ファクトリーオートメーション(FA)とは?基礎やメリット・事例を解説

 2024.01.25  株式会社システムインテグレータ

近年さまざまな業種でオートメーション化が進んでいますが、工場や製造現場においても例外ではありません。製造現場におけるオートメーションは「ファクトリーオートメーション」と呼ばれています。

本記事ではファクトリーオートメーションの基礎知識やメリット、実際の事例などをご紹介します。ファクトリーオートメーションについて詳しく知りたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

ファクトリーオートメーション(FA)とは

ファクトリーオートメーションとは

ファクトリーオートメーションとは、工場などの生産工程の自動化を図ることです。英語で「Factory Automation」と表記することから「FA」と略されることがあります。

ファクトリーオートメーションの対象は、加工、組み立て、マテリアルハンドリング(マテハン)、管理の4つの分野が中心となります。ファクトリーオートメーションの主な目的はメリットにも通じますが、人件費の削減や品質の維持・向上です。

ファクトリーオートメーションの歴史は古く、1950年代までさかのぼります。当時、金属の塊を板状などに延ばす機械であるストップミルが登場しました。1960年代に入るとICが組み込まれた機械によって連続加工が可能になりました。

この頃、ファクトリーオートメーションは単に「オートメーション」と呼ばれていました。しかし、さまざまな分野でオートメーション化が進み、明確に区別するためにファクトリーオートメーションと呼ばれるようになりました。

1970年代以降は急速にさまざまな技術の投入が進みました。例えば、現在製造現場で使われているNC工作機などは1970年代に導入されました。また、1990年代後半に入ると、CADが普及して設計現場も自動化されるようになりました。

このように、ファクトリーオートメーションは長い期間をかけて現在に至ります。

現在ではインダストリー4.0(第四次産業革命)の文脈でさらなる産業の効率化が進んでいます。

関連記事:AIとIoTで製造業はどう変わるのか。第4次産業革命とは?

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ファクトリーオートメーションが注目されている背景

日本の製造現場では人手不足の深刻化が課題視されてきましたが、ビジネス環境の変化に伴い、より本質的な現場革新が喫緊の課題となっています。そこで注目されるようになったのがファクトリーオートメーションです。ここでは、注目される背景にある2つの要素について説明します。

グローバル競争の激化

新規参入企業が販売する製品の質が上がりグローバル市場における競争が激化するなか、量よりも質を求められるようになりました。しかし製品の品質を上げようとすると原材料費や人件費などコストも増えてしまいます。いかに高品質かつ安価な製品を効率よく生産するか、その答えの一つがファクトリーオートメーションです。今、多くの企業が従来は人が行っていた作業を機械にゆだねる方向にシフトしつつあります。

少子高齢化対策に向けた省人化

日本では少子高齢化に伴う人手不足が年々深刻化しています。みずほ総合研究所の調査によると、2020年に6,404万いた労働人口は2045年には5,000万人を切ると予測されています。これまで生産コストを抑えながら労働力を確保するために生産拠点を人件費の安い海外に持っていた企業も少なくありませんが、近年海外の人件費も高騰したことでそのメリットも減りつつあります。そこで人手不足を解消するためにファクトリーオートメーションによる省人化への注目は高まっています。

ファクトリーオートメーションの目指す今後

これまでのファクトリーオートメーションは人による対応が難しい工程や高い精度が求められる作業を補助するものとして導入されてきました。しかし近年の技術の進歩により、ファクトリーオートメーション化された今の製造現場ではセンサーやロボットが中心となって作業し、人間がその補助をする形で業務が行われています。

製造現場における人と機械の関係性が逆転し、省人化や効率性の向上、コスト削減は実現しましたが、無人化まではできていません。現在、世界各国の企業が生産ラインの完全自動化を可能にするファクトリーオートメーションを目指して開発に取り組んでいます。

ファクトリーオートメーションのメリット

ファクトリーオートメーションには主に3つのメリットがあります。以下でそれぞれのメリットをご紹介します。

人件費の削減

ファクトリーオートメーションにより製造工程の自動化が進めば、人件費の削減が可能になります。これまで人の手で行っていた作業を機械に任せることができるためです。

ファクトリーオートメーションが普及するまでは、安い人件費を求める世界の製造企業が、中国をはじめアジア諸国に生産拠点を設けていました。しかし、中国国内の最低賃金が高騰し、アジア諸国にも波及しています。それにより海外に生産拠点を置くメリットが薄れつつあります。

