CRMとは?主な機能やメリット、導入のポイントや活用方法まで成功の秘訣を徹底解説

 2023.08.03  佐藤 嘉彦

お客様を知らないで売上を伸ばそうとすることは、目隠ししながら神経衰弱するようなものです。
たまたま当たるかもしれませんが、情報を持っている対戦相手に勝つのは困難を極めます。
しかしながら、顧客の情報が分散していて確認しづらい、活用できないといった企業は少なくありません。
そうした企業が採用すべきなのは、顧客情報を統合管理し、質の高いマーケティング・営業活動につなげることのできるCRMです。

本記事ではCRMの基本から導入を成功させるポイントまで幅広く解説していきます。

CRMとは?

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客関係を適切に管理し、ビジネスの成功につなげるためのシステムや手法のことです。企業が顧客情報を効率的に管理し、マーケティングや営業活動を最適化することで、顧客満足度の向上や売上アップを実現します。CRMには様々なツールやサービスがあり、企業のニーズに合わせた活用方法が可能です。顧客データの分析や営業担当と顧客とのコミュニケーション履歴の一元管理も重要な要素です。

CRMの定義

CRMは、顧客との長期的な関係を築くことを目的としたビジネス戦略の一つですが、一般的にはそれを支援するシステムやツール、サービスを指して使われることが多いです。
CRMは顧客情報や購買履歴などのデータを収集・分析し、それぞれの顧客に対して最適なサービスやマーケティング活動を実現することができます。また、CRMは営業やサポート業務の効率化にもつながります。

顧客関係管理の進化とCRMの歴史

顧客関係管理は古くからある概念ですが、コンピュータの発展やインターネットの普及により、CRMシステムが誕生しました。最初のCRMシステムは主に顧客データベースの管理に重点を置いていましたが、現在のCRMはSFA(Sales Force Automation)機能やマーケティングオートメーション機能など、多機能を持つシステムが一般的です。これにより、企業は顧客との関係をより深く理解し、効果的なアプローチが可能となりました。CRMとSFA、MAはそれぞれ重なる領域が多いのでややこしいですが、後ほどその違いについて解説いたします。

CRMの基本機能

現代のCRMシステムには様々な機能がありますが、基本的な機能としては、顧客情報管理、メール配信(マーケティング支援)、データ分析の機能が挙げられます。これらの機能を活用し、顧客関係の質を高め、ビジネスの成果を向上させることが可能です。

顧客情報管理

顧客情報管理は、CRMシステムの基本的な機能の一つであり、顧客データや購買履歴、コミュニケーション記録などを一元管理することができます。これにより、営業担当者やマーケティング担当者は、顧客との関係を効果的に把握し、適切なサービスやアプローチを行うことが可能となります。また、データの共有や活動履歴の確認が容易になり、業務効率の向上にもつながります。

メール配信(マーケティング支援)

統合された顧客情報を活用し、それぞれのセグメントに対してのメール配信を行うことができます。
顧客情報が統合されているので同じ内容で一斉配信をするのではなく、それぞれのセグメントに合致した内容のメールを効果的に配信することができます。
またCRMによってはそういったメールの配信を自動化するMAのような機能がついているものもあります。

データ分析

顧客情報と、メール配信などの結果が統合されているので、どのセグメントの顧客がもっとも売上に寄与しているのか、もっとも売上に寄与している施策はなにかなどを簡単に分析することができます。
直観的にわかりやすいグラフや、それらがまとまっているダッシュボードが用意されており、専門知識がなくても状況を把握することができます。

CRMとSFA・MAとの違い

CRMとSFA(Sales Force Automation)・MA(Marketing Automation)はいずれも顧客(リード)の情報を管理し、売上を伸ばすためのツールです。
近年ではそれぞれのツールの機能の拡充が進んでおり、かなり重なる領域が増えてきています。

SFA(Sales Force Automation)とCRMの違い

SFA(Sales Force Automation)は営業活動を効率化し、営業プロセスを自動化することを目的としており、例えば商談履歴の管理や見込み客情報の共有、営業報告などの機能が含まれます。

一方で、CRMは顧客情報の一元管理やアフターサービスを含む幅広い範囲をカバーしており、顧客満足度向上やリピート購入の促進に努めることが目的です。

しかし、SFAでも既存の取引先との商談やアフターフォローの状況も管理しますし、CRMでも見込み客の管理を行いますので、上記の定義でキレイに分けられるものではありません。
SFAでもメール配信などのマーケティング機能を内包しているものもあるので、SFAは営業活動寄り、CRMはマーケティングを含みもう少し広範囲といったニュアンスで理解しておくといいでしょう。

SFAについては以下の記事で詳しく解説しています。

MA(Marketing Automation)とCRMの違い

MA(Marketing Automation)はマーケティング活動を自動化・効率化するためのシステムで、例えばメール配信やランディングページ作成、リードスコアリングなどの機能が含まれます。
これにより、マーケティング担当者はリソースを効果的に活用し、最適なターゲティングや施策の実行が可能になります。

