ビジネスモデルやマーケティングモデルについて検討する際は、取引相手・取引形態について必ず考慮する必要があります。ビジネスシーンで頻繁に登場する「BtoB」「BtoC」とは、企業が展開するビジネスの取引形態を示すビジネス用語です。
当記事では、BtoB・BtoCそれぞれの用語が示す意味から、両者の特徴・違い・マーケティングのポイントまで多角的に解説します。
ビジネス・マーケティングについて理解を深めたい方や、BtoB・BtoCの要点を押さえたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
BtoBとBtoC
ビジネスシーンで一般的に活用されているワードである「BtoB」と「BtoC」。何となく意味は理解しているけれども、それぞれのワードが持つ明確な意味や両者の違いまでは把握できていないという方もいるのではないでしょうか。
ここでは、BtoB・BtoCそれぞれのワードが持つ意味について詳しく解説します。両者について理解を深めることで、実際のビジネスの推進やディスカッションを行う際に役立つため、ぜひ参考にしてみて下さい。
BtoBとは
BtoB(Business to Business)とは、企業が企業に対して商品・サービスを提供する企業間取引のことを言います。B2Bと略されることもあります。
例えば、工業製品・電機製品・自動車等のメーカが商品製造に使用する部材・部品を提供する企業などがBtoBのビジネスに該当します。
企業を対象とするBtoBでは、取引対象が限定されることや長期的な取引関係となるケースが多いことが特徴です。そのため、新規集客に注力するよりも、取引先との関係維持や信頼関係構築を行うことが重要となってきます。
BtoCとは
BtoC(Business to Consumer)とは、ワードが示す通り企業が個人(一般消費者)に対して行う取引形態・販売形態のことです。B2Cと略されることもあります。
例えば、百貨店・小売店といった店舗や一般消費者向けのECサイトなどがBtoCのビジネスに該当します。
商品・サービスの単価は低めであるため、認知拡大・訴求を行って数多くの顧客を集めることが基本的な戦略となります。
BtoBtoCとは
BtoBとBtoCのほかに、もうひとつ知っておきたいのがBtoBtoCです。
BtoBtoCとは、企業と消費者の間に立ち、両者の取引のサポートを行う活動ならびにその活動を行う企業のことです。旧来のビジネスモデルでいう卸問屋業や流通業が、このBtoBtoCに該当します。
現代ではインターネットの発達により、ECモール・ECマーケットプレイス・Webサービスのプラットフォームといった新たなBtoBtoCの形態が登場したことから、大きく注目されるようになりました。
BtoBtoCでは、取引形態を構成する三者全てにメリットがあるビジネスを展開することが、ビジネスを成功させるポイントとなります。
また、近年ではCtoC・DtoCといった新たな取引形態も登場しています。以下の記事で解説していますので、ぜひご参考下さい。
「D2C」とは?従来の販売モデルとの違いやメリット・デメリット、成功事例まで解説
CtoCとは何か?BtoB、BtoC、BtoEとの違いやそれぞれの取引形態を解説
BtoBとBtoCの違いをポイント別に解説
BtoBとBtoCは対象とするターゲットが異なることから、ビジネスモデルやビジネスプロセスにおいてもさまざまな面で違いが見られます。
ここでは、BtoBとBtoCの主な相違点について解説します。BtoBとBtoCの違いについて詳しく知りたい方は、具体的にどのような点が違うのか比較してみましょう。
購買の意思決定者の違い
BtoBとBtoCの代表的な違いが、購買の意思決定者です。
BtoBでは、あくまで企業活動のために商品・サービスの購入を行うため、複数の担当者が協議・検討を重ねたうえで、企業のトップや決裁者が最終的な意思決定を行います。意思決定に関与する人数が多く、プロセスも複雑であるのが特徴です。
BtoCでは、商品・サービスの利用者と購入者が同一であるため、基本的には消費者個人で
意思決定が行われます。
このような意思決定者の違いから、BtoBとBtoCでは商品・サービスを販売するためのアプローチの方法にも違いが見られます。
