ベアリングの製造工程とは?発生しうる不良や検査方法も解説

 2022.05.16  株式会社システムインテグレータ

ベアリングは家電製品から自動車など、ありとあらゆる製品に内蔵されている、機械の製造に欠かせない部品です。「機械産業のコメ」とも呼ばれています。

本記事では、ベアリングの役割や種類、製造方法、検査方法、発生しうる不良などをご説明します。ベアリングの理解を深めたい場合は、最後までご覧ください。

ベアリングの役割

Young businessman fixing gears mechanism with wrench-1

ベアリングは機械の内部にある軸をスムーズに回転させる部品です。軸の回転を受けることから、「軸受」と呼ぶこともあります。

ベアリングの基本的な構造は、内輪、ボール、外輪です。外輪を機械に固定して内輪のなかに軸をはめ込むと、軸が滑らかに安定して回転します。この回転の役割は部品同士の摩擦を0(ゼロ)に近づけることです。

ベアリングはさまざまなところで使われており、風力発電機、飛行機、自動車、電車、パソコンなど私たちの生活に欠かせない製品にも組み込まれています。

たとえば、自動車には100〜150個ほどのベアリングが使われています。ベアリングがなければ車輪やトランスミッションのガタつきが発生し、自動車はスムーズに走れません。

また、ベアリングは機械の高機能化には欠かせないものです。製品の省エネ化にも影響があるパーツといえます。ベアリングがないと、摩擦が大きくなりエネルギー消費が大きくなるからです。

ときには過酷な環境下で使用されることもあり、ベアリングはまさに縁の下の力持ちといえるでしょう。

ちなみにベアリングの歴史を振り返ると紀元前にさかのぼります。当時、巨大な建物を建てるときは巨大な石を運ぶ必要がありましたが、当然、クレーンなどはありませんでした。

そこで地面に円柱状の木材などを並べて、その上に石を置いて運びました。これが原点となり、その後、古代から近代の長い歴史のなかでこの作用を活用したベアリングが普及してきました。そして今ではさまざまな製品に使われるようになっています。

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ベアリングの主な種類

ここでは、ベアリングの主な種類をご紹介します。ベアリングは、主に転がり軸受と滑り軸受、その他の種類に分類できます。それぞれの種類について、以下をご覧ください。

転がり軸受

一般的に機械が回転する際の摩擦は、転がりの摩擦が滑りの摩擦よりも少なくなります。その特性を活かしているのが転がり軸受です。

転がり軸受の構造

転がり軸受は、ボール(転動体)、外輪、内輪によって構成されており、転がりを利用して摩擦を低減する構造となっています。

近年、一般的には転がり軸受が採用されることが多いです。ちなみに前述した紀元前の事例も転がり軸受の原理を利用したものです。

転がり軸受には玉軸受とコロ軸受があります。転動体がボールの形状であれば玉軸受といいます。使用用途が広く、ベアリングというと玉軸受を示すことが多いです。また、玉軸受は軸方向と径方向の両方の力を受け取ることができます。

コロ軸受は、転動体が円柱状になっているものを示します。転動体が円柱状になっているため、力を受け取る面積が広くなります。その分、大きな荷重にも耐えることができます。

転がり軸受の特徴

転がり軸受は、転動体によって特徴が異なります。転動体にボールを使ったベアリングは幅広い用途で活用されており、高速回転の場合に向いています。

円筒ころ軸受は、大きな衝撃にも耐えられます。針状のころを使った針状ころ軸受は、ベアリングの大きさに比べて大きな力に耐えることができます。このように、転がり軸受には、さまざまな特徴があります。

滑り軸受

滑り軸受は、潤滑油を活用して滑らせる構造をイメージするとわかりやすいでしょう。具体的な特徴を以下でご説明します。

滑り軸受の構造

滑り軸受は転がり軸受と異なり、軸が軸受と直接触れる仕組みです。動く際に軸が面によって支えられています。

滑り軸受にも、油潤滑軸受や油潤滑軸受などいくつかの種類があります。

油潤滑軸受は、軸と軸受の隙間に潤滑油で油膜を作って衝撃に耐えられるようになっています。油潤滑軸受は、ポンプで油を送り込む静圧軸受、回転軸の回転の勢いで油を巻き込む動圧軸受に分類されます。