CRMも特定のセグメントに対してメールマーケティングを行う機能がついていますし、自動化の機能も付いていますが、ポイントは顧客情報の一元管理やアフターサービスを含む幅広い範囲をカバーしていること、新規顧客獲得も含みますが既存顧客の満足度向上やリピート購入の促進も含んでいるという点がポイントです。
機能的にはかなり重なる部分が多いのですが、MAはどちらかというと新規顧客獲得向け、CRMは新規も含むが既存も含むというニュアンスで理解しておくとよいでしょう。

MAについては以下の記事で詳しく解説しています。

企業の抱える顧客情報管理の課題

現代のビジネス環境において、企業が顧客情報を適切に管理し、活用することは重要です。
しかし、多くの企業は顧客情報管理において課題を抱えています。
情報が分散されていてよくわからない、営業やマーケターが忙しくてきめ細かい対応ができない、分析に時間がかかってしまうなど、多くの企業がさまざまな理由で顧客情報を活用した取り組みを十分に行えていません。

さまざまなシステムに情報が分散されている

企業内で顧客情報が複数のシステムや資料に分散して保存されていることがよくあります。
これにより、情報の把握や共有が困難になり、効率的な業務ができず、結果として顧客満足度の低下につながることもあります。
正しい情報が把握できない状態では、適切なアクションが打てないからです。
またシステムが分散していることで最新の情報がどれかわからない、抜け漏れが多いなど様々な課題があります。

営業やマーケターが忙しく、きめ細かい対応ができない

営業もマーケターも毎日忙しく、本当はきめ細かい対応がしたくともその時間を作ることができていません。
結果、同じ内容のメールを一斉配信したり、過去の経緯を加味せずアプローチしてしまったりといった現状があります。
せっかく重要な顧客情報が企業内にはあるのに、有効活用できないことで活動の質が上がらないといった課題があります。

分析に時間がかかってしまう

情報が分散していたり、フォーマットがバラバラだと振り返るための分析やレポーティングにかなりの時間を要してしまいます。
振り返りに時間がかかるということは、改善のアクションまで時間がかかるということです。
効率的に売り上げを伸ばし続けるには、リアルタイムに状況を把握できるようにする必要があります。

CRMシステム導入のメリット

CRMシステムを導入することによって、顧客情報管理に関する課題が解決され、分析や活動が効率化され、コミュニケーションの質が向上することが期待できます。が一元化され、情報共有や把握が容易になります。

顧客分析がはかどる

CRMサービスを活用することで、顧客データを一元管理し、顧客の購買履歴や営業活動の履歴など、多くの情報を効率的に把握・分析することが可能になります。
企業は顧客ニーズを理解し、データを基にした最適なマーケティング戦略を立てることができ、営業活動・マーケティング活動の質を向上させることができます。

また、データ分析によって顧客との関係をより深く理解し、満足度の向上やリピート購入の増加など、ビジネスにおいて重要な価値の改善に繋がることでしょう。

メール配信などのマーケティングの効率が上がる

CRMシステムを導入することで、重要な顧客セグメントを特定し、過去のデータをもとに反応のよいオファーのメールをすばやく送ることができるようになります。
ターゲットとなる顧客のニーズに合わせたメール内容を瞬時に作成・送信することができるだけでなく、顧客からの反応もリアルタイムで確認・分析することが可能になります。

これにより、顧客満足度や購買行動の最適化が図られ、メールマーケティングの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。

属人的でなくなり、組織でノウハウを共有できるようになる

CRMシステムを導入することにより、営業担当者やマーケティング担当者が持っている顧客情報やノウハウが組織全体で共有されるようになり、属人的な情報の維持・管理から解放されます。

この結果、組織全体で顧客への対応力が向上し、企業がより顧客志向のビジネス体制を構築できるようになるでしょう。また、業務の効率化や新人への教育もスムーズになり、従業員満足度の向上にも繋がります。

CRMシステム選定のポイント

CRMシステムを選定する際のポイントは、まず自社のビジネス目的や課題を明確にすることです。
その上で、それぞれのシステムの機能や価格を比較検討し、最適なシステムを選ぶことが重要です。

また、既存のITシステムや業務プロセスとの連携や拡張性を考慮し、導入後のサポート体制が整っているかどうかも確認しておくと良いでしょう。

機能

CRMにはたくさんの機能がありますが、自社が必要な機能が揃っているかをよく確認する必要があります。
正直HPに出ているレベルの情報では基本的な機能についての差を見つけることは困難です。
基本機能以外で魅力的な、自社にとって欠かせない機能がある場合は基本機能以外で判断できますが、基本機能の細かな仕様で判断したい場合は、実際のツールを見てから判断するようにしましょう。