そんななか、多くの企業がファクトリーオートメーションの導入を進めました。さまざまな生産工程を自動化するファクトリーオートメーションでは、人的コストを最小限に抑えて、生産性を最大化することができます。

品質の維持・向上

製造工程の自動化を図ることは、品質の維持や向上にも効果があります。従来の日本における「ものづくり」は、熟練した技術を持つ職人に支えられてきました。職人の経験と知識、スキルによって高品質な製品が生産されてきたことは事実です。

しかし、高齢化や引退、さらに少子化による後継者不足も加わり、これまで伝承されてきた職人の技術が途絶えることも考えられます。

人材不足の状態であれば、品質の維持も難しくなり、高品質な製品を送り出すこともできなくなるでしょう。最終的には企業活動を維持できなくなる可能性もあります。

そこで将来を見据えて、人手だけに頼らない生産システムの構築が必要となりました。ファクトリーオートメーションは、まさにその役目を果たしています。

生産効率の向上

ファクトリーオートメーションが活用されるのは、組み立てや加工といった製造工程だけではありません。製品の検査においても大きな効果を発揮します。

従来の目視で行っていた検査では、1秒間で数個程度しか確認できません。一方で最新の外観検査のシステムを活用すると、1秒間で数百個の検査が可能です。

製品の検査はボトルネックになりやすいため、ファクトリーオートメーションによって工程を大幅に削減することで生産効率の向上につながります。

ファクトリーオートメーションのデメリット

ファクトリーオートメーションは人件費を削減しつつ生産性を向上させるなど、さまざまなメリットがあります。しかし、製造工程の自動化には課題があります。以下でファクトリーオートメーションのデメリットをご説明します。

大きな初期投資が必要

ファクトリーオートメーションにより生産ラインを自動化する際の一番の問題は、初期投資です。設備の導入費用だけではなく、システムを運用するための技術者の雇用や育成も必要な場合があります。

システム導入に関連するライン設備との連携、安全面の確保などにも費用がかかるでしょう。自動化するための機械やシステムは多岐にわたりますが、数十万円、数百万円という費用になることが一般的です。

完全に自動化を目指すならば、それ以上の費用がかかることもあるでしょう。人件費などが抑えられる点は魅力ですが、中長期的な視点で考えて、利益を十分に確保できるか検討が必要になります。

また、機械やシステムを導入した後の維持費も必要です。生産ラインをストップさせずに機械などを稼働させるには、メンテナンス費用がかかります。さらに稼働するための電気代などの光熱費もかかるでしょう。

ファクトリーオートメーションを検討する際は、生産性や人件費だけではなく、初期費用やランニングコストなども考慮する必要があります。費用面では国や自治体の補助金などを利用することも検討しましょう。

仕事を奪われる不安感が生まれる

ファクトリーオートメーションにより懸念されているのが雇用の減少です。さまざまな製造工程が自動化されることで「製造に関する多くの職種がなくなってしまうのでは?」と不安を抱く方もいます。

ファクトリーオートメーションとはいっても、機械と人の協業が必要です。従業員の不安を和らげるためにはその点を理解してもらうことがポイントでしょう。これに関連して、企業側は専門知識を身につけるための研修や教育制度の整備にも注力する必要があります。

製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

VUCAといわれる現代において、ビジネス環境は急速に変化し続けています。不確実性が高まるなかで日本の製造業に求められているのは、IoTやAIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

経済産業省の「2020年版ものづくり白書」では、製造業が注目すべき戦略として「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」の強化が挙げられています。ダイナミック・ケイパビリティとは環境や状況の変化に応じて、企業内外の資源を再構成して、自己を変革する能力のことを指しており、DXは働き方改革や企業のサステナビリティなどを実現する手段として注目されています。

関連記事:製造業DXとは何?現状の課題や事例・メリットを解説

ファクトリーオートメーションで活用される技術

ファクトリーオートメーションで活用される技術

ファクトリーオートメーションには、IoTやAI、リモートメンテナンスといった技術が活用されています。それぞれにどのような特徴があるのか詳しく見ていきましょう。

IoTやAI

IoTとは「Internet of Things」の略称であり、日本語では「モノのインターネット」と訳します。製造現場のIoTではセンサーやカメラなどを搭載した機器を導入します。機器にはモノの動きや状態を感知したり、データを取得したりできる機能があり、最適な流れで製品を作ります。

