アパレル業界のecサイトのトレンド

 2017.08.22  株式会社システムインテグレータ

アパレル業界のEC化率は、各業界においても高い部類に入ります。経済産業省の調査では、アパレル業界の2016年商取引総額(オンラインとオフライン)は13兆9954億円。そのうち、電子取引されたものが1兆5297億円なので、10.93%の取引がEコマースによる売上となります。 

引用:平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備電子商取引に関する市場調査

世界中で“ショールーミング”と呼ばれる、実店舗で商品を物色し、インターネットで購入するという現象が話題になった時期がありました。日本もその例に漏れず、店舗で実際の商品を確認してインターネットで最安値の店舗を探すなどの風景がよく見られます。

インターネットでの購入は当たり前になり、アパレル業界のECサイト市場は今後さらに活発化していくでしょう。

ただし、成功するためには、実店舗運営以上にトレンドに敏感になり、新たな技術を積極的に取り入れていかなければなりません。

ECサイトは実店舗と違って、顧客の顔が見えないという大きなハンディキャップがあるので、その分IT技術を駆使して高品質なサービスを提供する必要があります。

今回は、アパレルECサイトを運営している、あるいは今後運営するという企業に向け、アパレル業界のECサイトトレンドを紹介していきます。 

ECサイト構築基本ガイド

アパレルECサイトのトレンド

今もなおECサイトの新たなIT技術やサービスが誕生しています。そうした現状を踏まえ、最近のアパレル業界ECサイトのトレンドを確認していきましょう。 

ソーシャルメディアはもっと身近になる

台湾に、PAZZOというレディースカジュアルブランドがあります。同ブランドが運用するFacebookアカウントのいいね!数は100万以上で、投稿後すぐに数百のコメントが付きます。

その内容はというと、ユーザーが色やサイズについてコメントし、それに運用スタッフが答え、そうしたやり取りを経てFacebook上で購入に至ります。

 これはソーシャルメディアをECサイト戦略へ本格的に取り入れた、かなり稀有な事例でしょう。日本国内ではまだこうした、ユーザーとブランドがソーシャルメディアを通じて直接コミュニケーションを取るというマーケティングは確立されていません。

というのも、アジア諸国では1日のSNS接触時間が多くコミュケーションの大部分をソーシャルメディアで済ませています。日本のSNS平均接触時間はアジア諸国に比べて少なく今後述べていくことを考慮すると日本のアパレル業界もいずれソーシャルを活用したサービスを真剣に検討する時が来るのかもしれません。

AIやチャットボットを活用したWeb接客が増える

SENSYというファッションスタイリストアプリをご存知でしょうか?

SENSYはAI(人工知能)を活用したアプリで、ユーザーはアプリ内で自分が名付けたスタイリストに相談することで、おすすめのコーディネートを提案してくれるというものです。提案されたコーディネートに対して「好き」「嫌い」を返答すると、AIはこの情報を蓄積し、よりユーザーの好みに合った提案を行ってくれるようになります。

すでに三越伊勢丹やBEAMS、JOURNAL STANDARD、niko and...などの大手百貨店やセレクトショップ、大手ブランドが参加しているので、ユーザーは豊富なラインナップの中から好みの商品を選び、そのままECサイトから購入することも可能です。

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また、海外でも同様にAmazonは、音声AIアシスタントのAlexaを搭載したEcho Lookを発表しています。このEcho Lookも人工知能がファッションアドバイザーとして提案してくれます。 

一方で、ECサイト内でチャットボットを活用したWeb接客事例も増えています。こうしたAIやチャットボットを活用したEC戦略は、アパレル業界を中心に着実に拡大していくと予測できます。 

※AIを活用した自動会話プログラム

 参考:人工知能の力をかりて、ファッションセンスを磨こうファッションスタイリストアプリ「SENSY」

 

ユーザー視点でのコンテンツが充実する

今年、創刊72年を迎えた老舗ファッション誌のELLEは、ユーザー視点コンテンツによってECサイトを運用する、代表的なECサイト事例です。

そもそもファッション誌によるECサイト運営ということ自体が珍しく、ELLEのオンラインショップであるELLE SHOPでは、ELLE好きのエディター達が「これってELLEっぽいよね」というコーディネートを発信しています。 