サポート

ツールを導入さえすればうまくいくというものではありません。
導入の目的を達成し、成果を最大化させるには運用こそが重要です。
そして、スムーズにスピーディに運用をスタートさせるには、ツールベンダーのサポートが欠かせません。

問い合わせ対応やバージョンアップといった基本的なサポートはもちろん、オンボーディングや定例など伴走の体制が組めるのが理想的です。
ただし、手厚いサポートを依頼すればするほど高額にもなっていきますので、自社の状況に合わせて適切なサポート体制を選択しましょう。

システム連携

CRMは顧客情報を統合してこそその真価を発揮します。
ですので、顧客に関連するさまざまな情報を管理する他のシステムと連携できるかどうかが重要です。
標準で連携できるシステムを確認することはもちろん、標準で連携できない場合、どのような対応になるかしっかり確認するようにしましょう。

csvなどのファイル連携であれば多くのシステムで対応が可能ですが、手動でファイル更新となると手間と時間もかかります。
ですが、すべての情報がリアルタイムである必要があるかというとそうでもないものもありますので、どの情報までがリアルタイムであるべきかなどを決めたうえで、連携方法について確認するようにしましょう。

費用

CRMに限らず、費用は重要な論点です。
初期費用はもちろん、利用料金や保守費用などを含んだトータルの支払いコストと、その導入や運用に際して発生する内部の作業コストを含めて考えることが重要です。
支払いが10万円安くなるかわりに内部の作業が10万円分以上増えては、結果損することになってしまいます。

また多機能なシステムは使いこなすことで大きな費用対効果を得られるかもしれませんが、すべての機能を使いこなせるか、というところもポイントです。
多機能なものほど高額になりがちですので、どこまでが本当に必要な機能なのかを見極めて判断することが重要です。

CRM導入を成功させるためのポイント

ツールの採用は終わりではなく、はじまりです。
CRM導入プロジェクトを成功させるには、しっかりとした運用を実現できるかどうかにかかっています。

導入の目的を関係者と合意する

どんなに自社に課題にマッチしたツールを採用したとしても、必要性を理解しているのがあなただけでは運用はうまくいきません。効果的に運用するには、顧客にかかわるすべての関係者がその必要性と導入の目的を理解している必要があります。

マーケティング部門や営業部門を無視してCRMが導入されることは基本的にはあまりないはずですが、「採用時には反対こそしていなかったが、営業部長があまりシステムが必要だと思っていない」などの理由で浸透が進まないなんてことは珍しい話ではありません。

CRMに限らずシステムの導入は、ビジネスプロセスの改善を伴わない限り、なんらかの自動化による省力化があったとしても、大きな成果を上げることは困難です。
ビジネスプロセスを改善するには、関係者と課題を共有し、その解決に本気で合意してもらう必要があります。
どんなに優れたツール、優れた支援企業を選定できたとしても、関係者と合意できないままでは十分な成果を得ることができませんので、検討の初期段階から合意のステップは踏むようにしましょう。

目標(KPI)を設定する

KPIを設定しないと成果の測定もできないですし、そもそも何が成功なのかどうかもわかりません。
導入の目的は売上の最大化で、CRMは売り上げを最大化に取り組む際の課題を解決するために導入されます。
自社の売上を支えるいくつかの指標、顧客数、客単価、商談数、メールマーケティングなどさまざまな指標で、どの程度の改善を目標とするかを定めましょう。

ロードマップを作成する

システム導入の成功には、段階的な取り組みが必要です。
ロードマップを作成し、構築・運用・改善のプロセスを明示化します。
各段階での現状把握や、導入に必要なタスクやリソースを調査・確保し、最適な導入スケジュールを設定しましょう。
さらに、関係者全員がロードマップを理解し、それぞれの役割を把握し、協力して取り組むことが重要です。

進捗をチェックし、改善を繰り返す体制を構築する

システム導入後も、定期的に進捗をチェックし、改善点を見つけ出し、継続的な改善を行う体制を構築します。営業担当者やマーケティング担当者との連携を強化し、データ分析によって課題を洗い出し、その都度取り組むことが大切です。また、関係者とのコミュニケーションを密にし、現場からの声や意見を取り入れることで、より効果的なシステム運用が可能となります。

まとめ

CRMシステム導入プロジェクトの成功のためには、関係者との合意形成、目標(KPI)設定、ロードマップ作成、そして進捗管理と改善を繰り返す体制の構築が重要です。
これらのポイントを意識して取り組むことで、効果的なシステム運用が期待でき、業務改善や売上向上、顧客満足度の向上などの成果を実現できるでしょう。

今後デジタルシフトした顧客とのコミュニケーションをいかにパーソナライズするかが企業の成長を左右します。顧客体験のパーソナライズのポイントをまとめた資料をご用意しましたので、ぜひご覧ください。

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