購買における判断基準の違い
BtoBとBtoCでは、購買の判断基準にも違いが見られます。
BtoBでは、自社のビジネス推進や課題解決のために商品購入が行われるため、「必要要件を満たせるか」「実用性があるか」「コストは適正であるか」といった合理的な判断基準をもって購入判断が下されます。
一方でBtoCの場合は、合理的判断だけではなく個人の意思や価値観による判断が行われることもあるため、判断基準は非常に幅広いものとなります。「価格が安い」「必要であるから」「質が良い」といった理にかなった判断だけでなく、単純に「流行っている」「欲しいから」といった直感的な判断が行われることもあります。
このような判断基準の違いは、商品・サービスを販売する手法やプロセスにも大きな影響を与えます。
リードタイム の違い
BtoBとBtoCでは、上述の意思決定者・判断基準の違いから、購買行動に要する時間にも大きな違いが見られます。
BtoBでは、複数人の意思決定者が慎重な検討を行い、最終的に組織のトップが判断を行うため、意思決定のプロセスが多く長い時間を要します。
一方、BtoCでは消費者一人のニーズ(必要)やウォンツ(欲しい)というシンプルな判断のみであるため、即決もしくは非常に短い時間で意思決定が行われます。
扱う商材の違い
BtoBとBtoCでは、取り扱う商材の性質についても違いが見られます。
消費者を対象とするBtoCでは、一般的に購入してすぐに活用できる完成された商品・サービスの販売を行います。
一方でBtoBでは、業界・業種によっては完成品を取り扱うこともありますが、商品製造に使用する資材・部品などが取り扱われることが多い傾向にあります。多くの業界では多重下請構造が構成されており、メーカーなどは多方面に発注した資材・部品を集めて商品製造を行うことが一般的であるためです。
このような性質から、BtoBでは商材そのものの実用性や魅力よりも、品質・信頼性・コストが重視されることが特徴です。
単価の違い
企業を対象とするBtoBと個人を対象とするBtoCでは、扱う商品・サービスの単価が大きく違います。
資本の大きな企業を対象とするBtoBは、非常に単価が大きくBtoCの比ではありません。1件の受注で大きな収益が得られ、また継続的な取引が見込めることが特徴です。そのため、信頼関係を構築して長期的な取引を行えば、少ない客数でも安定的な収益を得ることができます。
一方で一般消費者を対象とするBtoCでは、商品・サービスにもよりますが、BtoBと比べると圧倒的に単価が低い傾向にあります。一部高額商品もありますが、BtoB取引には及びません。そのため、数多くの商品・サービスを販売して収益を得ることが基本戦略となります。
マーケティング手法の違い
BtoBとBtoCでは、これまでご紹介したさまざまな違いがあることから、商品・サービスを販売するためのマーケティング手法にも大きな違いが見られます。大まかに説明すると次の通りです。
BtoBマーケティング
少数のターゲットにじっくりと時間をかけて販売していくことや、長期的取引のための信頼関係が重要であることから、訪問によるリード獲得・関係性構築が主なマーケティング手法となります。
BtoCマーケティング
単価の低い商品・サービスを数多く販売する必要があることから、ECサイト・実店舗へ集客しての販売が中心となります。いかに数多くの顧客を集められるかがポイントです。
BtoB・BtoCそれぞれのマーケティング手法とポイントについては、次章で詳しく解説していきます。
BtoBとBtoCのマーケティングのポイント
BtoBとBtoCでは、顧客にアプローチするためのマーケティング手法ならびにそのポイントについても大きな違いが見られます。
ここでは、BtoB・BtoCそれぞれのマーケティング手法・マーケティングのポイントについてご紹介します。
BtoBマーケティングの手法
現在用いられているBtoBマーケティングの手法には、次のようなものが挙げられます。
オフライン
- 展示会
- セミナー
- テレアポ
- フィールドセールス(訪問営業)
- インサイドセールス(内勤営業)
オンライン
- コンテンツマーケティング
- 比較サイト
- Web広告
- メールマーケティング
- SNS
- ホワイトペーパー(ダウンロード)