また、AIを搭載した機器やシステムを導入することで、検査の工程がスムーズになります。AIに正常と異常のデータを学習させることで、瞬時に判断させることが可能となるのです。このようにIoTやAIを活用することで、製造工程のデータの見える化につながります。

データが見える化されると生産設備の故障や不具合を予測することも可能になり、保全業務の効率化につながります。ダウンタイムの発生を抑え、生産の安定化などの効果が得られるでしょう。

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製造機械のモジュール化

モジュール化とは、製品の設計や生産プロセスなどにおける共通部分を実行するモジュールを作成し、それらを組み合わせて開発・生産を行うことで効率性の向上やコストの削減を図ることです。モジュールがあれば、ほかの製品を製造する際に必要な工程を一から構築する必要がなく、工程の標準化や大幅な工数削減につながります。

リモートメンテナンス

リモートメンテナンスとは、インターネットを活用してシステムの保守管理や故障時の調査などを行うことです。

従来の製造現場では、設備や機械に故障やトラブルが生じるとエンジニアが現場で修理や保全業務を行うことが一般的でした。

しかし、技術の発展やコロナ禍、働き方改革などの状況の変化により、近年では遠隔操作によりシステムの保全業務を行うケースが増加しています。

リモートメンテナンスを行うことで、エンジニアが現地に向かう時間を削減できます。また、出張費用などの削減もできるでしょう。今後はリモートメンテナンスを導入する企業がさらに増えることが予想されます。

ファクトリーオートメーションを構成するシステム

ファクトリーオートメーションの肝はデータの活用にあります。ここでは、ファクトリーオートメーションで使われる主なシステムの種類をご紹介します。

製造システム

製造システムは、製造工程の自動化を可能にする各種システムを指します。代表的なものは以下のとおりです。

  • CAD(Computer Aided Design)
    コンピュータ支援設計の略。製品の設計や製図をコンピュータで行う。
  • CAM(Computer Aided Manufacturing)
    コンピュータ支援製造の略。CADで設計・製図された図面をもとに、製品を製造する工作機械のプログラムを作成する。
  • CAE(Computer Aided Engineering)
    コンピュータ支援エンジニアリングの略。機械や部品を製造する前に性能をシミュレーションし、目的の機能を発揮できるか計算する。
  • CAT(Computer Aided Test)
    コンピュータ支援検査の略。製造された製品の寸法や仕様が図面に沿っているか検査する。CADやCAMと連携させて使うことが多い。
  • PDM(Product Data Management)
    製品情報管理システム。CADやBOM(部品表)など、製品を設計する工程で作成されるデータを一元管理する。
  • PLM(Product Life-cycle Management)
    製品ライフサイクル管理システム。製品の企画から設計、調達、生産、販売、廃棄までのライフサイクルのなかで生じるデータを一元管理する。
  • PLC(Programmable Logic Controller)
    シーケンサとも呼ばれる。シーケンサ制御という制御方法によって機器や設備などの動作を記憶し、稼働を制御する。
  • APS(Advanced Planning and Schedule)
    生産計画スケジューラ。製造ラインの稼働率や負荷を考慮しながら、受注から調達、生産、出荷に至るまでの最適な生産計画を立案する。

基幹システム

基幹システムにもさまざまな種類がありますが、ファクトリーオートメーションで使用される主なシステムは以下の3種類です。

  • MES(Manufacturing Execution System)
    製造実行システム。製造工程を可視化・管理し、作業者への指示・支援などを行う。
  • MRP(Materials Requirements Planning)
    資材所要量計画。製品を製造するために必要なものを、必要なときに必要なだけ調達する計画を策定する。
  • ERP(Enterprise Resource Planning)
    企業資源計画。会計や人事、生産、物流、販売などの基幹業務を統合し、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった企業の持つ資源を一元管理する。製造に限らず企業活動全体に関わる。

ファクトリーオートメーションの実現ステップと注意ポイント

ファクトリーオートメーションの実現には、3つのステップがあります。以下でそれぞれのステップをご説明します。

現状の把握

ファクトリーオートメーションを取り入れる際、まずは現状の把握から取り組みましょう。現状の生産ラインの各プロセスで何が起きているのか、課題は何なのかを明らかにします。