軸を浮かせて回転を支える気体軸受は、軸受と軸の間に潤滑油の代わりとして気体を送り込みます。エアホッケーのように空気を使って軸を支えるイメージです。

また、磁力を活用した磁気軸受もあります。軸の上下に磁石を配置して磁力を発生させて回転を支える方法です。

滑り軸受の特徴

滑り軸受の特徴は、運動音がなく比較的静かに運動が行われるため振動や騒音が少ない点です。滑り軸受の用途としては、自動車や機械などのエンジンが挙げられます。

メンテナンスが少なくて済むことや高速性能にもメリットがあります。メンテナンス次第では半永久的に使えるでしょう。

一方で低速性が不利だったり、規格化されていないため互換性が低かったりするデメリットがあります。

その他の種類

ベアリングには前章までの分類に含まれない種類もあります。

アンギュラ玉軸受

転動体と内輪、外輪が接触角で接するタイプで、縦と横からの荷重を支えるベアリングです。

スラスト玉軸受

軸受に対して縦方向の荷重に強いタイプです。大きな荷重にも耐えることができます。

自動調心ころ軸受

回転中に内輪と外輪のズレを自動で調整するベアリングです。

ゲージ&ローラー

車のトランスミッションなどに組み込まれているベアリングです。より高い耐久度が求められます。

ベアリングの種類は多様で、組み込む製品によって使い分けられます。

ベアリングの製造工程

ここからは、ベアリングの製造工程をご説明します。ベアリングは以下の8つの工程を経て作られます。

鍛造

鍛造はベアリングの輪っかの部分を作る工程です。筒状の材料を切断していき、プレス機で圧力をかけて円形の板を作ります。

その後、金型を使って輪っかを作っていきます。輪っかを伸ばして目的の大きさに変えると内輪や外輪の出来上がりです。

なお、鍛造の詳細については以下の記事もご覧ください。
鍛造とは?鋳造との違い、メリットや製造工程を解説

旋削

旋削(せんさく)は、ベアリングの大まかな形を作る工程です。鍛造で仕上げた輪っかを機械で削って、大枠の形に加工していきます。この工程でボールの通り道も作ります。

熱処理

熱処理では、形にしたものを熱します。800℃以上の温度で加熱し、油を入れて冷ますと金属の組織が強くなります。

研削

研削は1ミリメートルの1,000分の1にあたるマイクロメートルという非常に細かい単位で削って形を整える工程です。研削盤という機械を使って加工します。外輪や内輪の幅、外径、内径、溝などを設計通りの大きさに高い精度で仕上げます。

ボールが通る軌道面は、回転しやすいように念入りに磨きます。

組み立て

組み立ての工程では、外輪と内輪の間にボールを入れて、ボールの間隔を均等にします。その状態で保持器を上下から固定すると、ベアリングの完成です。

洗浄

組み立てたベアリングに付着した異物や汚れを洗浄する工程です。超音波洗浄機を用いて、徹底的にベアリングを洗います。

検査

洗浄を終えたベアリングの精度検査を行う工程です。定められた検査項目をチェックして、製品として問題がないか見ていきます。機能や精度だけでなく外観の検査も行います。

包装・出荷

検査をクリアしたベアリングを包装・箱詰めします。倉庫などに保管して、注文数などに応じて出荷されていきます。

ベアリングの主な検査と発見できる不良

ベアリングの検査には、振動検査や外観検査、寸法検査があります。それぞれの検査の内容や発見できる不良をご説明します。

振動検査

振動検査とは、ベアリングが回転しているときの振動を計測して品質を確かめる検査です。ベアリングが回転しているときの振動の単位を「アンデロン」ということから、振動検査を「アンデロンメーター」と呼ぶこともあります。

振動検査では、内輪や外輪のうねり、ボールなどの転動体のうねり、保持器やシールなどのキズ、異物の付着などが発見できます。内輪や外輪、転動体については加工面の粗さも検知可能です。つまり、振動検査を行うことで総合的な品質の検査ができます。

外観検査

外観検査では完成品や組み立て品の外観を検査します。主にカメラを使って検査を行い、ベアリングのサビや腐食、キズ、へこみ、異物や汚れ、空気孔などの不良がないかチェックします。

特にカメラを使用した外観検査では、さまざまな不良を瞬時に判断できる点が特徴です。

ちなみにカメラで撮影された画像は前処理、計測処理、判定・出力という3つの流れで処理されます。前処理では撮影した画像のノイズを減らして検査しやすい画像にします。計測処理は前処理で加工した画像の寸法などを測ります。判定・出力では画像処理装置で設定している公差と計測結果を比較して合否を判定します。

画像認識を使った外観検査については以下の記事もご覧ください。
画像を用いた外観検査の仕組みや検出できる範囲とは?おすすめのシステムまでご紹介

寸法検査

寸法検査では、変位センサを使って完成品や組み立て品の外径や内径、幅、軌道溝などの寸法を検査します。変位センサとは、物体が定められた位置に移動するときにその移動量を計測するセンサですが、移動量だけではなく寸法を計測する際にも使われます。変位センサにはさまざまな種類があり、用途や必要精度などに応じて最適な機器を選ぶことになります。

ベアリングの不良は検査装置で発見

ベアリングの検査には、検査装置の導入をおすすめします。検査装置を導入することで、検査精度や品質の向上につながり、検査コストを削減することも可能です。

ベアリングの精度は国際規格で寸法公差が定められており、ミクロン単位での精度が要求されています。そのため、目視など人に頼った検査手法では限界があるのです。

また、検査装置を導入することで検査を自動化できます。検査員による検査は、個人の経験やスキルなどによって精度にばらつきが生じやすく、検査員の体調などによっても検査制度が変わる可能性があります。

検査が自動化されると、検査精度の向上・安定化が実現できます。さらに製造業を悩ませる人手不足の解消や人件費の削減にもつながります。

まとめ

ベアリングはさまざまな機械製品を動かすのに欠かせないパーツです。ベアリングが故障してしまうと機械全体の機能に支障が生じるため、品質の維持が特に重要ともいえます。

不良品の流出を防ぐために外観検査を含めさまざまな検査が行われますが、人手不足や検査の難化などによって検査員による的確な検査が困難になっています。

この問題を解決するのが、外観検査の自動化です。こちらの資料に、外観検査を自動化する方法についてまとめましたので、ぜひご覧ください。

外観検査自動化プロジェクトの進め方

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