ELLE SHOPを訪れたユーザーはそうしたコンテンツを見て、気に入った商品をそのまま購入できるという仕組みです。

ユーザー視点コンテンツというものは、ときに絶大な効果を発揮します。運営側よりもユーザーに近い視点でコンテンツを発信できるため、ユーザーからの共感を得やすく、親近感のあるECサイトを構築できます。そのためには、影響力の高いインフルエンサーを囲むといった施策が必要です。成功した際の収穫はかなりのものがあります。ンテンツというものは、ときに絶大な効果を発揮します。運営側よりもユーザーに近い視点でコンテンツを発信できるため、ユーザーからの共感を得やすく、親近感のあるECサイトを構築できます。そのためには、影響力の高いインフルエンサーを囲むといった施策が必要です。成功した際の収穫はかなりのものがあります。 

参考:SI Web Shopping導入事例「ELLEのエディターがプロデュースする"ELLEならでは"のファッションをお届けします。

 

オンライン決済サービスが多様化する

2016年10月にスタートしたオンライン決済サービスのApple Pay(アップルペイ)は、従来のおサイフケータイのような機能を、iPhoneで利用できるサービスです。

アップルペイにクレジットカードを登録することで、アップルペイに対応する小売店ではアップルペイで決済出来たり、Suicaを登録することで各種交通機関で使用出来たり、ECサイトでも続々と対応しているので、オンラインショッピングでも活用できます。 

この他世界中で900万店以上の加盟店を持つPayPal(ペイパル)や、LINE Payなど、オンライン決済の多様化が著しく進んでいます。

従って、今後も予想していなかったオンライン決済サービスが登場する可能性も少なくありません。

 オンライン決済サービスの多様化によってより多くのユーザーを取り込めるという反面、対応すべき技術が増えるという課題も発生していくでしょう。アパレル業界ではオンライン決済サービスのトレンドをウォッチしながら対応に迫られることになるでしょう。

 

オムニチャネル化によるバックオフィス統合が加速

数年前から話題になっているオムニチャネルによる顧客体験の向上に取り組む企業が加速しています。

オムニチャネルの重要性はアパレル業界では既に認識されており、自社に最適なオムニチャネルを実現するためのシステム化に多くの企業が取り組んでいます。 

単一のECサイトとしての機能だけでは他のチャネルの潜在能力を引き出すことができません。オムニチャネルを実現する企業は、ECサイト単体ではなくデジタルマーケティングハブとして実店舗やコールセンター、他のECモールなどと連動する仕組みが必要です。

同時に、全チャネルを横断・統合した注文管理業務や在庫管理業務、顧客管理と言ったバックオフィス業務を効率化するための仕組みも必要になります。

これらを実現することで結果的に顧客のニーズや購入パターンを見通せる広い視野を得られるだけでなく、統合されたプラットフォームによるITコスト、労働コストの削減が見込めるのです。 [RELATED_POSTS]

アパレル業界ECサイトにある3つの根本課題

アパレル業界のサイトには、「サイズ」「リコメンド」「コーディネート」という3つの根本課題が存在します。

ECサイト上では現物確認ができないため、アパレル商品において重要なサイズ確認ができません。親しんだブランドならまだしも、一度も購入したことがないブランドでは、サイズを確認できない状態で購入する人は少ないでしょう。

リコメンドに関しては、家電など他の商品と比べてずっと複雑です。しかし最近では、ハイブリッド型のリコメンド機能によってこの課題は解決しつつあります。

最も難しい課題はコーディネートでしょう。特に商品ラインナップが多いほど正確なコーディネートを提案することが難しくなるので、IT技術によって最適なアルゴリズムを取り入れ、ユーザー個々に合ったコーディネートをする必要があります。

こうしたアパレル業界ECサイトの課題は、ここで紹介したトレンドによって解決できる可能性が大いにあります。ECサイト技術は日進月歩で日々急速に進化しているので、今後のトレンドにも注目です。 

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