リユース業界の市場規模は3.5兆円に拡大する?市場の動向と将来性

 2023.06.09  株式会社システムインテグレータ

フリマアプリの好調やリユースECの拡大、SDGs達成に向けた取り組みの加速化などを背景に、中古品を取り扱うリユース業界の市場成長が止まりません。本記事では、リユース業界の概要をはじめ、リユース業界の市場規模の動向や将来性について解説し、さらにリユース業界における成功事例を紹介します。

リユース業界とは?基本のビジネスモデルを説明

リユース業界とは、古物の売買や交換などを行うことで再利用を後押しする産業のことです。ここでの古物は、一度使用された中古品(リユース品)だけでなく、使用する目的で購入したにもかかわらず未使用のままになっている物品も含まれます。そのため、新品の商品を取り扱う「一次流通」に対し、リユース市場は一度人に渡った商品を取り扱うので「二次流通」と呼ばれています。

リユース業界でのビジネスモデルは、企業が店舗で商品を買い取り、その商品を販売して利益を得るBtoCが一般的です。しかし近年、フリマアプリやネットオークションを利用したCtoCや、CtoCの仲介として企業が入るCtoBtoCといったビジネスモデルも増えています。

リース業界の主な仕入れチャネルは、店頭買取・出張買取・宅配買取・催事買取・古物市場・卸仕入れの6種類です。一方、販売チャネルは、店舗販売・ネット販売・古物市場・卸販売・海外輸出などがあります。

また個人からの買取では、引っ越しや家の片付けなどで発生する「不用品の処分」と、現金が必要な際に品物を換金する「高価買取」という2大ニーズが確立されています。

リユース業とリサイクル業の違い

リユースは誰かの不要になったものを再利用するのに対し、リサイクルはペットボトルなどの廃棄物などを再資源として利用することを意味します。つまり、「ものをムダにしない」という意味では同じですが、定義が異なります。

しかし、日本ではリユースを行っているお店を「リサイクルショップ」と呼び、業界も「リユース・リサイクル業界」と記載されるケースが多いため、その違いがあいまいになっています。

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リユース業界の市場の動向と将来性

国内のあらゆる市場が縮小傾向にある中、リユース業界は今後も市場規模の拡大が見込まれる業界です。ここでは、業界の市場動向と、将来性について解説します。

2025年の市場規模は3.5兆円に拡大するという推計も

リユースビジネスに関するニュースサイト「リサイクル通信」が行った調査では、2021年のリユース市場規模は2兆6,988億円と、調査を開始した2009年から毎年増加を続けています。そして財務省の政策広報誌「ファイナンス」でも、2025年には約3兆5,000億円に達すると推計しており、今後も安定的に市場が成長すると予想されています。

参照元:リサイクル通信「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」
参照元:財務省 広報誌「ファイナンス」令和3年12月号
「リユース市場における消費者の価値観と企業行動」

不況に強い

リユース業界は景気に左右されにくく、むしろ不況に強い業界といわれています。その理由は、景気が悪くなると一般的な企業であれば、新商品の開発を滞らせたり、生産数を減らしたりするなど対策を講じます。しかし、リユース業界は商品を買い取り、その商品を販売するビジネスモデルのため、停滞することがありません。
むしろ、「不要品を売って利益を得たい」「不況だからこそ安く商品を購入したい」と思う人が増えるため、リユース業界にとって不況は大きなビジネスチャンスになります。

実際、世界経済に大きな影響をもたらした、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の時でさえ、在宅勤務やステイホームといった外出自粛によって業績悪化した業界が多い中、リユース業界は市場規模を拡大させました。※1
また、フリマアプリやインターネットオークションサービス、宅配買取サービスなど、利便性の高いサービスが増えてきたことで、今後もますます需要が期待でき、将来性のある業界といえるでしょう。

※1 リサイクル通信「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」

持続可能な社会を意識する消費者のニーズや海外からのニーズにマッチ

現在、持続可能な社会を築くことを目標に、「SDGs」達成へ向けた取り組みが世界中で進められています。そのSDGsに貢献できる業界としてリユース業界に注目が集まっています。特に持続可能な社会を意識するユーザーのエシカル消費(倫理的消費)として、リユース品の購入は定着しつつあります。

加えて、経済産業省が発表した「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、過去1年間の家庭に眠る不用品の推定価値は7.6兆円あるとされます。つまり、いまだにリユース業界に出回っていない各家庭の“かくれ資産”が日本には豊富にあり、より便利なツールの開発や取引の安全性などが確保されれば、さらに市場規模の拡大が期待できます。

また、「日本の中古品は状態がよい」「日本製品はクオリティーが高い」といった理由などから、日本の中古品が世界中で人気を博しています。特に近頃は、円安も追い風になり、輸出を行うリユースビジネスも業績が好調です。

参照元:経済産業省「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)」

ECサイト構築パッケージ選定 7つのポイント
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リユース業界における成功事例3つ

事例1:BuySell Technologies

株式会社BuySell Technologiesは、着物やブランド品などを取り扱うリユースカンパニーです。BuySell Technologiesが展開する「バイセル」では、ターゲットをシニア層に絞り、出張買取を中心に利用者を増やしています。
さらにDXの取り組みとして、買取から販売まで一気通貫してデータを管理・活用するシステム「バイセルリユースプラットフォームCosmos」を開発するなど、DX時代を生き抜くためのデータドリブン経営を実践しています。

BuySell Technologiesコーポレートサイト「事業を支えるテクノロジー戦略」

事例2:マーケットエンタープライズ

株式会社マーケットエンタープライズは、優秀なストアに贈られる「ヤフオク!ベストストアアワード 総合賞」を2017年から3年連続で受賞している「ReReオークションストア」や自社ECサイト「ReRe」などを運営している企業です。
リユース業界では珍しい30日以内の買取保証制度や最大3年の保証制度を設けるなど、顧客を大切にするサービスを取り入れることで高い評価を得ています。

マーケットエンタープライズコーポレートサイト「「ヤフオク!ベストストアアワード2019」3年連続20,000ストアの頂点になった総合グランプリ受賞の舞台裏。」

事例3:メルカリ

株式会社メルカリは、日本最大のフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用しています。メルカリは事業者を介さず中古品売買がオンラインで行える手軽さから、利用者が大幅に増加したサービスです。
メルカリでは今後の事業展開として、今までに蓄積した二次流通の膨大なデータを一次流通企業が保有するデータと連携させることを発表しており、新たな顧客体験の創造を目指しています。

メルカリ「二次流通データを軸に、パートナー企業と新たな『売買』体験を創造」

まとめ

リユース業界は、不況に強く、持続可能な社会を意識した昨今のニーズにマッチしていることから、今後も市場の拡大が期待できる業界です。そのため、中古品をオンラインで販売するリユースECサイトも軒並み好調です。
このようなリユース販売を含めたECサイトの構築・運営に興味のある企業担当者におすすめなのが『新しい「EC」の教科書』です。この資料では、EC業界を取り巻く「新常識」について解説しており、ビジネスの成長に役立ちます。

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