オムニチャネルを推進するためのEC戦略

 2017.10.02  株式会社システムインテグレータ

多くの企業で、既存のECサイトをオムニチャネルに対応させようと改変する動きが加速しています。

オムニチャネルとは、あらゆる販売チャネルを統合・連携させ、統一感のある顧客体験を提供し、これまで以上の利便性を顧客にもたらすことで競争優位性を確保しようとする戦略の一つです。

オムニチャネルへの取り組みが注目されてから5年以上が経過し、日本国内でも大企業を中心にいくつかの企業で取り組みが進んでいます。一時バズワードにように扱われていた「オムニチャネル」ですが、キーワードそのものは「オムニチャネル」という言葉を当時ほど使われなくなったにせよ、実態として最近では中小企業でも同様の取り組みも見て取れるようになり、今後ますます販売チャネル、顧客情報、商品情報、在庫情報などを連携し、顧客体験を向上させようとする動きは活発になりそうです。

企業がオムニチャネルを実践するメリットは、顧客体験を向上することで得られる収益拡大の他、物流の最適化に伴う在庫圧縮など、多面的な導入効果が望めます。しかしそんなオムニチャネル化は皆様ご承知の通り、一朝一夕で実現するものではありません。

オムニチャネルを実現するためには、単なるITインフラを含むシステム整備の他、組織改編を伴う経営戦略の見直しが必要不可欠です。今回はその中でもオムニチャネル化を推進するためにECサイトとして何を考慮すれば良いのかについて紹介していきます。

販売チャネルの統合がなければ始まらない

オムニチャネルの事例としてよく紹介されているのが、米国の大手百貨店Macy's(メイシーズ)です。

メイシーズが取り組んだオムニチャネルとは、オンラインショップと実店舗の在庫統一化と、販売チャネルの壁を取り払うことでした。在庫管理にはRFID(無線ICタグ)を取り入れ、店舗ではスタッフにモバイル端末を持たせ、オンラインショップと実店舗の垣根を無くすことで、当時としては新しい購買体験を顧客に提供しました。

顧客が店舗に足を運んだ際、欲しい商品の在庫が実店舗になければ、その場でオンラインショップの在庫を確認し、購入することができ、反対にオンラインショップに在庫が無ければ、店舗から直接発送することも可能です。顧客はオンラインショップと実店舗を意識することなく、どちらからでもスムーズに買い物を楽しむことができるのです。

その結果、メイシーズのオムニチャネル戦略は2011年から2012年にかけての売上が40%増、さらに大幅な在庫圧縮にも成功しています。

最近のメイシーズは不採算店舗の大型閉店などネガティブな話題多いので、オムニチャネルそのものにネガティブな印象を抱きがちですが、企業全体の売上げアップに貢献した施策であることは事実です。

メイシーズの事例ではオンラインショップと実店舗という、2つの販売チャネルを統合し、その垣根を取り払っています。オムニチャネルを実践する上では、こうした販売チャネルの「統合」がなくては始まりません。ちなみに複数の販売チャネルがそれぞれに存在する状況(サイロ化されて連携が取れていない状況)は、オムニチャネルではなくマルチチャネルです。

ECサイト構築パッケージ・サービス比較表

一般的にオムニチャネルは、すべての販売チャネルを統合しなければならないというわけではありませんが、2つ以上の販売チャネルを統合した上で、それらの垣根を取り払う取り組みをしなければ、オムニチャネルは始まりません。

オムニチャネル実現に向けた5つのEC戦略

オムニチャネルに絶対必要なものが“ECサイト”です。最終的な販売チャネルがオンラインにせよオフラインにせよ、インターネットを全く経由しない買い物体験はもはや少数派で、デジタルな顧客との接点という観点ではECサイトが中心となります。ECサイト無しのオムニチャネルは存在しないと言っても良いでしょう。

ここでは、ECサイトを運営しているという前提でオムニチャネルを実現するためのEC戦略を紹介していきます。

1.RFIDなどを活用した在庫の一元化

販売チャネルが複数存在する環境では、販売チャネルごとに在庫が存在します。オンラインショップにはオンラインショップの在庫、実店舗にはそれぞれ実店舗の在庫があるという状態です。しかし、これらの販売チャネルを統合した上で壁を取り払うのは、在庫の一元管理は不可欠です。在庫を一元的に管理できなければ、オムニチャネル実現は難しくなるでしょう。

常に在庫の状態を管理するためには、多くの労力がかかります。そのためRFIDなどの技術を用いて在庫管理システムと連動させることで管理を簡素化させる技術の導入も必要になってくるかもしれません。

