でもアパレルなどinstagramへの投稿と相性の良い商材の場合、高い広告効果を発揮すると言われています。
SNSで表示された広告を見て買う、という買い方(導線)が一般化してきているので、今後SNS広告はますますECビジネスにとって重要になってくるでしょう。
また、ECと相性がよい広告としては、criteoなどの動的リマーケティング広告も挙げられます。自社ECサイトで閲覧した商品が、広告となって表示される、みなさま一度はみたことがあるだろうあの広告です。
2.SEO
SEOは検索エンジンで自社のサイトやページを上位に表示させるためのコンテンツの最適化です。商品名だけでなく、その商品の購入に至るための課題や話題などを含めてキーワードを設計して記事を作成します。そこから購入(コンバージョン)の導線を作り、関連商品の購入を促します。さらにコンテンツマーケティングを利用し、ユーザーにとって有益な情報と共に商品を紹介したり、商品にある熱意を伝えるための専用ページを作成したりと色々な施策が考えられます。
特に最近ではECサイトに来てから商品を検索、という買い方でなく、Googleで商品を検索して、そこから商品に辿り着き、買うという買い方に変わってきているので、自社の商品がGoogleで上位表示されることはとても重要になります。
3.SNS
FacebookやTwitterなどのSNSも重要な媒体です。日本ではFacebookは約2,800万人、Twitterは4,500万人のアクティブユーザーがいると言われています。そこでアカウントを作成し、情報発信とエンゲージメントを獲得し、ECサイトの情報を拡散して認知度を向上します。
SNSという分類が適切かどうか今となってはわからなくなりましたが、LINEの活用はSNS運用における最重要ポイントとなります。単に顧客に友達になってもらい、情報を発信するに留まらず、チャットボットを活用したコミュニケーションや、LINEログインなど様々な機能がLINEから提供されています。
いつ届くのか、新しい商品が入ったのか、などメルマガとは違ったチャットならではのコミュニケーションで顧客とのエンゲージメントを高めることが出来ます。
4.メール
LINEなどのチャットアプリに押され気味な印象はありますが、まだまだメールは重要なプロモーション方法の一つです。
これまでのように、画一的な内容を一斉に送るようなメルマガは確かにLINEなどのチャットツールと比べ、開封率もクリック率も低くあまり効果的なプロモーションではありません。
しかし近年マーケティング・オートメーション製品の導入が進んだことにより、顧客属性や顧客の行動に合わせて、パーソナライズされた内容のメールを、適切なタイミングに配信することが効果的であることが、再度認知され始めました。
もちろん、チャットで送るべきかメールで送るべきかもパーソナライズする余地のあるところですが、メールを使わなくなるということはしばらく考えづらいと言えます。
アフターフォロー
顧客のLTVを高めるためには、一回の購入にフォーカスするだけでなく、継続的な購入を促すための仕組みづくりも重要です。カートに入れた商品が決済されたタイミングからLTVを高めるためのアフターフォローは始まっているのです。
1.迅速な発送
顧客の希望するタイミングで商品を届けるためには、在庫管理と物流管理が重要です。まず在庫管理では、適正な在庫を維持しながら正確な管理が求められます。そのためには販売管理システムとWMSが欠かせません。Excelで作成したドキュメントでの在庫管理では、結局実態との差が出てしまったりする可能性が高くなってしまい、在庫の適正化は難しいでしょう。
システム化によって在庫状況を正確に把握し、需要分析を行って仕入数を適正にして、過剰在庫も過小在庫も防ぎます。
また、「購入した商品は早く届くほど良い」というのはECサイトユーザーの自然な心理です。そのためECビジネスでは迅速かつ丁寧な配送が要になってくるのですが、ここで必要なのが物流の最適化でしょう。
ちなみに物流とは商品を配送するだけでなく、購入された商品を在庫から引き当てたり、梱包したり、出荷準備に至るまでのプロセスも含みます。これを最適化するためには在庫管理と同じくシステム化が重要になるでしょう。
販売システムや在庫システムと密に連携して、商品が購入された際には迅速に出荷指示を出せるようなシステムが無いと物流の最適化は難しいでしょう。
2.継続的なプロモーション
一般的な消費財のうち、それほど高価なものでない限り、基本的に複数回の購入が見込まれます。そして、顧客に再度選んで頂くための仕組みづくりには、顧客管理が重要になります。
関連商品の紹介を定期的に行い、買い替えのタイミングでプロモーションを打つなど継続的なコミュニケーションを行います。サイト上だけでなく、メルマガなどのメールなども組み合わせるためには、顧客管理システムとマーケティングツールの連携も必要になります。顧客の自社サイトに対する生涯価値を最大化するためにも継続的なフォローは非常に重要です。 [RELATED_POSTS]
まとめ
ECビジネスを成功するためには多数のポイントを押さえる必要があります。さらに、ここでご紹介したようにECサイト、プロモーション、在庫管理、物流、顧客管理など各要素に分けて戦略を立てることが、継続的なECビジネスの成長につながります。
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