その際、現場からデータを集めることが必要になります。データの収集は、設備や機械にIoTセンサーを取り付けて、リアルタイムで行います。製品の組み立てや加工を1サイクルとして、音・振動・温度などのデータを集めます。集めたデータはクラウドを使って蓄積すると効率が良いでしょう。

蓄積したデータは、作業者がわかりやすいように見える化することがポイントです。各ライン、工場全体の生産に関する情報を統合して見える化すると、効率的な運用につながります。

課題や問題点の抽出

現状を把握したら、課題や問題点を抽出します。現状の把握が見える化と呼ばれるのに対し、そこから課題や問題を抽出することは「わかる化」と呼ばれます。

音・振動・温度などの情報を具体的に解析していき、設備が正常に動くラインで正常モデルを判断します。そして、実際のデータとのズレを比較すると、製造時の異常を素早く検知できます。

課題や問題の抽出では、多変量解析ソフトを使うことで、複数の変数から相関関係が分かります。

課題の改善

最後のステップでは、見える化やわかる化したデータをもとに製造ラインの稼働を最適化していきます。故障や不具合が起こる前に運転条件の変更やメンテナンスを実施することで、改善サイクルが継続できます。

生産量、品質維持・向上、人員配置、原材料の需要・供給などがうまく回るように、適宜フィードバックを行って最適化しましょう。

ファクトリーオートメーションを進めるにあたっての注意点

ファクトリーオートメーションを進めるにあたっては、自社の業務特性を押さえておく必要があります。例えば複数の工場に適用させたい場合や、製造する製品も多岐にわたる場合など、特定の製品に特化した形ではなく様々な生産ラインで活用できる状態にしておかなければなりません。

また、デメリットの部分でも触れた通り、システムの導入後はそのメンテナンスも必要になります。導入したシステムや機器などに対応できる人材を確保・育成も検討すると良いでしょう。

抱えている課題や業務の特性によって導入すべきシステムや機器、構成などは変わります。ハード面、ソフト面の両方の視点で最適な形を考える必要があります。

ファクトリーオートメーションの事例

ファクトリーオートメーションの事例

ここでは、ファクトリーオートメーションに取り組んだ3つの事例をご紹介します。今後の導入の参考にしましょう。

次世代マイクロニードル化粧品の高度精密生産へのロボット導入

化粧品を製造している企業では、ロボットの導入によって次世代マイクロニードル化粧品の高度精密生産ができるようになりました。

マイクロニードルの製造工程は6工程からなり、特に微細針シート脱型と組み立ての工程が重要とされています。非常に細かな作業であり、熟練の作業者のスキルに頼っていることが課題でした。

その工程をロボットに任せることで、人員を削減しても製造量確保ができるようになりました。また、生産性は4倍になり、従来よりも必要人員を6人減らすことができました。

参考:ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018

真空冷凍パックの箱詰めから箱の積み付けまで、一連工程のロボット化

食肉の加工や冷凍・卸、総菜の製造・販売を行っている企業では、ロボットを導入して生産性を4.4倍まで向上させました。

この企業は肉の解体や成型、冷凍パック詰め、箱詰めなどの全ての工程を作業員による手作業で行っていました。

ロボット導入後は、下流工程である箱詰めやパレット積みをロボットに任せています。これにより、従来より6人の省人化を実現して、上流工程への配置転換を実現できが行えました。

人員の配置転換により、生産性の向上も達成したとのことです。

画像処理技術により重量計算を行う焼鳥整列ロボットシステム

焼鳥の加工工程で串刺し機への投入工程は、目視による判断で形や重量、方向を決定して行うことがほとんどでした。そのため、生産性の向上が課題でした。

人材不足などの理由から、人員を配置できない課題を持っている企業では、ロボットを導入して生産性を向上させています。

この企業は食材を、画像処理により形状や重量を判別して最適な組み合わせを決定し、2台のロボットによる搬送から規格重量になるように、串刺しが完了する仕組みを構築しています。ロボットの導入後は、生産性が2.5倍になりました。

まとめ

製造現場におけるIoTやAIの活用が広がり、ファクトリーオートメーションへの動きが加速しています。

本記事でも紹介したように自動化にはさまざまな事例があります。製品の品質維持・向上に欠かせない外観検査の自動化もその代表例です。

従来の目視検査よりも緻密で高精度かつ高速な検査が実現できるAI外観検査の実現方法についてまとめた資料がありますので、興味がありましたらぜひご覧ください。

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