さらに、それぞれの在庫を移動させるための出庫管理や配送管理、販売管理などが求められてくるようになるでしょう。

2.オンラインとオフラインの導線設計

「販売チャネルを統合し、在庫の一元管理が可能になった後は、顧客に快適な買い物を楽しんでいただくだけ」というわけにはいきません。確かに顧客にとっても事業者にとっても在庫不足による販売機会損失を減らすことに繋がったという観点においては快適な環境になったかもしれませんが、利益を追求することを考えた場合これだけだと不十分です。

ここで大切なのが「オンラインとオフラインの導線設計」です。簡単に言えば、オンラインの顧客をオフラインへ、オフラインの顧客をオンラインへと誘導するための施策を設計します。

販売チャネルを統合しただけでは、従来の管理環境と何ら変わりありません。O2Oマーケティングのように、オンラインとオフラインを行き来させるような、カスタマージャーニーを意識した導線を作らなければならないのです。メイシーズの事例では販売スタッフにモバイル端末を持たせ、実店舗で購入しない顧客をうまくオンラインへ誘導しています。

反対にオンラインで購入しないような顧客には、実物が確認出来る実店舗の強みを活かしオフラインへと誘導します。

情報収集はオンライン、購入は実店舗というのは一般的な行動ですが、どこのお店に行けば目的の商品の在庫があって、実際に手に取ることが出来るのかわからないこともしばしばです。

この場合、オンラインの商品詳細ページに在庫のある店舗を表示することで、実店舗への送客を実現することが出来ます。

このように、オンラインとオフラインを行き来するような導線設計が無ければ、収益を向上させることはできません。

3.データ連携とITシステムの統合

オムニチャネル実践において統合しなければならないのは、販売チャネルだけではありません。各ITシステムでデータ連携を行い、かつ統合することが重要です。少なくともEコマースシステムとCRM、POSシステムや在庫管理システム、販売管理システムなどを統合しなければ、オムニチャネルは実現しないでしょう。Eコマースシステムと基幹システムとの連携を図る企業は少なくありませんが、基幹システムだけでなく分散する多様なシステムとの連携が求められることが増えています。

オムニチャネルという新しい事業戦略を成功させるには、それを支えられるだけのIT基盤が大切になります。

4.現場負荷の増加を考慮する

メイシーズの事例では、顧客がECサイト上から実店舗の在庫を確認し、それをECサイト経由で購入することができます。発送作業をするのは実店舗のスタッフであり、これは従来の環境にはなかった作業です。オムニチャネルを実践すると、少なからずこのような現場負担が増加します。

企業としてこうした現場負担も考慮した上で、EC戦略を立てていかなければなりません。負担増加が避けられないようであれば、人員増加や省人化などの対策を取り、可能な限り負担軽減に取り組まなければなりませんし、次項でも取り上げますが、評価制度にも反映しないと現場の不満が高まる一方です。

5.新たな評価指標を考える

オムニチャネルを実現することで、これまでの事業・人材評価は通用しなくなるかもしれません。というのも、オンラインとオフラインを統合するので、単純な売上では各部門の功績を評価できなくなってしまうためです。

顧客のLTVを高められるかどうかは、顧客の買い物体験をどれほど価値あるものに出来るかがポイントになりますが、最終的な販売チャネルがどこであったかだけでは、顧客の買い物体験にどれくらい貢献しているのかを測ることは不可能です。そして、そもそも顧客の買い物体験に貢献することが評価のKPIに設定されている企業はほとんどないと言っていいいでしょう。

従って、売上だけでなく集客数など様々な切り口からの評価指標を用意し、正しい事業・人材評価が行える環境を整える必要があります。正しい評価指標がなければ、ネット販売部門や実店舗販売部門との現場レベルでの連携は妨げられモチベーション低下やフラストレーション増加を招く事態にもなりかねません。 [RELATED_POSTS]

まとめ

オムニチャネルはEコマースに責任を持つ部門と店舗販売部門で取り組むものと考えがちですが、実際はバックオフィス業務、コールセンター、カスタマーサポート、物流部門、購買部門など組織全体で取り組むべき全社戦略です。

オムニチャネル化には既存ECサイトとERPやCRM、POSシステムなど様々な環境を統合し、現場へのモバイル端末の導入などITシステムの刷新が必要になります。しかし、前述したメイシーズが多くの利益を得たように、価値を顧客に与えることが可能になるのです。システムインテグレータでは、数多くのオムニチャネルプロジェクトを支えるノウハウがありますので、ご検討中のお客様はお問い合わせいただければ幸いです。

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