近年では、ビジネスモデルの高度化・多様化に伴い、BtoBにおいても従来の手法に加えてインターネットを活用したマーケティング手法が多く用いられるようになりました。
また、従来型のセミナーやセールスに関しても、ウェビナーの活用やMAツール活用によるデジタル化の傾向が見られます。
BtoBマーケティングのポイント
BtoBマーケティングでは、意思決定に関わる人数が多くプロセスも複雑であることから、次のような点に留意してマーケティングを行うことがポイントです。
- 取引先のニーズを把握する
- 取引先の判断基準を把握する
- 取引先担当者に頻繁に情報提供を行う
- 社内での協議に役立つ情報を提供する
- 取引先の意思決定に繋がる情報を提供する
BtoBマーケティングでは、BtoCのように簡単に成約することはありません。普段接触している取引先担当者と決裁者は別である点に留意して、担当者からニーズを読み取り、社内での判断に繋がるような情報をこまめに提供していく必要があります。
長期的視点で地道にアプローチを行っていくことが、BtoBマーケティングで成果を出すための秘訣と言えるでしょう。
BtoBマーケティングについては以下の記事でも解説しています。
BtoBマーケティングとは?主な手法や近年のトレンドを解説
BtoCマーケティングの手法
BtoCのマーケティング手法には、次のようなものが挙げられます。近年では店舗型ビジネスからECサイトでの販売にシフトしつつあるため、インターネット上で行われるWebマーケティングが積極的に活用されています。
オフライン
- マスマーケティング
オンライン
- コンテンツマーケティング
- Web広告
- メールマーケティング
- SNSマーケティング
旧来のBtoCマーケティングでは対象者を限定せず全体に施策を行うマスマーケティングが主流でしたが、Webマーケティングの発展・導入が進められたことにより、BtoCマーケティングにおいてもパーソナライズされた施策が重視されるようになってきています。
BtoCマーケティングのポイント
BtoCマーケティングでは、数多くのターゲットにアプローチするという特性を踏まえ、次のような点に注意してマーケティングを行うのがポイントです。
- ビジネスモデルに適したチャネル・手法を活用する
- 短期的手法と長期的手法の特性・違いを理解して併用する
- こまめにPDCAを回す
BtoCマーケティングで成果を出すためには、消費者心理・消費行動に合わせて適切なアプローチを行うことが必要です。そのためには、自社のビジネスモデル・ターゲット属性に合わせて、適切なチャネル・手法を選択することが重要です。
マーケティング施策には即効性のあるものと成果が出るまでに時間がかかるものがあるため、どちらかに依存せずそれぞれの特性を理解して併用することも重要となります。
また、BtoCでは顧客の流動やトレンドの移り変わりが大きい傾向があるため、ビジネス状況の変化に合わせて細かくPDCAを回して行くことも成果を出すためのポイントです。
BtoBとBtoC、どちらも「ECサイト」の活用が拡大中
BtoCでのECサイト活用が一般的となっているのは周知の事実ですが、近年ではBtoBにおいてもECサイトを活用する事例が増えてきています。
BtoC-ECで販路・商圏の拡大や消費者の利便性・満足度向上といったメリットが得られるように、BtoB-ECにおいても販路・商圏の拡大や商取引のスムーズ化といったメリットを得ることができます。
ビジネスに競争優位性の発揮やスピード感が求められる現代においては、BtoB・BtoCといった取引形態によらず、ECサイトをいかに活用していくかがこれからの企業の課題となるでしょう。
BtoB・BtoC両者におけるECサイト活用については、以下の記事でも詳しく解説しているため、併せてご参考下さい。
まとめ
現代ではビジネスの取引形態も多様化の様相を呈しており、BtoB・BtoCといった従来からの取引形態に加え、CtoC・DtoCといった新たな取引形態も一般化しつつあります。それぞれの取引形態において、ターゲット・商材特性を踏まえたマーケティング施策が必要となるため、ECサイトを構築・運用する際には留意しておくことが重要です。
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